PS Vitaという新しいハードで新しい提案をしたかった

PS Vitaの機能をすべて取り入れたツール――『モンスターレーダー』【PS Vitaクリエイターインタビュー】_03

 SCEの新ハードPlayStation Vitaが、2011年12月17日に発売された。ファミ通.comでは、このPS Vitaとそのロンチタイトルの魅力に迫るインタビュー企画を連載中だ。今回は、ソニーマーケティングの『モンスターレーダー』を手掛けた、ビジネスプランニングマネージャーの内藤友宏氏に話を聞いた。


PS Vitaの機能をすべて取り入れたツール――『モンスターレーダー』【PS Vitaクリエイターインタビュー】_01

――『モンスターレーダー』の開発を決めたきっかけや、開発のコンセプトなどを教えてください。
内藤 『モンスターレーダー』は、もともとPSP(プレイステーション・ポータブル)向けに開発されたツール『x-Radar Portable』を、より楽しく使ってもらうためのプロモーションキャンペーン用に作ったものです。『x-Radar Portable』は、ソニーのオンライン地図サービス“PetaMap(ペタマップ)”に登録されたグルメ、観光、無線LAN スポットなどを検索できるアプリケーションなのですが、当時の『モンスターレーダー』は、『x-Radar Portable』を使ってお店に行くとQRコードが出てきて、そのQRコードを携帯電話でアクセスするとモンスターが集まるという内容でした。それがすごく好評でしたので、PS Vitaの発売のタイミングに合わせて『モンスターレーダー』をゲームとして出すことになりました。

――それは、PS Vitaの機能に魅力を感じたからですか?
内藤 そうですね。PSPの『x-Radar Portable』向けに『モンスターレーダーβ』と『モンスターレーダー2』を出しましたが、PS Vitaという新しいハードで新しい提案はできないかな? と思い企画しました。

――『モンスターレーダー』のおもなターゲット層を教えてください。
内藤 PS Vitaのロンチタイトルということで、PS Vitaを買っていただいたゲーム好きの方たち、20代~30代の方々がターゲットですね。あとは、屋外でモンスターを見つけるゲームなので、外に頻繁に出て移動する機会が多い方ですね。

――グラフィックを見ると女性向けのような印象もありましたが。
内藤 女性向けというのはそれほど意識していないのですが、女性にも楽しんでもらえるようにしたいなと思い、かわいらしいデザインにしています。ですが、ファンシーすぎないというか、僕らは“大人かわいい”と言っていたのですが、大人も楽しめるかわいらしさというギリギリのラインを、デザイナーといっしょに考えていきました。

――『モンスターレーダー』のポイント(魅力)を教えてください。
内藤 僕らは、ウォークマンやVAIOを使ったツールやハードウェアを作るのがメインの業務なので、ゲームらしいゲームではなく、僕らだからできるものを作りたいと考えたときに、ゲームとしてではなく本物のレーダーを作ろうという気持ちで『モンスターレーダー』を開発しました。PS Vitaで『モンスターレーダー』を使えば、本当(現実世界)にモンスターがいるのがわかるし実際に見えるから、みたいな(笑)。ゲームの世界観というか、世界自体を作ることに関してのノウハウがあまりないので、この世の中に溢れているさまざまな物を活かして、それをより楽しくするためのツールとして作りました。

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――では、本作でもっとも力を入れたところはどこですか?
内藤 PS Vitaに搭載されたセンサーをどれだけ自然に使えるかというところですね。GPSで現在地を特定したり、カメラと電子コンパスを使って現実世界にいるモンスターを捕まえることに加え、博士や助手がいる研究室の部屋でPS Vitaを傾けると部屋が傾いて、PS Vitaの中に小さな研究室が入っているような演出など、PS Vitaのさまざまなセンサーを活かすところに力を入れました。本作を遊んでいただければPS Vitaの機能がほとんど触れます。

――PS Vitaで開発するに当たって、もっとも苦労したところはどこですか?
内藤 ロンチタイトルなので、作りながらのハードに向けてソフトウェアを作っていたので、でき上がっていくハードに対して僕らも作り込んでいくところが苦労しました。

――開発前と開発後とで、PS Vitaの印象は変化しましたか?
内藤 最初は純粋にPSPの後継機というイメージでしたが、実際に触っていろいろ試してみると、カメラやタッチスクリーンなどいろいろなセンサーがついてPSPとはまったく別の物だな、と思いました。PSPはボタンで操作するものですが、PS Vitaは身体に近いというか、直感的に操作できるハードウェアだなと。

――開発を終えられて、PS Vitaのいちばん優れていると感じたところはどこですか?
内藤 いろいろなセンサーがあって、それを活かした新しいゲーム、新しい物が作れるところと、ネットワーク通信が前提の物を作れるところですね。

――今後、もっと活かしてみたいPS Vitaの機能はありますか?
内藤 今回、PS Vitaのすべてのセンサーを使いましたが、まだネットワーク系の部分を活かしきれていないなと思っていて、オンラインでみんなで遊べるような機能を作れたらいいなと思っています。

――『モンスターレーダー』以外で、注目しているPS Vitaのタイトルは何ですか?
内藤 個人的には『アンチャーテッド 地図なき冒険の始まり』なんですけど(笑)、『サワリ・マ・ク〜ル!』ですね。このタイトルもPS Vitaの機能を使ったゲーム、という意味で『モンスターレーダー』と似ているので注目しています。あとは、ゲームではありませんが、Twitterやニコニコ動画のアプリケーションもすごくよくできていて、ツールとしてのアプリケーションも気になりますね。

――では、最後に読者へメッセージをお願いします。
内藤 『モンスターレーダー』を使って現実がゲームになるという感覚をぜひ体験していただけたらと思います。それ以外にもモンスターのネーミングやセリフで、ちょっと悪ふさげをしているようなところがありますので、そのあたりも楽しんでいただけたら楽しいなと思います。

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