●異形の敵と戦いながらさまざまな仕掛けを解いていく

 『Insanely Twisted Shadow Planet』はウイルスに冒された故郷の星を救うために戦う、横スクロール2Dアクションアドベンチャーゲーム。美麗なグラフィックで彩られたステージを探索し、異形の敵と戦いながらさまざまな仕掛けを解いていく。アクションとパズルが好きな人は絶対に見逃せない1本だ。そんな本作をライターの豊臣和孝が語る。

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▲突如襲い掛かるウイルスの脅威。プレイヤーこと主人公は、宇宙船に乗ってひとり絶望的な戦いへと挑む。

●基本アクション ~ツールの使いわけが超重要!~

 プレイヤーが操作するのは、一隻の宇宙船。左スティックで船を動かし、右スティックとRトリガーで“ツール”を操作していく。一度に使えるツールは一種類だけだが、RBボタンまたはLBボタンで表示される“リングメニュー”でいつでも切り替えが可能。ツールは、ショット、レーザー、マジックハンド、丸ノコギリ、誘導ミサイルなど、全部で9種類が登場する。最初はショットと敵や仕掛けなどを調べるセンサーしかないが、ステージに落ちているアイテムを拾うことで、使えるツールが少しずつ増えていく。

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▲探索に欠かせないツールは全9種類。右スティックとRトリガーで使用する。最初はヒントや敵情報などを調べるセンサーしかないが、落ちているツールを回収することで少しずつ増えていく。

 リングメニューを表示する際、ツール指定時に“ABXY”を入力すれば、そのボタンを押しただけで瞬時にそのツールが呼び出せるようになる。本作は、敵や仕掛けにあわせてツールを使いわけていくのが基本中の基本。使用頻度の高いツールは、各ボタンに登録しておくとプレイがグッと楽になる。

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▲プレイ中は状況に応じて各ツールを使いわけていく。そのステージで使用頻度が高いものをABXYに登録しておけば、瞬時に切り替えられて超便利。

 攻撃系ツールは、強化アイテムを拾うと少しずつパワーアップしていく。ただし、強くなったからといって一般的なアクションシューティングよろしくバリバリ敵を倒せるようになる、というわけではない。ステージのあちこちをたゆたっている有象無象のザコキャラたちは、見た目や動きもさることながら、レーザー、正面シールド、誘導弾、分散、範囲攻撃など、カジュアルゲームとは思えないほど多彩な特性を備えている。単なるパワープレイでは苦戦を強いられること必至で、ザコキャラとの戦いもメリハリが効いた手ごたえ十分の内容に仕上がっている。

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▲ステージが進むごとにザコも手強くなっていく。特定のツールでしか倒せない敵にはとくに注意が必要だ。

●あちこちに散りばめられた“謎解き”が超楽しい!

 本作最大の特徴は、何といってもステージのあちこちに仕掛けられた“謎解き”だろう。最初はスイッチ形式のシンプルなものが大半だが、ステージが進むにつれて少しずつ難易度が上がっていく。アクションゲームらしい直感的なものから、ロジカルに手順を積み重ねていくものまで、大小さまざまな仕掛けが用意されている。凄まじく難しいものや、いわゆる“ハマリ”もないが、そのぶん適度なテンポで気持ちよくゲームが展開していく。

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▲謎解きは少しずつ難易度が上がるが、極端に難しいものはない。目的地がわからなくなったときはバックボタンでマップを確認するといい。

 ボス戦も、ただ力任せに倒せるような安直なタイプは一切出てこない。攻撃パターンや動きにちょっとした“ひねり”が加えられているため、倒したときの達成感はなかなかのもの。世界観との兼ね合いなのか、全体的に動きや演出が「ちょっと地味かなぁ」と感じられるが、アクションやシューティングの古典的名作を思わせる中身重視の作りは決して悪くない。じっくり取り組めるゲームを探していた人には、むしろ好印象とさえ言える。

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▲ボス戦は攻撃パターンや弱点を見極めて戦うこと。コンティニュー制限はないが、だからといって何も考えず戦ってはダメだ。

●味わい深いグラフィックと世界観、美しいBGMにも注目!

 本作は、ゲーム本編もさることながら、独特のグラフィックや世界観、BGMの完成度も高いものがある。影絵ふうのタッチが印象的な基本グラフィックは、落ち着いた色使いのステージと美しいコントラストを描き出す。物凄く手が込んでいるというわけではないが、明確なコンセプトに裏打ちされた構成とアクションゲームらしい動きが感じられる画面が、プレイヤーの目を飽きさせない。

 世界観にマッチしたBGMも秀逸で、派手さはないが深々とした美しい響きが作品全体に厚みを持たせている。SEのクオリティーも申し分なく、このあたりにも制作チームのセンスのよさがうかがえる。

●クリアーまでの道のりは短いが、そのぶん“濃密な体験”が味わえる良作

 謎解きを軸にすえたゲームの宿命だが、本作は“何度もくり返し長く遊べる”たぐいの作品ではない。ムービーやギャラリーといった収集要素はあるが、気合を入れれば半日でコンプリートできるくらいのもので、マルチプレイがランタンレース1種類というのもちょっぴり寂しい。

 ただ、そういった点を差し引いても、本作は1200MSPを払ってプレイする価値が十二分にあると筆者は思う。ステージ構成、敵の種類や動きなど“ゲームの根幹部分”が丁寧に作られており、適度な難易度とスパンで配置された謎解きも、小さな成功体験の積み重ねがじつに心地いい。“細く長く”を求める人には不向きだが、“太く短く”を至上とするのであれば、本作は濃密な時間をプレイヤーに与えてくれるはずだ。

 ■豊臣和孝
フリーライター。ファミ通Xbox 360ではインディーズコーナーにて執筆中。

Insanely Twisted Shadow Planet
対応機種 Xbox 360(Xbox LIVE アーケード)
メーカー 日本マイクロソフト
開発元 FuelCell/Gagne Int'l
配信日 配信中(8月3日 配信開始)
価格 1200マイクロソフト ポイント
ジャンル アクション・アドベンチャー
CERO A(全年齢対象)

[豊臣和孝のこれまでのレビュー記事]
※カジュアルなアクションシューティング『レッドファクション:バトルグラウンド』インプレッション

(C)2011 Shadow Planet Productions