●『ロリポップチェーンソー』TGSデモリポート&開発者インタビュー
2011年9月15日~9月18日まで、千葉県の幕張メッセで開催中の東京ゲームショウ2011。マイクロソフトブースでは、Xbox 360用ソフト(及び、プレイステーション3用ソフト)『ロリポップチェーンソー』がプレイアブル出典された。
角川ゲームスとグラスホッパー・マニファクチュアがタッグを組んで開発中の本作。ある日突然ゾンビに占拠されてしまったアメリカのハイスクールを舞台に、チアリーダーであり、ゾンビハンターでもある美少女ジュリエットとなって進めていくアクションゲームだ。そのゲームタイトルが示す通り、ジュリエットの使用武器は対ゾンビ用のチェーンソー。可憐な少女がチェーンソーを振り回し、並み居るゾンビ軍団をぶった斬るというブッ飛んだ設定が話題となっている作品だ。まずは本作の最新トレーラーをお見せするので、ソフトの概要をチェックしておこう。
●プレイリポート
さて、つぎにTGS2011で出典されているXbox 360版『ロリポップチェーンソー』試遊台のプレイリポートをお届け。
可憐で、健康的で、とびきりキュート! 主人公のジュリエット・スターリングは、じつに魅力的な18歳のゾンビハンターである。2011年7月にお伝えした『ロリポップチェーンソー』の初報では、ジュリエットのかわいらしいビジュアルとメイン武器のチェーンソーのギャップが印象的で、新時代のヒロインの到来を予感させてくれた。今回は、肝心のアクションゲームとしての肌触りが体感できるということで、さっそくプレイしてきた。
本作の基本アクションはおもに4つ。殺傷能力の高いチェーンソーで攻撃する“チェーンソーアタック(PS3版は△ボタン、Xbox 360版はYボタン)”、素早くくり出せる近接攻撃“チアアタック(PS3版は□ボタン、Xbox 360版は×ボタン)”、下段に対する攻撃“ローアタック(PS3版は×ボタン、Xbox 360版はAボタン)”、そして、前方にジャンプで移動する“チアジャンプ(PS3版は○ボタン、Xbox 360版はBボタン)”だ。プレイヤーは、これらの4つのアクションを状況によって組み合わせてゾンビと戦うことになる。
注目は、チェーンソーアタックのほかにチアアタックも使える点だ。チェーンソーアタックは威力が非常に高く、一度に多くのゾンビをぶった斬ることができるので非常に爽快だが、攻撃動作がやや緩慢なため、敵に囲まれたときに無闇に攻撃すると手痛い反撃を受ける恐れがある。敵に囲まれたときや素早く攻撃を畳み掛けたい時はチアアタックの出番だ。隙の少ない攻撃を素早くくり出せるので、まずはチアアタックを当てて相手を怯ませてからチェーンソーでぶった斬るなど、ふたつの攻撃を組み合わせて戦うのもアリ。遭遇したゾンビの数や状況次第で、チェーンソーアタックかチアアタックのどちらを使用するか考えるのがおもしろい。
また、ボタンの組み合わせ次第で多彩なアクションをくり出せるのもポイント。たとえば、ゾンビの近くでチアジャンプをすると馬乗りジャンプで相手の背後に着地するので、すぐさまYボタン(PS3版は△ボタン)を押せば、ゾンビを背後から一刀両断する“股裂きアタック”が使用できる。これがじつに気持ちイイ! ほかにも、ローアタック直後にチェーンソーアタックのボタンを入力することで、ジュリエットがチェーンソーを構えながらグルグルと回転し、周囲の敵を切り刻む大技もくり出すことができた。本作では、ボタンの組み合わせによっておよそ数十種類の技を使用することができるので、いろいろな技を試してみたくなるのだ。なお、それぞれの攻撃のアクションはスピーディーかつ滑らかな印象で、適当に攻撃をくり出しているだけで楽しい。アクションゲームの初心者はボタンを適当に連打すれば敵を倒せるし、スタイリッシュな動きを極めたいアクションゲームファンにはやり応えのある仕様となっている。
多彩な攻撃方法が用意されている本作だが、個人的にはやはりチェーンソーアタックの気持ちよさがとても印象的だった。チェーンソーを振ったときに感じる重量感と敵をまとめてぶった斬る破壊力のバランスがちょうどいい感じなのだ。また、チェーンソーで敵を倒した際に発生するキラキラと光るエフェクトのおかげで、グロさを感じることはほとんどない。ゾンビをモチーフとしたゲームの中にはゴア表現がどぎついものもあるが、本作は陽気なノリで楽しめる作品となっている。これなら幅広いプレイヤーが楽しむことができそうだ。
試遊台のプレイ時間はおよそ10分程度。ゾンビを気分よく両断しているとすぐに終わってしまうので、やや“食い足りない”感じだ。欲を言えば、もっと長くプレイできるとよかったのだが……(おかげで記者は3回並んで遊ぶことに)。とは言え、「もっと遊びたい!」と思わせてくれるのは、アクションゲームとしての完成度が高い証拠である。現在は絶賛開発中で、さらにブラッシュアップされていくとのことで、おおいに期待したい。今後の続報に注目だ。
最後に、マイクロソフトブースで本作の試遊台をプレイしていると、本作のプロデューサーである設樂氏を発見! 今回出典されている試遊台の内容について伺った。
●開発者インタビュー
――本作の開発における設樂氏のポジションは?
設樂 まずは開発職として、『ロリポップチェーンソー』をしっかりと地に足が着いたアクションゲームに仕上げることですね。また、2011年8月に開催した角川ゲームスの新作発表会で、『ロリポップチェーンソー』はワーナー・ブラザース インタラクティブ エンターテインメントが世界展開を行うことを発表しました。ですので、我々角川ゲームスとしては、海外市場のニーズと日本市場のニーズを照らし合わせてゲームバランスを調整していく必要があります。そのための“舵取り”と言ったら言い過ぎですが(笑)、開発チームの皆さんがスムーズに業務を進行できるように、バランサーとしての役割を担当させてもらっている感じですね。
――開発元のグラスホッパー・マニファクチュアとは、どんなやり取りを?
設樂 グラスホッパー・マニファクチュアは、個性的かつエッジの利いたゲームで多くのユーザーを惹き付けているデベロッパーです。ただ、時には人を選ぶような表現をすることもあったりします。そういう意味では、僕は尖り過ぎた部分をなるべく丸く磨いていく係なのかな、と(笑)。
――なるほど。確かに本作は設定といいキャラクターといい、ブッ飛んでいますよね。
設樂 やっぱ、まだまだ尖り過ぎですかね?(笑) ……いや、でもユーザーさんが喜んでくれるような先鋭的な部分はできるだけ残していきたいと思っています。そのさじ加減にはかなり気を使ってやっていますね。
――TGS2011で出典されている試遊機の“ウエスタンバージョン”とは?
設樂 2011月8月に開催されたドイツのゲームイベント“Gamescom”で、『ロリポップチェーンソー』のプレイアブルROMを初公開しましたが、そのときのユーザーさんの反応がすごくよかったんです。じつは日本版の仕様はまだまだ未定な部分があるのですが、せっかくTGS2011といういい機会があるので、日本のユーザーさんの反応も観てみたいな、と。ですので、今回は急遽英語音声に日本語字幕という“ウエスタンバージョン”を用意した次第です。
――ひょっとして日本版は吹き替え音声に?
設樂 我々角川ゲームスとグラスホッパー・マニファクチュアさんという、日本のメーカーが協力して開発している“純日本産のゲーム”ですから、日本のユーザーさんがもっとも喜んでくれるような形にしたいと思っています。
――ちょっと遠回しな言い回しですね(笑)?
設樂 さきほど言いましたよね? 僕はいろいろなモノを丸めていく“バランサー役”ですから(笑)。とにかく、日本のユーザーさんのために最大限の努力をしますので、ぜひご期待ください。
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――そのほかにプレイアブルROMの見どころは?
設樂 我々開発チームがもっとも大事にしているのが、ボタンレスポンスの気持ちよさです。本作では、簡単な操作で多彩なアクションがくり出せるのが特徴です。『ロリポップチェーンソー』というタイトルですが、じつはチェーンソーを振らない攻撃も用意されていたりします。それが、チアリーダーならではの体術チアアクションです。軽やかにゾンビたちの群れの合間を飛び回ったり、キックしたりとじつに多彩な攻撃方法を用意しました。また、チェーンソーの重量感を感じながらゾンビたちを斬り捨てる爽快感も魅力のひとつです。
――今回の試遊では、ジュリエット自身の魅力にも触れられる?
設樂 それはもちろん! ジュリエットはとてもキュートな女の子で、我々開発チームのメンバーの中でも人気があるキャラクターです。ゲーム中、ジュリエットがいろいろなかわいらしい仕草をするので、ぜひ探していただきたいですね。
――ほかにアピールしたいポイントは?
設樂 学園を題材にしているので、元教師のゾンビが出てきて「お前ら宿題しろ!」と説教したりします。ゾンビになっても学園ドラマをくり広げているヤツもいたりして、全体的に明るいノリです。チェーンソーでゾンビを斬り付けるゲームというと、グロテスクなホラーゲームが思い浮かぶ人もいるかと思いますが、本作は遊んでみるとぜんぜん違うことがわかるはずです。テンポのいいストーリーテリングだったり、ゾンビを斬ったときのポップなエフェクトだったり、ノリノリな楽曲だったり、それぞれの要素が絶妙に結びついて、かなり楽しいゲームとなっていますので、そのあたりを感じてほしいです。
――ちなみに現在の完成度は?
設樂 だいたい70%くらいだと思っています。かなり前からゲームの骨格はできているのですが、いまはいったん立ち止まって、どうしたらユーザーさんが遊びやすいかを精査しているところです。
――と言うことは、TGS2011でのユーザーの反応が活かされると。
設樂 もちろんそうするつもりです。会場では開発チームのスタッフがいて、ユーザーさんがどういう風にプレイしているのかチェックしています。ユーザーさんのフィードバックを開発現場に伝えて、よりブラッシュアップしていきたいです。
――本作の発売を楽しみにしているファンの方にメッセージを。
設樂 ウエスタンバージョンはあくまで体験版なので、現在ソフトのクオリティーがどんどん向上しているところです。それと今回はストーリーにはほとんど触れていませんが、今後少しずつ明らかにするつもりです。ストーリーの尖った部分などを観てもらえば、グラスホッパー・マニファクチュアさんの個性がより出てきやすいと思っています。今回のTGSでは、まずはアクションゲームの根っこの部分を皆さんに触っていただき、その後で本格的なアクションゲームに質の高いストーリーが加わることで、スゴイ作品になるということをアピールしていきたいです。皆さん、ぜひ会場で遊んでみてください!