『初音ミク Project DIVA Arcade Future Tone』フォトスタジオ導入の経緯を大崎プロデューサー&松並ディレクターに直撃!

公開日時:2015-06-29 14:00:00

想い出をシールに残せるアーケード作品が誕生!

初音ミク

 初音ミクたちの歌や踊りが楽しめるリズムアクションゲーム『初音ミク Project DIVA』。セガ・インタラクティブが手掛ける同シリーズのアーケード最新作『初音ミク Project DIVA Arcade Future Tone Version A with フォトスタジオ』が、2015年6月29日より全国のゲームセンターで順次稼動を開始する。ゲーム内で撮影したシーンがプリントシールになるという、これまでに類を見ない新機能“フォトスタジオ”を追加した本作。このフォトスタジオについて、大崎誠プロデューサーと松並桂一ディレクターにお話をうかがった。

※本インタビューは、週刊ファミ通2015年7月9日号(2015年6月25日発売)に掲載したものに加筆・編集を行った完全版です。

※フォトスタジオの概要や遊びかたはこちら

●リズムゲームの枠を越えた機能拡張を導入した真意とは?

――今回のバージョンアップで、ゲーム内で撮影した画像をプリントシールにできる機能“フォトスタジオ”が導入されました。リズムゲームで、しかもアーケードのタイトルでこのようなバージョンアップを行うのは、かなり思い切った内容だと思うのですが、導入した経緯などをお聞かせください。

大崎誠氏(以下、大崎) 本シリーズのファンの方って、リズムゲームとしてだけではなく、キャラクターの写真を見て楽しんでいる方も多いんです。また、プレイヤーさんには女性も多い。ですので、新しい施策として、プリントシールという仕組みを考えました。去年の夏ごろに動き出し、11月にはもうロケテストを実施していました。

松並桂一氏(以下、松並) すごいスピード感で実現したなと、改めて感じます(笑)。本作はリズムゲームですが、フォトスタジオのような仕組みはユーザーさんが喜んでくれると確信していたので、やってみようと思いました。

大崎 もともと、本作には初音ミクたちが踊っているプロモーションビデオ(PV)を鑑賞しつつスクリーンショットを撮影できる“PV鑑賞モード”を導入していました。ユーザーさんの中には、このモードでお気に入りのシーンを撮影してTwitterにアップされている方も多かったんです。いまでは“#ガチ撮影勢”というハッシュタグもあるようで(笑)。

松並 好みのモジュール(衣装)のベストショットを狙う……といった、疑似カメラマン的な楽しみかたですね。すでにこのときから、ふつうのリズムゲームにはない楽しみかたができたのですが(笑)、こういった遊びの機能はしっかりと伸ばそうというのが、本シリーズの特徴といいますかポリシーだったので。

――ほかのリズムゲームにはない本作ならではの魅力を伸ばす意味で、今回フォトスタジオを導入したんですね。

大崎 そうですね。先ほどプレイヤーさんに女性が多いという話をさせていただきましたが、『プリクラ』などに代表されるように、「女性とシールって親和性が高いのかな?」と考えたことが、そもそもの始まりでした。また、最近はスマホの普及もあって“写真を自分で撮る”という文化も浸透していますよね。だったら、そのふたつを合体させてしまえと。

松並 ある日、大崎が突然「つぎはシールじゃない?」と言い出し、プリンターメーカーさんからプリンターを借りてきて「早く作ってロケテストやろうぜ」と(苦笑)。

――すさまじいスピード感ですね(笑)。

大崎 昨年の夏ごろに動き出して、11月にはロケテストやりましたからね(笑)。通常の業務で現場の人間は動かせなかったので、私と松並、あとプログラマーの田中の3人で進めていました。

松並 いや、実質ふたりですよ(笑)。僕は大崎から話を聞いて、少しだけ関わったぐらいなので。

――え、それで3ヵ月でロケテストまで進むのですか?

大崎 プログラマーにレイアウトを決めてもらって、デザインの人間には必要最低限のことをお願いしたくらいですね。「やっぱり写真を貼るとかだから、コルクの柄がよくない?」みたいな、すごく昔っぽい作りかたをしましたね。

松並 デザイナーにも「プラン側で仕様書かなくてもいいですか? ……まぁ勝手に作ってるみたいだからいらないか」みたいな感じで(笑)。

大崎 最後の最後でユーザーインターフェイスの部分を決める際に、ちょっと人を集めましたが基本的には最小限の人間でロケテストまでこぎつけました。「私はいけると思うけど、本当にこの機能を受け入れてもらえるのだろうか?」という思いが根っこにあったので、開発チームの人員を割くことは避けたかったんです。

松並 ロケテストの反応が悪かったら、すぐにやめようと思っていましたからね。

――確かに、前例がなさ過ぎて何も判断できないですよね。

大崎 前もって立てている運営スケジュールや予算も絡んでくるので難しい部分でした。ですが、『-プロジェクト ディーヴァ-』というコンテンツは、家庭用・アーケード用どちらも、初音ミクたちのPVやモジュールが大きなウリです。フットワークの軽さが私たちの武器でもあるので、挑戦してみたんです。

松並 キャラクターを好きになるとグッズも欲しくなるというのが、ふつうの気持ちですよね。それなら、このゲームを愛してくれているユーザーさんは、自分が好きなPVの、好きなシーンがシールになるというのは、絶対にうれしいはずだと思いました。

――ロケテストでは、どのような反応がユーザーさんから来たのでしょうか?

大崎 ありがたいことに、とても好評でした。

松並 東京では、フル稼動していましたからね。

大崎 その後、大阪や岡山でもロケテストを行い、そこでもユーザーさんからいい反応をいただきました。ロケテスト中にノートを置いて、ユーザーさんに要望を書いてもらったんですが、「一般的なICカードに貼れる大きさのサイズが欲しい」という希望が多かったので製品版では導入しています。

鏡音リン 鏡音レン

――それはうれしい機能ですね! 『初音ミク Project DIVA Arcade Future Tone Version A with フォトスタジオ』はいよいよ2015年6月29日から稼働しますが、導入までを改めて振り返ってみて、どんなところに苦労しましたか? また、こだわった点は?

大崎 実際にプリントアウトされたシールは、ゲーム画面で見るものとは発色が違うんですよね。ですので、いかに綺麗な色がプリントできるか、プリンターメーカーの方も交えて、苦労しつつもかなりこだわった部分です。

松並 プリンターのメーカーさんにご協力いただき、綺麗な色が出るように専用のチューニングを施しました。

大崎 前例がない機能ではありますが、やはり“いちばん最初に導入した”ということは、大きな意味があると思っています。ユーザーさんからの期待値もそうですし、こういった施策がビジネスとして成立するかも含め、内外から注目が集まりますからね。いかに少人数で制作したからといっても、クオリティが低かったら意味がない。そういった意味でも、シールの発色はかなりこだわった部分です。

――稼動後のユーザーさんからの反応が楽しみですね。最後に、今後のシリーズの展望をお聞かせください。

松並 アーケード版の稼動から約5年、愛し続けてもらったなとうれしい限りです。ボーカロイド文化のジュークボックス的な立ち位置の作品として、しっかりとゲームを作っていきたいです。今回のバージョンアップは、音楽ゲームとしては異色のものかと思います。もちろん、今後も楽曲やモジュールの追加を定期的に行っていきますのでご期待いただければ。

大崎 本シリーズは、音楽ゲームとしての完成度に加えて、PVやキャラクターのかわいさやかっこよさを追求しています。フォトスタジオの導入は、本シリーズの持つ魅力の側面をピックアップした機能ですので、まずは1度試してみてください。きっとハマれますので(笑)。楽曲やモジュールが増えるたびに、フォトスタジオの遊びも広がっていきますので、今後のバージョンアップも楽しみにお待ちいただければと思います。

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初音ミク Project DIVA Arcade Future Tone 公式サイト
■タイトル
初音ミク Project DIVA Arcade Future Tone
■メーカー
セガ
■ジャンル
リズムアクション
■プレイ人数
1人
© SEGA
© Crypton Future Media, INC. www.piapro.net piapro
記載の商品名および社名は各社の登録商標です。
『初音ミク』は歌うソフトウェアです。