2023年6月29日に6周年を迎えた、スマートフォン向けアプリ『アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ』(以下、『ミリシタ』)。それを記念して、白石紬役の南早紀さんにインタビューを実施。オーディションについてや、方言を学びに金沢に行ったというエピソード、紬の印象の変化など、これまでの思い出を語っていただいた。
※本インタビューは2023年6月15日発売の週刊ファミ通(2023年6月29日号 No.1802)に掲載したものに加筆、修正を行ったものです。
南 早紀(みなみ さき)
11月19日生まれ。大分県出身。『BanG Dream!』(大湖里実役)、『八月のシンデレラナイン』(野崎夕姫役)、『ライフル・イズ・ビューティフル』(姪浜エリカ役)など、多数のアニメやゲームに出演しているほか、Web番組やラジオのパーソナリティーも担当している。文中は南。
――『ミリオンライブ!』は今年で10周年、『ミリシタ』は6周年を迎えました。いまの率直なお気持ちをお聞かせください。
南『ミリオンライブ!』が10周年ということで、ぴょんさん(春日未来役の山崎はるかさん)のようにコンテンツの開始当初から活動されている人のお話を聞くと、それだけ歴史のある作品だと実感します。
『ミリシタ』も6周年ですよね。私は香里有佐ちゃん(桜守歌織役)といっしょに『ミリシタ』から合流しましたが、最近有佐ちゃんと「もう6年経ったんだね!」と懐かしむ機会がありました。本当にあっという間だったなという感覚です。
最近ではライブの声出しも再開されてプロデューサーさんのお声も聞けるようになりましたし、アニメの放送も控えています。ますます盛り上がる『ミリオンライブ!』の今後が楽しみで仕方がないですね!
――『ミリオンライブ!』10周年の特集時にコメントをいただきましたが、そこでは『ミリシタ』の10周年も迎えられるようにがんばりたいと話されていましたね。
南もう見えてきていますよね! 先日、10周年ツアーの“Act-1H@PPY4YOU!”を有佐ちゃんと見学させていただいたのですが、改めてプロデューサーさんとキャストの皆さんの絆の深さに驚かされました。私たちもこの輪の中に加えてもらえるようにがんばろうと有佐ちゃんと改めて意気込みましたね。
――もう6年以上前になるかとは思いますが、紬と出会ったオーディションのことは覚えていますか?
南オーディションでは、最初は白石紬ちゃんではなくて、青羽美咲ちゃんを受けました。というのも、当時の私は歌うことや踊ることに苦手意識がありまして。人前に立つのにも緊張してしまうので、事務員として活躍する青羽美咲ちゃんを受けさせていただいたんです。
その後、スタッフさんから「白石紬ちゃんも受けてみない?」と勧めていただいて、紬ちゃんのオーディションにも挑戦しました。
――オーディションでとくに印象に残っていることはありますか?
南確か当日は「唐揚げ好きなの?」というスタッフさんからのひと言から始まったと思います。プロフィールに好きだと書いていたので、私の緊張をほぐすために「オススメの唐揚げ屋さん、教えて?」と談笑してくださったんです。そのおかげで、めちゃくちゃリラックスしてオーディションに臨めたことを覚えています。
ほかには、紬ちゃんの審査のときに「すごく大事に演じてくれているのが伝わるよ」と言っていただけたのが印象深いです。
――手応えはいかがでしたか?
南正直、終わった……と思いました。以前、ほかのタイトルのオーディションを受けさせていただいたことがあるのですが、当日に失敗をしてしまって、そのことがトラウマとしてあったのと、『ミリシタ』のオーディションでも、ほかに受けていた方がかわいくて魅力のある人ばかりだったので、半ば諦めの気持ちがありました。
――自信がなかったとのことでしたが、紬役を射止められました。
南もう、心臓が飛び出るくらいびっくりしました! 合格の連絡をいただいたときは駐車場にいたのですが、人がいなかったのでちょっとだけ叫んだくらいうれしかったですね。
――そんな紬を初めて演じる際に意識したことはありますか?
南紬ちゃんの金沢弁は大事にしました。オーディションに合格してから最初の収録までに時間があったので、ひとりで金沢を訪れて、現地の人に方言について教わりもしました。
また、『ミリシタ』で紬が登場するシーンで、金沢の庭園やひがし茶屋街の風景がそのまま描かれたりしていたので、私も金沢の空気感をイメージしながら演じていました。ただ、最初の収録は苦戦しましたね。3~5時間ほど録っていただきましたが、台本が3ページも終わらなかったぐらいです。
――紬を演じられてから約6年が経過していますが、紬の印象で変わったなと感じた部分はありますか?
南プロデューサーとの距離感でしょうか。最初は、本当に不審者を見るような冷たさがあったと思いますが、いまではすごく甘えん坊と言いますか、弱みを見せられるような関係になったのかなと思います。そんな紬ちゃんとプロデューサーとの関係性は演じるときにとくに大事にしていますね。
あとは、6周年も迎えましたが、あまり絡んだことのない子とかもいるんですよね。その子とはどういう感じで接するのだろうかというのは意識しています。紬は17歳で年下の子もいるので、お姉さんを演じるか、同い年の子には距離を近めにして同級生として演じるのかなどはいまだに悩みながらやっています。
――紬を演じるうえで、変えずに大事にしているポイントはありますか?
南紬ちゃんは凛としていますが、すごくポンコツな面もあるので、そのギャップを見せられるように演じています。また、しっかりとした芯があるように見えますが、少しつついたらポキっと折れちゃうような儚さもある子なので、いつもはゆっくりしゃべっていますが、プロデューサーに何か言われたときに「はあ!?」と動きをつけたりすることを大事にしています。
――ここからはアイドルや楽曲などについてもお聞きできればと思います。ご自身が参加されている楽曲の中で、とくにお気に入りのものはありますか?
南全部お気に入りではありますが、『FairyTaleじゃいられない』はすごく好きです。確か、最初に全体曲の収録があって、その後に収録したのがこの曲だったと思います。当時の音楽プロデューサーさんから「このメンバーに入るんだから、がんばってね!」と背中を押されたことがとても印象深いです。
――好きなアイドルはいますか?
南とくに好きなのは(豊川)風花ちゃんですね。本当に癒しですし、あとは楽曲がすごく好きですね。聴いていて救われる曲が多くて、浄化されます。
――紬が出演しているコミュでお気に入りのものはありますか?
南花咲夜のコミュで、くのいちとしての特訓をすることがあるんです。そこでは、手裏剣を3人が投げるシーンがあって、天空橋(朋花)さんと、エミリー(スチュアート)ちゃんはちゃんと投げて届いているのに、紬だけ「いやあ~」みたいな、すごくポンコツなんですよね。そこがすごく紬らしくてかわいいなと思いましたね。
――ちょうどいま(※インタビュー実施時)“電波感傷“という、桜守歌織とのユニットのイベントが開催されています。最初に歌織といっしょにユニットを組んで、イベントが開催されると聞いたときはいかがでしたか?
南有佐ちゃんとずっと「いつかふたりで曲を担当できたらいいね」という話をしていたので、すごくうれしかったです。しかも、そのことを知ったのが割と突然で、いきなり曲のデータが事務所から届いて。すぐ有佐ちゃんに連絡して、「曲、聴いた?」、「聴いた、聴いた!」みたいなやりとりをしました。
それと、いままでふたりが歌ってきた曲は、私だったらかっこいい曲、有佐ちゃんだったら大人っぽい曲が多かったのですが、『電波感傷』はふたりともこれまであまり歌ってこなかったジャンルの曲で驚きました。ただ、絶対盛り上がる曲だと思ったので、早くライブで披露したいですね。あと、天体公演の曲ということもあって、皆さんが作ってきたものをちゃんと繋げられたような気もして、それもすごくうれしかったです。
――楽曲のレコーディングはいかがでしたか?
南私が先にレコーディングしたのですが、『ミリシタ』では歌織さんがソロで歌っているパートも録っているので、すごく時間が掛かりました。もちろん、有佐ちゃんもすべて録っているのでレコーディングが終わった後、有佐ちゃんが歌った私のパートを聴いたときに「確かにこういうニュアンスもあるな」とか「有佐ちゃんはこういう風に歌うんだ」と、アイドルによって歌は変わるんだなと改めて感じました。
――そうなんですね。そういうお話を聞くといつかソロバージョンも聴いてみたいです。楽曲のお話しの流れで、6周年楽曲の『グッドサイン』を聴いたときの印象も伺えますか。
南いままでの『ミリオンライブ!』の曲ではないなと思いました。めちゃくちゃポップな感じだけど、『ミリオンライブ!』らしく、「がんばろう!」と後押ししてくれるような楽曲で、すごく好きです。
――レコーディングのときにこだわったポイントはありますか?
南やっぱり英語の歌詞のところですね。私、本当に英語が苦手でスタッフさんにカタカナで教わりながら歌いました。あと、夏川椎菜さんの(望月)杏奈ちゃんが最初に収録されていて、それを聴きながら完成形を意識して歌いましたね。
――『ミリオンライブ!』の10周年記念楽曲『Crossing!』についても伺えればと思いますが、初めて聴いたときはいかがでしたか?
南最初は「私が歌っていいんですか?」と思いました。ただ、スタッフさんから「紬が10周年を迎えたときにこの曲をプロデューサーさんの前で歌うと思って歌ってみて」とお話いただいて、そのことを意識しながらレコーディングに臨みました。
楽曲自体は、すごく温かい曲だなと。私は必ず全体曲が出たときに、みんなのソロバージョンを巡回するんですよ。みんなの歌を全部聴いて、「このニュアンス、めちゃいい!いただいた!」と思ったりするのですが、私が『Crossing!』を聴いたときにとくに素敵だなと思ったのは、(松田)亜利沙役のりえしょんさん(村川梨衣さん)や(徳川)まつりちゃん役の諏訪彩花さんです。10周年の重みと言いますか、アイドルの個性を絶妙なバランス表現されていて、すごくかっこよかったですし、私もそういう10周年の歩みかたをしたいと思いましたね。
――それでは、これまで出演されたイベントの中で印象的だったものを教えてください。
南やっぱり、最初の“EXTRA LIVE MEG@TON VOICE!”だと思いますね。初めて人前で歌うステージでしたし、かなり緊張していました。また、イヤモニのチェックもゲネが初めてだったのですが、そのときの皆さんの歌声などが本当にすごくて。自分はダンスもぜんぜん覚えられていないような状況で、それが悔しくて、泣いてしまったんです。
ですが、そのときにいっしょに出演していた上田麗奈さん(高坂海美役)がすごく勇気をくれる言葉をかけてくださって。それで落ち着いてステージを迎えられたのが印象的でした。
ただそれでも、夜公演では、紬のソロ曲披露のときに歌詞が飛んでしまって。終演後に音楽プロデューサーのもとに謝りに行ったのですが、めちゃくちゃ元気をくれるお言葉をいただけて、誰からも責められなかったんですよね。ですので、温かく応援してくださる皆さんのためにも、もっといいパフォーマンスができるようになりたいと強く思いました。
――そこから6年のときを経て、2月には『アイマス』シリーズ最大規模となる合同ライブに出演されましたが、ステージに立たれてみていかがでしたか?
南すごく広かったですね。でも、意外とプロデューサーさんの顔は見えていて、皆さんがすごく笑顔だったのも印象に残っています。また、初めてトロッコに乗って皆さんの近くに行けましたし、いろいろなブランドのアイドルさんと共演させていただいたことも思い出深いです。
私は、『ラ▼ブ▼リ▼』(※)を釘宮理恵さん(水瀬伊織役)と松井恵理子さん(神谷奈緒役)、土屋李央ちゃん(樋口円香役)といっしょに披露させていただきました。レッスンも4人いっしょだったのですが、レッスン後に釘宮さんから「いっしょにごはんを食べない?」とお誘いいただいて。皆さんとカレーを食べに行って、たくさんお話をさせていただきました。本当に合同ライブがきっかけでいろいろなアイドルさんとの関わりが増えたのがすごく自分の中ではうれしかったですし、もっとがんばらないとなと思いました。
※『ラ▼ブ▼リ▼』の▼は、正しくはハートマーク。
――そして先日、10周年ツアーがいよいよスタートしました。南さんは“Act-2”からのご出演となりますが、意気込みなどお聞かせいただけますか?
南“Act-1”を見て、10年の重みが感じられる素敵なライブで本当に感激しました。同時に、この皆さんの中に入っていくのかと不安も感じました。ただ、いまは参加させていただくからには“Act-1”に負けない盛り上がるライブにしたいという気持ちでいっぱいです。私と紬の闘志をぜひ見届けていただけたらと思います。
――『ミリオンライブ!』の今後としては、アニメの先行上映や本放送が近づいてきましたが、注目してほしいポイントはありますか?
南お話しがおもしろいのはもちろん、「ここで野球をしてはいけません」という貼り紙や、美咲ちゃんのデスクの上に置いてあるアイテムなど、細かなこだわりがたくさんあります。そこはぜひ注目してほしいですし、私も一秒たりとも見逃さずにプロデューサーさんといっしょに楽しみたいです。
――今後の活動でやってみたいことはありますか?
南アイドルちゃんの幼少期時代をもっとピックアップしてほしいですね。私も紬の幼いころを演じてみたいです。
――それでは最後に、プロデューサーさんにメッセージをお願いします。
南『ミリオンライブ!』は10周年、『ミリシタ』は6周年を迎えました。10周年、6周年が経っていると、新規の方は入り辛いかと思ったりするかもしれませんが、そんなことはありません。アニメも始まりますし、何より魅力的なアイドルがたくさんいるので、きっとお気に入りの子が見つかると思います。それが白石紬ちゃんだったら、私はうれしいです。これからもプロデューサーさんといっしょにいろいろな景色を見たいですし、私たちも連れていく気満々なので、今後も無理のない範囲でプロデュースよろしくお願いします!