レスラーのトレーディングカードゲーム、フィギュア化も

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 2012年2月29日、東京都秋葉原のUDXシアターで、新日本プロレスリング戦略発表会2012が行われた。今年の1月31日に、ブシロードの子会社となることが電撃的に発表された新日本プロレス。果たして新体制下の戦略とは。発表会の模様をお伝えする。

 発表会は、ブシロードの『ミルキィホームズ』でおなじみの三森すずこと橘田いずみ、そして新日の尾崎仁彦リングアナの3人を司会に行われ、両社の関係プレスが取材に訪れたほか、一般からユーザー記者としての参加も募っており、結構な入り。

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 最初に登壇したのは、新日本プロレス代表取締役社長の菅林直樹氏。親会社が変わっても根本は変わっていないことを示すために、まずアントニオ猪木による設立時から脈々と受け継がれる創業の精神の紹介から説明を始めた。

 組織体制としては、菅林氏の直下にある組織として経営戦略室を新設し、新規事業やパートナー企業との新商品、海外市場などの開拓を模索していくことになる。もちろんそれにあたって、軸となるのがプロレス興行であることは揺るがない。メディア戦略なども展開しながら、大都市圏での大会・シリーズをスケールアップしつつ、地方の開拓や、新規ファン層獲得のためのコラボレーションなども行なっていく。

 一方で、“ファンがあっての団体”であるとして、地域との繋がりや、ファンクラブの充実なども図る。たとえば、北海道・東北を回る7月の“キズナロード”以降、東北でのシリーズは毎年収益金の一部を寄付していくとのこと。ちなみに、“ロード”はブシロードの社名から。そのほか、10月8日“キング オブ プロレスリング in 両国”などの今年後半の大会・シリーズや、来年1月4日の東京ドーム大会“レッスルキングダム7 in 東京ドーム”、来春の“ワールドリーグ戦”までの予定が発表された。今夏には曙選手も参戦する模様。

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 また、テレビCMを通じても来場を促進していきたいとのことで、3月4日後楽園ホール大会の終了後にファンを集めて公開収録を行う予定。こちらのCMに出演予定の棚橋弘至選手も登場し、ファンの協力を求めた。棚橋選手は“@tanahashi1_100”でTwitterでの投稿もはじめることを宣言。直後から早速投稿をいくつか行なっている。

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 そのほか、コンテンツを最大限に活かし、かつ活性化していくために、4月サービス開始予定のスマートフォン向けサービス“not TV”で、“プロレス3D”や“ワールドプロレスリング not tv版(仮称)”を投下していくほか、アーカイブを活かした国内外での映像展開なども継続して行なっていく。会員制の公式モバイルサイトも、4月よりスマートフォンでサービス開始予定。

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ブシロードとしても多方面でバックアップ

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 とはいえ、ここまではある程度予想のつく範囲。ブシロードレスリングを主催し、自らも“キッダーニ男爵”として登場するなど、プロレス者でもあるブシロードの代表取締役社長(新日本プロレスの代表取締役会長でもある)木谷高明氏は、いかに独自の戦略を持ち込むのか? そこでカギとなるのが、トレーディングカードゲーム“ヴァンガード”などを巨大コンテンツに育てた商品展開とプロモーション力だ。

 木谷氏はまず、トレーディングカードゲーム“キング オブ プロレスリング”を発表。カードコレクションとオンラインでのカード対戦の要素が組み合わさった商品で、ブースターパックを購入し、カードに印刷されたコードを入力することで、PCやスマートフォンで遊べる。なお、1パックに何枚のカードが含まれるかはいまのところ未定とのこと。

 戦わせるレスラーを選ぶと試合は自動で進行するという簡単設計でありながら、テンコジ(天山広吉選手と小島聡選手。現IWGPタッグチャンピオン)などの名タッグや、因縁の相手などの組み合わせによりコンボが発動するという、プロレスファン向けの仕掛けも入っているという。

 気になるスケジュールだが、8月3日から12日にかけて行われるシリーズ“G1クライマックス22”でプロモーションカードを配布し、ブースターパック第1弾は10月8日に両国国技館で行われる同名の大会“キング オブ プロレスリング”で先行発売し、以降一般で発売予定となっている。

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 そして、2月14日にラジオ日本“真夜中のハーリー&レイス”出演時に宣言したとおり、同局で“ラジオ新日本プロレス(仮)”の放送が決定。“真夜中のハーリー&レイス”でもMCを務める清野茂樹アナウンサーがナビゲーターを務める。

 放送時間は毎週土曜日の午後2時から午後2時25分までで、これはテレビ朝日の新日本プロレスの番組“ワールドプロレスリング”の放送の直前にあたる。午前2時からはラジオを聞き、放送が始まったらそのままテレビでプロレスを見るというスタイルが定着するのかもしれない。ちなみに放送は後日ニコニコ動画や響で配信予定とのこと。

 そして、ブシロード一社提供で往年のプロレスアニメ「タイガーマスク」をTOKYO MXで2012年4月6日より毎週金曜日に放送することも発表された。この枠では、前述の棚橋選手とファンによるCMなども流していくという。

 また、ブシロードの「ヴァンガード」の第7弾テレビCMに、中邑真輔選手と真壁刀義選手が登場決定。ふたりは、CMのメインキャラクターを務めるDAIGOに対戦を挑んできた謎の男“ブラックDAIGO”のボディガードとしての出演で、ステージに登場した真壁はかなりご満悦な様子。「魂入れてやってっから、何かを感じて欲しい」と語り、木谷氏をチェーンで拉致していった。

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 無事解放された木谷氏がつぎに呼び込んだのは、グッドスマイルカンパニーの代表取締役社長の安藝貴範氏。

 安藝氏によると、“ハーリー&レイス”出演時に構想を話していたレスラーのフィギュア化は、着々と進行している模様。フィギュア化される予定の永田裕志選手、天山広吉選手、小島聡選手が登場したのだが、「(永田選手は)白目を剥けるように」(木谷氏)、「頭は小さくしてほしい」(天山)、「ボタンを押すと“行っちゃうぞバカヤロー!”と声が出るように」(小島)と無茶なオーダーが続出でどうなることやら……なお、特徴ははっきりしたほうがいいとの理由で天山選手のオーダーは却下されていた。制作は8ヶ月ほどかかるとのことなので、来年の闘強導夢では物販に並んでいるかも。

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 また、4月よりBS朝日で、毎週木曜日の午後11時より1時間番組“ワールドプロレスリング リターンズ(仮)”が放送スタートすることも最後に発表された。こちらは「1年ぐらい前のもの」(木谷氏)と、ちょっと前の映像をアーカイブから放送する番組となるようだ。

 最後には、木谷氏とテレビ朝日への第三者割当増資により、テレビ朝日が新日本プロレスの株主として復帰したことについても言及された。ブシロードという新たな血、テレビ朝日との協力体制により、新日本プロレスはふたたび“キング オブ プロレスリング”としてプロレス黄金時代を復活できるのか? いちプロレスファンとして今後の発展を期待したい。