●世界でまだ30人くらいしか見ていない貴重な実機デモ

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▲プレゼンを行った、プロデューサーの片岡謙治氏(右)と、北林達也氏(左)。

 タイトル発表以来の長い沈黙を経て、ついに最新プロモーション映像が公開されたカプコンのXbox 360・Kinect(キネクト)専用タイトル『重鉄騎』(発売日未定)。じつは、gamescomの開幕に併せてマイクロソフトが行ったイベント“Xbox Play Day”の会場内で、一部のメディアに向けて『重鉄騎』の実機デモがお披露目されたのだ。そこで目撃した情報をお届けしよう。

 デモで紹介されたのはPVとほぼ同じシーン――アジアの大国によって占領されたニューヨークに、米軍が複数の鉄騎を含む大軍勢で上陸するという場面だ。プレイヤーが乗るのは4人乗りの鉄騎で、自分はコックピットの中心に座り、右側に砲撃手がひとり、左側には砲撃手とナビゲーター(通信手)のふたりがいるというフォーメーションだ。ふたりの砲撃手はマシンガンやランチャーの操作をし、ナビゲーターは弾の装填などを行い、プレイヤーは鉄騎の移動および照準の調整といった指令塔のような役割となっている。つまり、4人が揃って初めてこの4人乗り鉄騎は機能するわけで、誰かひとりが欠けるとたちまち立ちゆかなくなってしまうのだ。

 

 さて、前作『鉄騎』でも話題を呼んだ(?)発進までの細かな操作――エンジンを入れたり、照明をつけたりといったものは『重鉄騎』でももちろん顕在。今回はあのボリューム満点なコントロールパネルはないが、その代わりにKinectと言う見えないコントロールパネルが搭載された。プレイヤーは狭いコックピットの中を見渡して(視点変更はクビと体の動きで判別)各種ボタンを見つけ、それをKinectでポチポチと押していくことになる。ちなみに照明をつけるスイッチの近くには自爆ボタンが設置されているので誤って押さないように注意してほしい。機体の外を見る場合は、正面はプレイヤーの目の前にある覗き穴から見ることができるが、左右についてはモニターを通してしか見ることができない……のだが、攻撃を受けて装甲に穴が開いてしまった場合はその穴から外の様子を少しだけ伺うこともできるようだ。とは言え、どちらも視界にはかなり限りがあるので一気に状況を把握するのは難しい。そんなときはその場でスクっと立ち上がろう。このアクションをするとゲーム内のプレイヤーは上部にあるハッチを開けて、鉄騎の外に頭を出す。これによって、周囲をクリアに確認できるというわけだ。また、目の上に手をかざすと望遠鏡で遠くを見ることもできる……のだが、あまり気軽にこれらの行動を取るのは危険。戦場ではつねに弾が飛び交っていて、運が悪いと流れ弾に撃ちぬかれてしまう。実際、今回のデモでもハッチから頭を出した数秒後に、流れ弾に当たってしまうという悲劇が。こうなると問答無用でゲームオーバー。生身の体をさらすときは覚悟を持って、そして素早く行動……が鉄則となりそう。

 人間の存在感がさらに増した『重鉄騎』では、先に説明したクルーたちとの人間関係という問題もプレイ中には生じてくる。たとえば今回のデモでは、敵の一斉射撃を受けて錯乱状態に陥った左側の砲撃手が、戦闘中にも関わらず突然ハッチを開けて逃げ出そうとしたのだ! さて、このときプレイヤーが取ったアクションは……右手を上げて逃げようとする砲撃手を捕まえ、引きずり戻すというものだった。どうにか席に戻したが彼はまだ完全に錯乱状態。そこでつぎにプレイヤーが取ったアクションは鉄拳制裁だ。相手の頬にフックをくらわすイメージで腕をふるとゲーム内の自分はパンチをくり出し、数発殴ったところで砲撃手がやり返してきた。若干険悪なムードが漂ったものの、砲撃手は冷静さを取り戻したようだ。このように、外だけでなく内側でも戦場のリアリティーが描かれており、ゲームへの没入感は否が応にも高くなる。ちなみに、逃げ出そうとした砲撃手をそのままスルーするという選択肢ももちろんあり。しかしその場合、逃げ出した彼はすぐにハチの巣になるのは間違いないし、左側の武器が使えなくなるというデメリットも発生する。しかし、逃げ出そうとするクルーを何度も引き戻して殴るをくり返すとムードが悪くなり、しまいには言うことを聞かなくなる可能性もあるという……いかに仲間が戦いやすい環境を作るかも、本作では重要な要素となりそうだ。

 戦闘とは直接関係ないことばかり書いてしまったので、ここら辺から具体的な戦いかたについても説明しよう。『重鉄騎』では前作『鉄騎』とは異なり、コントローラによる操作も必要だ。具体的には鉄騎の移動、照準合わせ、射撃と言ったアクションはコントローラで行うことになる。これは前作で“パネル操作にばかり集中してしまう”という傾向があったので、それを脱却する考えと遊びやすさを考慮してのこと。敵の種類は今回確認できたのが歩兵と敵の駆る鉄騎の2種類。前者は鉄騎に乗っている限りはそれほど脅威とはならないが、前述した通り彼らの流れ弾で思わぬ死を迎えることもあるし、また正面の覗き穴のガラスが割れてしまった場合、そこから流れ弾が入ってくる可能性もあるので決して油断できない存在だ。後者は言うまでもなく、プレイヤーにとっての脅威となる。今回のデモでは足が破壊されて動きが取れなくなった鉄騎しか出てこなかったが、たとえ移動できなくても火力の強さは驚異的。堅牢な砲台として存在感を発揮していた。

 なお、今回のデモは前方にあるトーチカの破壊or占領というもの。プレイヤーの駆る鉄騎は自軍の歩兵たちをそこまで導く役割を持っており、彼らは目の前の脅威がなくなると自動的に前進するという行動を取る。つまり、前述した敵が駆る鉄騎や、遮蔽物や建物の上から撃ってくる敵歩兵などをとにかく破壊し続けていれば勝手に進軍してくれるというわけだ。そして見事ミッションに成功(今回のデモではトーチカを破壊)すると、クルーたちも大喜び。握手を求めてきたらこちらもしっかりと手を差し伸べて喜びを分かち合おう。当然ここでも、手を差し伸べないという行動は可能だが、ムードが悪くなるのは言うまでもない。

 以上が今回の実機デモで明らかになった情報である。『鉄騎』と言えばパネルによる操作のリアルさがウリだったが、『重鉄騎』ではそれに状況のリアリティーが加わった印象だ。機体の中でも外でも争いが起き、プレイヤーはつねに逃げ場のない状況を抱える。このプレッシャーは、まさに本物の戦場のソレだ。『鉄騎』と聞くと、どうしても操作のほうに注目しがちだが、今後は戦場というシチュエーションの再現度にも注目してほしい。

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