特別ゲストに原田氏も登場

爆音『鉄拳』サウンドを5時間ぶっ通し――『鉄拳タッグトーナメント2』サントラ発売記念ライブが開催_02

 バンダイナムコゲームスのアーケードゲーム『鉄拳タッグトーナメント2』のサウンドトラックが、2011年11月17日に発売された。これを記念して、発売直後の11月19日に東京・秋葉原にあるイベントスペース“MOGRA”で、『鉄拳』シリーズに縁のあるアーティストたちによるクラブイベントが開催された。

 イベントは午後3時からスタートして、ほぼノンストップで午後8時まで爆音進行。今回の参加アーティストたちは『鉄拳』シリーズ以外でも数多くの楽曲を手掛けているということで、懐かしの旧ナムコタイトルのアレンジが流されることもあった。また、特別ゲストとして『鉄拳』シリーズのプロジェクトディレクターを務める原田勝弘氏が登壇するひと幕も。シリーズの楽曲に関しては、コンポーザーたちと「16年間揉め続けながら(笑)」作り続けていると冗談交じりに話すとともに、今後発売を予定しているシリーズ作品もPR。2011年12月1日発売予定のプレイステーション3用ソフト『鉄拳ハイブリッド』のパッケージをお披露目し、2012年2月16日発売予定のニンテンドー3DS用ソフト『鉄拳 3D プライム エディション』は実機で動いているものを紹介した。さらに、著名なイラストレーターとコラボしたキャラクターイラストを本邦初公開。アリス、ファラン、ジェイシー、リリなどを紹介し、それらのフィギュア化を検討していることも明かした。

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▲細江慎治氏、佐野電磁氏ら著名なゲームコンポーザーが続々と登場。佐野氏は自身が手掛けたニンテンドーDS向け打ち込みツール『KORG M01』で演奏するひと幕も。
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▲ライブ終盤に登場した原田氏。「クラブがこんなに暗いところだとは思わなかった」と、クラブビギナーをカミングアウト。会場を笑わせた。
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▲レアなイラストの数々を惜しげもなく披露。

 ちなみに、『鉄拳』シリーズで今回のようなクラブイベントが開催されるのは初めて。どのような経緯で実施にいたったのか、また今回の手応えや今後の展開について原田氏に聞いてみた。

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――今回のイベントはどのような経緯から開催されることになったのでしょうか。
原田 『鉄拳』は、対戦ゲームとして楽しんでいる人だけが客層ではなく、ストーリーが好き、キャラクターが好きという人もいるだろうし、もちろん音楽が好きな人も少なくないと思います。いろいろな人にリーチできているな、というのは思っていて、今回は新な試みとして開催してみました。手応えはありますが、僕としては逆にファンの方たちに聞いてみたいですね。こういったイベントはどうなのか? と。

――最近ゲーム系のクラブイベントは少なくないですが、『鉄拳』シリーズとしては初めてですよね。
原田 そうなんですよ。僕としては正直、『鉄拳』とクラブはあまり合わないと思っていた……というか、クラブに来るような人はファンの中にいないんじゃないかなって。でも考えてみれば、旧ナムコ系のサウンドが好きな人なんかはクラブとも親和性が高いですから、そういう人の中には当然『鉄拳』のファンもいるだろうと思ったんです。

――今日来ているお客さんは、あまりクラブに来なさそうな人がいる一方で、クラブ大好きみたいな人もいました。
原田 個人的には3分の2くらいはクラブに行かなそうな人に見えました(笑)。まあ、僕も行かないんですけどね。ただ、まったく違う雰囲気の人がいっしょに盛り上がっている光景というのは新鮮でおもしろいかな。でも、今日ここまで来るのに勇気を振り絞った人もいると思いますよ。そういう人の感想こそ聞いてみたいですね。まあ場所が秋葉原ですし、僕も含めたクラブビギナーにはかなりいい入り口になったじゃないかな、と思いますが。

――実際に音楽を聴いてみて思ったのですが、『鉄拳』シリーズの楽曲がここまでクラブサウンドとマッチするのは正直以外でした。
原田 『鉄拳』シリーズのコンポーザーの多くは、元々格闘ゲームの音楽ではなく『リッジレーサー』なんかで活躍していた人たちですから、むしろテクノ系のほうが強いんですよ。あと、『鉄拳』は対戦格闘ですからこちらが求めるのは最初からテンションが上がる楽曲。クラブサウンドみたいに音を積み重ねてアゲていくのとは違うんですよね。だから、考えようによっては『鉄拳』の音楽を作るときの彼は無理をしている(笑)。ある意味、ここで流れているのが本物の『鉄拳』サウンドかもしれない。まあ、あくまでこれは僕の感想ですけどね。

――今回のようなイベントを開催したことで、何かゲーム開発にも活かせることはありますか?
原田 それはもちろんあると思います。まず、こういったイベントを楽しんでくれるファン層がいる、ということがわかっただけでも大きな収穫。開発の点においては、ゲームモードの中に楽曲を自分でエディットできるものを入れようとか、そういう話は今後出てくるでしょう。個人的にもそれはやりたいと思いますし。

――『鉄拳』仕様の楽曲作成ツール……ということですか?
原田 そこまで本格的にやるのは難しいかもしれませんが、キャラクターセレクトやモードセレクトの音楽を入れ替えられたりとか、あとはゲーム機のハードディスクに入っている音楽ライブラリーと同期させるのもおもしろいかもしれない。いままでサウンドのカスタマイズという方向性はあまり考えていなかったのですが、やれたらいいなと強く思うようになりましたね。

――対戦を観戦している人が、DJ感覚で音楽をいじれたらおもしろいですね。
原田 それいいですね! あとは野次を入れたりとか(笑)。とにかく、このイベントが『鉄拳』シリーズの音楽の進化につながればいいなと思いますよ。

――『鉄拳6』ではグラフィックと動きにとくにこだわっていましたが、次回ナンバリング作ではサウンドも大きく進化、ということになりそうですね。
原田 もうその通りですよ。サウンド用に処理を空けなければいけませんね。ゲームの音楽って、けっこうCPUを食うんですよ。

――今後も『鉄拳』のクラブイベントは続けていこうと思いますか?
原田 続けていくのはもちろんですが、いろいろとほかのイベントと組み合わせられたらおもしろいかもしれません。たとえばトーナメント大会をやるならば、予選の合間にこういったイベントを挿入してみるとか。そうすれば一度で二度おいしいわけですし、ユーザーを受け入れる窓口も広くなると思いますので。