●お待ちかね! 『ギアーズ オブ ウォー』三部作がついに完結!

 シリーズ完結作として、いよいよ発売となった『ギアーズ オブ ウォー 3』(以下『Gears3』)!! 『ギアーズ オブ ウォー』シリーズと言えば、過激でド派手なアクションが人気となり、第1作の発売当初からアクション・シューティングファンを唸らせ続けた名作。また、オンラインでの対戦&協力プレイが楽しい作品としても、なじみの深い人が多いはず。しかしながら、今回の『Gears3』はシリーズの完結作なのですから、本編のシナリオや人物、設定にも注目していただきたい! そんなワケで、初めての人や忘れちゃった人もいるかもしれないので、前作、前々作を踏まえた基礎知識を振り返りながら、本作の見どころを語っていきたいと思います!

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●人類VSローカストVSランベント……激戦の行方は!?

 まずは、少し長いですが人類とローカストの戦いの歴史について、おさらいしてみましょう。『Gears』シリーズの戦いの発端は、人類が住む惑星セラの地底から、謎の勢力である“ローカスト”が這い出し、戦いを挑んできたきたことから始まります。1作目ではローカストとの激闘が描かれ、それを一時的に退けるというお話でした。じつは人類にローカストが戦いを挑む理由は、よくわかっておらず、前作まではセラで発見された奇跡のエネルギー“イミュルシオン”が関係しているのでは? と匂わせる描写がある程度でした。

 そして『Gears2』では戦いを激化させる第3勢力、“ランベント”が登場。ランベントはローカストの突然変異体らしく、体から“イミュルシオン”が吹き出し、発光しているというおぞましい姿。さらにローカストにはあったはずの知性をまったく感じさせず、死をも恐れぬ凶暴性で、人類のみならずローカストからも恐れられているという存在なのです。彼らについても多くは謎に包まれており、ここでもイミュルシオンとの関係性が語られていました。どうやらイミュルシオンが、かなり物語の核心に触れるものであるようです。

 それらの鍵を握るのは、主人公マーカスの父で科学者のアダム・フェニックスと、ローカストの女王でありながら人類の女性と同じ姿をしたミラ。どちらも前作までは多くを語らず、アダムに至っては『Gears2』のエンディングで謎の言葉を残しているものの、『Gears3』の冒頭までは、死んでいるものとされていたぐらいです。つまり、いままでの戦いは謎だらけだったというワケですな。それらの答えは、完結編である本作にあります。ランベントと人類、ローカストの三つ巴の決戦が描かれ、それぞれ複雑に絡み合った謎が解明されていく……それが本作、『Gears3』なのです。

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●濃ゆいキャラクターたちの人間模様。戦いだけが人生じゃありません

 さて、シリーズの戦いの構図から、今度はキャラクターについてを紹介しましょう。前作のクライマックスで、最後の砦であった首都ハシントを陥没させてローカストとランベントを追い払ったマーカスとその一行。そのために人類の生き残りはわずかとなり、マーカスたちも大型船で海を漂いながら暮らす日々を送っています。この漂流船から本作の戦いは始まり、とある人物を捜しながら、マーカスたちは激闘をくり広げていくことになります。気を付けて見てみると船には手作りの菜園があったりと、なんだか妙に生活感が……。

 もちろん、おなじみの仲間たちもこの漂流船で生活をしています。元“スラッシュボール”のスター選手であるコールと、メカと悪態の天才であるベアードも然り。彼らの掛け合いは、本作でも味わえますよ。さらに新隊員のジェイソンとサマンサが加わり、戦闘の最中でも思わず吹き出してしまう会話が激増しています。お楽しみに! 新隊員といえば、前作まではオペレーターであったアーニャが本作では実戦部隊として配属されております。船の菜園同様、それほど人類は疲弊しているということなのでしょう。彼女に関して注目したいのが、道中の会話やイベントシーンで、「あれっ? マーカスとちょっと……?」的なやりとりがチラホラと……。ぶっとい首のおっさんたちだらけの水泳大会! ローカストのポロリ(クビとかモツとか)もあるよ的な話だと思っていたのに、3作目にしてラブい展開なのか!? キミの目で確かめてみよう!

 そうそう、人気キャラクターのコールにはステキなステージが用意されており、スラッシュボール(フットボールのような競技)のスター選手だったころの彼の活躍を楽しむことができちゃいます。また、各地で大歓迎を受けるので、コールのスーパースターぶりも感じられるはずです。小ネタですが、スラッシュボールのゲーム台が後半のステージにオブジェとして置かれているので、気になった人は探してみましょう!

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 もうひとり、忘れてはいけないのが、マーカスの幼なじみで彼がもっとも信頼する親友、ドムことドミニク・サンチャゴ。彼には悲劇的な過去があり、前作で妻のマリアがローカストに連れ去られ拷問によって廃人になってしまうというイベントがありました。さらに悲しいことに哀れな妻を解放すべく、ドムはみずからの手で銃を……。その衝撃的な事件は、本作でもドムにとって強烈なトラウマとなっており、オープニングムービーで察することができるシーンがあったりします。このムービーでドムの腕に妻マリアの名を入れ墨として掘っているのはサマンサ。これを踏まえて、物語後半のとあるシーンでベアードがサマンサにかける言葉の意味を考えると……いろいろ考えさせられます。ともあれ、今回はドムの活躍から目を離さないように。

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 ……そうでした! 目を離せないと言えば、カーマイン(笑)。ちょっと複雑なので説明をすると、カーマイン兄弟はシリーズを通してマーカスたちに同行する“戦死者枠”のキャラクター。1作目から“なんかコイツ死にそう”的な扱いで、期待を裏切らず戦死してきた人気(?)のキャラクターなのです。『Gears3』では4兄弟の長兄、クレイトン・カーマインが参戦。前作、前々作で参戦したふたり、アンソニーとベンジャミンとはうって変わって、筋骨隆々の歴戦の強者であるという設定。こ、こりゃあ、死にそうにないかも!? そんなクレイトンのブッとい右腕を見てみると、アンソニーとベンジャミンの名前とR.I.P.(安らかに眠れの意味)の文字が確認できます。弟思いのお兄ちゃんですな。イベントで大写しになるシーンがあるので必見ですよ!

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 このカーマインに関しては、Xbox LIVEで“『Gears3』でカーマインを生かすか? 殺すか?”という投票が行われていたほどの盛り上がりを見せていました。Xbox LIVEのアバター用Tシャツを購入することで投票でき、Save Carmineか、Carmine Must Dieと書かれたTシャツを購入すると1票を投じることができるというものでした(ちなみに売上金は全額寄付されたそうです)。こういうアホっぽいノリは大好きです(笑)。投票の結果では生かすほうの売り上げが多かったようですが、はてさて結果は……!?

 まだまだ、マーカスの父親であるアダムやローカストの女王ミラなど、シリーズの謎を解く鍵となるキャラクターはいますが、ネタバレになってしまうので、これらは割愛! 核心に触れずには書けないのでごめんなさい!! 個人的な見解ですが、じつはクリアー後でもいくつかの謎が残っていたりします。これは、もしかすると、スピンオフ作品などがあるのでは!? と、ちょっと期待してみちゃったり!

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●チェーンソーだけじゃない! 今回は銃剣でもオリャーッ!!

 さて、ストーリー的な話ばかりでは、アクションの名作である本シリーズに対して失礼。もちろん『Gears3』でもシリーズで培われてきた、ただ撃つだけではないステージ構成や、アクションそのものの豪快さと楽しさが受け継がれています。従来通り、驚かされる数々の演出のおかげで、グイグイと本作の世界へ引き込まれていきますよ。

 新種の敵では、ランベントが前作よりも大幅にパワーアップ! 種類や攻撃方法もどんどん進化しており、ダメージを受けてできた傷口から触手を伸ばして攻撃してきたり、本体を倒しても触手だけで這い回って襲ってきたりと、いままでにない恐怖を体感できます。新たな武器の追加や従来の武器の調整もされており、とくに新武器のレトロランサーは格闘攻撃の突進が豪快。対戦プレイでも猛威を振るいそうです。

 対戦といえば、ネットワークでのモードもパワーアップ。今回の注目は、やはり新モードの“BEAST”。プレイヤーがローカストの兵士やクリーチャーとなって、コンピューターが操作する人類側を殲滅するというモードなのですが、これが楽しい! ローカストの兵にはそれぞれ個性があり、見た目がクリーチャーなら、攻撃もそのまんま怪物らしいものになっています。豪快に爪を振り下ろしたり、噛みついたり! 人型でないタイプも多いので、想像を超えた戦いかたが楽しめるのが魅力です。ひとり用をプレイしてみた感じでは、素早く走り回って攻撃できるブラッドマウント、まんま見た目がムカデで硬いが弱点が尻尾にあるジャイアントセラピード、豪快な爪攻撃とセコイ回復潜りが、なぜかかわいいコープサーなどが楽しかったです。前作に登場している敵もいるので、「ローカストの視点ってこんな感じなのか!」と確認できるだけでも、ファンにはうれしいかも。とくにベルセルクは、視界は狭いが突進で敵を一掃できるという、そのまんまの設定で遊べ、これは熱くなれました(笑)。うまく当てられれば人もバリケードも機銃も一瞬でブッ飛びますよ!

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 BEAST以外にも、前作で人気だった協力モード“Horde”が、よりパワーアップ。大きな変更点として、バリケードなどの障害物を配置できるようになり、敵の苛烈な攻撃をせき止めることができるようになりました。この障害物は、戦闘やさまざまな行動で稼いだコストを使って、個人ごとに設置することができます。みんなで相談しながら、手薄な場所を強化していくことで、より連帯感のある戦いかたが堪能できるわけです。いやあ、みなさんと協力&対戦できる日が楽しみですな。

●今回も泣ける! 感動のエンディングでキミは何を思うのか!?

 シナリオ面でのクライマックス感とアクション面の堅実なバランス調整、そしてオンラインの充実ぶり。スキのない完成度で送るシリーズ完結作だということは間違いないです。とにかく、シリーズを愛してやまないプレイヤーの方々はもちろん、Xbox 360を持っていて『Gears』シリーズをプレイしていない人にも、ぜひオススメしたい作品です! そして、アイツのことを、ときどき思い出してあげてください。……ムチャしやがって(涙)。

■山本ペンキ
元週刊ファミ通編集者にして、洋ゲー&歴史系ゲームが大好きなフリーライター。シリーズを通してのドムのついてなさに自分を重ね、ついつい涙もろくなってしまうオイラなのです(今日のわ○こ風に)。だけど、コールのつぎにケツに銃弾をブチこんでしまったのも事実。「特攻してこっちの射線に入るのが悪いんじゃボケ!」と思いつつも、その哀れな境遇にドムかわいいよドム。発売後は、もっとお尻の穴を増やしてあげるからね。……ん? なんかアレな感じ?