クロスレビュー
走るゾンビと戦略性の高い協力プレイで衝撃のデビューとなった「LEFT4DEAD」の続編です。ゲームの大容量化に伴い、続編の発売に数年かかるのが当たり前となる中、1年を待たずのスピードリリースとなりました。そこまで慌てて出さなくても、1はもっと長く遊べたんじゃないかと思わなくもないですが、そこにはきっと複雑な大人の事情というヤツが絡んでいるのでしょう。なんだか気になるところです。 さて、短期での続編リリースということで、元祖FPS・DOOMのように、「基本システムはほとんどいじらず、ステージを一新し、 新武器と新モンスターを追加した、続編というよりは新エピソード集」なのかと思いきや、なかなかどうしてかなりのパワーアップをしています。まあ、ステージ一新、新武器と新ゾンビの追加には違いないのですが、新たなゾンビの登場により、前作ではゾンビラッシュ時の定番戦法だった「狭い部屋などで一ヶ所にかたまっての立てこもり」が通用しません。さらに、そもそも立てこもっていてはいつまでたってもゾンビラッシュが終わらない仕掛けの登場など、前作とは大きく戦法を変えないといけないため、緊張感が大幅に増しました。また、前作では単体でしか登場しなかったタンクやウィッチといった強力な特殊感染者が複数で登場したり、ゾンビを大量に呼ぶ防犯アラームつき自動車がたくさんに設置してあったりと、前作からあるシステムをうまく応用したギミックが盛りだくさんです。 対戦プレイもパワーアップしました。生存者と感染者に分かれて戦うユニークな対戦は非常に戦略性が高く、前作でも好評でしたが、1ステージを生存者と感染者で交互にプレイして進めていくため、決着が付くのに数時間かかることもあり、「気軽に対戦」というわけにいかないのが欠点でした。今作では、生存者側はマップ内に散らばったポリタンクを集め、感染者はそれを邪魔するという新ルール「スカベンジ」モードが搭載され、短い時間でもサクッと遊べます。もちろん前作同様の通常対戦やサバイバルモードもあり、「気軽に対戦」と「じっくり対戦」を使い分けることができます。 と、いう具合に、前作の不満点を概ね解消した正統パワーアップバージョンとなっていますが、プレイしていると、なぜが心の奥がチクチク痛み、あまり楽しむことができません。そんなチクチクに気付かないふりをして今日もスカベンジをプレイしますが、過疎が激しくなかなか対戦相手が見つからず、やっと開いている部屋を見つけたと思ったら何もしてないのに追放され、しょうがないので野良でキャンペーンをすれば、外国人が独走したあげくあっさり死んではすぐ退出して行き、1人で何とかフィナーレにたどりついたと思えばBOTはガソリン集めを見てるだけの非協力っぷり……。その瞬間、心の奥のチクチクの正体が判りました。それは、フレンドのいない寂しさだったのです。そうです。今作は、協力要素がますますにパワーアップされ、シングルや野良ではますます厳しい内容になってます。前作は難易度エキスパートのシングルでもある程度は何とかなったのですが、今作はアドバンスすら厳しいです。 そんなわけで、(これを言うのはもう何度目になるのか判りませんが)フレンドがいる側の人間は100点間違いなしの作品ですが、そうでない筆者側の人間はこのゲームを100%楽しむことはできません。まあ、対戦の実績をコントローラー2個使った1人対戦でほとんど解除できるはありがたいですが、心のチクチクはますます増大することでしょう。今作最大の敵は、ウィッチでもタンクでもなく、「孤独」という名のウィルスに感染された自分自身なのかもしれません。
クロスレビュー