シリーズ最新作『SAMURAI SPIRITS(サムライスピリッツ)』の発売を記念し、ファミ通.comでは連続プレイレビューをお届け。第2弾となる今回は、ファミ通編集部の『サムライスピリッツ』シリーズ(以下、『サムスピ』)好き編集者、北口徒歩2分と藤川Qの対談を公開しよう。

『サムライスピリッツ』連続レビュー第2弾。『サムスピ』好き編集者が新作を語りつつ、思い出トーク! _08

北口徒歩2分(ファミ通編集部)

北海道出身。子どものころは覇王丸好きだったが、大人になってからナコルルが好きになった。

藤川Q(ファミ通編集部)

ファミ通編集部の隠れ対戦格闘ゲーマー。花諷院和狆など、お爺ちゃん系キャラクターが好き。

『サムスピ』は“和”!

北口 しかし、本作はグラフィックがすごいよね。これまでの3Dの『サムスピ』はあったけど、基本的には普通に3D化しただけだったじゃない。それが『サムスピ』らしい、“和”を感じるグラフィックになっているよね。まさに「これだ」という理想の姿だなぁ。

藤川 『サムスピ』の魅力と言えば、やはり“和”がモチーフというのが重要だと思います。

北口 でも、“和”を感じるキャラクターのほうが少ないけどね(笑)。タムタムとか、あれは何なの!?

藤川 いやいや、タムタムも和風なんですよ。たとえるなら、タムタムは和食屋で出てくるグリーンサラダのようなもので。和食屋で料理が出れば全部和食。『サムスピ』に出れば全部“和”なんですよ。

北口 出ました藤川Q理論! でも、タムタムとかアースクェイクとか、“色物”のセンスが光るのも『サムスピ』らしさかなと思う。アースクェイクは忍者ですよ? ちゃんと忍べよと(笑)。

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藤川 そんなこと言ったら、ガルフォードもまったく忍んでないでしょう。あ、いま思い起こされた記憶だけれど、これ数十年前に初代作を遊んだ時にも同じことを友だちに言ったなあ(笑)。それにしたって、忍犬のパピィをけしかけるなんて、当時はかなり斬新なキャラクターでしたね。

北口 動物を使った攻撃はすごいよね、ナコルルのママハハ(鷹)とか。SNKの代表的なヒロインを挙げるとすれば、アテナや不知火舞とかもいるけど、ナコルルは必ず入ると思う。初代『サムスピ』当時から人気はスゴかったからなぁ。

藤川 でも、最新作のナコルルはどえらいかわいさだけれど、目が怖いですよね……。こんなにキュートなのに、儚げな表情で手にした短刀をブッ刺してくるわけじゃないですか。本作では、キャラクターの表情が如実に見えてかわいいぶんだけ、より怖さが増していますよ。このお顔に返り血とか浴びるんですぜ?

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北口 たしかに(笑)。カムイの地をフィーチャーした点とかも含めて、かなり『サムスピ』はエポックメイキングだったかな。武器を使った対戦格闘ゲーム自体が当時珍しかったと思うし、攻撃を食らったら溜まっていく怒りゲージとかもね。とくに“強斬り”は、あまりにもダメージがデカすぎて驚いた!

藤川 ヒットストップと威力がすごくて、体感的に「うわっ、斬られたっ!」っていう感覚がものすごいですよね。斬っているほうも尋常でなく気持ちがいい。ほら、初代『サムスピ』がリリースされた当時に人気だった対戦格闘ゲームって、下段の足技に飛び道具をキャンセルするような連続技が流行っていたでしょう。だから、『サムスピ』が出たばかりのころも、よく覇王丸で“しゃがみ蹴りから旋風烈斬のコンボを狙う”みたいな堅実な立ち回りをしている人が多くて。でもね、そういうプレイヤーにおもむろに飛び掛かって、ジャンプ強斬りでバッッサアアアアァーーーーッ!! と脳天をたたっ斬るのが快感でしたよ。ゲームの根本からして“格闘”とはぜんぜん違う、みたいなプレイ感覚は、“侍”なんだなあって思いました。

北口 でも実際は、カウンターで強斬りを食らって終了みたいなね(笑)。次第にみんな遠くから様子見して、ジリジリ詰め寄るような立ち回りになっていったけど……。でも研究が進んだら、橘右京の“昇りつばめ”(ジャンプの出掛かりで“秘剣 つばめ返し”を出すテクニック)とか駆使するようになってさ。

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藤川 そこから『真サムライスピリッツ 覇王丸地獄変』(『真サム』)が出て、キャラクターグラフィックが新しく描き直されたり、新キャラクターが4人も追加されて驚きました。SNKって魅力的なライバルキャラクターを作るのが上手くて、牙神幻十郎とかなんて、それはもうすごいカッコよかったです。色気しかない。

北口 そうそう。しかもちゃんと“剣豪”なんだよ。もちろん、技で花札とか飛ばしたりするんだけどさ(笑)。ああいう、きちんとした日本の剣豪が戦うっていう世界観は当時いろいろな作品に影響があったと思う。たとえば、『るろうに剣心』とか『無限の住人』ね。

藤川 あと鍔迫り合いですとか、真剣白刃取りみたいな、時代劇のような剣戟アクションを対戦格闘ゲームに最初から取り入れていましたよね。格闘ゲームというエンターテインメントに、侍の世界を持ってきたというセンスは、くり返しになるけれど、やっぱりすごい発明だと思います。

新キャラクターの魅力に迫る

北口 ところで、当時キャラクターは誰を使っていた?

藤川 初代『サムスピ』は柳生十兵衛で、『真サム』からは花諷院和狆。昔から若造は好みませんので。

北口 シブいな(笑)。昔はバチバチやりあう対戦格闘ゲームで、女性キャラクターを使うなんてあり得ないという“硬派”な考えを持っていたから、覇王丸ばっかりを使っていたなぁ。いまは逆に女の子しか使いませんぞ。

藤川 硬派な考えのくだりはどこいったのよ(笑)。それにしても、じゃあ最新作では、女性キャラクターがたくさん増えて目移りしちゃうでしょう。“色(しき)”なんかは北口さんは好きなのでは? 大人だから大声で宣言しますが、僕はかなり好きですよ。色気しかない。そもそも名前が色ですし。

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北口 いいねぇ……。いい……。あとダーリィ・ダガーさんも好みだけど、呉瑞香(ウー レイシャン)ちゃんもカワイイね! 巨乳だよ! 眼鏡だよ!

藤川 しかも武器の羅盤はキャプテン●メリカみたいだよ! それもいいけれどもですよ。中国出身という設定のキャラクターとして、職業が風水師っていうのがいいでしょう! なにしろ中国から伝播した道教や風水的な思想が、日本での陰陽道へとつながっていくわけで。ほら、花風院和狆は陰陽師という設定で邪神を封じようとしたりしたじゃないですか。そもそも陰陽道と言うのは、目に見えない世界の理をですね……。

北口 ストップ! その話は絶対長いから! それよりダーリィさんを見ろよ。彼女はカワイイっていうよりカッコイイよね。大工道具で戦うとか、男らしすぎる!

藤川 たしかに大工道具が得物で刀とチャンバラするたァ豪快ですぜ。そういえば、武器の名前が“リバタリア”っていうらしいですが、リバタリアと言えば、海賊の楽園の名前じゃなかったかしら。名前も海外の方っぽいし、見た目も海賊っぽく見えてきたよ。

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北口 海賊ではないでしょ(笑)。カッコイイといえば、ふつうにカッコイイキャラクターが出てきて驚いたよ。

藤川 最新作の主人公っぽい感じの、鞍馬夜叉丸ね。いい意味で『サムスピ』らしからぬイケメンですな。顔は半分隠れているけど! しかも鴉天狗ときたもんだ! 天狗と言えば修験道と深い関連がありましてですね……。

北口 また始まった! いいよ天狗トークは! ところで話を戻すけど、なんで最初に柳生十兵衛を選んだの? メチャクチャ渋いじゃん。

藤川 だからシブいキャラクターが好きなのよ。しかし、それ以外の理由もあるんです。ええ。なのでよくぞ聞いてくれましたよ。ほら、『サムスピ』の主役は覇王丸ではありますが、じつは柳生十兵衛も主人公なのではないかと思っていてですね。

北口 はぁ? 藤川Q理論的に?(笑)。

藤川 そんなナゾ理論ではござんせん! 『魔界転生』(1981年:角川春樹事務所・東映)って大好きな映画があるんですがね、その映画の主人公が千葉真一さん演じる柳生十兵衛なんですよ。で、敵役はなんと沢田研二さんが演じた天草四郎時貞なのよ! しかも、沢田さん扮する天草の姿は、もう初代『サムスピ』の天草にそっくりなんだから。

北口 なるほどね。映画をリスペクトしてるから……というより、藤川Qが『魔界転生』を好きすぎるだけでは?

藤川 まあ、それがすべてかもしれません(笑)。

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初心者にオススメの戦いかたは?

北口 本作をやってみて思ったけど、やっぱり強斬りを3回当てたら相手を倒せるくらいの緊迫感が、すごい『サムスピ』らしいよね。ここは変わってないのがすごくいい。

藤川 たしかに。一撃のダメージが大きいので、ひょっとしたら初心者でも上級者に勝てちゃうこともあるくらい、いい意味で爽やかなゲーム性がありますよね。

北口 初心者の人は、とりあえず強斬りをブンブン振り回してればオーケーかな。

藤川 ジャンプ強斬りもオススメです。見切られやすいんですが、実際にこれを連発されると、なかなか反撃するのは難しいもので。

北口 あと、キャラクターを選ぶときは、まず見た目で選ぶべきだね! どの剣豪も超個性的だから。テクニカルなキャラクターばかりではないし。触っていれば声優さんも含めて絶対に好きになるはず。

藤川 まず覚えておくべきは、相手の強斬りをガードしたら、とりあえず中斬りで反撃することですかね。さっきからひたすら強斬りを推してきましたが、じっさいのところ、中くらいの斬りも大切です。

北口 ただ、本作は“弾き返し”とかがあるから、確定ではないんだよね。『サムスピ』は普通の対戦格闘ゲームと違って1発のダメージが超デカいから、焦らずに立ち回るのがコツかも。

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藤川 むやみに攻めても、反撃を食らいやすいですから、相手の隙をどこで突くのか見極めながら、落ち着いて立ち回らないとすぐやられちゃいます。

北口 そうそう。逆に言えば、ガードさえ基本固めていたら、安易に強斬りを食らってしまうことはないはず。

藤川 でも、ガードを崩す“防御崩し”は、いろいろな技が当てられますから、突然近づいて仕掛けるのもアリです。意表を突くのも立派な剣術です。

北口 使用キャラクターによって防御崩しからつながる攻撃は違うから、最初はそれを調べると戦いやすいかも。

藤川 あと、個人的にはやはり“トドメの美学”にこだわってほしい。小技でのフィニッシュはオススメしない! 強斬りや必殺技でキメてほしい! 侍だもの。

北口 もちろん、無理に狙う必要はないですぞ!

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止まらない『サムスピ』トーク!

北口 8月にダウンロードコンテンツの第1弾として、ナコルルの妹のリムルルの配信が決まっているけど、その先は誰が追加されるのかな?

藤川 花諷院和狆は出してほしいなぁ。この映像美で動かしたいもの。

北口 いやいや、それより先にナインハルト・ズィーガーでしょ! シゲル(愛称)だよシゲル!

藤川 それなら、不知火幻庵も動かしたいケ。身体が緑色。必殺技の“M.D.C”は、“魔道ダイビングクロー”の略ですよ? 令和になったいまも、魔道に堕ちたおっさんは色あせないどころか身体の緑がHDで表現されてほしいじゃないか。

北口 でも、チャムチャムは追加されそうじゃない!?

藤川 また女の子キャラクターが増えてほしいと申すか! ここは硬派に黒子を追加してほしいわ! でも、僕の本命は天草四郎時貞だからあ。『魔界転生』ごっこするんだからあ!

北口 あと、いろはちゃんを追加してほしいですぞ!

藤川 このうえ、いろはまで追加するだと!? ナインハルト・ズィーガーでしょォ!

北口 いやいや、いろはちゃん超カワイイから!

――ふたりのトークは終電間際まで続いた……。

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ちなみにエンディングデモでは、多彩なイラストとともに物語が語られる!