『Demon's Souls(デモンズソウル)』(以下、『デモンズソウル』、『デモンズ』)から約2年。待ちに待った『DARK SOULS(ダークソウル)』(以下、『ダークソウル』)が発売になりました。本作は『デモンズソウル』のディレクター、宮崎英高氏を始めとするスタッフが手がけた新たな作品。続編だと思われるかたも多いようですが、続編ではなく、世界設定が異なる別の物語が展開します。とはいえ、基本システムは『デモンズ』をベースにしているので、『デモンズ』をプレイした経験があるなら、そのままこの世界に飛び込んで楽しめるでしょう。私もそのひとり。でも、想像していた以上のことが起こるはずなのでちょっとした覚悟も必要です。未体験の人は、……ええっと、かなりの覚悟が必要になると思います(笑)。それを含めて楽しんでください。なにしろ、巷では“難しいRPG”というイメージで語られる作品ですからたいへんなこともあるかもしれません。でも、ぜひ遊んでほしい作品です。必ず思い出深い作品になるでしょう。いろんな意味で(笑)。『デモンズ』経験者はもう味わえない“最初の”絶望感が味わえるのがうらやましいくらいです。

●まずはキャラクター作成から

 さて、プレイ・インプレッションなので、発売日に書ける範囲のことを書きます。じつは、仕事とはいえ2ヵ月ほど前からやり込んでいるので、ほぼすべての答えはわかっているんですが、それを語るのは無粋でしょう。ズルい気がします。どんな失敗も発見につながり、それがよろこびにつながるのですから、具体的に書くのはホントに序盤だけに留めます。

 最初は、キャラクター作成から始まります。自分のキャラクターの名前を決めて、容姿を決めて、そして“素性”……つまり、職業みたいなものを決めるわけです。自分の分身ですから、後悔のない容姿にしたほうがいいと思います。男性か女性も決めて、髪型も選べます。『デモンズ』より細かくなっているようですね。硬派なイメージのフロム・ソフトウェアのゲームにしてはすごいサービスです。何というか選択の幅が広がりました。ツインテールの若い女の子の萌えキャラだって作れます。顔も若く、若く……。色白に(笑)。いや、少し日焼けしてたほうが萌えるかな? 素性は、これまでの生い立ちみたいなもので、これまで何をしてきたのか、というイメージでしょうか。冒険が始まればレベルアップの際、パラメーターの調整が自分で任意にできるので、素性が魔術師でも、重い大槌を振り回すキャラにも育成できます。まあ、それだと最初のパラメーターの割り振りかたの関係で効率は悪いんですけど。取り返しが付かないものでもないので、あまり悩まず、自分に合った武器やスタイルを想像して決めるのがいいでしょう。「オレ、戦士ぃ♪」とか、「魔法使い~♪」くらいの軽い気持ちで。じゃないと、ゲームを始めるまで時間がかかってしかたがありません。私は3時間も悩み続けてました(笑)。でも、週刊ファミ通10月6日号の攻略第1回にも書いたのですが、容姿は、実戦には無関係ですがモチベーションには影響するんです。プレイを始めてだいぶ経ってから「やっぱり男がよかった」とか、「髪型はポニーテールがよかったかも」と思い出すと気になりだして、ヤル気がなくなったりするものですから……。さてつぎは、ひとつだけ序盤に持ち込めるアイテムである“贈り物”の選択。これは“老魔女の指輪”をチョイス。実戦には影響しませんが、ちょっとおもしろい効果があるのです。そして“素性”は“盗人”を選択。盗人は、初期装備として、贈り物としても選べる“万能鍵”を持っている。つまり、結果として贈り物をふたつ選んだのと同じことになるのでお得なのです。黒い火炎壺を選べば“デーモンの大槌”を入手できるという攻略を週刊ファミ通に載せておいてナンですが、私は実戦では大槌を使わないので必要ありません(笑)。持っていても宝の持ち腐れになっちゃいますので。

01
02

●ゲームスタートは北の不死院のチュートリアル

 キャラクター作成をすべて設定したら、ゲームスタート。美麗なムービーは雰囲気たっぷりです。不死の印のダークリングを持つ人間は、不死院に隔離されてしまうという、何ともやりきれない設定。に、しても、あんなに時間をかけてキャラメイキングでおめかし(?)したのに、亡者の姿でスタートじゃ、どんな顔してるかわからない(笑)。……もう、いきなり『ダークソウル』な感じに突き落とされてのスタートです。そして、それが最初のモチベーション「私の美貌を取り戻したい」につながってやる気にさせてくれるというワケです。ああ、そんな私に助け船が! 見知らぬ騎士がムービーの最中に落としてくれた死骸が目の前に。「フツー、死骸を落とす? これ私に食えってこと?」と、ふだんの私は思いませんが、不死院の私は「食べられるかなー」と思ったのでしょうか? 死骸を探っていると牢屋の鍵を入手できました。これで牢を脱出できるわけです。通路を進むと広場に出て、篝火を発見。これに火を灯してひと休み。ちなみに、この篝火システムは本作の目玉のひとつですね。マップがシームレスにつながった形になったので、遠くに行くためには中間地点が必要。篝火では回復ができたりするので旅の拠点として活用していくわけです。そして周辺を探索し、つぎの篝火を見つけ出し、活動エリアを広げるという……。ま、この北の不死院はあまり広くないので関係ないのですが、このシステムのありがたさはロードランという、このあと巡礼する土地を旅すればわかります。最初のエリアで「あってよかった」と思うでしょうし、中盤では「ないとムリだわー」と思うし、最後のほうでは「もうここを離れたいくない」と思うほどですから。

 途中で、不死院の騎士と出会ってエスト瓶をもらいました。これは回復薬みたいなものです。篝火で、回復効果のある薬(?)エストを補給できます。これがあれば、北の不死院のボス、不死院のデーモンも怖くありません。途中で盾と武器も拾ったし、地面の血痕に書いてある操作方法も読んで操作も会得し万全の状態で挑み、ギリギリで勝ちを収めて(笑)、最後の大扉の鍵を手に入れ、遺跡の先へ。なんとか脱出に成功したのです。チュートリアルのエリアですからこんなものです。なあんて、言ってますが、もともとアクションゲームはヘタなので、初プレイのときはドキドキだったし、かなりビビリました。最初からあまりにデカイ敵なので、アイツは!

03
04
05
06

●火継ぎの祭祀場に到着。ここは古の王の地、ロードラン!

 大カラスに運ばれるムービーのあと、たどり着くのはロードランという土地の火継ぎの祭祀場。ここからが本格的な冒険の始まりです。篝火が目の前にあるので、まずは休憩。機能が追加されていて、人間性というものがあれば人間に戻れるらしい、というので、さっそく、そぱの井戸の死骸にあった人間性を拾って使い、人間体=生者に戻りました。キャラメイクで作った美貌も戻りました。目の前にNPC(ノンプレイヤー・キャラクター)の“心折れた戦士”が座っているので話を聞き、自分の当面の目的は、2ヵ所にある“目覚めの鐘”を鳴らすことらしいと悟ると(心折れた戦士はハッキリ教えてくれないのです)、周辺の探索を開始し、城下不死街へ続く水路へ出かけていったのです。……と、発売日に書ける範囲はココまで。でも、これではあまりに序盤すぎるので、あとは、クリアーまでプレイしたトータルな感想などを書いておきます。ちょっと漠然としてますがごめんなさい。

07
08

●意外に懐の広いゲームだと思った

 私はアクションゲームがもともと得意ではありません。どちらかというとヘタです。けれどこのゲームを複数回クリアーしています(仕事ですからネ)。しかも、オフラインで(やむをえまい!)。つまり、やりかたを工夫すれば何とかなるゲームなのです。簡単ではないですが、力がないので知恵を使いました。たとえば、最初の目的地となる、ふたつの目覚ましの鐘までのコース。ひとつは、火継ぎの祭祀場から上のほうに進んだ先にあります。当然、鐘の前にはボス戦があります。もうひとつは、地下の下層を進んだ、さらに先のエリアのもうひとつ先のエリア。ふつうのアクションゲームをこなせる腕前があれば、上の鐘を鳴らしてから下の鐘を鳴らしに行くでしょう。けれど、上のボスに勝てない(泣)。なので、ボス戦はあきらめて下層へ進み、下層で拾えるアイテムや武器、防具、魔法などを集め、ついでにレベルアップもして下層のボス戦をやらずにまた戻り、上の鐘のボス戦に再挑戦。辛くも勝ち、ボスの莫大なソウルでレベルアップしてまた万全にし、再度下層へ戻ってボス戦という、回りくどいルートで攻略したのです。めんどうに感じるかもしれませんが、これもひとつの作戦といいますか……。楽しいのかと言われると、これがまた楽しい。アクションがヘタな私が、得意な人でも難しいと言われるボス敵に勝ったのですから、「してやったり」という感じですね。シームレスでつながったマップが本作の特徴ですから、これを活かさない手はありません。やりかたを好きに工夫できる自由度の高さが魅力なので、いろいろな攻略ルートを考えることができます。そしてそれは、難度が劇的に高くなる中盤以降に活きてくるわけです。本作は難しいゲームではありますが、決して間口の狭いゲームではありません。じつは、アクション好きも、理論派も楽しめる懐の広いゲームなのです。だいいち、アクションの操作はとても整理されていて簡単ですし。……使いこなせるかどうかがだけが問題なだけですから。でも、それも知恵で解決できますよ。たとえば自分にできるだけ合った武器を選ぶだけでもだいぶ違います。

09
10

●連続する緊張感と緩和、その中を長く旅すること

 遠くから見ると光っているのがわかるけど、近くになると建物の死角に入って見えない、というような絶妙かつ巧妙な位置にアイテムが置かれていてダマされるということは本作ではよくあります。また、ボス戦で勝てたときは、残りHPがギリギリだったり、エスト瓶の残りがあと1回だったりすることもよくあります。冒険中はつねに緊張してないと何が起こるかわかりません。いつ、大切なソウルを落とすかわかりませんし、人間性をぜーんぶ無くすかも。でも、安全地帯というのもあるので、ホッとする。このくり返しですね。とくに本作には、ジメジメした暗い世界だけでなく、広々とした明るい世界もありますから美しい風景を楽しむといいですよ。そして安全な場所で、作戦を練ったり、思いを巡らせたりして、また旅立つ。心に余裕を持つことが大事。とにかく「本作は一気に攻略するタイプのゲームではない」ということをプレイして痛感しました。本作をとてつもなく難しいと感じるとき、「自分は何かほかのゲームをプレイするスタイルで本作に挑んでいるのではないだろうか」と、思うことにしています。『ダークソウル』というゲームは、『ダークソウル』というゲームのスタイルでプレイするようにできているのです。当然。今日はこのエリアのあの角まで、余裕があるならつぎの篝火を見つけるまで……というスタイルで、毎日少しずつ冒険を進めていくと“心が折れる”ことも、(少しは)減る……かもしれません。本来、RPGを楽しむ、冒険を楽しむってそういうことですよね。

11
12

●残された未知の体験! マルチプレイが楽しみだ

 さて、製品版でないと楽しめないのがマルチプレイです。サンプルROMでテストサーバーにつなげても、あまりプレイしている人がいなくて、実際にどうなるかは、発売日にならないとわからないのです。こればかりは、制作者も同じでしょう。本作は『デモンズ』のシステムによく似ていますが、さらにさまざまなタイプのマルチプレイを選べるようになったので、プレイヤーのみなさんがどのよなものに興味を示すかによって自分の世界が変わってくる可能性があります。まあ『デモンズ』のように、初日に真っ黒(フィールドが強い敵だらけになる)ということはないでしょうけど(笑)。見知らぬ人と、同じゲームを体験するのは、勇気が湧くし、緊張するし、ハプニングもあるし、いろいろなドラマが生まれるでしょう。オフラインでのプレイとはまったく違うゲームに感じることを期待してワクワクしています。私のキャラクターがみなさんの世界におじゃますることがあるかもしれませんが、そのときはよろしくお願いします。ロードランでお会いしましょう! 

■筆者紹介 ノンマルト小林
ファミ通メディア編集部所属の編集者。エンターブレイン内の『ダークソウル』のプロジェクト・マネージメントを担当。じっくりできるゲームが大好きなので、その点では本作に向いていると思うのだが、アクションゲームが恐ろしくヘタ。でも知恵で乗り切るヒーローがいてもいいだろうと努力する。本作はひとことだと“難しい”となるが、正しくは“巧妙で絶妙な難度”のゲームだと思う。

DARK SOULS(ダークソウル)

メーカー フロム・ソフトウェア
対応機種 プレイステーション3
発売日 2011年9月22日発売
価格 7800円[税込]
ジャンル アクション・RPG / ファンタジー
備考  

(c)2011 NBGI (C)2011 FromSoftware, Inc.