PlayStation Vitaの3G回線の疑問をNTTドコモに直撃!

週刊ファミ通2011年11月24日号(11月10日発売)の“巻頭特集1”で掲載しているNTTドコモ担当者へのインタビュー。本稿ではその完全版をお届け。PS Vitaの購入を検討している人は、3G/Wi-FiモデルかWi-Fiモデルのどちらを購入するかの参考にしていただきたい。

●PlayStation Vitaに3G回線は手続きなしで開通? 料金は? セキュリティーは?

 PlayStation Vita(以下、PS Vita)の3G/Wi-Fiモデルの3G通信にはNTTドコモの回線が対応となることは既報の通り。ここでは、新たな料金形態となるプリペイドデータプランや3G通信のメリットなど、3G通信に関する疑問や魅力をNTTドコモ担当者に聞いた。本稿は、週刊ファミ通2011年11月24日号(11月10日発売)の“巻頭特集1”で掲載しているインタビューの完全版。PS Vitaの購入を検討している人は、3G/Wi-FiモデルかWi-Fiモデルのどちらを購入するかの参考にしていただきたい。


NTTドコモ
ユビキタスサービス部 ユビキタスサービス企画
高田裕子(写真左) Yuko Takada
浦川さおり(写真右) Saori Urakawa

■いつでもどこでもつながるのが3G回線の魅力

――まず、PS VitaにNTTドコモの3G回線が対応となった経緯を教えていただけますか?

高田裕子(以下、高田) 弊社としては、いろいろな通信機器にネットワーク回線を提供して、お客様の生活を豊かにしていきたいと考えておりまして、携帯ゲーム機もひとつの大きなターゲットとして捉えていました。一方でソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)様もPS Vitaによって、ユーザーの皆様にネットワークを使った新しい経験を提供したいという思いをお持ちで、弊社とSCE様の思いが合致したことから、弊社の3G回線を対応させていただくことになりました。

浦川さおり(以下、浦川) SCE様も“いつでもネットワークにつながる”というところを大切にしていると思いますので、データ通信利用の満足度調査で、3年連続第1位の評価をいただいている弊社を3G通信のパートナーに選んでくださったのだと思います。

――確かにNTTドコモの携帯電話を使っているとつながらない場所はほとんどないですね。

浦川 私どももそこはウリだと思っていますので(笑)。Wi-Fiと3G回線の違いをよく聞かれるのですが、Wi-FiはWi-Fi通信が入るスポットをユーザーのほうから能動的に探さなければいけませんが、弊社の3G通信はFOMAのエリア内(人口カバー率100%)ならいつでも通信できるところがメリットです。ちょっと空いた隙間の時間にすぐ通信できますし。

高田 たとえば、フレンドに呼ばれたとき、またはゲームのステータスが変更されたときなどのタイミングを逃さず楽しんでいただくことができると考えております場所やタイミングの制約を超えたところに3G通信の魅力があるのです。また、3G通信とWi-Fi通信ではできることも少し違っていて、GPSなどロケーション情報も、より詳細なデータをやり取りすることができます。


■更新期間は“100hプラン”なら194日間

――PS Vitaでプリペイドデータプランを利用する際は、SCEのキャンペーンで同梱されているドコモUIMカード(いわゆるSIMカード。固有のID番号が記録されたICカード)を使用し、通常の携帯電話のような店頭での手続きを必要としない、という前例のない形態になっています。実現にはご苦労もあったのでは?

※利用料金プランの詳細は→こちら

浦川 まさにそこがこだわった点であり、もっとも苦労した点で、「いかに契約を簡素化させるか」というのがテーマでした。ただ、それには新しいスキームを考案する必要があったので、たいへんでした。

――その新しいスキームのひとつがプリペイドデータプランというわけですね。

浦川 はい。今回、SCE様のご協力もあり、製品をご購入いただき、箱を開けたらすぐに3G通信が利用できる、というスキームを実現することができました。

――ちなみに、PS Vitaのように、製品にドコモUIMカードが同梱され、店頭での手続きなしですぐに3G回線が使えるといった通信機器はあるのですか?

浦川 現在は、PS Vitaのみとなります。

――“100hプラン(103時間分)”=4980円、“20hプラン(20時間分)”=980円(ともに税込)という通信料金は、どのように決定を?

高田 料金プランは、SCE様からのアドバイスをもとに、我々のほうで決定しました。

浦川 ゲームで使う通信時間として103時間や20時間というのは、いままでのデータプランと異なりますが、一般的な通信データ量の区切りだと、とくにお子様などにはさらにイメージしにくいかなと考え、時間課金という新しい試みを採用させていただきました。

高田 ゲームにもよりますが、プレイ中はつねに通信が発生しているわけではなく、必要なときにだけ通信が発生すると想定しておりますので、103時間あれば多くのユーザーの方にご満足いただける通信時間だと考えています。ご自宅などでWi-Fiをお使いの場合は、3G回線の使用を控えることもできますし、環境に合わせてお使いいただければと。まずは、キャンペーンとして同梱されるプリペイドデータプランでお試しいただき、その後、利用状況に応じて“20hプラン”か“100hプラン”、もしくは定額データプランへと更新していただければと思っています。その更新についてですが、更新いただけるのは通信利用可能時間が終わってから14日間のみ、と誤解を与えてしまっているようなのです。ですが、更新自体は通信を利用開始した時点から行えます(更新の予約も可)。たとえば、“100hプラン”なら利用期間180日に加え、更新のみ可能な14日間、つまりトータルで194日間いつでも更新手続きをしていただくことが可能です。また、“100hプラン”が月額プランのように誤解をされることも多いのですが、通信利用開始から194日=約半年間、ご利用いただけるという点も強調しておきたいところです。

――極端な話、使い始めてから最初の4日間で“100hプラン”を使い切った場合でも、残り190日間は更新手続の猶予がある、と?

高田 はい。

――更新期間を過ぎてしまった場合は、3G回線を使い始めるお手軽さと比べ、少し手間がかかる印象ですが。

高田 そこは、再契約する際にかかる事務手数料2100円[税込]も含め、お客様からよくご意見をいただいている点なのですが……。いったん契約が切れた“ドコモUIMカード”は解約扱いになり、復活させることができないため、新しいUIMカードに変えていただくことになってしまうのです。半年を通じて一定時間使われることが想定されるのであれば、ぜひ“100hプラン”を継続してお使いいただければと思います。

――古いUIMカードはどうすればいいのでしょう?

高田 通常の携帯電話同様、ドコモショップにお持ちいただければと思います。

――PS Vitaをどこかに置き忘れたり、なくしてしまった場合、UIMカードを誰かに悪用される、といった心配はないのでしょうか。


浦川 現在、プリペイドデータプランは音声通話はご利用できませんし(※Skypeなどの音声通信なども利用できない)、サービス開始当初は、PS Vitaでしかお使いいただけません。そもそも、プリペイドデータプランご契約の回線には、クレジット情報など含め、お客様の情報を持ちません。ですので、クレジット情報を使って勝手にプランを更新されたり、買い物をされるといった心配もありません。

――残りの通信可能時間を使われる、といったことはあるかもしれないけれど、それ以上の損失はないと。

浦川 はい。テレホンカードを紛失した、というイメージに近いかもしれませんね。

――プリペイドデータプランの通信速度は、下り128kbps/上り64kbps(100hプランでは100時間に加え、下り14Mbps/上り5.7Mbpsの“FOMAハイスピード”が3時間利用できる)ですが、これは何か理由が?

浦川 プランを決めるにあたって、SCE様と相談させていただいた際、ゲームやネットワークの利用方法にもよりますが、下り128Kbps/上り64Kbpsで楽しめる部分も多いということでしたので、その速度を採用させていただいております。サクサクと通信をしたいというお客様には、通信速度がつねに“FOMAハイスピード”となる定額データプランを使っていただければと考えております。

――定額データプランの注意書きに「定額対応以外のアクセスポイントに接続した場合、パケット通信料が高額になる場合がありますのでご注意ください」とありますが、勝手に定額対応以外のアクセスポイントに接続されてしまう、ということはあるのでしょうか?

高田 定額データプランにお申し込みのお客様は、お申出がない限り、定額データプラン対応のアクセスポイントにつながるように設定されております。ですので、その設定をドコモショップで解除しない限り、定額対応以外のアクセスポイントに接続されることはありません。

――ふつうに使う分にはまるで心配ないと。でも、それでもそういった補足を入れないといけないのですね(笑)。

高田 そうなのです。

――海外に出かけた際にも、PS Vitaで3G通信機能を利用することは可能でしょうか?

高田 残念ながら現在、プリペイドデータプランは海外ローミングには対応していません。ですが、定額データプランをご利用の際はWORLD WING(ドコモと提携している海外の通信事業者のサービスエリアで利用できるサービス)に申し込んでいただければ、3G回線を海外でも利用可能です。

――有害サイトへのアクセスを防ぐため“プリペイドフィルタ”(※)というフィルタリングが掛かっていますが、アクセスはどういった基準で制限しているのですか?

浦川 弊社の基準ではなく、第三者機関が認定したサイトへの制限となります。PS Vitaは未成年のユーザーの方も購入される機器であることから、Webブラウジングのためのフィルタリングサービスは一律に掛けさせていただいております。

※プリペイドフィルタを解除する場合には、UIMカードおよび本人確認書類を持参のうえ、ドコモショップで手続きする必要がある。なお、20歳未満は親権者の同意が必要。


■ゲームと通信の融合による新たな広がりに期待

――NTTドコモさんにとって、PS Vitaは魅力的なデバイスですか?

浦川 もちろんです。コラボレーションできてよかったと思っています。

――ちなみに、NTTドコモの携帯電話の契約件数はどのくらいなのですか?

高田 およそ5900万契約(2011年9月末時点)です。

――現在、PSP(プレイステーション・ポータブル)の国内の推定累計販売台数は約1700万台(ファミ通調べ)です。PS VitaはWi-Fiのみのモデルもありますし、普及台数=3G回線契約数とは言えませんが、それでも同ハードがPSPと同じ規模で普及すると、ビジネス的にも大きな市場と言えますね。では、最後に、PS Vitaのリリースを控えたいまの心境をお聞かせください。

高田 いろいろ超えるべきハードルはありましたが、契約をできる限り簡素化させ、皆様へ3G通信をお試しいただく、という当初の目標はクリアーできているのかな、と思いますが、本番はこれからです。今後はお客様の声を聞いて、いろいろと改善すべきところは改善していき、皆様の希望に添える形にしていきたいと思っています。

浦川 また、ゲームメーカーさんが通信を使ってどんなことをやりたいか、どんな希望を持っているかといった意見をお聞かせいただいて、対応を考えたいと思っています。

高田 我々が協力や準備をしたほうがいいものができる、といった部分もきっとあると思うんです。具体的なプランはまだないのですが、たとえばPS Vitaと携帯電話やスマートフォンをリンクさせたりとか……。

――ああ、なるほど。それが実現すると、新たな可能性が広がりそうですね。

高田 ゲームと通信の融合により、新しいユーザー体験をご提供できればと思っています。今後にご期待ください!