2023年8月18日より全国の映画館で先行上映、10月よりテレビでの放送が開始されるアニメ『アイドルマスター ミリオンライブ!』。同作でプロデューサーを演じる中村源太さんのインタビューを実施。プロデューサー役が決まる前から、『アイドルマスター』(以下、『アイマス』)シリーズのことが好きだったという中村さんに『アイマス』との出会いやオーディションの思い出、演じる際に意識したことなどを語ってもらった。

※本インタビューは2023年6月15日発売の週刊ファミ通(2023年6月29日号 No.1802)に掲載したものに加筆、修正を行ったものです。

中村 源太(なかむら げんた)

5月14日生まれ。神奈川県出身。声優養成所“スクールデュオ”の18期生で、2018年より賢プロダクションに所属。『ライアー・ライアー』(篠原緋呂斗役)を始めとするアニメ作品への出演はもちろんのこと、海外ドラマの吹き替えなども数多く担当している。文中は中村。

アニメ『アイドルマスター ミリオンライブ!』プロデューサー役の中村源太さんにインタビュー。『アイマス』との出会いやオーディションの思い出、演じる際に意識したことなどを直撃
アニメ『アイドルマスター ミリオンライブ!』プロデューサー役の中村源太さんにインタビュー。『アイマス』との出会いやオーディションの思い出、演じる際に意識したことなどを直撃

――プロデューサー役が決まる前から、『アイマス』シリーズが好きだったそうですが、出会いはどういうものだったのですか?

中村僕が中学生のときに近所のバッティングセンターに『太鼓の達人』があって、学校が終わってから友だちといっしょに遊ぶのが日課になっていたんです。その中に『アイマス』シリーズの楽曲も収録されていて、最初は作品のことを知らずに「すごくいい曲だな」と思って『GO MY WAY!!』を練習していたら、いつの間にか好きになっていました。その後、『神さまのBirthday』、『THE IDOLM@STER』、『Do-Dai』など、ほかの曲をプレイしていくうちに、「『アイドルマスター』という作品の曲なんだ」と知って、そこから沼に入っていきました(笑)。

――なるほど(笑)。その後、『アイマス』シリーズの作品はプレイされたのですか?

中村もちろん興味はあったのですが、ゲーム禁止の家庭だったので実家に住んでいるあいだはプレイできず、ネットで動画を見たりしていました。その後、ひとり暮らしを始めたときにプレイステーション3を購入して、初めてプレイしたのが『アイドルマスター ワンフォーオール』でした。そして、発売順とは逆ですが、『アイドルマスター2』もプレイしました。

――ソーシャルゲーム『アイドルマスター ミリオンライブ!』はプレイされていましたか?

中村じつはソーシャルゲーム『アイドルマスター ミリオンライブ!』のサービスが開始された2013年ごろは、僕が高校を卒業して養成所に入るぐらいのタイミングで、声優になるために集中していた時期なので、『アイマス』から少し離れていたと言いますか、深い関わりを持たないようにしていたんです。

 ただ、曲は聴いていて、勇気をもらったり、励ましてもらったりしていました。ですので、『ミリオンライブ!』ブランドのゲームとしては声優になった後、『ミリシタ』(※『アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ』。以下、同じ)のサービスが開始されたタイミングで始めた感じです。

アニメ『アイドルマスター ミリオンライブ!』プロデューサー役の中村源太さんにインタビュー。『アイマス』との出会いやオーディションの思い出、演じる際に意識したことなどを直撃

――そんな中でアニメ『ミリオンライブ!』のプロデューサー役のオーディションがあると聞いたときはどういう気持ちでしたか?

中村アニメ化の発表は2020年で、ひとりのプロデューサーとしてはうれしい気持ちでしたが、そのときの僕はまだデビューして2年目だったので、役者としては「もうオーディション終わっているかな……」と関わることができないと思って勝手に絶望していました。でも、その数年後にオーディションのお話がきて、「まだ決まってなかったの!?」と衝撃でしたし、テンションが上がりました(笑)。

――オーディションはいかがでしたか?

中村自分で言うのも変ですが、キャラに関してはめちゃくちゃ自信がありました。というのも、プロデューサーは自分が目立つのではなく、誰かを応援する立場ですよね。僕もわりとそちら寄りの人間なので気持ちがすごくわかるし、いままで演じた役でいちばん演じやすかったです。

――なるほど。『アイマス』シリーズのオーディションでは、面談と言いますか質疑応答のようなものがあるという話をよく聞きますが、中村さんのときもありましたか?

中村まったくなかったですね。ただ、音響監督の菊田浩巳さんとは面識があって、僕がスーツでオーディションに臨んだので、「なんでスーツで来たの? スーツなんて着慣れてないでしょ。スーツに着られてるよ」と笑われました(笑)。でも、スーツで行ってよかったです。

――なぜ、スーツで行くことにしたのですか?

中村受かっても落ちても、『アイマス』のプロデューサー役は今後もう受けられないだろうなと思ったからです。それでスーツをオーダーして、ネクタイもプロデューサーのイラストと同じようなものを探して複数の店舗を巡ったり、僕は基本的に腕時計をしないのですが、イラストでスマートウォッチをしていたので買いに行ったり、オーディションのために全部揃えて、ほぼコスプレ状態でした(笑)。

――すごい熱意ですね。

中村オーディション中も「絶対に受かってやる!」と目が血走っていたと思いますよ。

――それだけ演じたい役だったということで、オーディションではプレッシャーを感じたり、緊張などされたのではないですか?

中村それがまったくなかったです。というのも、最終オーディションのときに前の人が終わって、僕の番から原稿が半分ほどカットされてしまったので、「前の人に決まってしまったのかな」と思ってしまって。でも、それが逆に「それだったら思い出を作って終わるぞ!」くらいの感覚でノビノビやることができたので、緊張は皆無でしたね。

――では、手応えとしては悔いはなくやり切ったという感じだったんですね。

中村そうですね。やり切った感覚はありましたが、「絶対落ちたわ……」と思っていましたね。

――そう思っていただけに合格の連絡がきたときはビックリしたのではないですか?

中村本当に驚きました。しかも事務所の方から電話で合格したことを聞かされたのですが、そのとき奇跡的に武道館の近くのスタジオで収録をしていたんです。だから「これは運命だ」と思って収録が終わった後、武道館まで走って行きました。警備員の方からは少し白い目で見られましたが、特別な思い出になりました(笑)。

――それから時を経て、アフレコなども始まっていったと思いますが、演じる際に意識したことなどを教えてください。

中村収録が始まる前からチーフプロデューサーとして赤羽根(健治)さんが出演するということを聞いていました。やっぱり僕の中には765プロのプロデューサーは赤羽根さんというイメージがあって、そことは差別化する必要があると思ったので、最初に赤羽根さんやスタッフさんに相談しました。

 最終的には、赤羽根さん演じるチーフプロデューサーは、アニメ『アイドルマスター』のときよりも大人になっているということで、僕は若さや青さを出していくことを大事にしました。もちろんプロデューサーも話数が進むに連れて成長しますが、その部分は失わないようにしたいなと。

 あとは自分の私情を挟まないことですね。『アイマス』が好きだから、アイドルがかわいい場面でも「かわいい……」となってはダメという自分ルールを課していたんですけど、ところどころ出ていたみたいで、音響監督の菊田さんに「恋愛ドラマみたいになってるから。アイドルを口説かないで(笑)」と言われたりしました。

――まだアニメが放送前ということでお話しできることは限られていると思いますが、ここに注目してほしいという部分はありますか?

中村若さや青さ以外だと、やっぱりアイドルたちへのリアクションはこだわりました。たとえば、ドギマギしないといけない場面でも「ここはおもしろくドギマギしよう」とか、「ここは本当にドキッとしたほうがいい」というように、意識して差を出したのでそこは注目してほしいです。

――収録現場はいかがでしたか? 『アイマス』シリーズの現場は男女比に偏りがあるという話をよく聞きますが。

中村コロナ禍ということもあって分散での収録だったので、これまでの作品とは少し違ったかなと思います。わりといろいろな方と収録させていただきましたが、基本的には山崎はるかさん(春日未来役)、田所あずささん(最上静香役)、Machicoさん(伊吹翼役)と収録することが多かったので、そのお三方が話しているところに混ざらせてもらうみたいな感じで、すごく楽しかったです。

 山崎さんが「来週、旅行に行ってくるからお土産、買ってくるね」と言って、つぎの収録にお土産を持ってきてくれたり、頼れるお姉ちゃんという感じでした。

――先日、アニメの本予告や幕間映像が公開されましたが、ご覧になっていかがですか?

中村オープニング主題歌の『Rat A Tat!!!』が最高です。アフレコの練習用の映像にも仮歌状態のものが入っていて、そのときから「いい曲だな」と思っていましたが、本予告映像で完成バージョンを初めて聴いて感動しました。

――映像には、ライブシーンも収録されていましたね。

中村アイドルたちはもちろん背景もめちゃくちゃ綺麗ですし、踊りもいいですね。全員がシアターの前で踊っているシーンも最高でした。

――キャストの皆さんもアフレコ時は仮の映像で、完成したものはまだご覧になられていないんですよね。

中村そうですね。だから、ソフトボールがめちゃくちゃ綺麗に描かれていて、「やっぱり、CGでソフトボールを描くとこんな感じでボールが潰れるんだ」とビックリしました。

――映画館での先行上映とテレビの放送開始が待ち遠しいですね。

中村テレビではもちろんですが、ぜひ劇場の大画面でみんなでいっしょに観て、感動を分かち合いたいですね。

――映画では応援上映の実施も予定されていますし。

中村そうみたいですね。立場的にあまり大きな声では言えませんが、めちゃくちゃ行きたいので、しれっと混ざっているかもしれませんよ(笑)。僕はいったい何回、観に行くんでしょうね。じつは僕はもうムビチケを8枚くらい買っているので、最低8回は行かないといけないなと思っています。

アニメ『アイドルマスター ミリオンライブ!』プロデューサー役の中村源太さんにインタビュー。『アイマス』との出会いやオーディションの思い出、演じる際に意識したことなどを直撃

――このインタビューは『ミリシタ』の6周年を記念したものでもありますので、『ミリシタ』についても伺えればと思いますが、どういうスタイルで楽しまれていますか?

中村ふだんはコミュが追加されたら見て、イベントを走ったり、好きな曲をプレイしたりという感じですね。

――イベントコミュも欠かさず、すべてチェックされている感じですか?

中村もちろんです。せっかく新しいコミュやイベントが出ているなら、それはもう見る以外選択肢がないですね。

――プロデューサー役として発表されたときのコメントで「好きなコミュなど、たくさんお話ししたことがある」と書かれていましたが、とくにお気に入りのコミュを教えていただけますか?

中村Jelly PoP Beansが本当に好きで、とくに『月曜日のクリームソーダ』のロコの反応がおもしろくて、たまに見返したりしています。あとは『Eternal Harmony』もすごく好きですし、最近だと『電波感傷』もめちゃくちゃおもしろかったですし、挙げ出すとキリがないです。

――その気持ちわかります(笑)。では、好きなMVはありますか?

中村自転車』のラストサビの5人並んで自転車の踊りをするところも好きだし、(矢吹)可奈と(北沢)志保の『メリー』の最後のふたり並んで決めポーズや、『Eternal Harmony』の5人全員で踊るところも大好きだし……この話題だけでもずっと話せますね(笑)。

――絞るのが難しいですよね。続いて、『ミリオンライブ!』の楽曲の中で、『ミリシタ』に実装してほしい曲を教えてください。

中村M@STERPIECE』、『Clover Days』、『ザ・ライブ革命でSHOW!』、『ビジョナリー』……これもいっぱいあり過ぎます。そういえば、数日前に『Legend Girls!!』の実装が発表されたんですけど、「運営さん、遅いよ!」と(笑)。でも、CDが発売されてから10周年のタイミングだと聞いて「それなら許すか」と納得しました。

アニメ『アイドルマスター ミリオンライブ!』プロデューサー役の中村源太さんにインタビュー。『アイマス』との出会いやオーディションの思い出、演じる際に意識したことなどを直撃

――(笑)。そういえば、プロデューサー役に決まる前にライブに参加されたことはあるのですか?

中村それこそ僕は部活をやっていて、土日が全部埋まっていたので765プロオールスターズの皆さんのものは映像でしか観られていないです。『ミリオンライブ!』については、先ほどお話した通り、声優になるために集中していた時期だったので、「行きたいけど、しょうがない……」という感じでした。

 でも、最近、山崎さんがDVDを貸してくれて、1stから8thまですべて観ました。現地には、プロデューサー役に決まった後に8thライブのリハーサルで皆さんにご挨拶させていただいて、そのまま当日も観させていただいたのが初めてでした。そこからは9thや10thツアーのAct-1や、合同ライブの“THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!!!! 2023”に(以下、MOIW2023)も行かせていただいて本当に感謝です。

――初めて現地でご覧になった8thライブはいかがでしたか?

中村コロナ禍で声出しNGだったのですが、現地ならではの特別な空気を感じました。バレンタインがテーマということで、恋愛系の楽曲が多くてキュンキュンしたり、オペラセリア・煌輝座のパフォーマンスに感動したり、すごく楽しかったです。

――先ほど山崎さんからDVDを借りて、これまでの周年ライブをすべて観たとのことでしたが、とくに印象に残ったのはどの公演でしたか?

中村やっぱり、“ありがサンキュー”(※)ですかね(笑)。

※2016年4月17日に幕張メッセで開催された“THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 3rdLIVE TOUR BELIEVE MY DRE@M!!”幕張公演Day2にて、田所あずささんが「ありがとう」と言う場面で間違って「サンキュー」と言ってしまい、台本通り「ありがとう」と言った山崎はるかさんと被って「ありがサンキュー」と聞こえたことから、そう呼ばれている。

――(笑)。

中村話には聞いていたんですけど、やっぱり映像で見るとおもしろいですね。

――10thライブツアーAct-1の公演1日目には再現も行われていましたね。

中村しかも、プロデューサーの皆さんが田所さんがいないのに青のペンライトを振っていて最高でした。でも、それを抜きにしても3rdライブツアーは全部好きですね。個人的には天体公演も好きなので、10thライブツアーのAct-1では、1stから4thライブまで歴史を振り返ることができてうれしかったです。

――Act-2以降も楽しみですね。

中村まだ一度もコールをできていない曲もあって、Act-2以降ではそういった曲も披露されると思うので、今後が楽しみですね。

――では、MOIW2023はいかがでしたか? 『アイマス』シリーズが好きになったキッカケが765PRO ALLSTARSの楽曲だったということで、想い入れもあったと思いますが。

中村本当にうれしかったです。ただ、関係者席で騒ぎ散らかしてごめんなさいという感じです(苦笑)。1日目は赤羽根さんとふたりで見ていたのですが、2日目はいろいろな人がいる中、ひとりで号泣していました。僕はあまり他ブランドの話はしないようにしているのですが、やっぱり他ブランドも好きな曲ばかりなので、合同ライブはすごく楽しかったですね。とくに『MOON NIGHTのせいにして』は白熱しました。

――『SideM』は男性から見てもカッコいいですよね。

中村本当にカッコよくて、315でした! あと、『SideM』の皆さんに『Raise the FLAG』を歌っていただけたのがうれしかったです。じつは、そのほかにも“THE IDOLM@STER 765PRO ALLSTARS LIVE SUNRICH COLORFUL”も観させていただきましたし、こちらは映像になりますが、“THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!2015”もめちゃくちゃよかったです。すみません、語り出すと止まらなくなりそうです。

――いえいえ。逆にもっと語りたいことや、今後こんなことをやってみたいということはありますか?

中村『アイマス』シリーズ楽曲のイントロクイズ企画をやってほしいです。この間、個人的に音楽プレイヤーをシャッフルモードにしてイントロクイズをやってみたら、321曲連続で正解できました。いま仕上がっている状態なので自信もあります。あとは、アイドルマスターチャンネルにお邪魔してみたいです。

――濃い話ができそうですね。

中村あと、『ミリオンライブ!』のキャストさんで、まだお会いできていない方やあまりお話しできていない方がいるので、いっしょに遊んだりできるといいなと思います。

――人数も多いですからね。個人的にはプロデューサー役の方が集まって、座談会をしてほしいです。

中村それは僕もやってほしくて、じつは赤羽根さんとも「プロデューサー役のメンバーでイベントやりたいですよね」という話をしていました。おそらく、大きな会場でも埋まると思うので、ぜひ実現してほしいです。

――最後にプロデューサーの皆さんにメッセージをお願いします。

中村『ミリオンライブ!』をキッカケに僕のことを応援してくれる方が増えて本当に感謝していますし、これからもがんばっていくのでよろしくお願いします。また、僕がまだ声優の活動をする前に先輩のイベントに行って、チケットのもぎりだったり、物販のお手伝いをずっとやらせてもらっていたときに、「応援するよ」と言ってくれた方もすごくいらっしゃって、そういう方たちにやっといいご報告ができたのかなと思っています。

 アニメ『ミリオンライブ!』はプロデューサーの皆さんはもちろん、初めて『アイマス』や『ミリオンライブ!』に触れる方にも楽しんでいただける最高な作品になっていると思いますので、いっしょに盛り上げていただけたらうれしいです。

アニメ『アイドルマスター ミリオンライブ!』プロデューサー役の中村源太さんにインタビュー。『アイマス』との出会いやオーディションの思い出、演じる際に意識したことなどを直撃