●あらゆるフィールドに打って出る!

 東京ゲームショウ2011開催前夜の2011年9月14日に、メディア向けプライベートイベント“GRASSHOPPER 1st COLLECTION”を開催。ゲームショウでは自社開発タイトルとなる『シャドウ オブ ザ ダムド』(PS3、Xbox 360/9月22日発売予定)、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版-サウンドインパクト』(PSP/9月29日発売予定)、『Diabolical Pitch(ディアボリカル・ピッチ)』(Xbox 360/2012年発売予定)、『LOLLIPOP CHAINSAW(ロリポップチェーンソー)』(PS3、Xbox 360/発売日未定)をプレイアブル出展。さらに一般公開はなかったが、『SINE MORA (シネモラ・仮題)』(PS3、Xbox 360/発売日未定)と『BLACK KNIGHT SWORD(ブラック・ナイト・ソード)』(PS3、Xbox 360/発売日未定)のメディア向けプレゼンテーションも実施。グラスホッパー・マニファクチュアが個性的な注目作をズラリと揃え、精力的に動いている。そこで東京ゲームショウ2011の会期中に、同社CEO/ゲームデザイナーの須田剛一氏にインタビュー! タイトルラッシュとなっているグラスホッパー・マニファクチュアのあれこれについて聞いた。

グラスホッパー・マニファクチュア
CEO/ゲームデザイナー 須田剛一氏

−−ゲームショウの開催前日に、プライベートイベントを開催されましたよね。海外メディアも呼んで、非常にリラックスした雰囲気で行われたイベントでしたが、じつは新規発表もしっかりと用意されていて。とくに印象的だったのが、モバゲーオープンプラットフォーム向けへのタイトル展開です。この意図は?
須田 ウチの印象は、コアなゲームをコンシューマ機向けに開発していて、ソーシャルゲームとは真逆にいる会社、という印象が強いかもしれません。ですが僕自身は、自分たちのIPをプラットフォームを問わず、幅広く展開していきたいと思っています。一方のDeNAさんも国内だけでなく、海外でも精力的に展開したいと考えられていた。ラブコールを受け、いろいろとお話をさせていただいて、今回、そういった宣言をさせていただきました。

−−国内はもちろん、海外でも勝負する意気込みで、グラスホッパー・マニファクチュアらしいソーシャルゲームを作る、と。
須田 そういうことです。グローバルなApple StoreやAndroidのランキングに、僕らのタイトルが名を連ねるような状況にしたい。そういう思いが強くあります。日本のゲームを、世界に向けて発信する。コンシューマはもちろんのこと、モバイルの分野でもそれを実践していきます。

−−3タイトル(『FROG MINUTES for モバゲー(仮題)』、『人間 vs. ゾンビ(仮題)』、『エイリアンバスターズ(仮題)』)発表しましたが、開発状況は?
須田 今年中には、より具体的な発表ができると思います。ソーシャルゲームですから、テンポよくリリースしていきたい。毎月タイトルを発表するくらいにしたいですよね。会社としてもそこに特化した部署を立ち上げて、社内で開発する体制を作りました。

−−それからコンシューマ機の展開ですが、今年はタイトルの露出が非常に多いですよね。ゲームショウのタイミングで、発売間近のタイトルに加え、新作もお披露目しましたし。
須田 そうなんです。この時期に、これだけタイトルが集中したのは初めてです。初めての試みとして、『BLACK KNIGHT SWORD(ブラック・ナイト・ソード)』と『SINE MORA (シネモラ・仮題)』はゲームショウ期間中、メディアの皆さんに向けたプレゼンテーションを行ったのですが、反応は上々でした。『BLACK KNIGHT SWORD(ブラック・ナイト・ソード)』は完全内製のダウンロードタイトルで、ディレクターの山崎は昔から僕といっしょにいるスタッフなのですが、彼の頭の中にある世界が描かれています。絵を書いているスタッフとの相性も非常にいいんです。このタイトル、ウチの中堅どころの、成熟しているスタッフたちがチームを組んでいるのですが、開発チームの雰囲気がすごくいいんです。楽しそうで。うれしいことなんですけど、僕はちょっと悔しいんですよね(笑)。そのチームの一員になりたい、みたいな。

−−(笑)。あの世界観とかキャラクターとかアイテムとか、飛び抜けてますよね。グラスホッパー・マニファクチュアらしい世界観で、秀逸なナレーションや紙芝居風の演出の味付けが目を引くけど、中身は王道の2D横スクロールアクション。すごく印象的です。
須田 じつは最初は51言語に対応することを目標にしていたんです。そんなゲーム、ほかにはないと思ったんですよね。ダウンロードタイトルなので、いろいろな人に遊んでもらえますし、ギネスブックにも載れるかもしれない。最終的にその数は減ってしまったのですが、ボイスも含めて10以上の言語に対応しようとがんばっています。

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−−期待してます(笑)。それから『Diabolical Pitch(ディアボリカル・ピッチ)』ですが、kinectならではの突き抜けた"バカゲー"をマジメに作り込んだ、といった印象を受けましたが(笑)。
須田 主人公は、豪腕で鳴らしたものの、肩を酷使しすぎて壊してしまったメジャーリーグのピッチャーです。苦悩する彼が肩を直すことができるという不思議な遊園地に迷い込み、そこでキモカワイイキャラクターたちを相手にボールを投げまくります。kinectなので実際に投げる動作をするのですが、狙った方向にちゃんと球を投げられます。魔球もあって、両手を上に突きあげて、タイミングよく振り下ろす……といったアクションもあります。ふたり協力プレイもあって、手を重ねてポーズを取って、いっしょにスペシャルな魔球を打ったり。きちんとデザインしていますし、ゲーム後半は難度が高くて、ガチで難しいです。僕にはクリアーする自信がありません(笑)。それくらいやり応えもあるゲームです。1日100球を目安に、肩を壊さない程度に遊んでください。

−−そこ重要ですね(笑)。発売を楽しみにしています。
須田 ちょうど2年前のゲームショウ後に、マイクロソフトさんと食事をしている際にアイデアを思い付いて、その場でオーケーをもらって、企画が動き出したんです。翌年のゲームショウでPVを公開して、今年はプレイアブル出展できました。2012年のなるべく早い時期に遊んでいただきたいと思っています。kinect専用タイトルで、マイクロソフトさんからリリースされます。

−−『LOLLIPOP CHAINSAW(ロリポップチェーンソー)』もプレイアブル出展されました。
須田 おかげさまで非常にいい反応をいただいて、海外メディアの評判も上々のようです。日々バージョンアップしている状態で、これからもっとよくなりますから、ぜひご期待ください。

−−最後に、せっかくなので、今後のグラスホッパー・マニファクチュアの戦略についても教えてください。
須田 会社の社名にも由来しているのですが、グラスホッパーは"バッタ"という意味なんです。バッタって、緑がある場所ならどこにでもいますよね。それと同じで、ゲームができる環境があるなら、そこでは僕らのゲームが必ず遊べる状況にしたいんです。そういう考えで、モバイルだったりダウンロードゲームに挑戦していますし、今後も新しいフィールドにどんどん進出していきたいと思っています。じつは、ゲームショウのあとにもいくつか発表が控えています。もっと皆さんを驚かせたいと思っていますので、注目していただけるとうれしいです。皆さん、よろしくお願いします!