●計5回すべて内容が異なるスペシャルステージ!

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 2011年9月15日より開催中の東京ゲームショウ2011。KONAMIブース内の特設ステージでは、小島プロダクション(以下、コジプロ)による“Kojima Productions SPECIAL STAGE”を連日開催。4日間で計5回行われるステージでは、それぞれ異なった内容となる予定。

 初日に行われた1回目のステージは、ビジネスデイにも関わらず約1時間30分にも及ぶ濃密なイベントとなり、その模様はUstreamを通じて全世界に配信された。配信を見逃してしまった方は、ぜひ本リポートで会場の雰囲気を感じてほしい。

●『メタルギア ソリッド』関連作品の最新情報が公開!

 ステージには、まずゲストの菊地由美さんが姿を見せた。イベント開幕の挨拶の後、菊地由美さんの呼び込みで小島監督とMCの森一丁さんが続いて登壇。

 イベントは、発売が迫っている『メタルギア ソリッド HD エディション』と『メタルギア ソリッド ピースウォーカー HD エディション』の最新情報、そして『メタルギア』シリーズの歴史を振り返るコーナーからスタート。

 『メタルギア』シリーズは、1作目のMSX版『メタルギア』発売されてから、来年の2012年で25周年を迎える。そのこともあり、シリーズの振り返りは記念すべき1作目から行われた。作品の振り返りは、キーワードをシールで隠したボードを使って進められ、シールをはがしつつ紹介していくさまは、朝の情報番組さながらだった。ここでは、会場で初公開となった情報を中心に、ダイジェストで紹介していく。


<『メタルギア ソリッド HD エディション』>
【新情報その1】ゲーム中のデモシーンは、再生タイプが選べる!
メタルギア ソリッド 2』や『メタルギア ソリッド 3』はプレイステーション2用ソフトのため、画面比が4:3であることを前提に制作されている。今回の『HD エディション』では16:9に画角が変更されており、それに合わせてグラフィックを横に描き足し、さらに画面の上下を黒で塗りつぶした方式と、画面いっぱいに引き延ばした方式の2種類から選べるようだ。

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【新情報その2】発売日は2011年11月23日予定、価格は5480円[税込]!
ちなみに、本作に収録されているタイトルは、『メタルギア ソリッド 2』と『メタルギア ソリッド 3』のHDバージョンのほか、MSX版の『メタルギア』、『メタルギア ソリッド・スネーク』、そしてプレイステーションで発売された『メタルギア ソリッド』のゲームアーカイブス版プロダクトコードの同封(プレイステーション3版のみ)も含めて計5作品。これらのソフトを発売当時の価格で合算すると、33180円にもなるとのこと。いかにお買い得なのかがわかるだろう。

【新情報その3】限定版のプレミアムパッケージを発売!
メタルギア ソリッド』の『1』から『3』までのアートブックを1冊にまとめた特製アートブックが付属(重さ3.1キログラム、450ページ以上)。同じく『1』から『3』までの楽曲が8曲収録された音楽CDも付属。価格は9980円[税込]。

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【新情報その4】コナミスタイル限定版も発売!
KONAMIの公式オンラインショップ“コナミスタイル”でのみ発売される限定版もリリース決定。上記のプレミアムパッケージの内容物に加えて、オリジナルヘッドフォンと、『2』と『3』のマグカップが付属。価格は14980円[税込]。

【新情報その5】PlayStation Vita版も発売決定!
セーブデータのやり取りがスムーズに行えるトランスファリング機能にも対応して、2012年発売予定。


<『メタルギア ソリッド ピースウォーカー HD エディション』>
【新情報その1】こちらにも限定版のプレミアムパッケージが!
メタルギア ソリッド HD エディション』と同様、『メタルギア ソリッド ピースウォーカー HD エディション』にもプレミアムパッケージが発売。限定塗装仕様のスネークフィギュアと、14曲を収録した音楽CDが付属。価格は9980円[税込]。

【新情報その2】コナミスタイル限定版ももちろん登場!
上記のプレミアムパッケージの内容物に加えて、カズヒラ・ミラーの限定塗装仕様フィギュア、そして『ピースウォーカー』のマグカップが付いて、価格は14980円[税込]。


<『メタルギア ソリッド スネークイーター 3D』>
【新情報】より具体的な発売時期についてコメント
今冬発売予定のニンテンドー3DS用ソフト『メタルギア ソリッド スネークイーター 3D』は、年末発売ではないと発言。1月〜3月のあいだとみるのが有力だろう。

●とっておきの開発秘話を公開!

 『メタルギア』シリーズ作品の振り返りについては、開発秘話を中心にお届けしよう。熱心なファンでも知らないようなマニアックなネタも公開された。


メタルギア
1987年7月13日発売/MSX2
【MSXといえばKONAMI?】
小島監督がKONAMIに入社当時、MSXのタイトル売上ランキングは、KONAMIの作品で大半を占めていた。当時のKONAMIはMSXに相当力を入れており、「MSXといえばコナミ、コナミといえばMSX」と言われるほどで、そうした中、『メタルギア』は優秀な先輩に囲まれて作ったとのこと。

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メタルギア2 ソリッド・スネーク
1990年7月20日発売/MSX2
【模型作りを導入】
現在の『メタルギア ソリッド』シリーズの制作では当たり前のことになっている、デザインの過程で行われる模型作り。その模型作りは、この作品から始まった。ジャンクパーツと粘土をこねて作られたメタルギアは、当時の広告にも使われたとのこと。現在もその模型は残っており、コジプロ作品のアートディレクターを務める新川洋司氏のブースに飾れているという。

【サバイバル訓練もこのころから】
こちらもコジプロではすっかりおなじみとなった、サバイバル訓練。リアルな体験をゲーム制作に活かすために、コジプロのスタッフはサバイバル訓練を行っている。それを始めたのはこのころだったそうだ。屋外での訓練を通じて、どれだけ忍び足にしても小枝を踏む音などで気付かれることが多いということを実感し、敵が足音で気付く仕様をゲームに反映させた。


メタルギア ソリッド
1998年9月3日発売/プレイステーション
【新川さんの最初の仕事は模型作り?】
コジプロのアートディレクターである新川洋司氏は、この作品から制作に参加。最初の仕事は、メタルギアREXの模型作りだったという。制作は1ヵ月ほどで、その間は出社せずに在宅勤務で作業に集中。小島監督が朝と夕方に定時連絡を入れて、進捗を確認していたとのこと。

【箔押し禁止事件】
メタルギア ソリッド』のパッケージは白地にロゴのみというシンプルなもの。当時のパッケージデザインはイラスト類で目立たせるのが定番で、ロゴのみというデザインは挑戦だった。そこで、ロゴだけでも何とか目立たせようと、ロゴを立てて配置することにした(ちなみに、店頭ではその意図が汲まれずに、向きが変えられていることが多かったとのこと)。さらに、ロゴには箔押しという特殊印刷を施して、美しいシルバーのロゴが完成した。しかし、店頭からソフトがなくなり、再出荷するといったところで、この箔押しの加工に非常に時間が掛かることが判明。社内でも問題になり、以降箔押しのパッケージが禁止になったという。

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メタルギア ソリッド2 サンズ オブ リバティー
2001年11月29日発売/プレイステーション2
【トレーラー見たさに大混雑】
E3(ロサンゼルスで行われる世界最大級のゲーム見本市"エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ"の略称)でトレーラームービーを公開した際、それを見ようとする客で大混雑が発生。スクリーン前に寝転んで観る人も。当時はインターネットが普及しておらず、トレーラーを観るには放映される場所に実際に行く必要があった。混雑に驚かされたが、トレーラーの注目度を肌で感じ、トレーラー作りに対してより重要視するようになったという。


メタルギア ソリッド 3 スネークイーター
2004年12月16日発売/プレイステーション2
【禁断だった同業他社とのコラボレーション】
現在では、さまざまなゲームがメーカーやプラットフォームの壁を越えてコラボレーションを実現している。しかし、この作品が発売された当時は、同業他社とのコラボレーションはタブー視されていた。そうした中で、『3』にはソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンの『サルゲッチュ』からピポザルが登場。『サルゲッチュ』にもスネークが登場するという、相互コラボを実現させた。2004年に開催された東京ゲームショウでは、ピポザルがKONAMIブースに現れるなど、業界騒然の試みを行っていた。


メタルギア ソリッド ピースウォーカー
【ナンバリングとして制作?】
小島監督自身がゲームデザインを手掛けた作品には、小島監督直系のタイトルである証のA HIDEO KOJIMA GAMEという冠が付く。『ピースウォーカー』もそれにあたり、当初はナンバリング作品として制作されていたとのこと。会場では、幻の『メタルギア ソリッド 5』のロゴが公開された。

●『Z.O.E』にも動きが!

 制作中であることだけが明かされていた『ゾーン オブ エンダーズ HD エディション』の新情報が公開。『HD エディション』用に新オープニングアニメを制作しており、会場ではイメージ映像が流された。制作はサンライズが手掛ける。また、PlayStation Vita版も発売決定、2012年の発売予定であることが明かされた。

 関連商品も続々とリリース予定で、2012年夏には、2001年4月6日にテレビ東京系で放映されたテレビアニメ作品『Z.O.E Dolores,i』がブルーレイで発売される。

 また、気になる発言としては、“ガイサベ”と呼ばれる『アヌビス2』に相当する作品をかつて制作していたという秘話まで飛び出した。『Z.O.E』シリーズについては、9月17日の13時からのステージでより深いトークが展開されるとのことなので、ファンは要注目だろう。

●小島プロダクションの今後

 ステージの締めくくりとして、小島プロダクションの今後について、監督自身から語られた。

 小島プロダクションの新作『メタルギア ソリッド ライジング』については、“工事中”という文字とともに、“品質第一”というヘルメットをかぶった雷電のビジュアルが公開。2012年完成を目指して制作中とのこと。

 また、小島プロダクションが手掛けたゲームエンジン“FOX ENGINE”を使った小島監督直系の新作(通称:鬼企画)も制作中。締めの言葉として、「今年は仕込みの年。2012年は『ライジング』と“鬼企画”を出す」と力強く語った。

●東京ゲームショウでコジプロ作品を試遊して特製うちわをゲットしよう!

 KONAMIブースでは、下記のコジプロ作品が試遊可能。試遊すると、作品ごとに特製うちわがもらえるぞ。うちわは全部で14種類。さらに、ランダムで配布されるシークレットうちわが2種用意されている。シークレットうちわについては、そのひとつが『Z.O.E』で、もうひとつは小島監督、菊地由美さんの写真にサインを入れたものということが明かされた。サイン入りうちわは、全部で5枚のみという激レアアイテム。運試しもかねて、ぜひ試遊を楽しんでほしい。

<プレイアブル出展作品>
メタルギア ソリッド HD エディション
メタルギア ソリッド ピースウォーカーHD エディション
メタルギア ソリッド スネークイーター 3D