●真剣ソーシャルゲームしゃべり場!?

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 2011年9月15日より開催中の東京ゲームショウ2011。開催2日目、グリーブースでソーシャルゲーム業界の現役クリエイターたちによるパネルディスカッションが行われた。芸者東京エンターテインメントの田中泰生代表取締役社長がモデレーターを務め、グリーの吉田大成氏(執行役員)、セガの椎野真光氏(第一CS研究開発部 プロデューサー)、スクウェア・エニックスの安藤武博氏(モバイル事業部 プロデューサー)、コーエーテクモゲームスの松枝正樹氏(ネットワーク本部 ソーシャルゲーム開発部 マネージャー)がパネリストとして参加。“ゲームユーザーはどこに向かうのか?”をテーマに、ざっくばらんなトークが展開された。

 ステージに登場したパネリストの田中氏は、まずは自前のカメラで客席と司会役のお姉さんをパシャと撮影するユーモアを見せる。その後、パネリストの4人をステージに招きいれると、「皆さんも会場に来てビックリされたと思いますが……グリーブースデカい(笑)!」と率直なコメント。これに対し、吉田氏は「気合が入っていますからね。いまの時代の象徴になれるようにとブースを出そうと思ったんです」と、東京ゲームショウ初出展の経緯を説明。すると田中氏、「グリーブースはコンパニオンも気合入ってますね(笑)」と返すなど、和やかなムードでディスカッションはスタートした。

 まず、“ソーシャルゲームは運営が大事と言われるが?”というテーマから。「運営もそうですが、ソーシャルゲームと家庭用ゲームはどこが違うと思いますか?」と田中氏。話を振られた吉田氏は「僕自身、コンシューマゲームに携わったことがないので比較は難しいですが……運営方法はたしかに違いますね。ただ、決して運営だけを考えているわけではなく、ゲームの企画もしっかりと考えて作っています。フラッシュのクリエイティブやゲームバランスもこだわっています」とした。すると安藤氏が「『探検ドリランド』って最初にあったドリルがなくなりましたけど、どうしてコンセプトがかわったんですか?」と質問。椎野氏も「たしかに家庭用ゲームではない話なので気になりますね」と気になる様子だ。これについては、「『探検ドリランド』は、『釣り★スタ』のつぎに作ったタイトルなんです。同じようなゲームモデルでもイケるのか試してみたタイトルなのですが、始まってみるとほかのタイトルと比べて仲間とのつながりが強かったので、現在の形がベースになりました」とのこと。それを聞き、「ソーシャルゲームはいまバトルものが流行っていますが、その旬が変われば要素を変えることもあるんですか?」と安藤氏の問いに対しては、「ユーザーの反応を見ながら、その都度変えていくことはあると思います」(吉田)。続けて椎野氏が吉田氏に聞く。「『探検ドリランド』のCMが、いますごい勢いで流れていますけど効果はいかがですか?」と。椎野氏から投げられたこのボールに対し、吉田氏の回答はこうだった。「弊社でCMに関するデータをとっていますが、『探検ドリランド』のCMは、内製タイトルでは過去最高の効果が出ています」(吉田)。プロモーション的にも大成功だったようだ。

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 ここで田中氏。今度は松枝氏に話題を振る。「去年のゲームショウで、私はソーシャルゲームについてお話させていただく機会があったのですが、最前列にコーエーテクモゲームスの襟川陽一さんがいらして、ノートを取っていたんです。そして、いま『100万人』シリーズで、飛ぶ鳥を落とす勢いになっていますが、社内的にもソーシャルゲームに力を入れるという話はあったんですか?」と、意外なエピソードとともに質問。これを受けて「家庭用メーカーにはありがちですが、最初は社内でモバイルをやろうとすると“売れるの?”と疑心暗鬼になりますが、弊社ではそういうこともなく、うまくリリースできました」(松枝)。

 続いてのテーマは“プロモーション方法の違い”について。家庭用ゲームは発表から発売前後にドカンとプロモーションを仕掛けるが、ソーシャルゲームはどうか? 吉田氏曰く、「ユーザーが盛り上がり、ゲームに熱が出てきてからプロモーションを仕掛けるのはもちろん、一度離れたユーザーに対して、いまでも遊んでいるユーザーが復帰の招待するなど、ユーザー間で招待し合えるような企画を用意するのもプロモーションのひとつです」と言う。また、“つぎのタイトルを出すときに企画設計をどう考えるか?”というテーマでは、「ソーシャルゲームは結構似ているゲームが増えていると思いますが、今後のことを考えると新たな企画設計が必要ですよね?」と田中氏。たしかに、ソーシャルゲーム業界がさらに飛躍するには必須事項と言えるこの件について、吉田氏は「フィーチャーフォンではデバイスが制約されていましたが、スマートフォンになったことでやれることが増えています。コアなユーザーが喜んでくれるようなゲームも用意していますし、スマートフォンの使いかたがわからない人でも遊べるライトなゲームももちろん作っていく。いろいろなパターンを試していきます」と、これからのソーシャルゲームにおいてもさまざまな可能性を考えたゲーム作りを進めていくとコメント。

 このほか、時間いっぱいまでソーシャルゲームに関するさまざまな話が飛び交い、東京ゲームショウの会場の中心で、登壇者5人がそれぞれ“ソーシャルゲーム愛”が叫ばれていた。