●日本展開の内容から将来の展望まで
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ネクソンとのパートナーシップによる日本展開が発表された、CCP Gamesのオンラインゲーム『EVE Online』。今秋のサービス開始がアナウンスされ、プレイヤーカンファレンスも行われたのだが、実際どういった形でサービスが提供されるのか? CCP Gamesでクリエイティブディレクターを務めるTorfi Frans Olafsson氏と、ネクソン側の担当である左留間正之氏に話を聞いた。
なお、既存のプレイヤーの多くが気にかけていたIDの扱いについては、「プレイヤーにまず最初にお伝えしたい」との意向もあり、すでに発表されている。その内容については文中で抜粋しているので、参考までにご確認頂きたい。
――まずは先日、プレイヤーカンファレンスを終えられて感想はいかがですか。
左留間 イベントの案内が直前になってしまったのですが、多くの皆さんにお集まり頂けたのが一番うれしかったですね。それと、日本でテーブルディスカッションが盛り上がるのか心配だったのですが、意見が活発に出ていて、フィードバックについては、今後の運営にも参考にしたいと思います。
Torfi 多くの人に来ていただいてすごくうれしかったです。我々がレイキャビクでやっているファンフェスタでもそうなのですが、プレイヤーがイベントで直接会ったりする様子を見るのは楽しいですね。
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――キーノートスピーチでもくり返し言及されていましたが、やはりコミュニティーを非常に重視しているのでしょうか。
Torfi その通りです。たとえ友達がいない時でも、『EVE Online』のほとんどの行動はプレイヤーである人間によって動いていますので。何かを売るだけでも、ビジネスをする相手は人間です。AIではなく人間の交流によって動く、本当の社会を模倣しているといってもいいですね。
――テーブルディスカッションでは、プレイヤーの皆さんが、新しくやってくるプレイヤーにどう定着してもらうか、そしてどう自分たちのコミュニティーに加わってもらうかということが活発に議論されていました。それにあたって、CCP Gamesの側でサポートすることはありますか?
Torfi 日本での正式サービス開始までに、新規ユーザー向けのFAQ、ゲームプレイガイド、ゲームの紹介などが含まれるスターターガイドを用意しています。その中では、もちろんコーポレーションの重要性や入り方などを説明しようと考えています。
また、新規プレイヤーにとっては、既存ユーザーのサポートが一番助かるものです。ゲーム内には日本語のヘルプチャンネルがありますので、新しいユーザーを助け、出会う接点としても活用してもらうとうれしいですね。それとEVEプレイヤーブログなど、コミュニティ側からの活動にも期待しています。また、プレイヤーのWikiでは、アライアンスとコーポレーションのリストがありますが、あれは我々が見ても楽しいものです。
●ローカライズの内容は?
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――EVE Gate(本作用のSNS)を日本語で提供する作業は進んでいますか?
Torfi はい。タイミングについてはちょっとお約束できないのですが、なるべく早く提供したいと思っています。
――日本語のクライアントについて、単語の種別ごとに日英どちらで表示できるか選べないかといった意見が出ていましたが、そういったことは可能でしょうか。
Torfi 実は、アイテムはどちらで表示しようとか、選べるようにするつもりです。それと、日本語クライアントというのはなくて、EVE Onlineクライアントの中に日本語が新しい言語の選択肢として追加される形になります。言語の設定を変えると再ログインは必要ですが再起動も必要無いですよ。
――すでにプレイされている方で、「これまで通りにプレイしたい」と考えている人もいらっしゃるようですが、ネクソンIDの取得は必須なのでしょうか?
Torfi はい、2012年4月1日からは課金・決済を行うにはネクソンIDを取得して頂く形になります。
※CCP Gamesから既存プレイヤー向けに行われた発表内容を抜粋
2011年7月7日、CCP Gamesと株式会社ネクソンは、日本地域におけるEVE Onlineの日本語版、および日本語での各種サービスの提供を目的とする共同配信(パートナーシップ)契約の締結を発表いたしました。本パートナーシップ契約においては、CCPがEVE Onlineのゲーム開発、サーバー運営、およびゲームプレイに関するカスタマーサポートを担当し、ネクソンがゲームの課金、課金に関するカスタマサポート、および日本地域におけるEVE Onlineのマーケティング、プロモーションを担当することとなっております。EVE Online の日本語版については、これまで、本プロジェクトにご興味をお持ちのみなさんから多数のお問い合わせをいただいております。これらのうち、最も頻繁にお問い合わせいただいている内容について、以下ご回答申し上げます。
課金、アカウントとユーザーIDについて
CCP、およびネクソンの両社が持つ長所を最大限に活かし、日本のプレイヤーのみなさんに最良のサービスを提供するために、2012年4月1日以降、ネクソンが、日本地域のすべてのプレイヤーに対するEVE関連サービスの課金・決済を担当することになります。わたしたちは、現在EVEをプレイしていただいているみなさんにおかけするご不便を最小限にとどめるため、ここに、現在の日本地域のプレイヤーのEVE Online アカウント、およびキャラクターが、2012年4月1日以降もそのまま維持されることをお約束し、また、ゲームクライアントへのログインや、その他のEVE関連サービス(EVE Gateやアカウント管理サイトなど)へのアクセスも、従来どおりEVE ユーザーIDを用いて行えるようになることを保証いたします。ただし、ネクソンの課金・決済、および課金に関するカスタマサポートを受けていただくために、日本地域の全てのプレイヤーは、2012年4月1日以降、追加で決済手続きを行う際にNEXON IDをご登録いただく必要がありますのでご了承ください。日本地域にお住まいの既存のEVEプレイヤーのみなさんにとっての変更点は、2012年4月1日以降、決済手続きを行う際に、ネクソンが提供する便利で安全な決済システムにログインして決済を行う手順が加わるということのみになります。この変更は、国籍を問わず日本に居住するすべてのプレイヤーに適用されます。
詳細については以下のリンクをご覧ください
https://point.nexon.co.jp/main/guide/guide/what.asp
言語オプションとサーバーについて
CCPは、日本地域のプレイヤーが、日本語以外にも、英語、その他CCPが公式にサポートしている全ての言語でゲームをプレイするオプションを今後も持ち続けることをお約束いたします。EVE Online日本語化の文脈では、”日本語版・日本語クライアント”という言い方がよく登場します。これは日本語専用のサーバーをご用意するということではなく、日本のプレイヤーもEVE Onlineの国際的なコミュニティの一員としてTranquilityサーバーで引き続き遊んでいただけるようになるということもあわせてお伝えします。既存の英語、ロシア語、ドイツ語をサポートするゲームクライアントの言語オプションに、新たに日本語が追加され、日本地域のプレイヤーは日本語版の正式リリース後にこれらの全ての言語オプションをご自由に利用できるようになります。
日本語化の現状と今後について
日本のプレイヤーのみなさんには、今年末までに日本語版をプレビューしていただける機会をご提供する予定です。現在わたしたちは、新開発のローカライズプラットフォームCerberus(ケルベロス)上で日本語版のテストを行いながらリリースに向けての準備を優先で行っております。今回のネクソンとのパートナーシップ契約により、既存のEVEプレイヤーのみなさんに、より多くのEVE関連の情報や、サポート、そしてイベントを提供することができるようになります。今後、数週間、数ヶ月間にわたり、日本語版プロジェクトの進捗状況や今後の展望について順次ご案内を行って参りますのでどうぞご期待ください。またこの度、日本語版プロジェクトに関してみなさまにご案内させていただきますことを記念しまして、現在EVEをプレイしていただいている日本のプレイヤーのみなさんに特別割引キャンペーンをご提供させていただきます。
いつもEVE をプレイしていただきありがとうございます。常に進化し続けるEVE Onlineにどうぞご期待ください!
よい宇宙の旅を!
CCP Games, Japan Team
●PS3、PS Vita、タブレット端末、ブラウザゲーム……広がる『EVE』宇宙の可能性
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――質疑応答でタブレットの話が出ていましたが、E3ではブラウザゲームなどの展開も話されていました。マルチプラットフォームで、この『EVE Online』の世界に関わっていけるようにしたいということなのでしょうか?
Torfi ご存知のようにこの世界は24時間動いている世界なので、なるべく多くのプラットフォームから、『EVE Online』のニュースや情報が得られるチャンスや、世界に影響するチャンスを提供したいと思っています。どう役立てればいいか技術研究をしている段階なので、具体的なところをお話することはできないのですが、活用していければいいですね。PlayStation Vita向けにも開発していますし、プレイステーション3なら『Dust 514』があります。来年は『EVE Online』と『Dust 514』が大きなトピックになると思います。情報のユーティリティであればスマートフォンやFacebookのアプリなども考えられますし、世界を広げていければいいと思います。
――夢のある話ですが、海外のタイトルだと「日本では利用できません」ということもしばしば起こります。『EVE Online』はこうしてやってこようとしています。『Dust 514』も、正式発表こそないものの、日本発売を検討されていることはお伺いしています。それ以外の流れに関して、日本でも利用できるようになるのでしょうか?
Torfi まだ具体的なものができあがっているわけではないので何とも言えませんが、ひとつだけ言えるのは、「日本では利用できません」ということはありません。アメリカでも、ドイツでも、ロシアでも、ここ日本でも、同じ体験を提供できることを目指しています。
●プロモーションの方向性、開発の方向性
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――『EVE Online』がこうして日本にやってきて、さらに来年以降その可能性が広がっていきそうな感がありますが、ネクソンさんでは本作をどうプロモーションしていくのでしょうか?
左留間 比較的カジュアルなタイトルを扱ってきたことから、これまでネクソンではマスマーケットに向けたプロモーションを展開して参りましたが、本作はもっとコアなゲームとなっておりますので、いままでとは違う方向性でプロモーションを行なっていければと思います。
――例えばハードコアゲーマーだけではなく、SFのハードコアなファンの方も好みそうという特殊性もありますが……。
左留間 そうですね。必ずしもコアゲーマーというわけではなくて、SFファンの方などにもうまくアプローチしていければと考えています。
――『Dust 514』に対応するための開発は進んでいますか?
Torfi うまく行っていると思います。2年ほど、ちょっとずつ進めてきています。エクスパンション(拡張パック)“Dominion”と“Tyrannis”も、ゲームプレイのレベルで見ると、じつは『Dust 514』と繋がっているものです。PI(Planetary Interaction)も同様で、惑星上のプレイを最近重視していまして、設備を整えたり、運搬をできるようにしたり、段階を踏んでゲームプレイのレイヤーを重ねていって、ちょっとずつ接点を整備しています。これは『Dust 514』の発売後も進めて行く予定で、『Dust 514』の1年後にはもっと関係が深くなっていると思います。夢は『Dust 514』の傭兵が宇宙に飛び出して、船を攻撃できるようにすることです。
――韓国で開発されて日本でサービスされているタイトルなどだと、アップデートがやってくるのが半年後といったことも往々にありますが、日本ではどうでしょうか?
Torfi アップデートの実施は、すべて共通のサーバー・クライアントを使っていますので、世界同時になります。マイナーなパッチなどは日本語化が間に合わないこともあると思いますが、基本的にはすべて同時だとお考えください。それと……じつはアップデートの時間を変えたので、日本の皆さんには有利になっていると思います。アメリカのプレイヤー達はまだ寝ていて、ヨーロッパの人が会社にいる時間帯にコアタイムでプレイできますので(笑)。例えばですが、メンテナンスが終わった後にゲーム内の資源/要素が復活していたりします。ですのでメンテナンス直後に重点的にプレイできる日本人プレイヤーには有利になることがあるのです。また、アップデート時のダウンタイム(サービス停止時間)も短くなっていますよ。
●年内にもう一度動きが?
――では最後に……日本語サービスはいつになりそうでしょうか? もう秋にしては寒くなりましたし、たとえば年内に何かもう一回動きはありますか?
Torfi はっきりしたタイミングは言えませんが、ずっとつきあってくれた既存のユーザーに、今年中に日本語クライアントを体験して頂けるようにできればと思っています。そこからは早いですよ。
――では最後に、既存のプレイヤーと、これから『EVE Online』をプレイしようという人にメッセージをお願いします。
Torfi まず最初に、『EVE Online』は大きな宇宙を持っていますが、プレイヤーがいなければ何もない寂しい世界です。ですので、既存ユーザーの皆さんがこれまでプレイしてくださったことに感謝致します。『EVE Online』では、フィードバックによって直接ゲームプレイに関わることができます。夢や希望でも構いません。ですので、これから日本語でフィードバックをどんどんお寄せください。さて、『EVE Online』は直線的なゲームではありません。大帝国を築いてもいいし、お金を稼ぐのでもいい。自由な世界ですので、遅れて入っていくことに躊躇する必要はありません。でも、広い世界にひとりで頑張り過ぎないで、コミュニティーに飛び込んで、友達を作ったり、コーポレーションに入ったりして、『EVE Online』の世界を楽しんでください。
左留間 日本での正式サービスが始まりますと、日本語のサポートも始まりますし、決済手段も増えます。正式サービス前後では積極的にプロモーションも展開していきますので、仲間を増やす大きなチャンスになると思います。これまで英語で、自由度が高すぎて、とっつきにくいという部分もあったと思うのですが、CCP Gamesさんと協力して、Webでの導入やFAQ、ガイドなどの充実をはかっていき、新規プレイヤーもしっかりサポートしていきますので、よろしくお願い致します。
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