●ついに発売! 世界が注目するSFアクションRPGの制作者が激白!
2011年10月20日にプレイステーション3とXbox 360で発売されたSFアクションRPG『Deus Ex(デウスエクス)』。ソフトの発売を記念し、本作の開発を務めたゲーム開発会社アイドス・モントリオールのジャンフランソワ・デュガ氏とデイビッド・アンフォッシ氏にメールインタビューを敢行。ゲーム開発中のエピソードや難所の攻略法、オーグメンテーションの強化方針などについて伺った。
『Deus Ex(デウスエクス)』ゲーム概要
近未来の世界が舞台のアクションRPG。何者かに襲撃され、瀕死に陥った主人公アダム・ジェンセンは“オーグメンテーション”と呼ばれる人体の機能を拡張する技術によって蘇る。自身の襲撃に関与した者を突き止めるべく、アダムは孤独な戦いに身を投じる……。
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――『Deus Ex(デウスエクス)』は日本に先駆けて欧米でリリースされましたが、各所でかなりの高評価を受けています(※週刊ファミ通のクロスレビューはプラチナ殿堂)。その反応を見てどのように思いましたか?
ジャンフランソワ・デュガ(以下、デュガ) すごくいい気分です! やはり4年間がんばって開発したゲームを、プレイヤーが楽しんでくれているというのは、最高のごほうびです。また、週刊ファミ通さんからもすばらしい評価をいただいたと知り、とても光栄です。日本のゲーマーの皆さんにも楽しんでいただけることを願っています。
デイビッド・アンフォッシ(以下、デイビッド) 私たちがゲーム開発に注いできた労力を考えると、高い評価を得られたことは最高の“ごほうび”で、チームの全員がとても誇りに思っています。また、ゲーマーの方々に作品がどう受け入れられるのか、とても期待しつつ不安でもありましたが、好反応なメールを数100通ももらいました。私たち開発スタッフ、そしてスタジオにとって特別な出来事ですね。
――本作はSFの設定が緻密に作り込まれているのが印象的です。建物の造りや部屋の調度品、オブジェ、広告、パソコンのメールなど、かなり情報量が多いと思いますが、苦労した点や見どころについて教えてください。
デュガ うーん……難しい質問です(笑)! アートディレクションと『Deus Ex(デウスエクス)』のゲーム体験をうまく作り出すこと、このふたつがもっともたいへんでした。プレイヤーに「時間をかけて探検し、アダム・ジェンセンになりきってください。そうすれば、『Deus Ex(デウスエクス)』の持つ充実した世界感を体験していただけるはず」と伝えたいです。
デイビッド 現実にありそうな世界観・近未来に仕上げることは、プレイヤーがどっぷりとひたれる世界を作るために非常に重要な課題でした。これを実現するため、コンセプトの段階からディテールにこだわりました。混沌とした雰囲気、偽物のブランドがいたるところにある、など。そして、プレイヤーが新聞、Eメール、電子ブック、テレビのニュースなどでこの世界の情報を十分に得ることができるようにしました。最終的には、プレイヤーが特に何かに注意を払う、ということがなければ、私たちが成功したということです。
――『Deus Ex(デウスエクス)』は、バトル、ステルス、ハッキング、ソーシャルという異なるアプローチで楽しむことができるゲームデザインがとても好評ですが、どんな意図があってこの形にしたのでしょうか?
デュガ とてもシンプルです。プレイヤーが、彼らの望むようにアダム・ジェンセンのファンタジーを生きるために必要なツールや手段を与える。プレイヤーに体験してもらい、クリエイティブに遊んでもらい、そして最終的にそれに応じた報酬を与えたい、それが私たちの考えです。
デイビッド この種のゲームデザインは、『Deus Ex(デウスエクス)』が誕生した2000年に作られたものでした! 『Deus Ex(デウスエクス)』の核となるこのゲームデザインを継承することは前作への敬意を示すこと、ファンに喜んでもらうため、そしてユニークな体験を作り出すためにとても重要なことでした。私たちが思うに、現在『Deus Ex(デウスエクス)』のようなゲームはほかにありません。プレイヤーが自由に遊べるよう、これをサポートするための開発とさまざまなメカニクスの統合が非常に複雑になるからです。
――本作では、プレイヤーが自由にアダムを強化することができますが、開発スタッフのオススメのオーグメンテーションや強化方針などを教えてもらえますでしょうか。
デュガ そうですね……ユーザーのプレイスタイルによるので、難しい質問です。私自身のことを言えば、ステルスが好きなので、クローク、スマート・ビジョン、ノイズ・フィードバックで強化するでしょう。また、ハッキングも充実させると思います。
デイビッド 『Deus Ex(デウスエクス)』には40以上の様々なオーグメンテーションが用意されていますが、その目的はゲーマーに好きなようにプレイしてもらうためです。よって、特定のオーグメンテーションがオススメということはありません。ただし、障害や困難な状況に陥るまで新しいオーグメンテーションの強化を待つ、というのが私の個人的な戦略です。
――同様に、開発スタッフオススメの武器の使い方を教えてください。
デュガ これもまた、プレイスタイルによります。戦闘をしたいのであれば、コンバット・ライフル、サブマシンガン、あるいは炸裂弾でアップグレードしたリボルバーなどパワフルな武器をオススメします。もしステルス重視でプレイするタイプならば、サイレンサー付きの銃、トランキライザーライフル、あるいはクロスボウでも。音を出さずに、致命的ダメージを与えることができます。
デイビッド 武器の数と種類は多く、またその上にひとつの銃に3つから4つのアップグレードが用意されています。プレイヤーには、たくさんの選択肢が与えられています。プレイヤーがどう遊びたいかによるので、特にオススメの武器はないのですが、できるだけ多くの弾薬を見つける、あるいは奪っておくことは重要!!! 絶対に必要になります;)
――バレットやフェドロワといったボスが非常に手強いですが、有効な戦い方などあれば教えていただけないでしょうか?
デュガ バレットの場合、忍耐力が必要です。隠れていること。また、部屋の中をよく調べて下さい。彼を倒すのに十分な武器や弾薬があります。部屋の中に配置されている爆発物を使うと、より大きなダメージを与えることができます。そして、バレットが手榴弾を投げてきたら(一度に3個)避けること。勇敢に立ち向かう必要はありません。フェドロワについては、彼女が襲ってきたら逃げること。彼女はとても強力なオーグメンテーション“タイフーン・エクスプロシブ(フェドロワを中心に全方位に爆発を起こす)”を持っています。彼女はこれを何度か使うと、姿を隠し回復しようとします。彼女を見つけ(水たまりを注意深く観察する、スマートビジョンを使う)、しばらく撃ってください。ただし、彼女は撃ち返してくるかもしれないので、気をつけること。その場合は、隠れてやりすごしてください。
もう一つの方法は、壁の電源ボックスを壊すこと。ただし、これは自分のライフバーが100%である時にやらないといけません。辛抱強く巧妙な方法でアプローチすれば、彼らを簡単に倒すことができます。何よりも忍耐力のテストですね。
デイビッド ボスにはすべて弱点があり、プレイのしかたによっては数秒で倒すこともできます;) ここでも、プラクシス・ポイントを残しておいて、ボスファイトで的確に使うことをオススメします。ふたつ目のアドバイスとしては、ストレスを感じすぎないこと! 時間を取って、周りを観察して下さい。プレイヤーを助けるためのツールが、ところどころに用意されています。
――キャラクターとの会話について質問です。会話の選択肢で同じものを選んでいても、結果が異なる場合があるようです。このゲームデザインの意図をお教えください。
デュガ 私たちが意図したのは、できるだけ現実味のあるキャラクターをつくること。キャラクターが何を言っているかきちんと注意して聞かなければ、とプレイヤーに思わせる、人間らしい“不可測性”を持たせることです。こういった設定でよくある、“ミニゲーム”的な単純なやりとりは避けたいと思いました。プレイヤーが現実世界に引き戻されないように、と考えました。
デイビッド こういった会話を、私たちは“ソーシャル・ボスファイト”と呼んでいます。Aを選んだらAの結果が出て、Bを選択したらBの結果が、そして最終的に何のチャレンジもなく回答が入手できる、という従来のゲームデザインを採用したくなかったのです。『Deus Ex(デウスエクス)』では中立的な会話を有利な方向に持っていくこともできますが、同時に不利になる結果を生むこともあるため、その状況に気を付けなければなりません。目の前の人を分析し、つぎにうまく進める方法を推測するのです。さらに、会話をどう終わらせるかによって、ゲームのその後の体験に影響が出ることがあります;)
――『Deus Ex(デウスエクス)』の開発期間はどのくらいかかりましたか? また関わったスタッフの数がわかればお願いします。
デュガ プロジェクトは2007年に立ちあがり、チームには100名以上のスタッフがいました。
デイビッド ゼロの状態から始めたので、とても特別なプロダクションになりました! スタジオ、チーム、テクノロジーと、すべてがゼロからのスタートでした……そう、私たちはクレイジーなんです。『Deus Ex(デウスエクス)』を復活させたことを誇りに思いますが、コンセプト段階で描いていた野望を実現することができたことも、同様に誇りに思っています;)
――ダウンロードコンテンツの予定はありますか?
デュガ 情報を楽しみに待っていてください;)
デイビッド 発表をお待ちください!
――最後に日本のファンにメッセージをお願いします。
デュガ ゲームは欧米ですでに発売され、日本でも近日中に発売されます。これまでのゲームへの反応は素晴らしく、日本のユーザーの皆さんにも楽しんでもらえればと思います! FPSとRPGの要素がうまくブレンドされたゲームで、プレイヤーには既成概念にとらわれず、自由に考えてプレイしてみてください。『Deus Ex(デウスエクス)』は、典型的な“洋ゲー”ではありません。ここにはたくさんの選択肢とそれによる影響や結果、そして哲学的テーマがあります。そして、私たちは実は日本の文化に大きな影響を受けており、『Deus Ex(デウスエクス)』にもそれが表れていると思います ;)
デイビッド 『Deus Ex(デウスエクス)』が完成しましたので、日本のゲーマーの皆さんにもこのユニークな体験を楽しんでもらえれば嬉しいです! そして、もうひとつ大事なメッセージ。『Deus Ex(デウスエクス)』のチームは、これからも協力してプロジェクトに取り組んでいきますので、よろしくお願いします。
※本ソフトはCEROにより"18歳以上のみ対象"の指定を受けておりますが、掲載にあたっては、ファミ通ドットコムの掲載基準に従い考慮しております。