『ウィ―アー!』のアンサーソングとして制作された『ウィーゴー!』

 フジテレビ系にて好評放送中のテレビアニメ『ONE PIECE』が、新章となる、最後の海“新世界”編に突入。2011年11月16日には新世界編の新主題歌『ウィーゴー!』がリリースされる。作詞を藤林聖子、作曲を田中公平、編曲を根岸貴幸、そして歌をきただにひろしが歌うという、初代主題歌『ウィ―アー!』のメンバーが揃って制作された『ウィーゴー!』。そんな同曲を歌うきただにひろしにインタビューを敢行した。

「これが俺たちの応えだ!」きただにひろしが語る『ウィーゴー!』_02
■きただにひろし
1994年、3人組ロックバンド“Stagger”としてメジャーデビュー。その後、ロックバンド“Lapis Lazuli”の解散を経てソロ活動を開始。1999年テレビアニメ『ONE PIECE』の主題歌『ウィ―アー!』を歌唱。その後もソロとして、また2002年に加入したJAM Projectのメンバーとしてさまざまなアニメソングを歌う。

――ファンとしては、「待ちに待った!」、「やっと来たか!」という気持ちです(笑)。
きただにひろし(以下、きただに) いや、僕もね。12年待っていたんですよ、電話がかかってくるのを(笑)。

――(笑)。最初に曲を聴いた印象はいかがでしたか。
きただに 作曲は(田中)公平さんですし、作詞は藤林(聖子)さんですし、編曲は根岸(貴幸)さんですし。『ウィ―アー!』のチームが集まって、『ONE PIECE』に愛のあるスタッフが、『ONE PIECE』のために書いたアニソンなので、当然「来たな!」という感じでしたね。

――すごくインパクトのある曲だと最初に聴いたときに感じたんですが、その半面、歌うのがたいへんそうな曲だな、とも思いました。
きただに 技術的な面で難しいですね。それは公平さんがブログでも書いてくださっているように、“きただにひろしのためにオーダーメイドで作った曲だ”ということなので、たぶん“いま”のきただにひろしじゃないと歌えない曲だと思います。『ウィ―アー!』を歌ったころのルーキーのときの僕では、まだちょっと力量不足だったと思うんですけど、そのあいだにアニソンを12年歌ってきているからこそ、“いま”だからこそという感じで与えられた最高の曲だと思いますね。

――それこそ、ルフィたち、麦わらの一味といっしょに成長してきたというか。
きただに そうですね。すごくリンクしていると感じています。最初から『ウィ―アー!』のアンサーソングであることは決まっていたので、『ウィ―アー!』をリスペクトした構成になっています。1番が終わったあとにギターソロという展開もいっしょですし、音色なんかも『ウィ―アー!』を踏襲しているところがあるんですよ。ただ、そこに「ジレったい」、「止まれない」という歌詞だったり、リズムがちょっと速くなっていたりと、『ウィ―アー!』をリスペクトしつつ、もっともっとワクワクドキドキの航海や戦いを見せられるようなパワーアップした歌にしよう、という意志が込められているんです。今回この曲のキャッチコピーである「これが俺たちの応えだ!」という言葉とともに、曲を聴いてもらうのがイチバンわかりやすいと思いますね。

――技術的に難しい点というところで、やはりサビ前の歌詞から、サビの歌詞がつながっているという構成が挙げられと思います。
きただに 今回イチバンのポイントですよね。「どこ吹く風」の「ぜ~」から「たい(絶対)ワンピース!」までのところで勢いを増さなきゃいけないですし、サビが続くので弾んで歌わなければいけないので、息を残しておかなきゃいけないじゃないですか(笑)。収録のときには、この辺で息が切れちゃったりということもありましたね。

――聴いてみると、新章という感じがしますよね。「これからだ!」という気持ちにさせられる曲だな、と。
きただに うん! イントロを聴いただけでね(笑)。

――イントロを聴くと、超ワクワクするんですよ(笑)。
きただに そう!(笑) イントロは大事だと思うんですよね。ダタタ、ダタタ、タンタタラタタタラ……パーパパーパパーパラッパラー♪ってくると「おおおお! キターーーー!」っていう感じじゃないですか(笑)。『ウィ―アー!』も、ドラムでドンドコドンドンドコドン、パパパパッパッパッパッパッパラパー♪で「キターーーー!」って(笑)。そのテンションで俺もバーンとステージに飛び込めますから、そういう意味でもワクワク感ってイチバン必要だと思うんですよね。いつも言うことなんですが、アニメソングというのはアニメと融合したときに、その足し算が計り知れないものになるんですよ。映像を観たらその曲が聴こえてくるだろうし、『ウィーゴー!』を聴いたらルフィたちの映像が見えてくる。そういうことがアニソンとして大事なことだと思うんです。

――この曲は、どのように聴いてもらいたいですか。
きただに これからのゴールに向けてのルフィたちの航海であり、バトルであり、友情でありっていう、そのワクワクドキドキ感のスペクタクルな物語のBGMとしてという気持ちです。みんなの心にこれが残ってくれればと思いますね。

――先日は、大阪の新世界でイベントをされたそうですが、お客さんの反応はいかがでしたか?
きただに すごくみんな盛り上がってくださいました。ただ、大阪は6週ほど遅れてしまっているので、まだアニメが新世界編になっていなかったんですよ。でも、DVD公式サイトなどで視聴できるんですよね。正直、リアルタイムで聴けたり観れたりするのでいっしょに歌ってくれたり、ノッてくれたりして。生の声を聴いてもらって、みんなから「さらに楽しみが増した」とか、記者の方も「すごく感動しました」と言ってくださいましたし、すごくうれしかったですね。

――ファンの方の声というのは、やはり聞こえてくるものですか。
きただに けっこう気にしました。第2章の大事な折り返し地点の主題歌ということで、やはりプレッシャーじゃないですか。みんなに喜んでもらえるのがいちばんうれしいことなんですけれど、実際はどうなんだろう、と。アニソン歌手というのは、アニメのために書いた曲をアニメの世界観で歌うという、“伝え人”なので、みんなが納得してくれる歌が歌えたかな? ということは、気にしていますね。人の声というか、ファンの声、とくにアニメファンの声が気になります。そういうときにTwitterとかで反応を見たりすると、いろいろな話題が出てくるので、すごくうれしいですね。

――とくに『ONE PIECE』に関しては『ウィ―アー!』がいちばん好きな主題歌だという人がけっこう多いと思うんです。それを受けての『ウィーゴー!』なので、やはりプレッシャーが大きいのかな、と。
きただに かなりのプレッシャーですね。たぶん、作家陣もかなりのプレッシャーだったと思いますよ(笑)。『ウィ―アー!』を超えなきゃという思いはあるんですけれど、公平さんいわく、これは“抜く”とか“どっちがいい曲”とかではなくて、アンサーソングということで、違うスタンスで見てほしいと。序曲としての『ウィ―アー!』からつながっている曲である、という捉えかたのほうがいいと思います。どっちがいい曲なのか、みんな順位をつけたがるじゃないですか、人間って。でも、そうじゃなくて、それぞれの曲を楽しんでいただきたいですね。

――最近では、海外でも歌う機会が多くなってきていると思いますが、この曲も海外に向けてどんどん発信されていくんでしょうか?
きただに インターネットのおかげで、海外でも僕らのことを知っていてくれるというのは事実ですし。正直、『ウィーゴー!』だって向こうには音源はないんですけれども、みんな日本語で覚えてくれると思いますね。でも、インターネットがあるからこそ、あっちでも認知されるし、盛り上がってくれるという部分は本当に大きいと思います。

「これが俺たちの応えだ!」きただにひろしが語る『ウィーゴー!』_01

――きただにさんは『ONE PIECE』は読まれているんですか?
きただに 僕はアニメ派なんです。声優さんたちの演技で、泣きの部分がさらに泣けるようになることってあるじゃないですか。たとえば、心に残るシーンなんていっぱいあるんですけれど、ナミを助けるシーンとかチョッパーの博士のシーンとか、アラバスタの仲間の印を掲げるシーンとか、声優さんの演技が加わることによって、さらにすごく感動できるというか。尾田先生自身も「いいなぁ、あんなに動いて、色もついて、声優さんたちが命を吹き込んでくれて、こんなのに勝てるわけないよ」って言うらしいんですよ(笑)。そうやって原作者である先生自身がそう言ってアニメを支持してくれることで、声優さんたちもほかのスタッフさんたちも、愛情を持って『ONE PIECE』にすごく力を注ぐので、スタッフ一同の愛情がすごく込められているんですよね。現場はすごく仲がいいですし。

――『ONE PIECE』ならではというか、作品世界にリンクした仲間との団結力という感じがしますね。
きただに “仲間”というのがすごくキーワードだと思いますね。“仲間の絆”というキーワードにも関わるんですが、今回同じスタッフ陣で新章のオープニングが作れて歌えたということが、すごく重要だと思うんです。僕がファンとして見たときに。『ONE PIECE』のいちファンとして、これはすごくよかったことだな、と。手前味噌ですけど(笑)。だから、歌を聴いてもらうとわかるんですけれど、すごく僕も気合が入っちゃって(笑)。気合が入っていたこともありますし、曲自体が難しかったので、いままででいちばん練習したと思います。レコーディングも一発録りでいったるぜ、みたいな。それぐらいの勢いで練習しましたね。そういう気合がすごく感じられると思いますね。せっかく歌わせていただく機会をもらったので、みんなに喜んでもらいたいという想いで気持ちが高まっていましたね。

――最後にファンの皆さんにひと言メッセージをいただければ。
きただに 『ONE PIECE』が新章を迎えて、これから新たな展開を見せていきます。ルフィたちもパワーアップして、これからどんんどんすごい冒険をくり広げていくので、そういうときにこの『ウィ―アー!』を引き継いだ『ウィーゴー!』が、みんなの心のBGMになってくれればと思います。『ウィ―アー!』同様、『ウィーゴー!』もよろしくお願いします。

「これが俺たちの応えだ!」きただにひろしが語る『ウィーゴー!』_03

■テレビアニメ『ONE PIECE』新章「最後の海“新世界”編」主題歌
『ウィーゴー!』
歌:きただにひろし
作詞:藤林聖子 作曲:田中公平
発売日:2011年11月16日発売予定
価格:【CD+DVD】1890円[税込]/【CD】1260円[税込]
着うた(R)配信中/着うたフル:2011年11月16日より配信スタート!

「これが俺たちの応えだ!」きただにひろしが語る『ウィーゴー!』_04
新定番曲『ウィーゴー!』着うた(R)配信中!