スピーチ文化のアメリカらしい試み

気になる講演をチェック! Flash Forwardが開催【GDC 2012】_05

 2012年3月5日から3月9日(現地時間)の期間で開催されるGDC 2012。いよいよ講演が本格化する3日目の今日(2012年3月7日)、GDC BallroomにてFlash Fowardと呼ばれるイベントが行われた。その内容がとてもユニークで、3日目以降に行われる講演の内容を、ひとり45秒という持ち時間で自由にアピールするというもの。計100人におよぶ講演者が、個性溢れるパフォーマンスを見せた。その中には、ソニー・コンピュータエンタテインメントの山口由晃氏の姿も見られた。

ゲーム業界の多様化を象徴

気になる講演をチェック! Flash Forwardが開催【GDC 2012】_01

 今年、基調講演がないというのは象徴的な出来事のひとつと言えるだろう。ゲーム業界の多様化は、“誰もが傾聴するに値する人”という存在を難しいものとしている。据え置きゲーム機の偉人が話す業界の未来を、スマートフォン向けにゲームを作っているデベロッパーがどれだけ聞きたいだろうか? 逆もしかり。スマートフォンなりソーシャルゲームでいまをときめく人が話すゲーム革命を、最先端の技術をフルに使って「俺たちは世界で最高のハードコアゲームを作るぜ!」と意気込む人が座って聞くだろうか?

 そんなわけで今年のGDCが選んだのは、ありとあらゆる領域からやってきている講演者に片っ端から話してもらうこと。全員に同じ時間を与え(時間を超えるとブザーで追い出される)、判断は聞き手が決めればいい。「俺はこいつの話を聞きたい!」と思った人のところに行けば、長々とした列に並んだ結果に聞くのがパッとしないツールの話だったり、イマイチなリサーチの披露だったりすることも少ないだろう。

 出てくる側は、わざわざ応募してスピーカーになっているぐらいなんだから、折角なら多くの人に話を聞いてほしいもの。じつにあの手この手で注意を引こうとする。まじめに内容を伝える人ももちろんいるが、わざとほとんどしゃべらなかったり、相棒と小芝居したり、歌を歌って済ませたりといったギャグを仕込んでくる人もいる。早口の人もいれば淡々と話す人もいるし、アーティストらしく気取った感じの人もいるし、ウィットに富んだスピーチで受けまくる人だっている。往年の名作を作った大御所も、イケイケのスーパースターも、学生あがりのあんちゃんも、フランス訛りのモントリオールの開発者も、北欧訛りもドイツ訛りもいっしょだ。じつにスピーチ文化のアメリカらしい方法。やっぱりいろいろ聞いてみると、1回はリストから消した講演も行きたくなってきたりする。とはいえ、ひとつだけ問題があって、朝9時から未知の出会いを求めて話を聞きに来ようって人は、まぁ、あんまりいないこと。(編集部)

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