『ロボティクス・ノーツ』志倉千代丸氏インタビュー完全版!【4日連続第4弾】

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志倉千代丸氏による企画・原作、5pb.とニトロプラスのコラボレーションによってリリースされている、科学アドベンチャーシリーズ。その第3弾『ロボティクス・ノーツ』についての情報を、ファミ通.comでは4日間連続でお届けしていく。【第4回】

●科学アドベンチャーシリーズ第3弾! 志倉千代丸氏が構想を語る

 いよいよ本格的に情報が解禁された科学アドベンチャーシリーズ第3弾『ロボティクス・ノーツ』。その構想について、シリーズの企画・原作を担当している志倉千代丸氏に語ってもらった。なお、今回のインタビュー内容は、週刊ファミ通2011年8月18・25日合併号(2011年8月4日発売)に掲載されたものに、少しだけ情報をプラスしたものとなっている。本誌誌面で一度読んだという人も要チェックだ。

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■志倉千代丸氏
MAGES.代表取締役社長。科学アドベンチャーシリーズの企画・原作を担当するかたわら、多彩な作品やアーティストに向けた楽曲制作なども手掛ける。

――今回、年代が2019年となっていますが、気になるのが“世界線変動率1.048596%”という言葉です。
志倉千代丸氏(以下、志倉) いわゆる、“シュタインズ・ゲート世界線”(※1)ですね。この作品は『シュタインズ・ゲート』から9年後の世界になります。『シュタインズ・ゲート』で“分岐”という考えかたと、“世界線”(※2)という考えかたを知ってもらいました。1991年の湾岸戦争、2000年の2000年問題、2009年には『カオスヘッド』で起きた事件がある。これもひとつの大きな分岐だったのです。さらに、翌年の2010年には『シュタインズ・ゲート』で描かれた秋葉原での出来事、タイムマシンが開発された“かも”しれないという大分岐もあった。その9年後。今度は世界が注目するロボット開発をテーマに大きな分岐があったという構造です。だから、科学アドベンチャーシリーズとは、世界線が大分岐するシーンを描いていくシリーズとも言えます。すべてはシュタインズ・ゲート世界線の先にある未来のために。

――ロボットをテーマにした理由は?
志倉 先日の東日本大震災やスマトラ島沖地震のときなど、被災地での救助活動において人力ではとても太刀打ちできない現場が数多くありました。でも、二足歩行ロボットなら舗装されていない道路も、段差も乗り越え、さらに現地では瓦礫など、超重量の対象物を移動できたりと、とても役に立つのです。原発の事故が起きたときも放射能の中、現場に入って作業を行うことができます。こういった背景もあり、現在も全世界的にロボット工学“ロボティクス”というものが注目されていることが、理由のひとつとしてあります。ゲームの中では、このロボティクスの考えかたをモチーフにしつつも、主人公たちが独自の“オタク的アイデア”でロボットを開発するんです。その代表的な例が「格ゲーでいいんじゃね?」という発想。事前にモーションキャプチャーを行い、ロボットにデータセットされたモーションを、格闘ゲーム同様の“コマンド”で呼び出し、難しい動きも“コンボ”でカバーするんです。格闘ゲームのコマンドでモーションを呼び出すだけなら、本来は難解なはずの操縦でも、格ゲーオタクの主人公にとっては非常に単純明瞭、直感的で、ときには神業級の操縦だってできるかもしれません。とてもゲーム寄りなこの描写が、ゲーム開発に詳しいゲームファンにとって、おもしろく感じてもらえたらうれしいですね。もちろん、ホビーロボットファンの皆さんにも楽しんでもらえたら最高です。格闘ゲームのコマンドを採用するという発想や、モーション技術、ゲームのプログラムの技術、といったゲーム世界のノウハウすべてが、ホビーロボットで活かされる。それが、ホビーロボットファンにどう映るのか、非常に興味深いです。このストーリーを可能にするには、ロボット工学の天才や、ゲームのプログラマー、モーションキャプチャーのモーションモデルなど、絶対に必要な人たちがいます。そのキャラクターが、主人公を囲む仲間や、ヒロインとして登場するわけです。

――本作品のテーマには、ロボットのほかに“拡張現実”と“夢”がありますが、夢は意外でした。
志倉 『カオスヘッド』や『シュタインズ・ゲート』は、キャラクターの立ち位置や、コミュニティーがまったく別ものだったんです。『カオスヘッド』では、ひとりひとりがバラバラで、みんなで何かをするということが、最後にならないと出てこないんです。そして、『シュタインズ・ゲート』では、みんなでモノ作りをしようとしても、毎回リセットされちゃうんですよね。ですから、じつはみんなでひとつのことをやろうと奮闘しているように見えて、それはすごく短時間のことなんです。でも、『ロボティクス・ノーツ』は、長期間にわたってみんなでがんばろうという話なんです。イメージ的には……九州新幹線。

――九州新幹線ですか(笑)。
志倉 みんなが旗を振って「わー!」と盛り上がっているようなイメージなんですよ。種子島という田舎町から発信された情報が、最終的に世界が注目する何かを成し遂げて、島を上げて祝うような。それがまさに九州新幹線のCMとダブって。主人公たちは、じつはぜんぜんダメダメ部なんですよ。高校の教頭からも、廃部を言い渡されるくらいのお荷物研究部なんです。そんな彼らが「俺たちってどうやったらすごくなれるんだろう?」と悩み、仲間とともにさまざまな苦難を乗り越え、ひとつになり、涙を流し、裏切り、未来を信じながら少しずつ成長していく青春ジュブナイル物語です。また、『プロジェクトX』的な、“モノ作り”を通じたサクセスストーリーでもあります。彼らが、大きな夢を持ってぶつかっていって、それが日本の夢になり、世界の夢になっていく。ただ、その夢が成し遂げられなかったときに、世界はどうなってしまうのか? という話です。それがテーマのひとつである“夢”ですね。

――科学アドベンチャーというよりは、本当に青春ジュブナイル物語という印象ですね。
志倉 たしかに、そう見えるかもしれませんが、最終的にはホビーロボットの研究を通じて科学を掘り下げていきますので、やはり科学アドベンチャーだと感じてもらえると思います。“ホビーロボットを作る”とひと口に言っても、そこには当然、科学的な知識や技術が必要になります。それが巨大ロボットなら、もっともっと。地球の重力に打ち勝つためには本当に最先端の技術が必要になる。そういった部分からも、本作では多くの専門用語が登場しますから。

――“拡張現実”、いわゆるARについては?
志倉 “AR”は、夢までの“過程”を表します。たとえば、できそこないのロボットもポケコンをかざして、ARというフィルターを通して見ると、すごくカッコよく見えるんです。そのカッコいいイメージが、彼らのモチベーションになる。ほかにもヒロインの女の子にポケコンをかざせばネコ耳がつけられたり、デジタルデータで作った宝を種子島のいろいろなところに行って探す宝探しなんかもできます。そういう遊びをしているうちに、彼らはデジタルの中にしかない機密データを見つける。最初は遊びのつもりで見つけたものが、少しずつ現実と一体化していく。そういった“恐怖”も表しています。

――それが、新システムの“ポケコントリガー”?
志倉 そうです。ポケコンをかざすと、背景の絵に差分データとして何かが付加されているんですよ。要するに間違い探しみたいなものなのですが、「これってさっきなかったよな」というものをポケコンの中でタッチしてダウンロードする感じです。それが何かの“データの破片”で、集めていくと、ひとつのプログラムになる、といった遊びもあります。

――分岐以外の遊びもあるわけですか?
志倉 フォーントリガーにも分岐とは関係ないメールがあって、そこが遊びの部分ではあったんです。ですが、今回は遊びの幅をさらに広げています。遊びがいっぱいあるほど、じつは難度が高くなるんですよ。たとえば“ツイぽ”(短文投稿サイト)で誰かにカキコミをしたとする。そのカキコミによって恐怖が拡散して、ダメなルートに進んでしまうとか。ポケコンの中の機能が多いほど、難しくなるんです。そのポケコントリガーの差分演出などを行うために、絶対に3Dじゃなきゃダメだろうということになりまして、キャラクターを3Dにしたんです。

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――キャラクターの3D化にはそんな理由が?
志倉 下着パッチやコスプレパッチ(※3)というものをこれまでの作品でやりましたが、それはヒロインや主人公には“見えていない”ものだったんですよね。プレイヤーだけが楽しめるものでした。でも、今回のポケコントリガーの設定なら、主人公が自分の趣味で水着にしたという話の流れになるので、ゲームの中のキャラクターとプレイヤーが同じものを共有できるんですよ。それがおもしろいんじゃないかな、と思っています。たとえば、勝手にメイド姿にされたことに対して、ヒロインが「ちょっとやめなさいよ」と怒って近寄ってきて、トリガーをガッとどけるといった演出も3Dだったら可能です。そういう演出があることで、キャラクターとの距離感がグッと近くに感じられるんですよ。

――まさに、体感しながら楽しめるアドベンチャーゲームという感じですね。
志倉 アドベンチャーゲームとは、セリフも音楽も効果音もある、リッチな読み物なんです。つまり、“超電脳紙芝居”なんですよね。そこから、演出の幅をどこまでアニメーションに近づけていくかを考えていました。アニメーションの中に入り込めて、ある程度の自由度があるゲームプレイができたらすごいと思うんです。僕が個人的に好きだった『やるドラ』(※4)シリーズなどは、アニメファンにとって心くすぐられる画期的なものでしたが、あれも準備されたアニメーションを追体験していくだけでした。『ロボティクス・ノーツ』では、3Dを取り入れることで、既存のアドベンチャーゲームとアニメーションの中間ぐらいの表現というものを目指しています。現在は、ここから演出の表現の幅を、開発に許される時間内でどこまで広げられるか、というところを日々研究しています。

――でも、キャラクターが3Dになると聞いて不安になったシリーズのファンの方も多いと思うのですが、その不安を払拭するような、製作陣のこだわりはありますか?
志倉 たとえば画面写真がゲーム雑誌に載ったときに、3Dのゲームだと思われないものにしたいと思っていました。動き自体も、たとえば待機モーションで不自然に揺れていなくてもいいよ、といった指示を出しています。

――キャラクターの話が出たので、ちょっと気になっていたことを伺えればと思うのですが、フラウは何でフラウという名前なんですか?
志倉 とある作品からのオマージュです(笑)。やはりロボットといえば、これだろう、と。林(直孝氏)にも聞かれたので同じように答えました。「え? ダメ?」って。

――役回り的には、“とある作品”と同じような感じなのでしょうか?
志倉 そこはぜんぜん違いますね。“ポリゴン”のつぎをいく次世代3D処理エンジンを考え出した天才プログラマーです。

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――本作では、JAXAの協力を得られたそうですが、なぜ、JAXAだったんでしょう?
志倉 主人公たちが作る10メートルぐらいのロボットというのは、重さでいうと何十トンもするものなんです。それを組み立てられる重機は、日本だと三菱重工業、石川島播重工業、JAXAぐらいにしかないんですね。だから、ホントに現実的にロボットを作っているように感じてもらうには、どこかに協力してもらうしかなかったんです。それでダメ元で種子島のJAXAまでプレゼンに行ってみたんですよ。そうしたら「いいよ」って言っていただきまして(笑)。

――意外とあっさり(笑)。
志倉 紆余曲折はありましたが、快く承諾してくださいました。結果的には東京にあったJAXA i(※5)で承諾していただいたんですけれど、種子島まで行った甲斐がありました(笑)。

――マルチプラットフォームにされた理由は?
志倉 僕にとっての“いい作品”というのは、ゲームのプレイ時間を超えるくらい、ストーリーのことを誰かと語り合ってもらえる時間が生まれるもの、と考えています。たった2時間の映画でも、それを観た誰かと何時間も語ってしまうような。そのために、できるだけ多くの人にゲームをプレイしてもらいたいと思っています。さらに今回は、ネタバレをできる限り抑えたくて、特定のひとつのハードだけで先行することをやめました。また、ユーザーどうしがそのゲームを“遊んでいるタイミング”を共有することも、物語を語り合ううえで重要だと思っています。

――なるほど。それでは、最後にファンに向けてひと言メッセージをいただければ。
志倉 5pb.GAMESとして、アドベンチャーゲームの新しいスタンダードをどんな形にしようか、ずっと考えていました。従来のアドベンチャーゲームよりもコンテンツとしてリッチなものを目指し、毎回作品を作ってきましたが、今回はさらに3D表現を取り入れています。その“自由度”を物語や演出にどう生かせるか? が重要なポイントでしょうね。アニメーションに負けないくらいにキャラクターが動き、それを自由なカメラワークで演出できたとしたら、アドベンチャーゲームのスタンダードは確実に1段レベルアップすると思います。今回の『ロボティクス・ノーツ』は、5pb.GAMESのこれまでの経験と、新しいたくさんの挑戦が凝縮されたような作品です。動画で観ると、また印象が違うと思いますので楽しみにしていてください。Twitterやツイキャスでも、スタッフに怒られない程度に捕捉情報を発信しようと思いますので、そちらもよろしくです!

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※1:『シュタインズ・ゲート』で主人公の岡部倫太郎たちがたどり着いた世界。
※2: 時間軸と平行な無数の世界があるという概念。通常は世界が分岐したことに気づくことはないが、主人公の岡部のみ分岐前の世界の記憶を保持できる能力を持つ。
※3: PC版『カオスヘッド』ではヒロインが下着姿になってしまうパッチが、PC版『シュタインズ・ゲート』では登場キャラクターがコスプレをした姿になるコスプレパッチが特典として用意された。
※4: ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンより発売されたアドベンチャーゲームシリーズ。フルアニメーション、フルボイスで進行する物語が話題になった。
※5:2010年12月28日に惜しまれながら閉館。

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