正直「『NINJA GAIDEN』で対戦ってどういうこと?」と思っていました

 コーエーテクモゲームスから2012年3月22日発売予定のプレイステーション3、Xbox 360用ソフト『NINJA GAIDEN 3(ニンジャガイデン3)』。同作に収録されるシリーズ初となるマルチプレイヤーバトル“SHADOWS OF THE WORLD”の体験会が、2012年1月24日にコーエーテクモゲームス 市ヶ谷事業所で開催された。

“一撃必殺”のスパイスが絶妙――『NINJA GAIDEN 3』マルチプレイ対戦体験リポート_05
▲ディレクターの安田氏(右)とプロジェクトマネージャーの植田氏(左)。

 開催に先立って、本作のディレクターを務めるTeam NINJAリーダーの安田文彦氏が挨拶を行い「シングルプレイと同じく敵を斬り倒す手触りを意識したマルチプレイになっています」とSHADOWS OF THE WORLDの見どころを紹介。また、プロジェクトマネージャーのTeam NINJAマネージャー植田慶徳氏からは、マルチプレイの概要が説明された。

 SHADOWS OF THE WORLDには複数のモードが収録されているが、今回はその中のひとつ、4対4のチーム戦が基本となる“Clan Battle”を体験することができた。このモードでプレイヤーが操作するのは本編の主人公“リュウ・ハヤブサ”ではなく、一介の忍者たち。名も無き忍者たちが4対4のチームに別れて、チームごとのキル数を競い合うというのが、大まかなルールとなっている。

 さて、早速体験プレイの模様をお届けしようと思うのだが、読者の中には「『NINJA GAIDEN』のシステムで多人数のマルチプレイ対戦ってどういうこと?」と疑問に思っている人も少なくないのではないだろうか。少なくとも記者は最初そう感じた。『NINJA GAIDEN』シリーズと言えば、華麗かつハードな刀アクションなどを駆使しながら、群がる敵たちを斬り捨てていくアクションゲームだ。国内外で非常に高い評価を得ており、アクションゲームとしてのクオリティーの高さに関しては、記者も異論を挟むつもりはまったくない・しかし……「対戦となるとちょっと話が違ってくるんじゃない?」というのが正直な感想なのである。アクションゲームのマルチプレイ対戦というのはいまやまったく珍しいものではないが、それらの多くはFPSやTPS、またはそれに類するシューティング性の高いゲーム内容のものが中心であり、『NINJA GAIDEN』シリーズのように近接攻撃をメインとしたタイトルで多人数マルチプレイ対戦というのは、あまり聞いたことがない。もしかすると記者が不勉強なだけで、実際にはそういった作品は数多くあるのかもしれないが、ヒットしたという話はない……ですよね? そんなわけで、個人的にじつに謎な存在であった『NINJA GAIDEN 3(ニンジャガイデン3)』の“Clan Battle(クランバトル)”。しかし、いざやってみたところ「こういうことか!」と激しく納得するとともに、夢中にさせられる数々の要素に感心させられる仕上がりとなっていた。

 まず操作方法だが、これは本編のアクションをほぼ踏襲したものとなっている。ボタンの連打&組み合わせコンボを作って斬りつけ、相手の体力ゲージをゼロにしたら1キル獲得。極めて簡潔なルールだ。プレイする前にいろいろと疑問を抱いてみたものの蓋を開けてみて納得。「『NINJA GAIDEN』で対戦なら、確かにそういうルールになるよね」という感じである。だが、近距離で敵と斬り合うだけの行為が、果たして対戦ツールとして楽しいものなのか? という新たな疑問がわいてくる。その点についてもTeam NINJAは抜かりがなかった。

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▲斬る爽快感はそのままに、とある絶妙なスパイスの存在で、対戦はよりアツいものに!

 さきほど“連続攻撃で相手の体力ゲージをゼロにしたら1キル”といった旨のことを書いたが、じつはそれ以外にも相手を倒す方法は存在する……しかも一撃で。ひとつは“ゴーストキル”というテクニックだ。本モードでは、プレイヤーが歩き状態(スティックを少しだけ倒す)になると自動的にステルス化してほぼ透明になる。このステルス状態のときに敵へ近寄り、強攻撃を押すと派手&残虐な演出とともに“ゴーストキル”が発生。やられた相手はたとえ体力ゲージが満タンでも、一発であの世行きだ(すぐにリスポーンするけど)。リュウ・ハヤブサが本編でも使う、高所から滑空する“ムササビダイブ”というアクション。このムササビダイブからも一撃必殺の攻撃をくり出すことができる。ムササビダイブで相手の頭上近くまで行き、上空から一撃死の急襲を仕掛けるというもので、こちらは仕掛けるタイミングがかなりシビアだが、決まったときの爽快感は格別だ。そのほかの一撃必殺テクニックとしては、弓矢でのヘッドショット、気力ゲージを消費して使う忍術が存在している。

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▲ステルス&ムササビ状態。ここから一撃必殺の快感が生まれる。

 これら一撃必殺の存在は、ともすればボタン連打合戦になりかねない近接攻撃対戦に、絶妙な緊張感を生み出すこととなる。たとえば2~3人が乱戦している場面が発生した際、高所からムササビダイブで急襲をするのもいいし、乱戦の近くでステルス状態になって待ち伏せし、抜け出てきたひとりをバッサリと殺ってしまうのもいい。あるいは、遠くから忍術を放って一網打尽にするのもあり。そして、弓矢でのヘッドショットは、上記のように一撃必殺のチャンスをうかがっている相手に決めてしまえばいいのだ。なお、ステルス状態の敵は、弓矢をかまえることでステルスを無効化して視認が可能。ゴーストキルを狙ってジリジリ動いているキャラは、弓矢の格好の餌食というわけである。

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▲一撃必殺の緊張感がたまらない。

 ちなみに、今回プレイして個人的にもっともグッときたのはゴーストキルの存在だった。何度か遊んでみて気付いたのだが、ゴーストキルには上で紹介した乱戦の近くで待ち伏せるという受動的な使いかたのほかに、能動的な“攻め”の使いかたもあるのだ。たとえば、一対一で斬り合うことになったものの体力ゲージは相手のほうが圧倒的に多い……というシーンがあったりする。プレイヤーのアクションにはガードやカウンター、回避移動といったものがあるので、がんばれば逆転することが可能かもしれないが、実際のところ負ける可能性のほうが高い。しかし、回避移動をくり返して相手が自分を見失ったと思った瞬間に動きを止めてステルス化し、そこからゴーストキル発動という流れに持っていければ、ほぼ無傷で逆転することができてしまうのである!

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▲がんがん一撃必殺ってこうぜ!

 以上の通り、一撃必殺の要素が“Clan Battle(クランバトル)”の絶妙なスパイスになっていることを力説させてもらったが、そのほかにも本モードには『NINJA GAIDEN』ならではの対戦を盛り上げる要素が用意されている。ひとつは“断骨(だんこつ)”という、人間の体を刀が通る感覚を表現した演出。断骨は、体力ゲージが低い相手に攻撃するとたまに発生し、斬った側と斬られた側でボタン連打を行い、斬った側の連打が勝てばそのまま相手を絶命することができ、逆に斬られた側が勝つと斬った相手を弾き飛ばして瀕死ながらも生き延びられる、というもの。この瀕死で生き延びてからの展開が非常にドラマチック。最初に説明した通り、本モードではキルの数を競うことになるのだが、瀕死状態となったキャラは自害して相手のキル数が増えるのを防ぐことができるのだ。ここまで前向きな自害がいまだかつてあっただろうか! ただし、自害の途中に攻撃を受けると敵のキルがカウントされてしまう。自害は迷わずお早めに、である。

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▲断骨から自害という、ドラマチックな展開。

 そのほか、“密命”という存在も対戦をアツくする。これはチームとしての勝敗のほかにおもにプレイヤー個人に与えられるルールで、特定のコンボを決めたり、指定されたテクニックで相手を倒すといったもののほかに、チーム内の裏切り者を探し出すといったものが存在。そして、極めつけは突如始まるサバイバルモードである。これまでチームとしていっしょに戦っていた忍者たちが、何の予告もなしに突然敵に変わってしまうのだ。そうなってからの戦いの激しさときたら……一般的なFPS、TPSではまず味わえないカオスっぷり。

 最初に話を聞いたときは、さまざまな疑問を抱かずにはいられなかった『NINJA GAIDEN 3(ニンジャガイデン3)』のマルチプレイ対戦だが、いざ遊んでみるとその内容は想像以上にシンプルかつ熱中できる仕上がりとなっていた。この楽しさを別のゲームで表現するとなんだろうか……あくまで個人的な意見として述べさていただくのならば、ファミコンの名作『ダウンタウン熱血行進曲』に収録されていた“勝ち抜き格闘大会”が近いような気がする。乱戦中に遠くから忍術が飛んできて一網打尽にされてしまうところなどは、熱血高校の“すがた”の“爆弾パンチ”で複数人が一気に場外へ押し出された感じだし、ゴーストキルで突然一撃死させられるのは“れんごう”の“くまだ”の“人間魚雷”で無情にも場外落ちさせられたときの気持ちだ。念のため言っておくが、ゲーム性はまったく違う。しかし、遊んでいる最中に感じる“楽しさ”の質という点においては、非常に近い……と、おっさんゲーマーは思う。ぜひ、仲のいい友だちといっしょに、できれば同じチームではなく敵味方にわかれて遊びたいと感じる『NINJA GAIDEN 3(ニンジャガイデン3)』のマルチプレイ対戦であった。

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▲ちなみにキャラクターはカスタマイズが可能。背中に漢字を背負うこともできる。愛を背負って自害なんて、ドラマチックにもほどがある。
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▲マップは複数用意されるようだが、今回プレイできたのは“隠れ里”というマップのみ。面積が狭いので、頻繁に乱戦が起きるマップとなっていた。