アクションとドラマが初めて両立できた作品」(曽利監督)

 2011年12月7日、東京都港区赤坂にあるステリーナ教会で2012年2月11日に全国ロードショウされるCGアニメ映画『ドラゴンエイジ -ブラッドメイジの聖戦-』の製作発表記者会見が行われた。

 本映画の原作となるのは全世界で600万本以上を売り上げた海外産RPG『Dragon Age』。日本ではスパイクから発売された、BioWare開発の大作RPG『Dragon Age: Origins(ドラゴンエイジ:オリジンズ)』。すでに続編『Dragon Age II(ドラゴンエイジII)』の発売もスパイクから発表されている。
 
 製作発表会には、本作に声優として出演する栗山千明、谷原章介、GACKTら豪華キャスト陣が登場。教会で製作発表会が行われた理由は、『ドラゴンエイジ -ブラッドメイジの聖戦-』の物語に教会が大きく関わることにちなんでのこと。

【ストーリー】
流れる血のみが、歴史を塗りかえる

 世界を統治する【教会】に仕える優秀な騎士、カサンドラ(栗山千明)。ある夜、牢屋から連れ出される少女が、【教会】を巡る大きな陰謀の鍵となっていることを知ってしまい、“邪悪な魔法使い”(ブラッド・メイジ)の集団に襲撃されてしまう。

 師匠であるパイロンが身を挺して犠牲になったお陰で、カサンドラは命を取り留めるが、首謀者の正体はわからぬまま。逆に陰謀の関係者に仕立て上げられ、ナイトコマンダー(GACKT)率いる騎士団から追われる身となり、途中で出会った気のいい魔法使い(サークルメイジ)ガリアン(谷原章介)と共に少女を連れて逃げることに。

 父親代わりであったパイロンの命を奪ったブラッド・メイジへの憎悪をたぎらせながらも、謎の真相を追い求めるカサンドラとガリアンは、やがて【教会】の存亡を賭けた壮大な【聖戦】に身を投じることになっていく……。

■キャスト&スタッフ
キャスト:栗山千明(カサンドラ)/谷原章介(ガリアン)/GACKT(ナイトコマンダー)
原作:BioWare / Electronic Arts  
監督:曽利文彦(ピンポン/ベクシル 2077日本鎖国/あしたのジョー)
脚本:Jeffrey Scott キャラクターデザイン:中山大輔
音楽:高橋哲也 サウンドデザイン:笠松広司
制作:OXYBOT 宣伝:エイベックス・エンタテインメント 配給:TOブックス

■主題歌情報:GACKT 『Until The Last Day』(2012年2月22日発売) 
  
■公開情報:2011年2月11日(土)全国ロードショー

『ドラゴンエイジ -ブラッドメイジの聖戦-』の製作発表記者会見に栗山千明、谷原章介、GACKTら豪華キャスト陣が登場_01
『ドラゴンエイジ -ブラッドメイジの聖戦-』の製作発表記者会見に栗山千明、谷原章介、GACKTら豪華キャスト陣が登場_02
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栗山千明(カサンドラ役)

「私はもともとアニメーションが大好きで、正直声優をやらせていただくというのは光栄でもあり、自分自身に大丈夫かという気持ちもあったのですが、ドラゴンエイジは作品自体が人間味が溢れていて、実写のお芝居のような感覚で取り組めるところがあったので楽しんでやらせていただきました」
谷原章介(ガリアン役)

曽利監督の作品はベクシルに続いて2作目という谷原は、「信頼感がすごく曽利さんにあったので演じていて迷うことはありませんでした。僕自身すべてゆだねることができてとても楽でした。監督自身が画をつくられる方なので、まだ人形のような状態でセリフを入れることもあるのですが、作られる方の指示がいただけるのはこちらとしてはすごく助かりました」
GACKT(ナイトコマンダー役)

声優とともに主題歌を務めるGACKTは、「主題歌は、いつかは消えてしまう命なら、戦ってその命を燃え尽きるまでまっとうしてみろという映画のテーマにかなり沿った内容になっています。“戦う”という映画のなかでの戦い、そしてこの現代での戦い。それぞれ個人でまっとうしていこうという意味です」

 発表記者会見ではまず、教会にちなみ、『ドラゴンエイジ -ブラッドメイジの聖戦-』がどんなことを約束できる作品かをそれぞれのキャストが“宣誓”した。

もともとアニメ作品が好きなので、本気で取り組みました。見応えのある作品になっていることを誓います(栗山)

ゲームファンの期待を裏切らない作品であることを誓います(谷原)

リアルダークファンタジーというものがこの作品で理解していただけることを誓います(GACKT)

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曽利文彦監督
2002年『ピンポン』で映画監督デビューを飾り、数多くの映画賞に輝く。2004年、フルCGアニメーション映画『APPLESEED』をプロデュース。07年、映像制作スタジオOXYBOT設立。同社でフルCGアニメーション映画『ベクシル 2077日本鎖国』を制作、監督。その他、実写映画の監督作品には『ICHI』(2008)、『あしたのジョー』(2011)などがある。

 フォトセッションを挟み、場所を移して記者会見が行われた。この記者会見では、本作の監督を務めた曽利文彦氏も加わり、製作時のエピソードや作品の見どころを紹介。曽利監督はまず、「もうすぐ完成です。豪華なキャストの皆さんといっしょにこの場にいることができて、モノ作りのすばらしさを感じています」と挨拶。教会で製作発表会を行ったことについてキャスト陣は「不思議な気分でした。カサンドラは教会を守っている役で、役柄にふさわしい場所で記者会見ができてうれしく思います」(栗山)、「カメラマンが多くてビックリしました(笑)。このような晴れの舞台で作品お伝えできるのをうれしく思います」(谷川)、「教会での記者発表は初めてです。この作品ならではの演出だなと思いました」(GACKT)とコメント。続いて質疑応答という形で記者発表が進められた。

――曽利監督の印象は?

栗山 映画でもドラマでもそうなんですが、緊張するタイプなので、監督がどんな人か不安でしたが、アフレコ当日にお会いして、演じる側にいろいろと配慮していただいて、ありがたく思いました。また、仕事ができたらと思います。

谷原 曽利監督とは『ベクシル-2077日本鎖国-』でもごいっしょさせていただき、監督はご自身でCGや実写の演出もされるので、キャラクターの心情やドラマも丹念にご説明いただけるのでとてもやりやすい監督という印象でした。本作ではそれの“柔らかさ”が加わった印象です。私のガリアンという役は、カサンドラに付いて行ったり、引っ張って行ったり、ときにはおどけたりするキャラクターです。どこまでやったらふざけ過ぎで、どこまでやると固いのか、そのバランスが難しかったですね。ですが、監督の支持に迷いがありませんでしたので、おだやかな気持ちで収録を進めることができました。

GACKT 監督の作品はすべて拝見し、お会いするのを楽しみにしていました。最初、どういう声を望んでいるのかいろいろ演じてみたのですが、監督のイメージが自分と近かったので、収録はスムーズに進められました。収録では自分からもいろいろ意見を出したりアプローチさせていただきましたが、監督のクリエイティビティには感動しました。

――監督ご自身は豪華キャストについての感想は

曽利 この豪華キャストに声だけで演じてもらうのは申し訳ない気持ちです。このキャストで実写の映画を取りたいくらいです。アニメでは実際と顔は違いますが、キャラクターがキャストそのものに見えてしまう……まるでそのキャラクターに乗り移っているような錯覚を起こすほどです。ぜひ、スクリーンで観て確認してほしいです。

『ドラゴンエイジ -ブラッドメイジの聖戦-』の製作発表記者会見に栗山千明、谷原章介、GACKTら豪華キャスト陣が登場_11

――収録は3人それぞれ別々に行われたと思いますが、それぞれの印象をお聞かせください。

栗山 谷原さんとは、お芝居ではまだなのですが、過去にアニメで共演させていただいたことがあって、声優さんとして確立されている方で頼れる人という印象でした。今回、谷川さんといっしょだと聞いたときは、ホッした記憶があります。GACKTさんとは初めてお仕事させていただいたのですが、ナイトコマンダーという役柄は合っていると思いますので、まだ出来上がりを観ていないのですが、観るのが楽しみです。

谷原 栗山さんは、私より先に収録を終えられていたので、カサンドラの声を聞きながら収録に臨めました。カサンドラは戦うシーンがたくさんあるのですが、その戦闘シーンでかけ声であったり、息遣いなど、アクションシーンならではのセリフがたくさんあってたいへんだっただろうなと思いました。GACKTさんはドラマでごいっしょさせていただたことがあります。ナイトコマンダーは渋い役柄という印象なのですが、個性的なGACKTさんが、どういう感じで演じているのか楽しみです。

GACKT 収録時には、すでにおふたりの声が入っている状態でしたので、ふたりをどうやったら引き立たせられるかを考え、監督とやり取りしました。ナイトコマンダーは、ダークなキャラにダンディズムとセクシャリズムがあり、作品の大きなスパイスになっているキャラクターだと思います。谷原さんとは最近ドラマでいっしょだったのですが、こんなにも早く共演できてうれしく思いました。千明ちゃんとは初めてだったので、どう演じているのか楽しみでした。収録時に聞いて、「こういうアプローチなのか。なるほど」と思いました。いろいろイメージを膨らませてくれました。

――収録で苦労した点は?

栗山 収録時は動いている絵がなかったので想像力が問われたように思います。カサンドラはふだんの会話はクール。でも、それは内に秘めた想いがあって、それが戦うときは爆発します。戦っているときの息遣いや掛け声は苦労しました。ときには体を動かしながら収録したり。でも、監督からいろいろ提案やアドバイスをもらって楽しくできました。

――主題歌について。

GACKT 映画のイメージを全面に出し過ぎると、おどろおどろしい雰囲気が出過ぎて、わざとらしい感じが出てしまうので、何度も作り直しました。この曲には、どうせなくなってしまう命ならその命が燃え尽きるまで戦ってみろ、というメッセージが含まれているのですが、曲が出来上がるにしたがって、この作品においてはもちろん、現代で仕事をして生きている人も強いメッセージが届けられる曲になっていると思います。

――映画の見どころについて。

曽利 本作ではアクションとドラマのバランスがテーマでした。これまでもアクションモノを制作してきましたが、ドラマもしっかり見せるというのは難しんです。ですが、本作はアクションとドラマの両立が初めてうまくいった作品だと思います。どちらも手抜きなしです。これはここにいらっしゃるキャストの方の力も大きかったです。栗山さんに対してはクールなイメージを持っていたのですが、実際お会いするととてもチャーミングで。逆にカサンドラのクールさをどう作っていこうか、と考えるくらい魅力的な方でした。また、アクションシーンでは、アニメの場合、声だけで表現しなければならない分、訓練しないと難しいのですが、栗山さんのアクションシーンの大きな声というのはすごく魅力です。谷原さんには、二枚目と三枚目を演じてもらいたかった。二枚目と三枚目を両立できる人は稀で、非常に高いテクニックが要求されるのですが、谷原さんはそれができる方です。私のイメージ通りで、収録中は陰でガッツポーズするくらいでした。GACKTさんには、悪役をやってもらいたかった。収録しているときは、いろいろな角度からさまざまなアプローチをぶつけてきていただいたので、収録はとても楽しかったです。

 最後に、本作とゲームについてのつながりに関して紹介すると、『Dragon Age II』でもカサンドラというキャラクターが登場するとのことで、ゲーム中でカサンドラがどうしてその境遇になっているのかが、今回の映画で描かているという。映画ファンやアニメファンはもちろん、『Dragon Age II』を楽しみにしているファンにとっても、ぜひ要チェックな作品と言えるだろう。2012年2月11日の公開を楽しみに待っていよう。

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