あの冒険野郎が帰ってきた!

 ネイトといっしょになって「ヤベヤベヤベ!」と叫びまくる、スリル満点の冒険の日々がまたやってきた! 『アンチャーテッド -砂漠に眠るアトランティス-』が、いよいよ日本上陸。本作をご存じない方のために説明すると『アンチャーテッド』シリーズは、アメリカのゲーム開発会社“ノーティドッグ”が手掛けた人気アクションゲーム。トレジャーハンターのネイサン・ドレイク(通称ネイト)が財宝を求めて世界各地を駆け巡る冒険活劇だ。ポイントは、ハリウッド映画顔負けの超絶アクションと、臨場感溢れる映像表現。それらの要素がゲームファンの心をつかみ、ワールドワイドで爆発的ヒット。さまざまなゲームイベントでアワードを受賞し、シリーズ累計販売本数が800万本を超える人気シリーズへと成長した。『アンチャーテッド -砂漠に眠るアトランティス-』はシリーズ最新作なので、世界中から超期待されているゲームというわけだ。

今度の冒険はマジでヤバイ! 『アンチャーテッド -砂漠に眠るアトランティス-』プレイインプレッション_01
今度の冒険はマジでヤバイ! 『アンチャーテッド -砂漠に眠るアトランティス-』プレイインプレッション_02
▲前作『アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団』から約2年。満を持してシリーズ最新作が登場する!

冒険! 冒険! 冒険!

 『アンチャーテッド』シリーズ最大の魅力と言えば、何と言っても“ロマン溢れる冒険感”に尽きる。今回のネイトは、イギリスの冒険家“アラビアのロレンス”ことT.E.ロレンスが追い求めたという幻の古代都市、“砂漠のアトランティス”を巡って世界各地を股に掛ける大冒険をくり広げる。ネイトの冒険の舞台は、繁華街の地下に建設された施設やヨーロッパの朽ちた古城、砂漠に広がる荒野、沈没寸前のクルーズ船など、じつに多彩。どのステージも日常とはかけ離れた危険な場所で、さまざまな障害をくぐり抜けた先には驚きと発見が待っている。本作の重要なポイントは、まさにこの驚きと発見の部分。ネイトは冒険家であって探検家ではないのだ。“探検”という言葉の意味は目当てのものを検証するために探し回ることだが、“冒険”は未知なるものを追い求めて危険を冒すことを指す。『アンチャーテッド』シリーズは“冒険”というテーマをとても大事にしており、どんなシチュエーションでも謎と危険が付きまとうようにデザインされている。本作をプレイしていると、“まさに冒険している”という気分を掻き立てられ、子どものころに戻ったようなワクワクする高揚感が味わえること請け合いだ。

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今度の冒険はマジでヤバイ! 『アンチャーテッド -砂漠に眠るアトランティス-』プレイインプレッション_04
▲ときには、思わず足がすくむほどの高所を進む場面も。……このスリルがたまらない!

新世代の冒険ヒーロ-、ネイサン・ドレイク

 走り出したら突然足場が傾き、ジャンプすれば崖が崩れて谷底に落ちそうになり、乗り物に乗れば高確率で大破させてしまう……。主人公のネイトはとにかく“ツイてない男”だ。つぎからつぎへとトラブルを呼び寄せるネイトの不運ぶりも本作の見どころのひとつだったりする。絶体絶命のピンチに直面するたびに、ネイトは「ヤバい!」とか「マジか」とか「何でオレがこんな目に!」などなど、いろいろなセリフをボヤきまくりながら、ギリギリで切り抜けていく。さんざんボヤきながらも一生懸命駆けずり回るネイトを見ていると、つい感情移入してしまい、気付けばネイトといっしょに「ヤベ~~~~!」と叫ぶ自分がいる。シリーズ1作目で初めてネイトの姿を見たときは、「顔付きや髪型がやけに地味だな……」程度の印象しか残らなかったが、シリーズを重ねるごとに愛着が湧いてきて、いまでは大好きなキャラクターのひとり。ネイトはやけに人間味のある、新しいタイプの冒険ヒーローだ。

 ネイトの脇を固める登場人物もひと癖あるヤツらばかり。ネイトの相棒のペテン師サリー、男勝りなジャーナリストのエレナ、ネイトとサリーを付け狙う秘密結社の冷酷な女ボス、マーロウなどなど、個性的なキャラクターたちが織り成すドラマは、非常に味わい深いものとなっている。また、日本語版『アンチャーテッド』と言えば、洋画などの吹き替えで活躍している実力派声優陣による日本語吹き替えも見逃せないポイント。今回はシリーズ3作目ということで、キャラクターどうしの掛け合いの息もピッタリ。ベテラン声優陣たちの演技を見ているだけで楽しめる。やっぱり『アンチャ』の日本語吹き替えはサイコー!

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▲サリー役の千葉繁氏は、今回もハイテンション! 彼の演技が物語をグイグイ引っ張っていく。

簡単操作で楽しめる爽快アクション!

 さて、肝心のアクションゲームとしての感触をチェックしよう。本作は三人称視点のアクションゲームとなっており、基本的な操作方法は過去のシリーズ作品と同様、シンプルにまとまっているので直感的にプレイ可能。断崖絶壁をロッククライミングのように上ったり、大きな谷をジャンプで越えたりと、ダイナミックなジャンプアクションを簡単な操作で楽しむことができる。ゲーム中は、つぎに進むべき場所がすぐにわかるよう細かくカメラアングルが切り換わるので迷うことはあまりない。細かい部分まで行き届いた配慮がうれしい。

 敵と遭遇したら、おもに格闘攻撃と銃撃の2種類を使い分けて戦うことになる。敵との間合いが近いときは格闘攻撃が、相手が遠距離にいるときは銃火器による攻撃が有効だ。ステージによっては、敵に気付かれないように忍び寄り、格闘攻撃で倒すことで(ステルスアクション)敵の増援を回避できるので、ステルスで慎重に進むか銃を使ってバリバリ敵を倒しながら進むかはプレイヤー次第。個人的にはカメラアングルが調整され、より爽快感が増した格闘攻撃がお気に入りなので、なるべく格闘を使ってバトルを進めていくことにした。このように、プレイヤーの気分やプレイスタイルに合わせていろいろな戦いかたができるゲームデザインがおもしろい。

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▲敵がオブジェの近くにいるときに格闘攻撃をくり出すと、オブジェを利用して攻撃!
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今度の冒険はマジでヤバイ! 『アンチャーテッド -砂漠に眠るアトランティス-』プレイインプレッション_10
▲銃撃戦では障害物の影に隠れ(カバーリング)、敵の隙を突いて攻撃しよう。

“静”と“動”のステージ構成

 前作『アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団』では、のっけからダイナミックなアクションの連続だったが、本作の序盤は比較的落ち着いたトーンの場面が続く。前半のステージは、おもに主要キャラクターどうしの関係性を掘り下げる描写が多く、さらに古代遺跡での謎解きパズルが多めに用意されている。前作のオープニングのように派手なアクションを期待してプレイすると、やや肩すかしをされた感を覚えるかもしれない。

 しかし、ゲームの中盤でネイトが“ある決意”をしてから物語は急展開を見せる。それに呼応するようにアクションのスケールがさらにデカくなっていくのだ。前半のアクションを“静のアクション”とすると、後半はまさに“動のアクション”と言えるだろう。メリハリが利いたステージ構成がじつにいい感じ。後半のステージのアクションはいずれも迫力があり、ハラハラドキドキのシーンが、これでもかとばかりに続く。予測不可能なジェットコースタームービーのような展開にずっと圧倒されっぱなし。「このアクションのスケールこそ『アンチャーテッド』の醍醐味っしょ!」と、唸ることしきり。

 個人的には、前作『アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団』に登場した列車のステージ(Chapter13-暴走列車)は、アクションゲーム史上に残る名ステージだと思っていたが、本作におけるクルーズ船のステージは、列車ステージに引けを取らないデキ! ところどころ浸水しているクルーズ船は、その挙げ句に転覆するが、船が傾くたびにステージの地面がひっくり返ったり天井が逆さまになったりと大忙しなのだ。リアルタイムでダイナミックに形状が変化するステージは、『アンチャーテッド』シリーズのウリだが、クルーズ船のステージでは『アンチャ』の神髄が炸裂。アクションゲーム好きなら、きっと楽しめるはずだ。

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▲クルーズ船は1993年に発売されたスーパーファミコンの名作『セプテントリオン』を彷彿させる。

パワーアップしたマルチプレイヤーモード

 本作では、充実のストーリーモードに加え、PlayStation Networkを介したマルチプレイヤーモード(協力プレイ/対戦プレイ)も収録されている。マルチプレイヤーモードに関しては、2011年の夏に海外で実施されたオープンベータテストで触れただけだが、前作よりも大幅にパワーアップしている印象を受けた。ステージの高低差がより大きくなったことで、ジャンプアクションがより重要となった。ストーリーモードのアクション性が、マルチプレイヤーモードでも活かされる仕組みだ。これまで『アンチャーテッド』シリーズと言えば、ストーリーモードがクローズアップされることが多かったが、今回はマルチプレイヤーモードも腰を据えて遊べるモードとして力が注がれているようだ。マルチプレイヤーモードの詳細は不明なので、こちらは製品版で確認したいところ。

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▲移動するトラックの荷台を足場代わりに戦うステージも。落ちないように気を付けるべし。

さぁ、最高のアドベンチャーを体験しよう

 グラフィック、アクション、演出、ストーリー……どれをとっても一級品。本作は、プレイステーション3用ソフトの中でも文句なしに最高峰の完成度を誇るゲームだ。2011年の年末商戦は大作ソフトが目白押しだが、『アンチャーテッド -砂漠に眠るアトランティス-』は間違いなく“買い”な1本。幅広いユーザーが楽しめる内容となっているので、“洋ゲー(海外産ゲーム)”に苦手意識を持っている人にこそ遊んでほしい!

■筆者紹介 ヘイ昇平
週刊ファミ通編集部の編集者。『アンチャーテッド』シリーズは1作目からのファン。本作のストーリーモードはすでにクリアー済みなので、今日からマルチプレイヤーモードに挑戦。大好きなサリーのキャラクタースキンを装備してバリバリ戦うつもり。


アンチャーテッド -砂漠に眠るアトランティス-
メーカー ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン
対応機種 PS3プレイステーション3
発売日 2011年11月2日発売
価格 5980円[税込]
ジャンル アクション・アドベンチャー/冒険
備考 開発:ノーティドッグ