Andorid端末へのTegra 3の供給にますます注力

 NVIDIAがCES開幕前日の米時間2012年1月9日にプレスカンファレンスを開催した。すでに本誌記者のイベントリポートを掲載しているが、Androidタブレットで『ザ エルダースクロールズ V: スカイリム』を遊ぶデモの様子などが映像で公開されているので、改めてゲーム関連の内容を俯瞰するとしよう。

 NVIDIAと言えばGeforceシリーズに代表される、PCゲーマーなら誰もが知るグラフィックボードのメーカー。今回のプレスカンファレンスでも多くの時間を割いていたように、そのNVIDIAが現在力を入れているのがスマートフォン/タブレット市場へのプロセッサ配給だ。PC市場ではNVIDIA製品は基本的にオンボードのグラフィックチップでは物足りない人が買うものだったが、スマートフォン/タブレット市場ではメインプロセッサの供給となるため、その母数が異なる。成長を続けるスマートフォン/タブレット市場はNVIDIAにとって新たな井戸と言えるだろう……もちろんPC市場が枯れたわけではないが。しかも今回デモが行われていたように、Tegra 3マシンはWindows 8も動かすことができる……。

 ではその優秀な性能を何に使うか? フォトレタッチを高速に完了できるといったデモも行われていたし、たとえば、ただ複数のアプリがバックグラウンドで動作している状態でもYouTubeの720P映像をスムーズに再生できるというだけでも十分に有用ではある。しかしながら“いかにウチのチップがすごいか”を示すのに、限界を求めればキリがないゲームはいいサンプルだ。NVIDIAはTegraに最適化されたゲームを紹介するサイト/アプリのTegra Zoneを運営し、THD(Tegra HD)印をつけた他社のハイエンドAndroidゲームを宣伝しているぐらいだ。

 ゲーム関連では、レースゲーム『Riptide GP』(Tegra 3では通常のスマートフォンより波がリアルになる)のほか、Madfinger GamesのTPS『SHADOWGUN』のマルチプレイ版『SHADOWGUN: DEADZONE』を初お披露目。『SHADOWGUN』が発表された際にはその家庭用ゲーム機クラスのグラフィックの質の高さが話題となったが、今度はそれをボイスチャットとゲームパッドをサポートしたマルチプレイでも実現するというわけだ。ちなみに第1四半期にTegra 3マシン向けにリリース予定で、開発元いわくiOS向けのリリースも予定しているとのこと。

 そしてもうひとつ印象的だったデモは、ゲームそのものというよりも、Tegraマシンの可能性を示す例として、リモートデスクトップ技術を提供するSplashtopのアプリのデモ中で披露された。というわけで、超有名ゲーマーのFatal1tyがAndroidマシンで『ザ エルダースクロールズ V: スカイリム』を遊んでいたからといって、『スカイリム』がAndroidとかTegraに対応したわけではないのでご注意(まったく関係ないが、NVIDIAは『スカイリム』のライブウォールペーパーをAndroidマーケットで配信している)。
 とはいえ、処理はGeforce GTXのグラフィックボードを搭載したゲーミングPCにやらせて、ソファーに座ってサクッとプレイできちゃうというのはそれはそれで魅力。誰もがいつも机に向かってデスクトップのゲーミングPCでバリバリダンジョンに潜りたいわけではないし。スマートフォン/タブレット市場の進化によって、PCゲームの遊びかたの幅も広がるかもしれない。