●「日本語版を世界同時に発売できるのをうれしく思います」
今後発売予定のXbox 360用ソフトを手掛けるクリエイターが、東京ゲームショウ2011の会期にあわせて来日。日本マイクロソフト本社で各タイトルのプレゼンテーションが行われた。屈指の期待作『ギアーズ オブ ウォー 3』のプレゼンで登場したのは、米国マイクロソフトスタジオにて、同作のエグゼクティブ・プロデューサーを務めるクリストファー・キンメル氏だ。
![]() |
▲クリストファー・キンメル氏。 |
キンメル氏がまず紹介してくれたのは“前作のあらすじ”。こちらは、シリーズ未経験者でも『3』をプレイできるために用意された、いわばシリーズのダイジェスト映像。それに続き、“ストーリーモード”や“HORDE”、“BEAST”、“マルチプレイ”といった、『ギアーズ オブ ウォー 3』の誇る豊富なゲームモードを紹介してくれた。“ストーリーモード”では、『2』よりも大きなストーリーということで、マーカスが父親を捜すことになったり、ドムは奥さんの喪失を克服できずにいる……といった個々のキャラクターも個別の問題を抱えていることを説明。“ストーリーモード”では、通常のゲームを楽しむ“スタンダード”と、スコアアタック向きでくり返し遊べる“アーケード”が用意されていることなどを教えてくれた。また、COG(統一連合政府)がローカストを相手にサバイバルに挑む“HORDE”と、その真逆でローカストがCOGを殲滅する“BEAST”では、「異なるゲームプレイ感覚を楽しんでもらいたい」とのコンセプトのもとに、ゲームプレイのスピードや、BEASTではより仲間を意識した戦いが前提になるといったことなどが説明された。
キンメル氏のプレゼンがひときわ熱を帯びたのは、マルチプレイ時におけるプレイヤーのマッチングについてだろう。マイクロソフトスタジオと開発元のエピック・ゲームズでは「どうしたらオンラインプレイをもっと魅力的にできるのか?」を命題に、プレイヤーをスキルの高い“ハードコアゲーマー”と、どちらかというとストーリーモードが好きでオンラインプレイは苦手な“カジュアルゲーマー”とのふたつに分かれると分析。初心者にも間口を広げるために“カジュアルモード”を設けたことを明らかにした。もちろん、ユーザーは腕をあげると“カジュアルモード”から卒業することになる。
今回から採用されたマルチプレイの新モード“チームデスマッチ”も、いかにカジュアルゲーマーとハードコアゲーマーをがいっしょに遊べるかを検討した結果導入されたもののよう。『2』までは、1回のマッチで1回倒されると、プレイヤーはつぎのマッチまで参加することができなかった。ユーザーへのリサーチの結果わかったのは、「プレイヤーにとって重要なのは、何回倒されるかではなくて、何回倒せるのかということ。倒せる数が増えることによって、参加率が上がることがわかったんです」(キンメル)という。それで“チームデスマッチ”では、チーム単位で15回までなら何回でも復活していいことにしたというのだ。たとえば、「腕利きプレイヤーが相手を50回倒したのに対して、新人プレイヤーは5回くらいしか倒せないかもしれません。でも新人プレイヤーの5キルのうち、1〜2回でも腕利きプレイヤーを倒せたのであれば、満足度は非常に大きいと思うんです。それで、新しいプレイヤーにも参加してもらえるチャンスが広がるのではないでしょうか」との言葉には、なるほどとうならされるものがある。
『ギアーズ オブ ウォー 3』と言えば、開発を手掛けるのはごぞんじエピック・ゲームズ。せっかくの機会なので、キンメル氏にエピック・ゲームズのことを聞いてみると、「エピック・ゲームズは設立してから20年になりますが、それだけのあいだゲームを成功させ続けるのは難しいこと。エピック・ゲームズは数少ない成功している会社ですが、成功の秘訣は、情熱と品質管理に対する熱意。エピックの人はゲームをいかにおもしろくするのかを、つねに自問自答しています」と絶賛。さらに両社の関係については以下の通りに教えてくれた。「マイクロソフトとエピックは密に協力しています。シリーズを手がけて8年、ときに衝突することはありますが、“『Gears』を最高のフランチャイズにしたい”という思いは共通しており、最終的には同じ方向を見て開発を進めました」(キンメル)。『Gears』シリーズでは、エピック・ゲームズが出したアイデアに対して、マイクロソフトがそれをさらによくするための意見を出す……という役割分担だったようだが、キンメル氏は“BEAST”を例に、お互いの役割分担の一例を紹介してくれた。“BEAST”では、戦う相手としてCOGのおなじみのキャラが登場するのだが、当初はほかの名もない戦士たちと同じように個性がなかった。それが、「それではつまらない」とのマイクロソフト側の意見で、おなじみのキャラの個性化が図られることに。サムはクレイジーなキャラなので、敵陣をも顧みず突入したり、ホフマンは強力な武器を駆使する……といったふうに差別化されることになったのだという。
さて、『ギアーズ オブ ウォー 3』はシリーズ三部作の完結編。当然気になるのはシリーズの今後だが、それに対してキンメル氏は「将来のことは言ってないのですが、エピックが『Gears』を作ったときは当初から三部作構想でした。『Gear』ユニバースを作ったときは、ほかにもたくさんのストーリーがありました。この三部作が終わったからと言って、ほかのストーリーができないということではありません」とのこと。とはいえ、「三部作のつぎのことはよく聞かれるのですが、『3』も出ていないので、つぎのことは考えられないです」というのが事実のようで、まずは「『ギアーズ オブ ウォー 3』を、いままでで最大で最高のゲームとして無事に発売したい」というのがいまの目標のようだ。
最後に日本の読者に向けてのメッセージをお願いしたところ、「エピックもマイクロソフトもとても協力して『ギアーズ オブ ウォー 3』を作ってきました。日本のファンの方々は非常に情熱的な方が多いと思っていますし、今回初めて、日本語版を世界で同時に発売できることをうれしく思っています。『3』に関しても、これまでと同じような形で楽しんでもらえるのが、私たちの願いです」とのことだ。
そして、取材も終わり……と思いきや、最後にキンメル氏がおもむろに切り出したのが“ユニファイドエクスペリエンスシステム”。こちらは“ストーリーモード”や“HORDE”、“BEAST”などのゲームプレイをひとつのゲーム経験として集約し、解除することによって、キャラクターをアンロックしたり、リボンやメダルを獲得できるシステムのよう。項目は詳細に用意されているようだが、“ユニファイドエクスペリエンスシステム”により、『ギアーズ オブ ウォー 3』のやり込み要素もさらに増しそうだ。
▲非常に見えづらいが、“ストーリーモード”は“スタンダード”と“アーケード”、さらにその下に“まもなく配信!”との文字が見える。こちらは今後配信予定のダウンロードコンテンツに関することのよう。どうやらマップパックなどが配信されるようだが……。ちなみに日本におけるダウンロードコンテンツの配信などは明らかにされていない。 |