第3回 戦術性が高くなった缶蹴り

ババダイチの『STARHAWK(スターホーク)』パブリックβ版体験記_01

 いまのちびっ子たちはどうかわかりませんが、自分ぐらいのいい年したおっさんともなると、小さなころは携帯ゲーム機なんかもあまりなく、遊びといえば近所の公園に集まっての隠れんぼやら鬼ごっこがメインだったりしたものです。

 なかでも自分が好きだったのは缶蹴りでして、一応知らない人のために説明すると、鬼ひとり対ほかのメンバーという構図で行われる遊びで、鬼は特定の場所に立てられた缶を蹴られないように守りつつ、蹴るのを狙っているほかの人を見つけていく、といったルールになっています。

 いま改めて、缶蹴りの何がおもしろかったのか考えてみると、缶というギミックが入ったことで、鬼側は守備と探索という要素が、そのほかはメンバーと協力して、いかに缶を狙うかといったような駆け引きが、子ども心にも楽しかったのではないかと思うのです。正直、この年でも真剣にやればかなり楽しめるのではないかと。子どものころは思いつかなかったような汚い戦術も、大人のいまでは湯水のように湧いてきますな。

 そんなこんなで『STARHAWK(スターホーク)』の話です。

 これまでは“ビルド&バトル”システムを中心とした、施設を建てることの戦術性や、メカ類の魅力を書いてきましたが、今回はもう少し踏み込んで、実際ゲーム内でプレイヤーがどのように遊んでいるのかを、レポート風に書いていこうと思います。

 現在パブリックβ版では、“キャプチャー・ザ・フラッグ”と“チームデスマッチ”のふたつのルールで遊ぶことができます。個人的に好きなのは、断然キャプチャー・ザ・フラッグでして、というのも、こちらのほうが戦術性がより高いからなんですね。もちろんチームデスマッチならではの、プレイヤースキルが問われるヒリヒリした戦いも、たまらない緊張感がありますが、いかんせん自分のようなヘボプレイヤーは、ろくに活躍できないこともしばしば。そんなわけでキャプチャー・ザ・フラッグなのです。

 さて、こちらルールですが、要するに相手陣営にある旗(フラッグ)を取って、自陣にいくつ持って帰ったかを競うといったものです。先ほどの缶蹴りとちょっと似ていますが、両陣営に守るべき缶があるといった感じでしょうか。攻守のターンがなく、同時に行われるのがポイントですね。

 ゲームは恒例の急降下でスタート。基本的には旗が近くにある、自陣のどこかに降りることになります。さて、ここから何をするかはプレイヤー次第。

 自分の場合は、何度も書いているようにアクションがヘタですので、極力前線での戦闘は避け、序盤は守備を強化することが多いです。具体的には、旗周辺に自動銃座を設置したり防御壁を築いたりします。もうここらは完全にアクションゲームというより、建築ゲームといった感覚ですが、けっこうこれも楽しかったりするのです。これらはよほど変な場所に設置しない限り、確実に防御の足しになるので、自軍の役に立っているのが実感できるのが楽しいのかもしれませんね。

 いろいろプレイしていくと、これらの防御にもいろんな形が見られます。自軍の旗のあるエリアに大量の自動銃座を配置している人もいれば、進路に何重もの防御壁を建てる人もいたりして、もはやマップそのものが毎回変わっているぐらいの印象。ひたすら施設の建築にこだわり、ひとりで頑固な要塞を作り上げるような職人肌の人も、けっこういる気がします。

 こうして孤高の建築職人としてプレイを終えるのも悪くはないのですが、いかんせん味方がなかなか旗を取れずにいたとしたら、相手陣営への攻めにも参加しなくてはいけなくなります。ですが、何も銃を取らずとも、建築職人として前線で活躍することも可能です。たとえば補給バンカーは、激戦区の近くに設置すれば拠点になりますし、ポッドビーコンを設置すれば、再出撃時のタイムロスを減らせられます。自動銃座を敵陣に配置して、チクチクと攻撃するのも、ちょっと楽しかったりします。

 まあ実際は、建築するだけのプレイというのはまずあり得なくて、攻撃のアクションも同時にしているわけでして。あとはそれぞれのプレイヤーがどのくらいのバランスで、そのふたつの要素を使いこなすかというのが、まさに“ビルド&バトル”システムの醍醐味なワケです。

 ということで、ちょっと苦手ではありますが、戦闘の話もしていきましょう。

 戦闘の場合、キモとなるのは“ビルド&バトル”システムで建てられた施設で利用可能になる、さまざまな乗り物ではないかと思っています。もちろん本作では生身の状態での戦闘がいちばん多く、戦局のカギを握っているのは間違いないのですが、乗り物をうまく利用することで、戦況を大きく動かせるのです。

 たとえば敵陣への複数への移動や、旗奪取後の自陣への移動には、 戦闘車両のレーザーバックが大活躍。先日実際に体験した話ですが、味方のレーザーバックがあったので、後部銃座に乗り込んだら、突然発進してあっという間に敵陣の旗の目の前に。一応自分も、そのあいだは機銃で援護していると、運転手がみずから旗を取りに行き再度搭乗。そして、あっという間に自陣に帰り得点をゲットしていました。そのあまりの鮮やかさに感動し、自分もレーザーバックを運転してみると、例によってハンドルを切り損ねて宇宙の藻屑に。

 と、まあ、運転に慣れている人がすると、キャプチャー・ザ・フラッグでにおけるレーザーバックは、とんでもない威力を発揮します。

 移動能力でいえば可変型ロボのホークも負けていないのですが、自分の印象ですが飛行形態のホークは飛行形態どうしのドッグファイトを、ロボット形態は敵陣への攻撃の切り札に、といった使われかたをしていることが多いように思えます。

 実際やってみるとわかるのですが、飛行形態はスピードがあまりに速く、敵陣の直接攻撃にはかなりの技術が必要です。それもあって、飛行形態でのドッグファイトが多くなっているのではないかと。なにより、ドッグファイトは完全にフライトシューティングの感覚で遊べて楽しい! やたら飛び回るだけのプレイヤーがいるのも、わからなくはないのです。

 一方でロボット形態は火力が強いので、敵への猛攻を仕掛けたいときに活躍します。ただ、やはり目立ってしまうので攻撃も受けやすく、短時間での活躍で終わることが多い印象です。とはいえ、ロボットを操縦する感覚にはたまらないものがあり、たとえすぐ倒されることが多くても、ちょっとやみつきになります。

 ジェットパックは、個人の移動能力を大きく高めるものなので、こっそりと旗を狙いに行くというようなスパイ気分が味わいたい人にオススメ。仲間と戦っているという感覚は、ちょっと薄れるかもしれませんが、これはこれでまた違う楽しみが味わえます。また、スナイパーライフルを持っていれば、通常では行きにくい高台に移動し、ひたすらそこで狙撃をするといったプレイスタイルも可能です。

 といった感じで、ひとつのルール内だけでも、いろんな楽しみかたができることが伝わったでしょうか。本作のゲーム性は、施設や乗り物の存在で、大きな広がりを作り出しているのです。

 ボールでの缶への攻撃を認めたり、缶をジャングルジムのてっぺんに配置したりと、いろんなルールを加えて戦術性が高くなった缶蹴り。最初のたとえ話に戻すと、ちょうどそんな感じの楽しさを本作から感じます。

 すでに皆さんご存じかと思いますが、パブリックβ版開催期間延長に伴い、いよいよ近日中に32人対戦が実現するそうです。そのとき、本作のゲーム性がまたひとつ大きく変化するのではないかと、自分もワクワクしています。次回はその32人対戦体験記などを中心に書く予定です! 2012年3月15日(木)に更新予定なので、ご期待ください!

ババダイチの『STARHAWK(スターホーク)』パブリックβ版体験記_02
ババダイチの『STARHAWK(スターホーク)』パブリックβ版体験記_03

PROFILE
ババダイチ

週刊ファミ通でクロスレビュアーも務めるフリーライター。ゲームは全般的に遊ぶが、うまいというわけではない。好きな落下物は小惑星探査機。


STARHAWK(スターホーク)
メーカー ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン
対応機種 PS3プレイステーション3
発売日 2012年5月10日発売予定
価格 価格未定
ジャンル アクション・シューティング / SF・戦争
備考 PlayStation Network対応