須田 光と闇をモチーフとしたバトルシステムは、現れた敵をただ倒すだけではなく、ふつうの方法では倒せない敵を用意することで、ひとつ上の駆け引きを生み出したかったんです。倒せない相手に対してどんな攻撃が有効なのか、プレイヤーがそれを探すという、パズルゲームのようなロジックを組み込みました。
三上 光と闇の要素を入れることで、単調になりがちなバトルにちょっとしたメリハリがつきますからね。ただ、倒せない敵をあまり多く出し過ぎてもゲームの爽快感が損なわれてしまう。そのあたりのさじ加減が非常に難しかったですね。
須田 そうですね。開発の初期段階はステージのいたるところに暗闇があって、「もういいからふつうに戦わせてくれよ!」という状態でした。うちのレベルデザイナーは光と闇の要素を組み込むのが、かなり好きだったみたいです。
三上 メリハリを付けるために入れたのに、逆にゲームのテンポを損なってしまうという。すぐに暗くなってしまいましたから。
須田 『ダムド』はアクションゲームなので、やはりアクションの合間にパズル的な要素が含まれていたほうがいいですよね。
三上 サウンドディレクターの山岡さんが闇のテーマを作ってくれたんですが、“ゴーン、ゴーン”っていう鐘の音をずっと聞いているとテンションがだんだん下がってくる(笑)。
須田 闇の部分を調整して爽快感がアップしましたよね。
三上 ええ。闇の中に入ったプレイヤーはストレスを感じますが、闇から抜け出したときに気持ちよさを感じてもらえるようにしました。
須田 ザコキャラクターとの戦いはもちろんですが、各ステージの最後に待っているボスとの戦いもアツいですよね。ボス戦ではステージの各所にあるギミックを利用したアクションが楽しめますから。たとえば、最初のほうに登場するジョルジュというボスは、口にハーモニカを付けているのでしゃべることができませんが、呼吸するとハーモニカの音が聞こえてくるんです。プレイヤーはその音を頼りに敵の位置を探すことになります。
三上 ある程度ダメージを与えると、ゴートランプを抱えてどこかに隠れてしまうんですよね。やっぱり須田さんはユーモアのセンスがありますよね。初めてジョルジュと戦ったとき「これを持って逃げちゃうの!?」って驚きました(笑)。あれは最高!
須田 そういう笑いの部分は多いですね。グラスホッパー・マニファクチュア作品の代名詞みたいになってきた気がします(笑)。
三上 ボスキャラクターは皆個性的なりましたよね。
須田 ええ。ボス戦は『ノーモア★ヒーローズ』と比べるとそこまで数はありませんが、ひとつひとつを濃くするようにしました。いくつかのフェーズを用意して、敵の攻撃方法や弱点が変わるようにし、なるべくリッチな感じを出しました。
三上 ボスの攻撃方法は多彩だけど、それがややこしい感じではなく、ゲームとしてすごくシンプルなので、多くのゲームファンの方に楽しんでもらえるはずですよ。