2011年9月15日から18日まで開催中の東京ゲームショウ2011。エレクトロニック・アーツのミリタリーFPS(一人称視点シューティング)『バトルフィールド3』もセガブースに試遊台が出展され、コアなゲーマーの注目を集めている。すでにE3などで圧倒的な評価を得て、今年最高のゲームの候補に上がることも多い本作を、FPSライターはどう見るか? スオミ松崎によるシングルプレイのキャンペーンモードと、Co-op(協力プレイ)モードのリポートを、本作を開発したDICEのスタッフへのインタビューとまとめてお届けする。
●シングル&マルチプレイは乾いた緊迫感
ドモー、スオミ松崎です。いやー、久々にバトルフィールドシリーズのナンバリングタイトルが出るってことでワクワクしていたのですが、東京ゲームショーにてシングルプレイヤーモードと協力プレイモードで遊ばせて頂きました! 最初にプレイしたのは先日新たなトレイラーがリリースされ、存在が明らかとなったキャンペーンモードのミッション“Operation Guillotine”。
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夜間に行われる作戦で、最初は市街地の(恐らく)外れにある丘に身を潜め、司令部からの作戦開始の合図をジッと待つ。すると、突然味方から迫撃砲を渡され「なんぞや?」と思っていると作戦開始の合図。突如として丘を駆け下りる味方兵士たちに若干気圧されながらも慌てて追いかけていくボク。走りながら「あぁ、夜景が綺麗だなー。お! 木々が風で揺れている。細かい演出だねぇ」などと本作で使用されているFrostbite2エンジンの誇るパワーを楽しんでいると、味方の兵士が声を張り上げながら「Incoming!」。と、突然前に閃光とともに爆発音が響きわたり味方の兵士が派手にブッ飛ぶ。このとき、人生で初となる素で「アワワ」と言っていたことを教えてもらいましたが、そりゃなりますよ、これがリアルだったらビビってオシッコ漏れるって。
無駄に蛇行しながら丘を駆け下り、目的地のマーカーが表示されている場所へと到着。すると、最初に渡された迫撃砲をセットしだす自キャラ。仲間が駆け寄ってきて弾頭を筒へと流し込み「ズシンッ」といった重低音とともに照明弾を敵の制圧地域に向けて飛ばす。そして味方を足場に壁を乗り越えさらに傾斜を下ろうと走りだした矢先、目前にある橋にアンブッシュしていた敵から一斉射撃を見舞われる部隊。とりあえず身を隠すべく岩に隠れ、たまに頭を出してはセミオートで敵の頭を狙い撃ち、ひとり倒す毎に隠れる戦法で難を逃れる。いやはや、さきほどの砲撃に比べれば敵が見えるから冷静に動けるもんですね。
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「これ以上は進ませんぞ!」と現地語で言っているであろう敵対勢力を味方と一緒に蹴散らして進んでいると、高台に敵が土嚢を積みあげており、強固な陣を築いている。真正面から撃ち合うと立ち位置が不利なので、手持ちのグレネードを投擲。1発目は大きく敵の方向に反れたらしく効果ゼロ。2発目はだいたいの位置を調整し、身を隠していた壁からソーッと顔を出すとドンピシャだった模様。爆発で吹き飛ばされる兵士が数名見えました。まさにビギナーズラック。
市街地へと歩みを進め、ようやく居住エリアへの侵入に成功。ここからは近接戦闘が多数発生するエリアなので一瞬たりとも気が抜けない。普段の仕事では見せない慎重さで通路や部屋をクリアリングしながら進んでいくと、目の前に閉じた扉が。映画のワンシーンのように蹴り開けようとした瞬間、なぜかボクの立っている側へと開く扉。ドアにふっ飛ばされスローモーションになり、扉の裏に立ちふさがる敵を視認。完全に虚を突かれた状況。が、慌ててトリガーを引きっぱなしにしていたのが幸いし、出現した敵を蹴散らすことに成功。ゲームとはいえ生きていることに感謝しました。そして味方部隊と合流し、ハンヴィーに乗り込み移動。といった感じで若干長文になりましたが触ることができたミッションはこんな流れとなっていました。
実際にプレイしてみた感想ですが、“より戦争らしくなった”という感じ。『バトルフィールド:バッドカンパニー』シリーズと比較するとコメディ要素が無く、ストイックになった印象が強い。いわゆる派手派手な映画スタイルではなく、淡々と物語が語られる『バンド・オブ・ブラザース』や『ブラックホークダウン』、『ジェネレーションキル』といった映画やドラマを見ているのに近いかな? まだゲームの一端しか見れていないので断定はできないけどね。
使用できる銃器のリコイル(射撃時の反動)はあまり強くなかった印象。ちょっとブレるなぁと感じてもタップ撃ちをするかセミオートに切り替えれば制御できました。銃器のバランスはマルチプレイヤーモードと異なる可能性があるので確実なことは言えないけど。
そして忘れてはならないのがFrostbite2エンジンによる脅威のグラフィック。今回は夜間での戦闘だったので、マズルフラッシュなどによる瞬間的なライティングが美しく、また飛び交う曳光弾の量にウットリ。「夜景の見える綺麗な景色でプロポーズして欲しいの」なんて夢見がちな彼女が居る読者は、ぜひ大画面で『バトルフィールド3』の夜戦を映し出し、飛び交う曳光弾や敵兵士をバックに結婚を申し込んでみてはどうだろうか? 直前に一緒に協力プレイをしていれば吊り橋効果があるかもしれないヨ(失敗しても責任は取りませんが)!
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最後にプレイしたのが協力プレイモード。これはムービーなどで見た読者も多いと思うが、夜間の市街地で囚われの身となっているVIPを発見し、部隊の待機地点まで護送。ハンヴィーに乗り込み指定された場所まで移動するのが目的。
これが、難度がキャンペーンに比べてちょいと高い感じ。敵がビルのテラスなどのパッと見で分かりにくい場所から銃撃したりロケット砲を撃ちこんでくるのが恐ろしい。このへんは上にも書いた『ブラックホークダウン』を見た読者は分かると思うが、味方部隊と車両で移動しているときに、敵がどこから攻撃を仕掛けてくるかわからないのが恐怖感を倍増させてくれる。右に敵を見かけた! と思って銃座を回転させると左からも攻撃されるといった展開が多く、仲間と声で連繋をしなければ攻略は難しいなと実感。幸い一緒にプレイした編集部員とは序盤こそバラバラだったものの、中盤からはお互いの立ち位置を気にしたり見る方向を報告するといったスキの無いスタイルを構築できたのでメチャクチャ楽しかったです。ひとつのミッションのボリュームも結構長かったので、対戦より協力プレイが好きな人でも楽しめるんじゃないかな?
まだまだ開発途中のバージョンとのことで、若干処理落ちするところもあったけど、それを余裕で補える戦争感というかスケール感をビシバシと感じることができました。残念ながら多人数対戦可能なマルチプレイヤーモードはプレイできなかったけど、ぜひ製品版ではアドレナリンが噴出するようなデキになるよう期待しております!
●そういえば海での戦いはどうなる?
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日本語版の発売も11月2日に決定している本作だが、DICEからプロダクトマネージャーのグスタフ・エネクル氏が東京ゲームショーに合わせて来日していたので、本作の魅力などについてインタビューをしてきました。
――本作の一番ポイントになる部分を教えてください。
グスタフ とにかく『バトルフィールド2』のちゃんとした続編を制作したかったというのが大きいですね。『バトルフィールド2』に足りなかった部分を追加したり改善するには新たな技術が必要だったので、Frostbite2というゲームエンジンを開発したのもそのためです。
――『バトルフィールド2』以降はサブシリーズの『バッドカンパニー』などでFrostbiteエンジンを使用していましたが、『バトルフィールド3』のクオリティーを実現するためにはFrostbte2エンジンが必要だったということですね?
グスタフ その通りです。『バトルフィールド2』と『バッドカンパニー』のあいだに最初のFrostbiteエンジンを作りましたが、より強力なエンジンが必要だと判断したため、新たにエンジンを用意したのです。今回は非常に広いマップで、かつ建物を破壊することが可能になりましたが、それを実現させるには新たなエンジンが必要になりました。
――以前に公開されたトレイラーではM136 AT4を建物に撃ち込み、倒壊するといった演出が見られましたが、あのような豪快な演出が多いのでしょうか?
グスタフ 破壊要素についてですが、キャンペーンモードでは、プレイヤーを感情移入させ、揺さぶる要素として取り入れています。一方マルチプレイヤーモードでは、ビルに撃ちこんで倒壊させるといった演出だけではなく、上手に利用すれば戦略的に有効な手段となるようにゲームバランスとマップバランスを調整しています。
――E3やGamesConなどで色々な賞を取り、日本でも過去のシリーズ以上に高い注目を集めています。なにか反響の高さというのは実感されていますか?
グスタフ とても強く感じています。今回の東京ゲームショーでプレイしている反応を見たり、遊ぶために列を作って待って頂けているのを見ると感激しますね。
――PC版の『バトルフィールド2』のときは、プレイヤーがマルチプレイヤーモードを遊んでいるのをリプレイファイルとして記録して、自由に過去の戦いを見られるようになっていました。その結果、ユーザーのコミュニティーがスーパープレイムービーなどを作成していました。『バトルフィールド3』でも同様の録画機能は搭載しているのでしょうか?
グスタフ 『バトルフィールド2』のときにプレイヤーの皆さんが作成した素晴らしいムービーを動画サイトで見たときは本当に感激しましたね(笑)。リプレイ機能はコミュニティーの皆さんが楽しむためには重要な要素だと思って検討していますが、現状では発売日に提供できるといったことはありません。これはFrostbite2エンジンがとても複雑なのが原因となっています。
――シリーズの処女作である『バトルフィールド1942』では海戦のみのマルチプレイヤーマップがあり、戦艦大和や潜水艦といった、以降のシリーズでは見られない大型の兵器がありました。今回の『バトルフィールド3』では、戦艦などが活躍できるような海戦マップはあるのでしょうか?
グスタフ 正確な事はちょっと申し上げられませんが、今回のバトルフィールド3では過去の1942や1943に登場したウェーク島や、『バトルフィールド2』で人気の高かったカルカンドというマップを提供していく予定です。もちろんFrostbite2用にリメイクしたものですよ。ゲーム中には海戦用の兵器も出てくるのですが、まだ情報を出せる段階ではありません。
――『バトルフィールド3』では、サッカーゲームのFIFAからモーションエンジンを導入したことにより、他のどの作品よりもリアリティーのあるキャラクターの動きが見られます。しかし、なぜDICE社内にある過去の資産ではなく外からテクノロジーを持ってきたのでしょうか?
グスタフ EA社内にすでにある世界最高クラスのアニメーション技術を借りることで、(DICEが強い)ゲームエンジンや内容の制作に多くの時間を割くことができるからです。
――プレスリリースには陸海空のすべてが舞台と書かれています。これはシングルプレイヤーだけでなくマルチプレイヤーでも同様なのでしょうか?
グスタフ はい。シングルプレイヤーモードでもマルチプレイヤーモードでも同じ体験をしてもらいたという考えがあり、すべてのバリエーションを両モードで遊べます。『バトルフィールド』シリーズというとマルチプレイヤーモードで搭乗兵器で遊ぶというイメージが強いのですが、もちろんシングルプレイヤーモードでも同様に搭乗兵器に乗り込むことが可能です。
――ダウンロードコンテンツが用意されていると聞きますが、どれくらいの頻度でリリースを予定しているのでしょうか?
グスタフ わたしたちDICEの基本方針は、ひとつひとつのタイトルをずっと丁寧にサポートしていくということです。昨年も、『バトルフィールド2』や『バトルフィールド2142』のアップデートのパッチをリリースしたほどです(笑)。ダウンロードコンテンツについて現段階でお話できるのは、年末にリリースを予定している“バック・トゥ・カルカンド”ぐらいですね。これはただのマップパックではなく、新たな兵器などを盛り込んだ内容となります。
――最後になりますが、日本のファンにメッセージをお願いします。
グスタフ 東京ゲームショーで日本のゲーマーをがプレイしているのを見れてスーパーハッピーです! 皆さんが『バトルフィールド3』を心待ちにしてくれているのを感じることができ、本当に嬉しく思っています。アイラブジャパン!!!