“アニキ”こと水木一郎さんは、70歳になったいまもなお“アニメソング界の帝王”として、第一線で活躍している人気歌手だ。そんな水木さんが、2018年8月10日、Zepp Tokyoにて、 “水木一郎 デビュー50周年記念 特別公演~原点オンパレードだゼーット!~”のライブを行った。

水木一郎アニキのデビュー50周年ライブに超豪華ゲストが駆けつけたゼーット!! 初レコーディング曲や初アニメソングなど“原点”を披露_01
水木一郎アニキのデビュー50周年ライブに超豪華ゲストが駆けつけたゼーット!! 初レコーディング曲や初アニメソングなど“原点”を披露_05

 今回のライブは、その名の通り、水木さんのデビュー50周年を記念して開催。会場に詰めかけた1000人もの熱狂的なファンの前で、デビューのきっかけとなったオーディショングランプリ受賞曲、メジャーデビュー前に吹き込んだ初レコーディング曲、本邦初公開となる幻のデビュー曲、そして初アニメソング、初特撮ソング、初ゲームソングなど、水木さんの“原点”がたっぷりと披露された。

 さらに、ゲストとして後輩歌手の堀江美都子さんや影山ヒロノブさん、ボイジャー(TAKERUさん、瀬下千晶さん)も登場。水木さんとトークをくり広げながら、いっしょに思い出の歌を熱唱した。本記事では、ほかにも数多くのアーティストがゲストとして駆けつけた、ライブの模様をリポートする。

アニキの原点を振り返るライブが1000人ものファンの前で開幕!

 ステージに立った水木さんは、最初に『君にささげる僕の歌』と『原始少年リュウが行く』の2曲を披露。前者は50年前にレコードデビューを飾ったカンツォーネ歌謡曲、後者はアニメソングデビュー曲だ。水木さんは、「今日は探していた幻のデビュー曲や、お蔵入りしていた曲も公開したいと思います」とファンに挨拶。続いて、初特撮ソング『嵐よ叫べ』、『ぼくらのバロム1』、初ロボソング『アストロガンガー』を歌い上げた。

 1972年に『アストロガンガー』のOPを担当した水木さんは、同年、スーパーロボットのパイオニアである『マジンガーZ』と運命の出会いを果たす。「この作品に出会えたことで、会場にいるファンの皆さんともお会いできたので、とても感謝しています」と語り、『マジンガーZ』、『Zのテーマ』、『ぼくらのマジンガーZ』の力強い歌声をファンに届けた。

 『超人バロム1』や『マジンガーZ』の主題歌で、コロムビア ゴールデン・ディスク“ゴールデン・ヒット賞”を受賞した水木さん。1978年には、『宇宙海賊キャプテンハーロック』のアルバムで、「なかなかもらえない」という“ゴールデンLP賞”に輝いたという。そこで、同作の『われらの旅立ち』、『わが友わが命』、『キャプテンハーロック』を熱唱した。また、番組主題歌以外で初めて“ゴールデンLP賞”に選ばれた『ロマンティック・アゲイン』も続けて披露された。

 衣装を着替えた後、水木さんが歌ったのは“歌謡界のプリンス”と呼ばれていた時代のメドレー。歌謡曲の『素敵な夜』、『星に祈りをこめて』、『誰もいない海』の3曲をしっとりと歌い上げた。ここで水木さんは、「『誰もいない海』は、当時(1970年)初めて裏声を使った」というエピソードを明かしたほか、同曲がアニソン歌手としてデビューするきっかけになったとも。

「『誰もいない海』がテレビで放送されたとき、それをたまたまミッチ(堀江美都子さん)のディレクターが見ていて、『原始少年リュウ』は水木くんにしようって言ってくれたんです。『誰もいない海』がなければ、僕はいまここにいないかもしれない。『マジンガーZ』も別の人が歌ったかもしれません」と語り、会場のファンを驚かせた。

 ここでステージには、本日最初のゲストとして西尾和子さんが登場。西尾さんは、水木さんが初めてデュエットソングを歌ったかつてのパートナー。今回のオファーは4月に連絡がきたそうで、西尾さんは「4月から今日の朝まで練習してきました」と、楽しみにしていたというライブへの意気込みを語り、ふたりで『おやすみなさい恋人』、『愛の世界』の2曲を仲睦まじく披露した。

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 西尾さんが退場した後、水木さんはステージデビューを飾ったオーディショングランプリ受賞曲『僕のマシュマロちゃん』、初レコーディング曲『シェナンドー』、そして本邦初披露となる幻のデビュー曲『くちづけ』を歌い上げ、ライブの前半は終了した。

アニキを慕う35名もの著名なアーティストがゲストに登場!

 ライブ後半は、水木さんが自動車の魂の化身“アニキ”役として出演したテレビドラマの曲『2000GT愛のテーマ』と『真夜中のスーパーカー』からスタート。続けて、歌のお兄さんとして初めてレギュラー出演したテレビ番組『おかあさんといっしょ』から、水木さんが番組のディレクターにみずから歌いたいと進言した『しっぽのちぎれたメダカ』を歌唱した。同曲は、作詞を『アンパンマン』で知られるやなせたかしさんが担当しており、水木さんはこの曲が大好きだという。

 つぎの“初めて”は、風邪をひいてレコーディングに臨んだという『バビル2世』。風邪をひきながらのレコーディングは、長い歌手生活の中で後にも先にもこの1曲だけ。以後、体調管理には気をつけているそうで、「風邪をひいたことはないし、肩こりや頭痛、腹痛などもありません。だから長く歌ってこれたのかな」と言う水木さんに、ファンからは盛大な拍手が送られた。

 水木さんは、『おかあさんといっしょ』で歌のお兄さんとして活躍する前、『仮面ライダー』ショーの司会と歌手としても活動していた。そこで急遽、数十年ぶりに司会のお兄さんを再現することに。「皆でライダーを呼ぼう!」という水木さんの掛け声に、ファンは「ライダー!」と返すも、水木さんはすかさず「声が小さい! もっと大きな声で!」と、ヒーローショーでお馴染みのやり取りを披露。ヒーローショーの原型を築いたという水木さんは、『セタップ!仮面ライダーX』、『仮面ライダーストロンガーのうた』、『燃えろ!仮面ライダー』、『はるかなる愛にかけて』、『永遠のために君のために』の『仮面ライダー』メドレーをファンとともに力強く歌った。

 『仮面ライダー』シリーズだけではなく、『ウルトラマン』シリーズの楽曲も歌っている水木さん。ステージには、ゲストとしてボイジャーのTAKERUさんと瀬下千晶さんが登場。水木さんがリーダーを務める“アニソン登山部”でも交流があるという3人は、「登山の後、水木さんがおいしいお店に連れて行ってくれます」(瀬下さん)など、ほっこりするエピソードを語り、『オーブの祈り』、『GO AHEAD~すすめ!ウルトラマンゼロ~』を熱唱した。

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 ここでライブは、特撮ソングからロボットソングに。第一回テレビアニメ主題歌レコード大賞ロボット部門受賞曲『コン・バトラーVのテーマ』の後、ゲームソングやJAM Projectの歌を披露。ステージには、歌手の影山ヒロノブさんが登場し、ふたりで初めてデュエットしたゲームソング『熱風!疾風!サイバスター』、JAM Projectとしてふたりで初めてリードボーカルを務めた『STORM』を熱く歌った。1985年から付き合いがあるというふたりは、歌はもちろん、トークの息もピッタリ。「(水木さんは)話が長いんですよね。トーク7割、歌3割ぐらい(笑)」という影山さんに、すかさず水木さんが「逆だよ!(笑)」とツッコミを入れるなど、ファンを大いに笑わせていた。

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 影山さんが退場した後、第一回アニメグランプリのアニメソング部門受賞曲『北の狼南の虎』が披露され、続いてステージには同グランプリで初めての女性受賞者である堀江美都子さんが登場。水木さんと堀江さんの初めてのデュエットソング『きょうもたたかうストロンガー』(1975年)と、最新のデュエットソング『和倉のあいの物語』(2018年)を歌唱した。ちなみに後者は、テレビアニメ『りゅうおうのおしごと!』で、水木さんがヒロイン・雛鶴あいの父親(雛鶴 隆)役、堀江さんが母親(雛鶴 亜希奈)役で歌うキャラクターソングの演歌。ふたりで歌う演歌は同曲が初めてで、長いセリフの掛け合いが入っているのも特徴だ。

 2曲を歌い終わった後、水木さんも知らないサプライズが! 堀江さんが発起人となり、作詞を堀江さんと歌手の遠藤正明さん、作曲を影山さんが担当したデビュー50周年記念のお祝いソング『ハピネス』がプレゼントされた。ステージには、堀江さん、遠藤さん、影山さんのほかに、サプライズ企画に賛同した下記のアーティストが一挙に登場!!

サプライズ企画の参加メンバー(※50音順。敬称略)
●鮎川麻弥 ●石田燿子 ●石原慎一 ●井上あずみ ●うちやえゆか ●奥井雅美 ●喜多修平 ●きただにひろし ●串田アキラ ●サイキックラバー(IMAJO/YOFFY) ●高取ヒデアキ ●高橋秀幸 ●瀧本 瞳 ●谷本貴義 ●NoB ●福山芳樹 ●bless4(AIKI/AKASHI/AKINO/KANASA) ●ボイジャー(瀬下千晶/TAKERU) ●松澤由美 ●松原剛志 ●MIQ ●宮内タカユキ ●MoJo ●森口博子 ●山形ユキオ ●吉田仁美 ●米倉千尋

 豪華メンバーの集結に、会場のファンはもちろん、水木さんも「みんなどうしたんだよ!」と大興奮! 水木さんとメンバーが挨拶をした後、堀江さんの『ハピネス』のタイトルコールのもと、bless4による美しいアカペラでスタートした同曲は、ファンの手拍子の中、メンバーが代わる代わる歌って水木さんを祝福した。また、お祝いに駆けつけたメンバーは、水木さんに見つからないようにするのに苦労したそう。森口博子さんは「お手洗いに行くのもがまんしていた」と語り、会場を笑いに包んだ。

 思わぬサプライズに、「今日は最高! 50年でいちばんいい日だよ」と大きな声を上げた水木さん。メンバーを見送り、曲の“愛つながり”で『ルパン三世愛のテーマ』と、東日本大震災の復興を願ってリリースした応援ソング『いつも未来が』を、会場のファンに届けてステージを後にした。

 ファンの熱烈な「アニキ!」コールと手拍子に応えて、再びステージに登場した水木さんは、アンコールで『鋼鉄ジーグのうた』を披露。そして最後に、再び登場した堀江さんたち35人ものゲストやファンとともに、2018年1月に公開された『劇場版 マジンガーZ/INFINITY』の主題歌『マジンガーZ / INFINITYバージョン』を熱唱した。約4時間ものライブは、水木さんが音頭を取る“三本締めZ”でフィナーレ。参加者やファンとともに“三本締めZ”を行い、夢のような時間は幕を閉じた。

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水木一郎 デビュー50周年記念 特別講演 2018年8月10日セットリスト(※敬称略)
1.君にささげる僕の歌(歌謡曲/1968年)
2.原始少年リュウが行く(『原始少年リュウ』OP/1971年)
3.嵐よ叫べ(『変身忍者嵐』OP/1972年)
4.ぼくらのバロム1(『超人バロム・1』OP/1972年)
5.アストロガンガー(『アストロガンガー』OP/1972年)
6.マジンガーZ(『マジンガーZ』OP/1972年)
7. Zのテーマ(『マジンガーZ』IN/1972年)
8.ぼくらのマジンガーZ(『マジンガーZ』ED/1972年)
9.われらの旅立ち(『宇宙海賊キャプテンハーロック』ED/1978年)
10.わが友わが命(『宇宙海賊キャプテンハーロック』IN/1978年)
11.キャプテンハーロック(『宇宙海賊キャプテンハーロック』OP/1978年)
12.ロマンティック・アゲイン(コミック『エロイカより愛をこめて』IM/1982年)
13.素敵な夜(歌謡曲/1968年)
14.星に祈りをこめて(歌謡曲/1970年)
15.誰もいない海(歌謡曲/1970年)
16.おやすみなさい恋人(歌謡曲/1970年)※with 西尾和子
17.愛の世界(歌謡曲/1970年)※with 西尾和子
18.僕のマシュマロちゃん(アメリカンポップス/1964年)
19.シェナンドー(海外TV『シェナンドー』日本版主題歌/1965年)
20.くちづけ(歌謡曲/1968年)
21.2000GT愛のテーマ(『真夜中のスーパーカー』IN/2018年)
22.真夜中のスーパーカー(『真夜中のスーパーカー』主題歌/2018年)
23.しっぽのちぎれたメダカ(『おかあさんといっしょ』/1976年)
24.バビル2世(『バビル2世』OP/1973年)
25.セタップ!仮面ライダーX(『仮面ライダーX』OP/1974年)
26.仮面ライダーストロンガーのうた(『仮面ライダーストロンガー』OP/1975年)
27.燃えろ!仮面ライダー(『スカイライダー』OP/1979年)
28.はるかな愛にかけて(『スカイライダー』ED/1979年)
29.永遠のために君のために(『仮面ライダーBLACK RX』/1990年)
30.オーブの祈り(『ウルトラマンオーブ』OP/2016年)※with ボイジャー
31.GO AHEAD~すすめ!ウルトラマンゼロ~(『ウルトラマンゼロ THE CHRONICLE』OP/2017年)※with ボイジャー
32.コン・バトラーVのテーマ(『超電磁ロボ コン・バトラーV』OP/1976年)
33.熱風!疾風!サイバスター(ゲーム『スーパーロボット大戦』オリジナルソング/1997年)※with 影山ヒロノブ
34.STORM(『真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ』OP/2000年)※with 影山ヒロノブ
35.北の狼南の虎(『野球狂の詩』OP/1979年)
36.きょうもたたかうストロンガー(『仮面ライダーストロンガー』ED/1975年)※with 堀江美都子
37.和倉のあいの物語(『りゅうおうのおしごと!』IM/2018年)※with 堀江美都子
38.ハピネス(水木一郎50周年お祝いソング/2018年)
39ルパン三世愛のテーマ(『ルパン三世』ED/1978年).
40.いつも未来が(復興支援ソング/2012年)
41.鋼鉄ジーグのうた(『鋼鉄ジーグ』OP/1975年)
42.マジンガーZ / INFINITYバージョン(『劇場版 マジンガーZ/INFINITY』OP/2018年)

■水木一郎 デビュー50周年記念アルバム情報
タイトル未定
2018年10月24日発売
COCX-40541  3000円[税抜]