●熱き闘いの舞台は、大阪・蒼天掘へ

 2011年8月31日の龍が如くスタジオ発足記者発表会にて制作発表が行われた、プレイステーション・ポータブル用ソフト『クロヒョウ2 龍が如く 阿修羅編』(2012年春発売予定)。そんな話題作が、早くも東京ゲームショウのセガブースにプレイアブル出展。ビジネスデーで実際に遊んでみた感触を、あますところなくお伝えしよう。

 まずは簡単に作品の概要から説明しよう。『クロヒョウ2 龍が如く 阿修羅編』は、『クロヒョウ 龍が如く新章』から約1年後のドラマが描かれる続編となる。主人公は、前作と同じく、かつて“神室の狂龍”と恐れられた伝説の不良少年、右京龍也。1年前、神室町の地下格闘場ドラゴンヒートで己の人生を賭けた死闘を制した彼は、さらなる武者修行のために単身渡米。米国の格闘技界を騒がせる存在となっていた。本作は、そんな龍也がプロボクサーとしてデビューするために日本に帰国するところから再開。東京の巨大歓楽街・神室町はもちろん、大阪・蒼天掘をも巻き込んだ、男たちの熱き闘いのドラマが展開される。

 試遊を開始すると、主人公の右京龍也と本作の新キャラクターである九鬼隆昌が、八代誠という後輩を探して蒼天掘へと向かうムービーシーンが始まる。詳細は不明だが、龍也と九鬼は、何らかの理由があって大阪へと乗り込んだ八代の身を案じているようだ。ちなみに、ムービーシーンを手掛けるのは、前作と同じスプーキーグラフィックス。独特のタッチで描かれたムービーシーンは、前作よりも演出の幅が広がっているように見える。また、ムービーシーンで注目すべきは、主人公の声が新たなキャストの斎藤工に変わっていることだ。ドラマ版『クロヒョウ 龍が如く新章』で右京役を演じた俳優だけに、その演技はとても自然で、ゲーム内でもまったく違和感はない。前作をプレイしたユーザーは、注意して聴き比べてみるといいだろう。

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 『龍が如く』シリーズと言えば、細部に至るまで徹底して作り込まれた歓楽街が大きなウリのひとつ。前作『クロヒョウ 龍が如く新章』の神室町も、携帯機向けの作品のクオリティーとしては十分に納得のいくデキだったはずだ。しかし、本作の蒼天掘は、それをはるかに凌駕している。夜のネオンが輝く戎橋(えびすばし)の眺めを始め、かに道楽やがんこ寿司などの飲食店が立ち並び、関西圏独特の賑やかさに彩られた蒼天掘は、きらびやかな光を放つ。今回の試遊では、街の飲食店やショップを利用することはできなかったが、『龍が如く2』以来、約5年ぶりに復活した蒼天掘での街遊びやナイトライフには、大いに期待できそうだ。

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●タッグ戦の概念が取り入れられたバトル

 さて、前述の八代誠を探して蒼天掘を歩きまわる龍也と九鬼は、たびたび街の不良に喧嘩を売られ、ストリートファイトを強いられることに。バトル開始時にメニュー画面を開くと、バトルのスタイルは、ボクシングLv2、喧嘩Lv2、プロレスLv2の3つの中から選ぶことができた。ストーリー上で龍也がボクサーを目指しているからなのかは定かではないが、初期状態ではボクシングに設定されている。ボクシングは、ボタン連打で手数を出しやすく、比較的プレイしやすい格闘スタイルではあるが、今回は蹴り攻撃などが充実した喧嘩をセレクト。パンチ、キック、つかみ、投げ、ガードといった基本動作のボタン入力は、ほぼ前作の設定が踏襲されており、前作をプレイしたユーザーなら問題なくすぐに遊べるはずだ。

 ゲームシステムの面で大きく異なるのは、行動をともにする仲間や路上の観衆をバトルに巻き込めることだ。つかんだ敵を十字キーと○ボタンを押してタッグパートナーに投げると発動するツープラトン攻撃や、同様につかんだ敵をまわりの観衆に投げると羽交い絞めにしてくれる観客ステージなどが新たに追加。周囲の人々を巻き込んだ喧嘩バトルからは、よりストリートファイトの醍醐味を味わえるようになった。

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●新たに導入された!? 超爽快なラッシュ攻撃

 さて、行方不明となった八代誠を捜すうち、龍也と九鬼は大阪最強の格闘技集団、阿修羅の下っ端メンバーと遭遇。喧嘩バトルの後、さらにストーリーを進めていくと、関西の格闘技場での試合が始まる。この試合は、前作のドラゴンヒートと同じく、1対1で相手と対峙するボス戦となる。対戦相手は、大場庄助という巨体の選手。格闘スタイルは相撲だ。相手の張り手をガードでいなしつつ、蹴りとパンチで反撃を試みるが、相手に接近した瞬間、腰をつかまれ、“鯖折り”からのコンボ攻撃を食らってしまった。けっこうなダメージになったので、一定の距離を取りながらの打撃戦に切り替えることに……。

 そうこうしているうちに、龍也のヒートゲージ(一定まで貯めると必殺技がくり出せるようになるゲージ)が溜まり、必殺技が出せる状況になったのだが、そんなとき、画面に見慣れないコマンド入力の指示が出現。リズムアクションゲームなどで見かける、タイミングよく指定のボタンを押す要領なのだが、入力が成功すると相手に強力なパンチが入り、連続で成功するとノーガードになった相手を、ボタン連打でタコ殴りにできるラッシュ攻撃を放つことができた(※ブースの担当者に聞いたところ、この攻撃の発動条件は現在調整中で、正式名称も未定とのこと)。『クロヒョウ2 龍が如く 阿修羅編』からの新システムのようだが、ラッシュ攻撃の感触は斬新かつ爽快。もともとバトルのおもしろさには定評のある『クロヒョウ』シリーズだが、さらにバトルを盛り上げる新たな要素となりそうだ。

 今回の試遊は、格闘技場の大場庄助戦までたどり着いたところで終了。総プレイ時間は20分というところだ。一般公開日での試遊時間がどの程度になるかは不明だが、ボス戦でのラッシュ攻撃は、本作を試遊する機会がある方には、ぜひとも体験してもらいたい仕様だ。とくにバトルを楽しみたいというユーザーは、途中のムービーシーンを若干スキップしつつ、ボス戦の時間をキープするという遊びかたもアリかも……!?

(C)SEGA ※画面は開発中のものです。