第5回『人と精霊の狭間で』

エレンピオスに飛ばされたジュードたちは、精霊術が使えないエレンピオスの人々にとって、黒匣(ジン)は生活に欠かせないものであるという事実を目の当たりにする。ジュードは「黒匣をなくすことはできない」と考え、リーゼ・マクシアとエレンピオスの両方を救う道を模索する。

そして、ふたつの世界の技術を組み合わせた源霊匣(オリジン)という新たな装置の可能性を発見したジュード。源霊匣が実用化できれば、精霊を殺すことなく、エレンピオスの人々も精霊術の恩恵を受けられるのだ。ジュードは、この源霊匣に未来の可能性を見るが、ガイアスは、可能性という不安定なものに未来を委ねることを是としなかった。

ジュードとガイアス、ミラとミュゼ……それぞれの譲れない想いが、世精ノ途(ウルスカーラ)の最深部で激突する。そしてジュードとミラの信念が、ついにガイアスの刃を跳ね返し、世界の未来を決める戦いは終わった。

戒めから解き放たれたマクスウェルは、断界殻(シェル)を解放し、リーゼ・マクシアとエレンピオスはひとつになった。断界殻とともに消滅したマクスウェルに代わり、ミラは、つぎなるマクスウェルとして世界と精霊を見守る道を選ぶ。

そのことが意味するのは、ジュードたちとの別れ。それぞれのなすべきことをするために、別々の道を歩み始めたジュードとミラ。たとえ遠く離れても、人と精霊の共存を目指すふたりの気持ちは、確かに重なっていた。

キーワード

源霊匣(オリジン)

黒匣にリーゼ・マクシアの技術を加えて開発された装置。“精霊の化石”にマナを注ぐことで作り出せる。精霊を殺さずに精霊術を発動させられるという利点があるが、制御が難しく、実用化には至っていない。

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