●豪華メンバーがずらり

 神戸に校舎をかまえる神戸電子専門学校において、2011年6月25日〜8月27日の期間で多数の企業による業界セミナーが実施された。ゲーム業界からは、インテリジェントシステムズ、カプコン、キューエンタテインメント、サイバーコネクトツー、セガ、スクウェア・エニックス、フロム・ソフトウェア、日本一ソフトウェア、プラチナゲームズ、ヘキサドライブ。IT・ソーシャル業界からは、グリー、グーグル、ミクシィ。3DCG業界からは、白組、デジタルフロンティア、アニメ業界からは、シンエイ動画、ぴえろ、プロダクション・I.G。声優業界からは、中村悠一氏、サウンド業界からは、アートスピリッツ染谷 和孝氏などが参加した。

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▲真剣な眼差しでセミナーに参加する学生たち

 
インテリジェントシステムズゲーム業界セミナー
カプコン企業見学セミナー

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 8月19日、インテリジェントシステムズの鈴木浩信氏を迎えて業界セミナーを実施した。同氏は、自身がクリエイターとして活躍してきた経験と、人事採用担当としての経験の両視点から、人間の本質などを例にとりながら「ゲーム企業が求める人材像」について力説した。また、同氏が考えるクリエイター像については、こう語った。「明確な答えがない物事について、自分なりの正解を導き出し、その方向性を基に、より多くの人を説得できる、より良いものを創るために積極的に試行錯誤できる人」。

 インタビューに対し鈴木氏は「クリエイターを目指す人が、学校の先生から教えてもらった正解だけをやって満足しているようでは、先が思いやられます。それでは、将来業界に入れたとしても競争に生き残ることができません。今の内に、クリエイターとしての本質をよく理解した上で、努力をし続けて、ゲーム業界で長く活躍できる人材に育ってほしいと思います」と語った。

 8月8日、カプコン大阪本社内で高校生を対象に行われたセミナーで、採用チーム長の川島藍氏が登壇し、「ゲームクリエイターになろう」というタイトルで実施。「世界中の人にワクワクしてもらいたい」を合言葉にユーザーに支持されるゲーム作りに挑戦し続けるカプコンの企業姿勢や世界と戦える自社開発のゲームエンジンの紹介、最新作品のプロモーション映像などを通じてゲーム業界そしてカプコンの魅力がリアルに伝わってくるセミナーだった。


キューエンタテインメントプログラマーセミナー
サイバーコネクトツーゲーム業界セミナー

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 キューエンタテインメントのセミナーは、2011年3月に同校で行われた同社取締役の水口 哲也氏によるセミナーのときに、水口氏自身からプログラマー自身からのメッセージも届けたいとの提案から実現した。7月16日に実施され、登壇者はオンラインパブリッシング事業本部部長 高橋 英久氏及びプログラマ 加藤 正彦氏。両氏から、業界の方向性についての提言、仕事のやりがい、先駆者ゆえの苦労などお話、ユーザーにダイレクトに評価して頂ける喜びや何もないところからさまざまな人と協力して具体的なカタチに作り上げていく面白さの半面、失敗のリスクやつらいことも多々あるという仕事事情、ソーシャルゲームに至っては、ゲーム開発というより通常のシステム開発と同様あるいはそれ以上のネットワークやサーバー等の知識とスキルが必要など多岐にわたる内容であった。

 7月16日に実施されたサイバーコネクトツーのセミナーの登壇者は、代表取締役の松山洋氏、ゼネラルマネージャーの渡辺雅央氏、神戸電子専門学校卒業生でプログラマーの柴崎孝仁氏の3名。内容は、企業や作品作りの背景、開発の現場のリアルな話、知っておく必要がある業界キーワード、インターンシップに臨む心構えまで多岐にわたる。インタビューに対し松山氏はこう語った。「情報を集めるのも何をするのでも、一人でやるより仲間がいた方が効率良く出来るのは明らか。神戸電子には優秀な人間がたくさんいるのだから、目標となる仲間を見つけてもっと活用した方が自分のやりたいことに近づけると思います。それと今いちばん売れている雑誌や漫画、視聴率の高い番組は必ず見てください。売れているものには必ず売れる理由があります。人が何に夢中になっているのかを理解しないと、自分が作品を作るときに困ると思う。授業だけで満足せず、学生時代に貪欲にいろんなことを吸収して社会人として活躍できるよう今から準備を進めてください。」

 
セガ 名越氏ゲーム業界セミナー
スクウェア・エニックス 時田氏ゲーム業界セミナー

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 8月20日のセガのセミナーでは、全世界での販売が400万本を超えるヒット作品『龍が如く』シリーズの総合監督として活躍する、株式会社セガ上席クリエイティブオフィサー 名越 稔洋氏が来校。代表作『龍が如く』の制作エピソードやゲーム業界の最新事情など映像を交えてレクチャー。日本全体に暗いニュースが多い昨今、エンターテインメントの役割がますます重要になっており、若いクリエイターに「元気を生み出して欲しい」と熱いメッセージを送った。最後にインタービューに答えた名越氏はこう語った。「ゲーム業界は基本厳しい世界。でもゲームに関わることは日本のために意味があることなので積極的に飛び込んでほしい。面接では、その時点で持っているスキルと可能性の両方を感じられる学生が望ましいのですが、平均的な人より強みが突出している人の方が生き残れる世界なので、自分の強みを伸ばす努力が大事です。学生時代は基礎固めをする時期で、応用力は社会に出てからでも学べるので、納得できるまで基本をおさらいすること。後はどこの会社でもグループワークが重要になるので、人に興味を持ち、今のうちにたくさんの友人を作っておいて下さい。」

 8月6日実施のスクウェア・エニックスのセミナーは、『FINAL FANTASY LEGENDS−光と闇の戦士』など数々のヒット作品を手掛けた、時田 貴司氏が登壇。過去に携わった作品での制作秘話、時田氏の会社での一日を仕事の流れ、チャレンジ精神の大切さ、就職という観点から見たゲーム業界についてプログラマに求められるもの、スクウェア・エニックスが求める人物像などについて語った。学生へのアドバイスに関するインタビューにはこう答えた。「自分にしかない個性を大事にしてください。世の中にさまざまなエンターテインメントがあふれている中で注目されるには、独創性が不可欠。知識や技術は必要ですが、それ以上に個性を持った面白い人を待っています。自分のコンプレックスを個性として肯定出来るような強さがあればなおいい。アルバイトやボランティアなどを学生時代に体験することも、社会に出てから協同作業をするうえで必ず役立つと思います」。


カプコン、フロム・ソフトウェア、日本一ソフトウェア業界セミナー
プラチナゲームズプログラマーセミナー

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 7月30日、カプコンからは、開発支援部 開発採用チーム長の川島 藍氏、日本一ソフトウェアからは、管理部総務課 本間 翼氏、フロム・ソフトウェアからは、管理部人事課課長 立野怜子氏らが登壇。3社の担当者に神戸電子専門学校教員より様々な角度で質問をし、答えていく流れで実施。ゲーム会社とは?ゲーム会社で就業するとは?IT関係の会社とゲーム会社の違いは?ゲーム会社でよく聞く残業や徹夜などについて教えていただけますか?具体的に「採用したい人」「採用したくない人」という基準はありますか?など多数の質問に対し、各社担当者は、それぞれ特色のあるコメントを出し、学生たちに刺激を与えていた。特に、採用に関する部分では、それぞれからのコメントをいただけた。
 川島氏のコメントは、「カプコンでは、人材をはかる独自の単位があるのですが、それはガッツです。1ガッツ、2ガッツなんていいます(笑)。面接のあとで、「あの子は10ガッツくらいかなー」「何ガッツ必要なんですか?」「100超えないとダメでしょ」なんて。上限はなくて無限大なんです(笑)。いまだにそんな基準で選ぶのかと思われるかもしれませんが、制作していて苦しい状況のときに、どれだけ一緒に頑張ってくれるか。それはやっぱりガッツなんです。」と語った。

 本間氏のコメントでは、「最終面接を終えた社長に、内定の決め手を聞くと「プライベートでも友達になれそうだったから」と。技術は当然大事なのですが、それ以上に人間的な魅力がほしいところです」と語った。

 立野氏のコメントは、「【成長できるかどうか】という視点で見ます。【成長できる】という点で説得力があれば、その時点でのスキルはさほど問いません。以前、面接官にある内定者の内定理由を聞いたときに「筆記試験の点数は高くはなかったけれど、自分のやりたいことに対し、何が重要かをきちんと調べてその意味まで面接で話せていた。まだ技術力はないが、育てやすいと感じた」と話していました。そこで、本当に育てようとしているんだなあ、と改めて実感しました。」と語った。

 7月23日、プラチナゲームズのプログラマー、坂田聖彦氏、大谷規之氏、高橋大志氏と同社取締役管理担当の佐藤賢一氏を講師に迎え、プログラマー トークライブが実施された。ゲーム制作の概要、プログラマーの役割、プログラミングについての事例を交えながら説明。また、モデラー、アニメーター、プログラマーの連携による仕事の流れやディレクターとゲームデザイナーによるチェックの進めかたなどリアルなゲーム制作の現場が垣間見える内容であった。インタビューでは「勉強でも遊びでも良いので、誰にも負けないものを持っている人が魅力的。時間のある学生時代にこそ、好きなジャンルだけでなくいろんなゲームを楽しんでほしい。ゲーム以外の遊びでも勉強でも何でも真剣につきつめてやれば、そのバックボーンが社会に出てからの強みになります。他人に負けない何かを持っている人は魅力的で、そういう一生懸命やる人が、会社に入ってからもどんどん伸びていくのではないでしょうか」とそれぞれの経験からの言葉を語った。


ヘキサドライブプログラマーセミナー

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 6月25日、このプログラマーセミナーでは、ヘキサドライブ代表取締役社長兼CEO松下正和氏、同社取締役開発統括マネージャー齊藤康幸氏が登壇。まずは、第一線のプログラマーたちが今どんな仕事に取り組んでいるのかを詳しく解説。その後「より面白いゲームをより効率的に」とこだわって開発されたゲームエンジン「ヘキサエンジン」のデモを実施しながらの紹介。そして「プログラマーになるためにはどんなことが必要?」というテーマを中心に、プログラムという仕事の魅力、取り組む姿勢、積んでおくべき経験や勉強などについて語った。最後に「プログラマーは世界一面白い仕事だ!」という言葉で締めくくった。セミナー後のインタビューで松下氏は「私は小学生のときにファミコンやスーパーファミコンと出会ってゲームにはまりました。同時に、「自分ならここをこんな風にしてもっと面白いゲームにできるぞ」といつも思っており、その思いが今につながっています。学生時代はいろんなことを学び、経験してください。プログラマーにもいろんな役割がありますから、自分の得意な面を伸ばし、それを仕事に生かしてほしいですね。」とコメント。


グリーソーシャル業界セミナー
グーグルIT業界セミナー

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 8月27日、グリー株式会社コンテンツディレクターの宮木和史氏が登壇。「インターネットを通じて、世界をより良くする」という グリー株式会社の会社説明から始まり、ソーシャルネットサービス業界の市場概況についての解説、今後の展望など幅広い内容のセミナーであった。最後に、宮木氏は、業界で求められる人物像について以下のように語った。

・自分の「市場価値」を高められるかどうか、いけてる市場で通用することが大切。スキルレベルは勉強すれば高められる。

・「やりたいこと」「できること」「やるべきこと」この3つが重なる部分が「個人のパフォーマンス」でこれを大きくして欲しい、特に「やりたいこと」を明確にすることが大事。

・一人で仕事をすることには限界があるので、コミュニケーション力は重要。今は勉強と同じくらいコミュニケーションをとることが大切である。

 6月25日、Google社で、アジア太平洋地域のウェブマスターを務める川島優志氏が登壇。セミナーでは、Googleとはどんな企業か、Googleでの川島氏の仕事内容、そしてGoogleに入るまでの“型破り”人生について、大いに語った。川島氏の所属する部署の解説。そして業務内容の解説を行なった後、「未来は作るもの、風向きは変わる」「踏み出せば、なんとかなる」「失敗を楽しむ」などのキーワードを川島氏の経験に基づいて解説。インタビューでは「僕が言いたいのは、皆さんどうか道を踏み外すことを恐れずに、自分の好きなことに全身全霊で取り組んで下さい。就職活動とか考えなくていいんです。誰かが固めた道なんかよりも自分を信じて、自分の道を踏み出して自分だけの景色をこれから見ていってもらいたいなと。大人たちは、未来の展望を暗いなんて言います。これから日本どうなるんだろうなんて。でもそういう大人達の予想なんていうのはね、まぁ当たらないんですよ。そんなね、当たったらノーベル賞もんですよ。本当はそういうものじゃない。何が起こるかわかんないし、それを変えていく力が君達にはあると思う。この話を聞いた人が1人でも、未来を変えていってくれたら、僕が今日ここまで来た意味も生きてきた意味もあったのかなというふうに思っています。皆さんのことを応援していますので、頑張ってください。」と学生たちへエールを送った。


ミクシィソーシャル業界セミナー

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 7月24日、ミクシィのセミナーでの登壇者は、アライアンス推進本部の木村 弘毅氏。ソーシャルアプリ業界について、現状、今後の方向性などを話しし、特に注目すべき点はスマートフォン市場の拡大であった。またソーシャル業界で活躍する方法まで話があり、特にコミュニケーション力の重要性を強調していた。そして、この業界は若い世代が活躍できる業界ということで、学生の間からからアプリ開発を積極的におこなう重要性、スマートフォン市場の拡大について、ソーシャル業界で活躍する方法、コミュニケーション力の重要性など学生にわかりやすいトークで語っていた。木村氏は、この業界は若い世代が活躍できる業界ということで、学生の間からからアプリ開発を積極的におこなってくださいとのこと。さらに業界へ入る方法としてミクシィでの「ハッカーソン」の紹介、ミクシィエンジニアーズブログの紹介があり、「アプリを作って発表できるのは企業だけではない」ということをPRした。


白組3DCG業界セミナー
デジタル・フロンティア3DCG業界セミナー

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 8月8日、白組による「メイキング オブ『フレンズ もののけ島のナキ』」セミナーが開催された。登壇者は、監督の八木竜一氏とCGス-パーバイザーの鈴木健之氏。『フレンズ もののけ島のナキ』がどのようにして作られたかを様々なメイキング映像や画像制作秘話を交えて行われ、シーンごとに細かな何パターンもの映像を使い丁寧に説明。八木氏は「どんな仕事でもつまらないと思わずおもしろい部分を見つけて頑張る!」、「3DCGの制作もラーメン屋さんがラーメンを作るのも同じ。おいしかった!と言われればやりがいを感じられる。人の心を動かした時の嬉しさがまたやる気に変わる」と仕事に対する考え方を語り、最後に学生へ送ったメッセージは「自分はコレが好きだ!!と思えることを見つける、好きで終わらない、技術では無く”コレが造りたい”という一念で制作された作品は見ている側にも伝わる」であった。

 8月8日、プロデューサーの豊嶋勇作氏、CG制作部ディレクター前川英章氏、土井淳氏が登壇。カリスマコミックといわれる『GANTZ』実写化におけるCG、VFXの内容をベースにセミナーを実施した。『GANTZ』のあの大迫力の映像はどうやってつくられたのか、その核心部分に迫る貴重な舞台裏の一端が紹介され、建物の破壊シーンや戦闘シーン、“転送”シーンなど数々のシーンを実際の映像と、特撮やCGの制作過程を比較しながらの解説に、ストーリーを知らない学生も引き込まれ、「当初考えられていた“CG祭り”ではなく、存在感に徹して、実物とCGが補完し合ってVFXの王道が成立した」という締めくくりに、学生達も深く納得の面持ちであった。インタビューでは「CG、合成、特撮を駆使した実写映画は、実際には地味な地味な作業の積み重ねです。しかしどんな作品でも、その作品自体が持っているテーマというものが存在します。私たちは、そのテーマに向かって『見せ方』を考え、制作していくわけです。この業界を目指す高校生、在校生の皆さんには、苦労を苦労と思わず前向きに楽しめる、そして、最低10年はCGをやめずに続けられるような人材になってほしいですね。」と締めくくった。


シンエイ動画アニメ業界セミナー
ぴえろアニメ業界セミナー

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 8月20日、『ドラえもん』、『怪物くん』など数々の人気アニメ作品を手掛け、現在はシンエイ動画の取締役制作管理部長の山田俊秀氏が登壇。『ドラえもん』のアニメ映像を見ながらの当時のCG技術やコンピュータ制御によるカメラの動きの解説や、『怪物くん』の試写会の裏話、原作者の藤子不二雄先生とのエピソードなどを中心に業界を解説。厳しい世界ではあるけれど、人とのコミュニケーションが苦手でない人、絵を描くのが好きな人はぜひチャレンジして欲しい、と詰めかけた学生たちにエールを送った。アニメーションの基本はパロディー感覚。さまざまな社会現象を、実写では出来ないアイデアや手法を用いていかに笑いで包みこめるかが勝負だと思います。学生時代におすすめしたのは「月に2本は映画を見る」「2か月に1本は演劇を見る」「3か月に1回は美術館に行く」「たくさん本を読む」こと。ジャンルは何でもいいです。そして良くても悪くても自分の感想を持つことが大事です。批判は自分にはねかえってくることもありますが、多様な表現ジャンルの作品を体験して自分なりの批評眼を養うことがきっとアニメの制作にも役立つと思います。

 7月23日のぴえろ業界セミナーは、執行役員人事総務部長、浅賀央起氏が登壇。まず、最初にアニメの制作工程をデジタル化による制作の効率化、クリエイティブの質をさらに高めるための取組みや制作スタッフの役割についてわかりやすく解説し、さらに国内のみならず世界市場を視野に入れたオリジナルキャラクターの開発やコンテンツのブロードバンド配信など、同社が目指す新たなアニメーションビジネスの展開などを語った。最後に学生達へ、「アニメ制作の現場は、一所懸命つくり続けられる人が残る世界。アニメが「好き」という気持ちはもちろん大事ですが、ただひたすら描き続けることができるのか、それをよく考えてください。でも今は、できるだけ多くのことに興味を持って引き出しを増やしておくのがいいでしょうね。厳しい世界ではありますが、「ひたすら描く」なかでこだわりを持つことも必要ですし、何より夢を持ち続けることを、いつになってもやめてはいけません。エンドロールに自分の名前が出る感動を、皆さんにも味わってほしいですね。」とエールを送った。


プロダクション・I.Gアニメ業界セミナー
ラジオ関西「青春ラジメニア特別授業」中村悠一氏声優セミナー

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 アニメ『戦国BASAR』」シリーズ、『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズなどを制作するプロダクション・I.Gのセミナーは、同社執行役員の郡司幹雄氏が登壇。アニメーターという職業の業務内容や魅力、やりがい、そして可能性、アニメ業界と他の業界を比較し、改善が必要とされる点など、業界のプラスマイナス両面から、具体的な数字や事例を交えて分かりやすく解説。最後に郡司氏は「アニメ業界を目指す人の中には、業界を理想化してしまっていたり、気持ちが純粋すぎて現実とのギャップに心が折れてしまう人がたまに見受けられます。本当に面白くてやりがいのある業界なので、若い人にはぜひ頑張って続けていただきたいです。今業界の第一線で活躍しているクリエイターさんたちの多くはアニメだけ見ているわけではなくて、アニメ以外の古典作品や名作と呼ばれる映画などをたくさん見ています。彼らの作品にはそういった名作たちのオマージュも多く見受けられるので、映像の勉強のためにも、今好きな作品をより楽しむためにも、ぜひ学生時代にたくさんの名作に触れていただきたいですね。」と締めくくった。

 フリーアナウンサーで同校講師の岩崎和夫と、MCタレント・南かおり両氏を司会に迎え、『マクロスF』の早乙女アルト役や『おおきく振りかぶって』の阿部隆也役などを務めた声優の中村悠一氏の声優業界セミナーが開催された。中村氏は、専門学校時代からデビューまでの道のり、下積み時代の苦労、役柄への思い入れ、現場の裏話などを語り、学生たちへのアドバイスとしてインタビューはこう語った。「このようなセミナーで話をするのは初めてなのですが、質疑応答で来場者の皆さんともいろいろ話ができてよかったですね。声優志望者は多く、シビアな世界だという話もしましたが、自分の特色を生かせるような場を見つけてください。声優になるのに特に向き不向きというものはなく、短所と思えるような面(頑固とか、人見知りとか……)でも“味”として出せることがよくあります。要は柔軟にいろいろ取り込める汎用性が大事なんだと思います。」


アートスピリッツ 染谷 和孝氏サウンドデザイナーセミナー

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 7月24日、『FINAL FANTASY』シリーズや『メタルギアソリッド』等のサラウンドミキシィングやサウンドデザインを手掛けた株式会社アートスピリッツ染谷和孝氏のサウンドデザイナーセミナーが開催された。サウンドデザイナーおよびミキシィングエンジニアとして活躍する氏のこの仕事を目指すきっかけや道のりについての話や、氏の手掛けた作品を題材に効果音、効果音楽の考え方を参加者にワークショップのように考えさせ、丁寧に解説していくなど後進育成のための熱い授業も展開され、最後は「僕もそうでしたが、諦めなければ夢はかなう。だからみなさんも頑張ってください。」と参加者へのエールでセミナーが終了した。