●ただいま参加者を募集中

 国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)と9leapは共同で、“福島GameJam(Fukushima Game Jam)”を2011年8月27日〜28日の2日間に福島県南相馬市で行うことを明らかにした。

 “GameJam”というのは、参加者どうしが初対面で即興のゲーム開発チームを編成して、発表されたお題に合わせて、制限時間内に、チームでひとつのビデオゲームを完成させていくというイベント。毎年1月末に、ゲーム開発者個人を対象とした国際NPOである、国際ゲーム開発者協会(IGDA)が、“Global Game Jam”という名称で国際イベントを行っており、今年は世界136ヵ所から6500人の参加があり、1500本のゲームが開発されたのだという。日本でも、東京、福岡、札幌の3ヵ所で開催され、150名近い参加者があった(⇒東京会場の様子はこちら)。

 今回行われる“福島GameJam”は、この“Global Game Jam”のフォーマットに則って、東北地方復興支援の一環として実施されるもの。こちらのイベントに、東京から出発する参加者30名と、東北から参加する30名を募集するとのこと。興味のある方は、以下のリリースを熟読して参加のご検討を。


<福島GameJamのコンセプト>

 “熱気”のあるところは、困難を乗り越える。  被災地域は困難に直面しているけど、きっと大丈夫。
 それは、日本で最も“熱気”を持つゲームクリエイターたちが、
 被災地域の人たちと一緒に、ゲームを作る姿から生まれる、
 たっぷりとした“熱気”を、
 世界に伝えることで証明するから。

□このイベントの意義
 3月11日に東日本大震災が起きて以来、生活のために不要不急とは言えないエンターテインメント産業である、ビデオゲーム産業に従事しているゲームクリエイターたちは、自分たちが日々従事している仕事を通じて、何か被災地のために行動できないだろうかという模索をしてきました。
 津波被害のための瓦礫の撤去といった基本的な生活秩序の回復に対しては、ゲームクリエイターは無力です。しかし、現地の生活状況が回復してきている現在、未来につながるような活動として、ゲームクリエイターらしい方法で、現地の復興へと協力できると考えたのです。
 それが、GameJamを、福島で開催するというものでした。
 福島は、今後、原子力災害という風評被害に長い間直面していかなければなりません。“Fukushima”という単語は、特別な意味を持ち、今後ネガティブな意味を持って、世界から見続けられることになります。だからこそ、あえて、その場所でポジティブなメッセージを発信するGameJamを開催する意義が生まれます。

 福島GameJamを通じて、現地を視察した日本のゲームクリエイターたちと、東北地域の学生を中心とした若者たちとで、共にゲームを作り上げることには、様々な効果が期待できます。30時間という開発時間の制限の中で知力を尽くしたゲームは様々な効果をもたらします。
 GameJamの最大の魅力は、イベント実施中に、ゲームをチームで作っている人たちから、立ち上る強烈な“熱気”にあります。それを通じて、被災地域は復興できるという、メッセージを発信していきたいのです。また、GameJamそのものの持つ高い“教育効果”も、世界で確認されています。プロのゲームクリエイターたちと共にゲームを作るという作業を通じて、東北地域の若者は、ゲームを作る物づくりの方法を、実践を通じて、実感として学ぶことができます。
 さらに、このイベントは、IGDAが持つ国際的なネットワークを通じて告知を行い、イベントの開催中は、Ustreamを通じて日本はもとより、全世界に対して中継番組を放送し、世界に対してメッセージを発信します。そして、完成したゲームをインターネットを通じて、配信することによって、福島をはじめとする東北地域の復興のシンボルへと繋げていきたいと考えています。

 現在、その参加者を東京から出発する参加者30名と、東北から参加する参加者30名の募集を行っています。
 東京参加者申込向けページ(締切2011年8月10日) ⇒応募はこちらから
 東北参加者申込向けページ(締切2011年8月19日)⇒応募はこちらから

 東京からの参加者には、『どこでもいっしょ』の生みの親である“トロチチ”こと南治一徳さんなどの参加を頂き、また、現地からのUST中継では、キューエンターテインメントの水口哲也さんなどの参加を頂くことを予定しています。

□東北地域復興のフレームワーク“東北ITコンセプト”の策定に向けて
 さらに、このイベントは、単発のイベントではなく、“東北ITコンセプト”という産官学が連携した新産業創出ための提案に繋げる考え方へと広げるものに、位置づけることも計画しています。
 この計画の基本は、「首都圏と東北地域とで、デジタルメディアを通じて、広域なITクラスターを形成する」ことを目標とし、「産官学とが連携を行うことで、それぞれの地域が自律的に、デジタルメディア産業での人材育成と産業振興を実現化するための厚みの形成」を目的としています。
 将来性の高いオープンプラットフォームを利用した、リアルとバーチャルを組み合わせた教育環境を整備していくことで、特に東北地域の若者に、新しい人生の切り開く選択肢を提案するというものです。
 デジタルデータであれば、風評被害に悩まされることなく、場所を意識することなくビジネスが、全世界に対してビジネスを展開できる可能性が持つ特性を利用していくものです。これは、被災地域の復興が、最初の段階が終わりつつある今だからこそ、新しい未来を切り開く道を、生み出していくための有効な手段へとつなげていきたいと考えています。
 福島GameJamは、この“東北ITコンセプト”実証の、最初のモデルケースとして位置づけているものです。

■実施概要
主催:国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)、9leap 共催:NPO法人イノベーションネットワーク
後援(予定):南相馬市
協賛:ヴィジュアル・クリエイターズ・ラボラトリー、サイバーズ株式会社
協力(予定):東北芸術工科大学、東京工科大学、国立情報学研究所
期間:2011年8月27日(土)〜28日(日)
会場:福島県 南相馬市 労働福祉会館 ⇒こちら
   (※放射線量は安全であることが確認されています)
参加予定者:60名
 (東京から参加のゲームクリエイターなど30名、東北地域参加者学生など30名)10チームを想定

□実施予定スケジュール(2011年8月5日案) 細かい日程は後日変更になる可能性があります。
◇2011年8月26日(金)
22:00 秋葉原集合(東京出発参加者)
24:00 出発 大型バスで移動 30名 秋葉原ー>福島県相馬市

◇2011年8月27日(土)
早朝 福島県相馬市到着 現地視察(東京参加者)〜設営作業開始
8:00 東北地方参加者 福島市・仙台市出発(30名) - 10:00 現地到着
11:00 “福島GameJam”プロローグ
    10チーム(各6チーム)のチーム分け、テーマの発表、各チーム企画案作成開始
    Ustreamを通じた世界中継番組を開始(番組制作は、東京工科大学の学生チームによる)
12:00 “福島GameJam”実作業を順次開始

◇2011年8月28日(日)
17:00 “福島GameJam”制作タイム終了(スタートから30時間)
17:30 開発ゲームのプレゼン会準備、完成ゲームのインターネット配信開始
18:00 プレゼン開始
19:00 プレゼン終了、撤収作業開始
夜 現地出発 ‐>東北(現地出発19時半頃を予定)と東京(現地出発24時頃を予定・29日早朝秋葉原解散)に別れて帰宅の途に