『時と永遠~トキトワ~』×『テイルズ オブ』開発者対談!_01

 ヒロインの王女トキを始めとする主要キャラクターが、手描きのアニメーションで常時表現されるRPG『時と永遠~トキトワ~』(以下、『トキトワ』)。バンダイナムコゲームスとイメージエポックが共同開発している本作の真髄に、『テイルズ オブ』シリーズの吉積信ゼネラルマネージャーが迫る。JRPG(日本製のRPG)の作り手どうしがくり広げる対談に注目!

“世界初”の企画が実現

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写真中央:『トキトワ』プロデューサー 広野啓氏
写真左:イメージエポック 代表取締役社長 御影良衛氏
写真右:『テイルズ オブ』シリーズ ゼネラルマネージャー 吉積信氏

吉積信氏(以下、吉積) 『トキトワ』のことを広野君から初めて聞いたのは、2011年の秋ごろだったよね。確か、食事の場で。

広野啓氏(以下、広野) そうでしたね。ファミ通さんと『トキトワ』の打ち合わせをするつもりで個室に入ったら、その場に吉積さんもいて、ビックリしました(笑)。

吉積 これまでに『マクロス』や『AKB1/48』シリーズなどを手掛けてきた広野君が、今度はRPGに挑むと聞いて、興味深くて(笑)。2年前から進めていた企画なんだよね?

広野 はい。御影さんが企画を弊社に持ち込んでくださったのがきっかけです。

御影良衛氏(以下、御影) バンダイナムコゲームスさんに持ち込むよりもずっと前から、アニメーションそのものをリアルタイムに動かせるRPGを考えていたのですが、当時のゲーム機で検証したところ、実現するのは無理という結論に達したんです。でも、2年前になって、「プレイステーション3なら実現できるのでは?」と思い立ちまして、アニメ関連の実績が豊富なバンダイナムコゲームスさんに企画を持ち込みました。

広野 「ぜひいっしょに作りましょう!」という話になり、アニメ制作に関しては、僕が『マクロス』シリーズなどで仕事をごいっしょしているサテライトさんにお声掛けしたんです。

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吉積 『テイルズ オブ』シリーズでも、オープニングやイベントシーンでアニメムービーを挿入することはあるけれど、『トキトワ』ほどアニメと“融合”したRPGはほかに類を見ない。ゲームシステムにまでアニメが組み込まれているわけだから。動画を観て、率直に「すごいことをしているな~」と思いましたよ。

広野 “HDアニメーションRPG”は世界初でしょうし、当然ながら僕たちも完成形を見たことがありません。どう作ればいいのかわからず、開発当初はまさに暗中模索でしたね。

御影 試作期間も、RPGとしては異例の長さになりました。キャラクターをドット絵で描くゲームは、動きのひとつひとつをドット絵で作っておき、それをリアルタイムに再生するものですよね。『トキトワ』ではドット絵の代わりに手描きのアニメを用いて、キャラクターのあらゆる動作を表現しているようなものです。客観的に見ると、ものすごく豪勢な作りかたをしていると思います(笑)。

吉積 しかも、ゲームはアニメと違って、プレイヤーが介入する娯楽だから、ゲームならではのテンポを考慮する必要があるよね。

広野 アニメとは違う“間”が必要だったりしますね。なおかつ、たとえば“剣を振るう”という動作ひとつにしても、アニメなら華麗に振り下ろすまでを描けばつぎのカットに進むものですが、ゲームでは剣を“戻す”ところまで描く必要がある。サテライトさんにとっても、慣れないことの連続で……。

御影 文化の違いを実感する毎日です(笑)。

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“時”が絡むバトルと物語

吉積 バトルシステムはどうなるの?

広野 詳細は未公開ですが、アニメを観ているだけという感覚にならないよう、コマンド選択式ではないアクション性があるバトルシステムになります。タイトルにある“時”も、意外な形でバトルに絡みますよ。

吉積 “時”は物語のテーマでもあるよね。

広野 それともうひとつ、“結婚”も重要なキーワードです。物語の冒頭で挙げられる主人公とヒロインの結婚式は、招かれざる客が来ることで血に染まってしまうのですが、ふたりで障害をどう乗り越えていくかが物語の軸になります。ヒロインには、じつは重大な秘密がありまして、それが“時”というテーマにも絡んで、物語が展開するんです。

御影 シリアス、セクシー、そしてコミカルな要素がふんだんに盛り込まれた、全体的には明るいタッチの物語ですね。

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吉積 キャラクターデザインもすごくかわいいよね。VOFANさんに依頼した理由は?

御影 僕が『化物語』などのファンで、企画当初からVOFANさん一択でした。VOFANさんが表紙イラストを描かれている海外版ファミ通さんに仲介していただき、台湾まで出向いて依頼したところ、ご快諾くださいました。

広野 主人公とトキのほかにも、たくさんの登場人物がいるんですよ(と言って、吉積氏に未公開のイラストを見せる)。

吉積 おお~、いろいろなタイプのキャラクターがいるんだね。これはかわいい! 発表直後の段階で、こんなにたくさんのイラストが出来上がっているRPGも珍しいなぁ。

御影 それはもう、発表するまでに時間をたっぷり費やしましたから(笑)。キャラクターデザインや、アニメの質にはかなり満足しています。VOFANさんやサテライトさんがいい仕事をしてくださっている成果ですね。

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主人公
トキ

最初から良質な作品を

吉積 『トキトワ』の見た目はかなり魅力的だと思う。あとは、ゲームとしての手触りをどこまでおもしろくできるかが課題だね。

広野 まさしくその通りです。チューニングには相応の時間を割くつもりですよ。

御影 『トキトワ』は、シリーズ化することをいまから想定しているわけではありませんが、これ一発で終わるような作品にはしたくないとも思っています。実験的な作品ではありますが、だからこそ皆さんに楽しんでいただけるゲーム作りを心掛けています。

吉積 個人的にも応援しているよ!

御影 ありがとうございます。じつは僕も、昨年の『テイルズ オブ エクシリア』を心の中でずっと応援していたんです。RPGのタイトル数が減っているいまのご時世、ほかのRPGはライバルではなく、むしろ市場を活性化させる同志のように映るんですよね。

吉積 ああ、その気持ちはすごくよくわかる。おもしろいRPGが定期的に登場して、市場を盛り上げてくれないと、RPGファンの方々がゲーム機から離れてしまいかねないからね。

広野 僕も、RPGの開発に携わるのは初めてではありますが、信頼できるスタッフとともに、必ずやこれまでにないおもしろさがあるRPGを作り上げられると感じています。今後、プロモーションムービーなどをどんどん公開しますので、続報にぜひ注目してほしいですね。

御影 『トキトワ』は、究極的には“キャラクターが命”のゲーム。ヒロインたちを愛してもらえるよう、スタッフたちがアニメーションにひたすら魂を込めているところです。

吉積 キャラクターに興味を持ってもらえるか、愛してもらえるかどうかが、プレイヤーのモチベーションに直結するからね。『テイルズ オブ』シリーズでも、最終的に調整するのは、そういうところだったりします。なんだかシンパシーを感じちゃうなぁ。

御影 ありがとうございます! 見た目だけではなく、手触りにもかなりこだわっていますので、ぜひご期待ください。

吉積 僕たちにとっても、『トキトワ』はいい刺激になります。お互いにがんばろうね!