記者はとっとと『FEZ』をリリースしてほしいです
毎年GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)と同時開催される、インディーゲームの祭典IGF(インディペンデント・ゲームス・フェスティバル)。その賞である、IGFアワードのノミネート作品が公開された。既存の思考にとらわれない、自由でアーティスティックなタイトル群をご紹介しよう。受賞作の発表と授賞式は米時間の2012年3月7日、GDCアワード会場で行われる。
Excellence In Visual Art(美術面で優れた作品)
Botanicula (Amanita Design)
場所をクリックして探索していくアドベンチャーゲーム。開発しているAmanita Designはチェコのチームなのだが、チェコアニメを思わせるかのような独特のテンポが動画からも伝わってくる。2012年の早い段階でのリリースを目指しているとのこと。
Dear Esther (thechineseroom)
“First Person Ghost Story(一人称視点の亡霊物語)”を標榜する本作で、プレイヤーは孤島を探索し、散らばった物語のかけらを集めていくことになる。寂しい世界を満たす静謐とした美しさが評価されているのだろう。オリジナルは『ハーフライフ2』のMODで、製品版はSteamで2012年2月14日に配信予定。
Lume (State Of Play Games)
ミニチュア模型の世界を探検する、パズルアドベンチャーゲーム。クリックだけの簡単操作でプレイ可能。すでにSteamなどのプラットフォームで販売されており、日本ではPlayismが日本語化を行い、580円[税込]で配信中だ。
Mirage (Mario von Rickenbach)
“孤独なシルクハットが人のパーツを集めながら探検する”という、何を言われているかわからないが見てみると確かにその通りな超現実的タイトル。公式サイトによると、『ヘビーレイン』のエグゼクティブプロデューサーも絶賛している模様。
Wonderputt (Damp Gnat)
Flashで動作する“アドベンチャーゴルフ”ゲーム。奇妙な仕掛けによって形を変える不思議な世界をラウンドする。良質な音楽PVを見ているような感じ。制作者の公式サイトでプレイできるほか、プログラムも公開されている。
Technical Excellence(技術に優れた作品)
Antichamber (Demruth)
2011年のIGFアワードでNuovo Awardにノミネートされていた『Hazard: The Journey Of Life』を改題したもの。『ポータル』のスタイリッシュ部分を煮詰めて作ったようなタイトルで、グラデーションで彩られた記号的な非ユークリッド幾何学の迷宮を探索する。
Fez (Polytron)
ドットテイストの2Dアクションに回転軸を加えたアクションゲーム。進めないと思っていたところでステージを回転させて、思わぬ道が開けた瞬間の快感はなんとも言えないものがある。ちなみに記者は、2008年のIGFアワードで美術部門の優秀作に選ばれて以来ずっとリリースを待っているんですが……。公式サイトに従えば、XBOX LIVE アーケードで2012年第1四半期にリリースされる予定。
Prom Week (Expressive Intelligence Studio, UC Santa Cruz)
一見するとアバターを使った古いソーシャルゲームに見えるが、本作が目指しているのは、相互的な社会関係をゲームとして実現すること。優秀なAIによって、対話による新たな物語を生み出すとしており、「近年のゲームは物理演算には長けているが、社会関係についてはどうだ。セリフをツリー状に場合分けしているだけじゃないか」という主張には頷けるところが大きい。現在はβテスト中とのこと。
Realm of the Mad God (Wild Shadow Studios & Spry Fox)
クラシックな見下ろし型のアクションRPGにシューティング要素を足して、さらにMMORPGにしてしまったという作品。公式サイトですぐにプレイ可能。
Spelunky (Mossmouth)
『スペランカー』をイメージさせるタイトルからも想像がつくように、財宝を求めて洞窟探検をするアクションゲーム。マップがランダム生成になっているのが特徴で、マルチプレイにも対応。ゲームは公式サイトでソースコードごと公開されているほか、Xbox LIVE アーケードにもリリース予定があるとのこと。
FEZ PAX TRAILER from POLYTRON on Vimeo.
Prom Week IGF Submission Video from Josh McCoy on Vimeo.
Excellence In Design(ゲームデザインに優れた作品)
Atom Zombie Smasher (Blendo Games)
街にあふれたゾンビを駆除していくシミュレーションゲームで、傭兵軍団を組織して、衛星軌道から核弾頭を撃ち込み、市民を助けるというアメリカーンな設定。ゾンビはドットで表現されるだけなのだが、ゲームデザインで評価されているということは絶妙なバランスになっているのだろうか。Windows、Mac、Linux向けにSteamほかで販売中。
English Country Tune (Stephen Lavelle)
パネルをパタパタ移動させ、ボールやブロックを動かして解いていくパズルゲーム。WindowsとMacのほか、iOS向けにも販売されている。
【【Frozen Synapse】】 (Mode 7 Games)
GDCアワードのダウンロードゲーム賞にもノミネートされている戦術ゲーム。グラフィックこそシンプルだが、奥が深い内容となっている。こちらも公式サイトですでに販売中。
Gunpoint (Tom Francis, John Roberts and Fabian van Dommelen)
一見『エレベーターアクション』風の本作は、横視点の2D“ステルスパズルゲーム”。罠を仕掛けることができ、警備員が知らず知らずの内に仲間を閉めだすよう仕向けることもできる。2012年3月にPC向けにリリース予定。
Spelunky (Mossmouth)
Excellence In Audio(音楽面で優れた作品)
Botanicula (Amanita Design)
Dear Esther (thechineseroom)
Pugs Luv Beats (Lucky Frame)
パグを散歩させると、そのルートに応じた音が鳴るという音楽ゲーム。そのサウンドはアブストラクトな何とも独特なもの。iOS向けに配信中。
To The Moon (Freebird Games)
死期が迫った老人の過去をめぐるRPG。グラフィックと鴫原ローラが歌う主題歌が、完全に'90年代の日本のRPGにオマージュを捧げているように感じるのは記者だけだろうか? 公式サイトで購入でき、体験版も公開されている。
Waking Mars (Tiger Style)
2097年の火星を探索し、洞穴に生息する未知の生物と接触する2Dアクションアドベンチャー。リリース時期は不明。
Pugs Luv Beats Gameplay! from The Amazing Rolo on Vimeo.
Waking Mars Gameplay Preview from Tiger Style on Vimeo.
"Best Mobile Game"
ASYNC Corp (Powerhead Games)
タッチして2枚のパネルを入れ替え、同一色の大きな“パケット”にして送り出すパズルゲーム。サクサク消してパケットにしていくのは気持ちよさそう。iOS向けに配信中。
Beat Sneak Bandit (Simogo)
ビートに合わせて動くオブジェクトをうまく使い、警備員に見つからないようにしながら盗まれた時計を回収していくリズム+アクションパズルゲーム。iOS向けに2012年の早い時期にリリース予定とのこと。
Faraway (Steph Thirion)
昨年のIGFアワードでもゲームデザイン部門にノミネートされていた作品。彗星を操作し、星を結んで星座を作り出していく。公式サイトによると2011年秋リリース予定とのことなのだが……。
Ridiculous Fishing (Vlambeer)
魚を釣ったら、高く空に放り投げて撃ちぬく……。じつはこのゲーム、同パブリッシャーが最初に作ったFlashゲームの『Radical Fishing』が元ネタで、続編にあたる。なので、「なんで釣った魚を撃つのか?」とかはあんまり考えないほうがいい。ちなみに、発表しようと思っていた矢先、『Radical Fishing』にインスパイアされすぎではないかと疑われるタイトルが他社から発表されてしまうという騒動もあったようである。2012年にiOS向けにリリース予定。
Waking Mars (Tiger Style)
Faraway teaser from steph thirion on Vimeo.
Nuovo Award(抽象的だったり、型破りだったりする挑戦的なゲームに贈られる)
At a Distance (Terry Cavanagh)
“孤独感をともに体験するゲーム”とあるのだが、詳細不明。
Dear Esther (thechineseroom)
Fingle (Game Oven Studios)
ふたりでプレイするiPad用ゲーム。指定されたスポットに指を置いていくと、ふたりの指が絡みあう……という内容。
GIRP (Bennett Foddy)
キーを押して崖を登っていくゲーム。もし混乱して誤ってキーから指を離してしまうと、あえなく転落死。
Proteus (Ed Key and David Kanaga)
往年のアドベンチャーゲームのように塗り潰された3D世界を探索していくゲーム。ゴールや目的はとくになく、周囲の環境の変化に応じて音楽も変化していくのを体感しながら世界をさまよう。
Johann Sebastian Joust (Die Gute Fabrik)
GDCアワードにも革新賞でノミネートされている、モーションコントローラーを使った画面のないゲーム。ほかのプレイヤーのスキをついて相手のコントローラーを押し、アウトにしていくという内容。記者はGDCアワードのノミネート記事で「IGFアワードでいいんじゃ」と書いていましたが、きっちりこちらにもノミネートされていました。
Storyteller (Daniel Benmergui)
コミックの構成を利用した、ストーリーを作り出すパズルゲーム。
Way (CoCo & Co.)
まったく知らない人とプレイし、互いにコミュニケーションを模索しながら遊ぶオンラインゲーム。WindowsとMacのα版が公開中。
Fingle Gameplay Trailer from Game Oven Studios on Vimeo.
Proteus short trailer (Indiecade) from Ed Key on Vimeo.
Seumas McNally Grand Prize(大賞)
Dear Esther (thechineseroom)
Fez (Polytron)
Frozen Synapse (Mode 7 Games)
Johann Sebastian Joust (Die Gute Fabrik)
Spelunky (Mossmouth)