●振り返ると恥ずかしい失敗も……(梶原)

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 2011年9月6日〜8日の3日間、神奈川県のパシフィコ横浜・国際会議センターにて、ゲーム開発者の技術交流などを目的としたCEDEC(コンピュータエンターテインメントデベロッパーズカンファレンス) 2011が開催されている。

 この記事では開催2日目に行われたグリーの協賛セッション“GREEソーシャルゲーム5年間の技術的失敗と成功の歴史〜GREE Technology Stackのご紹介”の模様をお伝えする。同セッションでは、2007年からソーシャルゲームを提供してきたGREEの技術的な側面での失敗と成功の事例を通じて、ノウハウや必要な技術が解説されたほか、それらの経験に基づくGREE提供のフレームワーク“GREE Technology Stack”について語られた。

 本セッションの登壇者は、グリーの藤本真樹氏(開発本部 取締役 執行役員CTO 開発本部長)と梶原大輔氏(開発本部 インフラ統括部 アプリ基盤チーム リーダー)。前半は、「まだ“ソーシャルゲーム”という言葉がなかったころから、我々はゲームを作ってきました。2007年5月に『釣り★スタ』をリリースし、その後も5〜6本の自社タイトルを開発してきました。この5年間を振り返ってみると、恥ずかしい失敗もありました」と挨拶した梶原氏による、GREEにおける過去の失敗例が紹介された。

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 ネットワーク関連では“ラックのトラフィックが頭打ちになる”という失敗事例を挙げ、その結果、ラックスイッチが限界を迎え、ラック内のサーバーのレスポンスが遅くなってしまい、そのせいで障害の原因に気づきにくくなってしまったと梶原氏。その対応として、トラフィックが多くなるサーバーについてはトラック分けをしたり、トラフィックの監視することで問題を解消したことを明かした。

 ゲームを開発、運営するうえで“チート対策”についても考える必要があるが、そこでも過去に失敗事例があったという。当初、アバターの画像用のURLは8文字ほどにしていたそうだが、「それでは簡単にユーザーにアタックされてしまった」(梶原)。また、アイテムやモンスターの画像ファイルの番号も、連番にしているとユーザーに読まれてしまい、「攻略サイトに全モンスターの画像が掲載されて驚いた」(梶原)という事態に。これらはURLの文字量を増やしたり、ファイルを見直すことで解消させたと説明した。

 そのほか、MySQLやFlare、監視など、カテゴリーごとに失敗事例とその解消法について紹介されるなど、とても興味深い話となった。

●グリーの技術基盤を皆さんと共有し、ともにがんばっていきたい

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「あまり過去の話ばかりしても仕方ないので、少し未来の話を」と、梶原氏に続いて登壇した藤本氏。同氏は昨年のCEDEC 2010で、“大規模ソーシャルゲームの作り方”についてセッションを行っており、それから1年経った現在、「何か変化があったかと言えば、フィーチャーフォンからスマートフォンにシフトしている」と語った。ただ、スマートフォンにシフトしたことで、ゲームを“ブラウザで作るか? アプリで作るか?”という悩みをメーカーや開発者が抱え、どちらにするかで延々に綱引きをしているとのこと。ここで藤本氏は「僕らとしては、両方を考えていかなければならないと思っている」との考えを示した。

 また、フィーチャーフォン版は国内で勝負すれば良かったが、スマートフォンになると、世界中のデベロッパーと競争していかないとならない。「世界に目を向けないと未来がないと思うので」(藤本)とも主張。そして、GREEのパートナー向けに用意している、さまざまな開発向けソフトなどを紹介し、「グリーの技術基盤を皆さんと共有して、いっしょにがんばっていきたい」と藤本氏は、集まった受講者にメッセージを送った。