リアル×デジタルの新しいイベントの形がここに
2011年12月17日、東京・銀座の“東京ガス Studio +G GINZA”にて、親子で楽しむ食育イベント“ベジスタ X’mas in 東京”が行われた。
“ベジスタ”は、食材をモチーフにしたキャラクターコンテンツや、食に関するクイズなどのレクリエーション、調理体験などを通じて、食の正しい知識や習慣を学べる移動型クッキングスタジオ。じつはこのベジスタ、『サムライスピリッツ』シリーズなどの企画制作に携わった足立靖氏(エンジンズ)や、『鉄騎』などのサウンドを手掛けた山田泰正氏(彩音本舗)、元ゲームフリークでピカチュウなどのデザインを担当したイラストレーターのにしだあつこ氏など、多数のクリエイターが関わっているプロジェクトなのだ。
ベジスタのイベントが行われるのは、大阪、弘前に次いで3回目。今回は18組の親子が参加し、親子仲よく料理に励んだ。
今回のレシピは、“クリスマスツリーのちらしずし”。ツリー型に配置した酢飯の上に炒り卵、ブロッコリー、そぼろを乗せ、さらにその上から、ツリーのオーナメントを飾る感覚で野菜を乗せていく料理で、子どもたちはのびのびと調理を楽しんでいた。
食事の後は、今後のベジスタ開催地の子どもたちに向けて、ひとりひとりがメッセージを執筆。色とりどりのクレヨンを使って、「東京はこんな町だよ!」と、自分の住んでいる町のすばらしさを伝えていた。
参加者には、キュウリやトマト、キャベツなどの野菜がプレゼントとして贈られた。今回のイベントで学んだ料理の楽しさや食生活の知識を、子どもたちが家でも実践・活用してくれることに期待したい。
エンジンズ 足立靖氏にショートインタビュー!
――これまでゲームを手掛けてきた足立さんが、“食育”というジャンルでの活動を始めた理由を教えてください。
足立 近年、外の世界に出ようとしない若者が増えていることに危機感を抱いていまして。どうしたら外に出てもらえるのかを考えたときに、僕たち大人が「外にはこんなにおいしいものがある」ということを伝える必要があると思ったんです。日本だけでなく、世界中のいろんな地域に、すばらしい文化がある。それをわかりやすく、楽しめる形で子どもたちに伝えたいな、と。世界中の子どもたちをつなぎたい。そのための強いコンテンツとして“食文化”を選びました。
――“食”以外にも、世界中には価値あるものが多数ありますが、その中でも食を選んだ理由は?
足立 大きく分けてふたつの理由があります。食は何よりも大切なものだと心から感じている、というのがひとつの理由。また、ビジネスの観点から見ても、食は多様性のあるものなので、ベジスタプロジェクトを進めることで世の中のビジネスが活性化すればいいと思っている、というのがもうひとつの理由ですね。
――ゲームと食育ではまったくジャンルが違うので、苦労されるのでは?
足立 そんなことはありません。何かを見せる、ということは同じですから。これまで僕たちは、ゲームというもの、画面に映るものすべてをゼロから作り上げてきました。でも、食文化については、すでに価値あるものが世界中に存在しているので、もの自体を作る必要はないんですよね。あとはこれまでのノウハウを活かして、子どもたちに見せてあげればいいんです。肝心なのは、“つなぐ”ということ。いまは、スマートフォンやニンテンドー3DS、PlayStation Vitaなど、外に持ち出せて、ブロードバンド化が進んでいるハードが増えたので、子どもたちが外に出る土壌はできあがっていると思います。あとは僕たちが、価値あるものを見せていくだけですね。
――今後のベジスタの予定は?
足立 来年2月に沖縄で行う予定で、その後京都、新潟、福岡、大分で行いたいと考えています。また、海外でも開催したいと考えていて、シンガポール、タイ、ベトナム、ドバイが開催地候補ですね。食育イベントのほか、キャラクターコンテンツの展開や、ゲームへのアプローチ――たとえばソーシャルゲームなど――も考えていますので、ご期待ください。
業務用マイルド酢の発売発表記者会見も開催
東京ガス Studio +G GINZAでは、このベジスタイベントでも使われた“マイルド酢”(タマノイ酢株式会社)の業務用の発売発表記念記者会見も行われた。記者は食品関係の記者会見に出るのは初めてだったため、かなりドキドキしながら参加。料理までいただいてしまい、恐縮しきりだった。