いまホットなインディーゲームが秘訣を明かす

“リラックスしたハードコア”って? 『Frozen Synapse』の、リアルタイムとターン制のいいとこ取りゲームプレイ【GDC 2012】_01

 先週サンフランシスコで行われたGDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)で、GDCアワードの最優秀ダウンロードゲーム部門にもノミネートされるなど、高い評価を受けているストラテジーゲーム『Frozen Synapse』のゲームデザイナーにしてプログラマーであるイアン・ハーディンガム氏が“Relaxed Hardcore: Why Asynchronous is the Next Big Thing in Core Gaming”と題した講演を行った。

 ハーディンガム氏がテーマとしていたのは、『Frozen Synapse』が“Asynchronous(非同期)”なストラテジーゲームとして、コアゲーマーに新たな楽しみを提供できるということ。

 本作の戦いは、両プレイヤーが各ユニットをどう動かすか戦略を練り、両者がプランを提出すると同時に実行され、また次のターンへと進んでいく。

 ハーディンガム氏はその特色として、この方法を誰もやっていなかったことをまず挙げる。そしてもうひとつ、考える時間があることは重要だ。
 いわく「『Tribes』(高速な対戦型FPSシリーズ)は楽しいが30分で疲れる。20歳を過ぎたらゆっくりやりたいもの」。まぁこの意見が誰にでも当てはまるかはともかく、つねにハイテンションなゲームで戦うのは確かに疲れるし、頭や手が追いつかなくなって「そこに来るのはわかってたのに!」って思いをムダに重ねるよりも、「相手はユニットをこう動かしてきているから、次のターンはこう動くに違いない。だからこちらは……」と、純粋に戦略の違いで勝負するというのも確かにひとつの手段だ。ハーディンガム氏は、友人や家族と遊べる“ソーシャルなボードゲーム”という性格も挙げていた。

 また、同時ターンベースは「NFLの試合のようなもの」とも表現。じっくりプランを立てて、よーいドンで実行し、成功した側がちょっと有利になって、またプラン立案……リアルタイムストラテジーゲーム(RTS)よりは考える時間があり、なおかつRTS同様にしっかりと相手がこれからどう動くか考慮に入れて動かなくてはならないという、まさに“リラックスしたハードコア”なマルチプレイゲームとなっているのだ。ビデオでの解説も行われ、同時にプランを実行することで、静止する感じが減ってアクティブになること、トリックや騙しの手も使えて闘争心が沸くといったメリットも示された。

 一方問題点としては、コーディングしにくいこと、インターフェースのデザインが良くないといけないこと、複雑なので間口が狭く、上手にプランしないと嫌われるといった点を例示。
 また学んだ要素としては、相手のステータスを表示する(相手はいるのか、違うゲームをやってるのか、それとも外してるのか?)、チャット(みんなお互いにメッセージを残したいもの)、マルチゲームを可能にする(10ゲームを一度にプレイする人もいるらしい)、敵の動きもプランできるようにする(おもしろいデザインだと思うが、いいところと悪いところがある)といった点について言及し、発表を締めくくった。