バラバラはデフォルトです

 “どれだけ身体をバラバラにされても死なない”という、アクションゲームの主人公として異例の設定を持つ男・ブライスを操作し、さまざまな悪魔を退治する『ネバーデッド』。2012年2月2日に発売される本作を、ひと足早くプレイさせていただきました。

 本作について、ゲームユーザーの皆さんがもっとも気になっているであろうのは、「不死身って言うけど、いったいどこまで不死身なの?」ということでしょう。結論から言うと、完全に不死身です。頭・右腕・左腕・胴体・右足・左足、これらがすべてバラバラになってもブライスは死にません。ただし、打たれ弱いです。もうちょっと踏ん張れよ! と言いたくなるぐらい、あっさりバラバラになります。もっとも下位の悪魔であるパピーに攻撃されただけで、カンタンに足がもがれたりします。

 ……と、「うわっ、足がもげるとか、私には過激すぎてムリそう……」と思われたあなた。私も最初は「過激すぎないかな?」と心配していましたが、最初の数分で慣れました(なお、日本版ではブライスの血は青色になっています)。慣れざるを得ないくらい、あっさりバラバラになるからです。それから、バラバラになっても、まったく悲壮感がないからです。身体がバラバラになると、ブライスは「俺の右腕、見なかった?」、「左足さん、どこ~?」(ウロ覚えですが)など、緊張感のないセリフで余裕の雰囲気。頭だけの状態で、「クビになっちまった~」と言ったときは声を出して笑いました。

500歳超えの不死身のおっさんががんばる! 『ネバーデッド』プレイインプレッション_02
500歳超えの不死身のおっさんががんばる! 『ネバーデッド』プレイインプレッション_03
▲狭いダクトなどはブライスの巨躯では通れないので、プレイを進めていると、必然的に何度も頭だけの状態になります。ごーろごーろ。
▲外した腕から銃を発射することも可能。

 そう、このゲームは“手足をもがれないためにがんばるゲーム”ではないのです。“手足がもがれまくるのが当たり前のゲーム”なのです。

 さらに言うと、ブライスの銃撃の威力は低いです。もうちょっと効いてくれよ! と言いたくなるぐらい、低いです。もっとも下位の悪魔であるパピーすら、銃では一撃で倒せません。

 ここまで読んで、「打たれ弱いわ、攻撃力も低いわで、大丈夫なの?」と思われたあなた。私も最初は「弱すぎないかな」と思いましたが、最初のステージを途中まで進めて、ようやく気付きました。このゲーム、背景のオブジェクトを破壊して、敵に当てると、大ダメージを与えられるんです。銃撃メインで攻撃するのではなく、いかに背景を破壊するかがポイントなのです。たとえその破壊に自分が巻き込まれても、不死身なので問題ありません。ショートしている機械に突っ込んで帯電しようが、炎に突っ込んで身を焼かれようが死にません。むしろ、帯電・炎上状態で攻撃したほうがダメージを与えられるので、積極的に突っ込んでいくぐらいです。

 そう、このゲームは“手足をもがれまくりながら、周囲を破壊して悪魔を倒すゲーム”なのです。このことがわかると、俄然プレイが楽しくなってきます。大きい柱や彫像などを見つけると、嬉々として壊しにいくようになるのです。破壊したオブジェクトがみごと敵にヒットしたら大喜び。ひとバトル終えた後の周囲の状況といったら、もう燦々たる状態で、「自分にはこんなに破壊衝動があったのか」と驚くことになる……かもしれません。

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▲不死身ゆえのアクションの数々は、公式サイト内動画コーナー“地獄の48手”にて紹介されています。
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▲頭だけの状態のブライスを見つけると、すぐに吸い込みにくるグランベイビー。

 また、不死身だからといって“ゲームオーバーが存在しないわけではない”のも、本作のシステムのよく考えられているところ。不死身でも、適度な緊張感をもってプレイできるんです。まず、パートナー(ブライスを管理・監督する捜査官)のアルカディアが長時間ダウンするとゲームオーバー。それから、頭だけの状態になったとき、グランベイビーという敵の体内に吸い込まれてしまった後、脱出に失敗すると(タイミングよくボタンを押せば脱出できます)ゲームオーバーです。頭を溶かされ、永遠に液体として生きることになるようです。グランベイビーはそのあたりにゴロゴロいるので、うっかりしているとすぐに吸われます。気をつけて!

 そうそう、アクションだけでなく、キャスト陣の演技にも注目です。ブライス役の白熊寛嗣さん、アルカディア役の木下紗華さんを始めとする、海外ドラマ・映画等の吹き替えで活躍されている方を中心にキャスティングされていますが、一方で、不気味なデモンハンター・アレックスに若本規夫さん(若本ボイス全開)、いろいろ残念な悪魔・サングリア役に中尾隆聖さん(フ●ーザ様でおなじみ)など、日本のアニメファンのツボを押さえるキャスティングもなされているのがいいところ。ティーンのカリスマアイドル・ニキ役は、アイドルといえばこの方、中島愛さんなのも注目ですよ(ちなみに、中島さんが登場した東京ゲームショウ2011の『ネバーデッド』ステージのリポートはこちら)。

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▲正統派金髪美女のアルカディア(左)とアジアンな外見が魅力のニキ(右)。
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▲アレックス(左)とサングリア(右)のボイスは必聴です。

 とにかくこのゲーム、基本不死身なので何をしてもオーケー。シリアスに取り組む必要はありません。いい歳(500+?歳)をしたおっさんが、ときに金髪美女にあしらわれ、ときに生首姿になりつつ、なんでもぶっ壊して戦うさまを楽しめる、いい意味でおバカなゲーム(褒め言葉)なのです。さて、今日もバラバラになりにいこうかな……。

■筆者紹介 ロマンシング★嵯峨
週刊ファミ通&ファミ通ドットコムの編集者。超時空シンデレラのファンなので、お気に入りキャラクターはもちろんニキ。ふだんは生意気なのに、ピンチのときは「おかあさーん」と言うところがかわいい。


ネバーデッド
メーカー KONAMI
対応機種 PS3プレイステーション3 / X360Xbox 360
発売日 2012年2月2日発売予定
価格 各6980円[税込]
ジャンル アクション / バイオレンス
備考 監督・脚本・ゲームデザイン・プロデュース:野尻真太