●気になるシステムがついに初公開!?
![]() |
2011年10月15日〜16日の2日間、東京ビッグサイトで開催されているレベルファイブのプライベートショウ“LEVEL5 WORLD 2011”。同イベントでは、レベルファイブ初のSFサスペンスアドベンチャーである『タイムトラベラーズ』の体験版が初めて出展された。その『タイムトラベラーズ』体験版のプレイリポートをお届けする。
まずは、本作の概要からお伝えしよう。『タイムトラベラーズ』は、『428 〜封鎖された渋谷で〜』などの名作アドベンチャーゲームを手掛けたイシイジロウ氏の最新作。詳しくは、こちらの紹介記事を参照してほしい。また、“LEVEL5 WORLD 2011”の前に行われた“LEVEL5 VISION 2011”では、壇上に上がったイシイジロウ氏から「プレイアブルキャラクターである、5人の男女の運命が交錯するアドベンチャーゲーム」、「全編フルモーション、フルボイスでゲームが展開し、映画を遊ぶような雰囲気が味わえる」、「ゲームでしか実現できない物語になっている」といったキーワードが明かされていた。また、そこで公開されたトレーラーに入っていたのは、めまぐるしく変わる場面の中で、“あの日、キスをしていれば運命が変わったのかもしれない”、“あの引き金を引かなければ”、“あのドアを開かなければ”といったさまざまな“if”。また映像の終盤には、本作の主人公と言われる新道みことのセリフで「運命、変えられると思いますか? 変えてみたいと思いますか?」という意味深なメッセージが流れる場面も。そして、トレーラーが終了……と思いきや、「なんで私がこんな格好しなきゃいけないの!?」と身体にぴったりした宇宙服を来た新道みことの姿がおまけで登場した。いかにもSFらしい、あのシーンの意味はいったい!?
前置きが長くなったが、ここからは『タイムトラベラーズ』体験版のリポートへ。ちなみに、本作は当初発表されていたニンテンドー3DS版に加え、PSP(プレイステーション・ポータブル)版と、PlayStation Vita版の発売が発表されたが、今回出展されたのはニンテンドー3DS版だった。
![]() |
本作は、上画面で各キャラクターがアニメーションをする映像が描かれ、下画面では真っ暗なバックに文字が表示されるという、新たな形のアドベンチャーゲーム。体験版では、プレイ可能な5人の登場人物のうち、3人の人物の物語が展開された。“15:00 深瀬有理”といった文字表示の後に登場したのは、男子高校生の深瀬有理。その目の前には、新道みことがいる。しかも、彼女から「ねえ、有理。キスしよ?」といきなり衝撃の発言が! ドキドキしながらふたりの様子を見守っていると、“キスする”、“キスしない”という選択肢が現れる。しかも、画面の背景には6、5、4、3……とカウントダウンしていく演出も。どうやら時間制限以内に選択肢を選んでいくというシステムのようだ。ちなみに、この体験版では選択肢を選ばずにタイムアップを迎えることで、どちらの選択肢とも違う文章が現れる“第3の選択肢”が存在することが確認できた。……ここで有理とみことがキスをしたかは、実際にプレイして確認していただくとして、このシーンの後に有理のモノローグが入り、つぎの登場人物のシーンへと移り変わっていった。
![]() |
2番目には、“15:00 ルサンチ★マン”という文字とともに、コスプレをしているリアルヒーローの“ルサンチ★マン”が登場。何とも冴えない人物だが、彼の人となりはこちらの記事で確認してほしい。ルサンチ★マンに場面が移ったばかりだが、なんと彼は柄の悪い人たちに絡まれるという大ピンチの状況。ちょっと話題は変わるが、この絡まれるシーンも、前述の有理にキスを迫るみことのシーンも、すべてフルボイス、フルモーションで描かれている。3Dのキャラクターが滑らかに動きつつ、シーンの雰囲気を盛り上げるようなカメラワークが付くフルモーションは、まさに映画やアニメを観ているかのよう。さらに、声優さんによるフルボイス(モノローグ部分は文章のみでボイスはなかった)も、シーンの臨場感を高めてくれる。とはいえ、アドベンチャーゲームでフルモーション、フルボイスと言うと、くり返し遊ぶ中でのテンポの悪さが気になるところだ。しかし、そこはご安心いただきたい。Aボタンを押すことでボイスをカットすることはもちろん、一部のモーションもカットでき、くり返しのプレイも非常に快適に遊べそうな印象を受けた。……というところでルサンチ★マンの行く末も気になるが、その展開もお楽しみに。
![]() |
最後に登場したのは、女子アナウンサーの伏見雛。彼女は前述のふたりと違い、15:50といった少し遅い時間のシーン。そこで、彼女たちテレビクルーが“ビッグ”という大きな男に襲われる展開が描かれる。ここでも同様に選択肢が現れて……という展開になるかと思いきや、なんと伏見雛が襲われそうになった瞬間“謎の男の攻撃をかわせ!”という文字が現れる。続いて、ビッグがパンチをしようとした瞬間に画面に大きく“L”という文字が出現。これは、“QTE(Quick Time Event)”と呼ばれる、ゲームのイベントと連動してコントローラのボタンなどが表示され、その通りに操作していくというもの。『ゴッド・オブ・ウォー』などのアクションゲームに多い要素で、アドベンチャーゲームで採用されることはあまり多くない。そして、画面の指示どおりにボタンを押すと、見事に伏見雛がパンチを回避。その後もビッグの攻撃を回避したり、逆にスタンガンで反撃したりといった部分で、“QTE”が表示された。
そして、“QTE”のコマンド入力に成功すると、そのままシーンが進むのだが、本作の特徴は“QTE”に失敗したとき。コマンド入力に失敗すると、攻撃を避けられなかったシーンの映像が入ったところで、“TIME STOP”という文字が出現。続いて、ビデオテープが巻き戻るような演出とともに、“STOP”の文字が“TRAVEL”に変わる。……すなわちタイムトラベルである。演出同様にここで時間が巻き戻り、何事もなかったかのように伏見雛が登場したシーンに巻き戻る。なお、このコマンド入力に失敗した場合、下画面に“No.1 巨漢の襲撃”という文字が表示された。『428』で言うバッドエンドリストの通し番号のようにも感じられるが……? その後、3つの“QTE”に成功すると、“GOOD”という文字が出て、伏見雛やビッグのその後の様子が描かれて体験版は終了した。“QTE”は何度もやり直しできるものの、“GOOD”といった評価などに影響するのだろうか。ちなみに、3つの“QTE”を失敗した場合、一度も失敗せずに成功した場合、どちらも表示される文字は“GOOD”だった。これは体験版用の仕様かもしれない。
![]() |
以上で、今回のプレイは終了。まだまだシステムなどは未知数だが、単なるノベルゲームに終わらない片鱗、そしてタイムトラベルが大きく関わるといった要素は垣間見えた。『428』で先の読めないドキドキする体験をさせてくれたイシイジロウ氏。今度の新作でも、予測不能な展開はもちろん、これまでのアドベンチャーゲームにない、革新的な体験を味わわせてくれそうだ。
text by 世界三大三代川