“心の黎明を告げるRPG”として、バンダイナムコエンターテインメントより2021年9月9日に発売予定の『テイルズ オブ アライズ』。対応ハードは、プレイステーション4、プレイステーション5、Xbox One、Xbox Series X/S、PC(Steam)。
※Steam版は9月10日配信予定。

 本作はバンダイナムコエンターテインメントの人気RPGシリーズ『テイルズ オブ』シリーズの最新作で、『テイルズ オブ』の要素を継承しながらも、これまでにはない要素を多数加えて、シリーズの“継承と進化”を目標とした意欲的なタイトルだ。

 『テイルズ オブ アライズ』に関しては、これまでにもバトルをメインにしたレビュー、第1章までをもとにしたレビューをお届けしてきた。本記事では、製品版を触っての、より全体的なレビューをお届けする。なお、プレイはプレイステーション4版で行ったが、冒頭のみプレイステーション5版を触った感想もお届けしよう。

 なお、ネタバレについてはほとんどナシ。主人公とヒロインのキャラクター性や、主人公たちがなぜ戦うのかといった冒頭のあらすじだけは解説するが、「それもネタバレしないで!」という人はご注意を。

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新世代機版について

 新世代機であるプレイステーション5、Xbox Series X/Sでも発売される『テイルズ オブ アライズ』。今回、プレイは基本的にプレイステーション4版で行い、プレイステーション5版は冒頭のみプレイした。

 結果から言うと、グラフィック面ではほとんど差がないように感じた。おそらく、細かいところまで見れば、より綺麗に描かれているとわかるとは思うのだが、プレイステーション4版(PS4)もプレイステーション5版(PS5)も同じぐらい綺麗。

PS5版
PS5版

 大きく違うのはロード時間だが、それでもPS5版がメチャクチャに速い、というわけでもなく、そこそこに速い、というくらい。PS4版はたま~に戦闘前にちょっとしたロードが入ったりと、ちまちまと待機時間が挟まるのだが、PS5版はそれがないように感じたくらいだろうか。そのため、どのハードを選んでも基本的には変わりのない体験ができるはず。

 さほど気になる要素ではないが、フィールド環境の描画にも違いがある。たとえばPS4版では、読み込み速度か描画能力の問題か、自身の周囲のみ細かな草木などが表示され、先に進むにつれて、奥の環境グラフィックが表示されたりする。一方PS5版では、奥のほうの草木も最初から描画されている。とはいえ、筆者としてはプレイしていてとくに気にはならなかったし、ゲーム体験自体に影響はない。

 唯一決定的に異なるのが、決定ボタン系の問題。PS5版は×ボタンが決定、〇ボタンがキャンセルとPS4版と反対であり、フィールドのジャンプボタン、バトルの術技ボタンもすべて入れ替わるので、PS4版をやり込んでいた自分は戸惑ってしまった。もし「まずはPS4で遊び、将来的にはPS5で遊ぶ」という人は、ご注意を。ボタンコンフィグはあるがバトル中のみの変更なので、けっきょくは慣れる必要がある。

PS5版
PS4版。右下のボタン配置が異なる

ストーリーはかなりシリアス!

 本作の舞台となるのは、ダナとレナという、ふたつの星がある世界。ダナは中世ヨーロッパ的な文化を持つ星である一方、レナは宇宙船をも作り出す技術&魔法(星霊術)を持つという、大きな差がある。その力を使い、300年前にレナはダナを侵略。それ以来、ダナ人はレナの奴隷として使役されるのが当たり前となった。

 ダナはいくつかの領地に分けられており、それぞれをレナの“領将(スルド)”という頭目が治めており、いろいろな手段で“星霊力”を集めている。
 レナは王制であり、数年に一度、王が変わる。もっとも星霊力を集めた領将が、王となる仕組みなのだ。ゆえに領将は、ダナ人を道具のように使って、星霊力を収集する。

 物語は、灼熱の大地・カラグリアからスタート。記憶を失った主人公・アルフェンは、ゲーム開始時は自分の名前も覚えておらず、外れない謎の仮面を付け、周囲の人に“鉄仮面”と呼ばれながら、奴隷生活を送っていた。そんなアルフェンの前に、ある日、レナ人の女性・シオンが現れる。

鉄仮面こと、アルフェン
シオン

 なぜかシオンはレナ兵に追われており、アルフェンはその騒動に巻き込まれることに。シオンの目的は、領将たちを全員倒すことだという。レナ人でありながら、なぜそんなことをするのか疑うアルフェン。しかしアルフェンは、困っている人を見かけたら助けてしまう性格。さらに、アルフェン自身も奴隷としての生活に苦しんでいたし、ほかの奴隷たちを解放してあげたいという思いがあった。

 シオンは燃え盛る炎の剣を持つが、自身では扱えない。だが、アルフェンには記憶に加えて痛覚がなく、痛みを感じないため、燃え盛る炎の剣を握っても平気でいられる。痛みを感じないだけで火傷はするのだが、星霊術の使い手であるシオンがいれば、火傷しても癒しの術で回復できる……ということから、ふたりの利害が一致。

 そして、炎の剣を握れるダナ人・アルフェン、それを治癒できるレナ人・シオンが力を合わせ、打倒領将を目指す壮大な冒険が始まる。

 『テイルズ オブ』シリーズの物語のテイストは作品によって異なり、明るいシーンが多いもの、シリアス成分が多いものなどさまざまだが、本作の本編ストーリー自体は、シリーズの中で見るとかなりシリアス寄りだ。主人公の立場が奴隷であることからも、その先はかなり辛い冒険の道のりが待っている。物語の好みは人それぞれだと思うが、重厚なドラマチックな物語が楽しめるのは間違いないので、辛い状況を覚悟をしながらも、先の展開を期待しつつ楽しんでみてほしい。

アトモスシェーダーが本当に綺麗

 本作はこれまでのシリーズ作品と比べるとキャラクターの頭身が一段階アップし、グラフィック全体が、より大人びたという印象。また、キャラクターたちは表情の表現が強化されており、細かな表情からも喜怒哀楽の感情がより伝わってくるほか、たとえば“照れるシオン”なども見ごたえがあって、キャラクターのカワイらしさの表現にもつながっている印象を受けた。

 ゲームで言うところの“美麗なグラフィック”にはいろいろと方向性があると思う。たとえば、実写と見紛うようなグラフィックだったり、繊細な2Dイラストを何枚も連ねたものだったり。

 本作のグラフィックは実写に近いわけではなく、アニメライクなキャラクターたちとリアリティーが調和したような、独特のスタイルとなっている。

 本作は“アトモスシェーダー”と呼ばれる独特のシェーダーを採用しており、その特徴は、とくに遠景の背景をみるとわかりやすい。色味が薄くなっていて、まるで水彩画で描かれたような美しさを演出している。それがキャラクターたちとマッチしており、冒険の往く先々で、本作ならではの“美麗なグラフィック”を生み出している。

 これまでアニメ調のグラフィックを特徴としてきた『テイルズ オブ』シリーズらしさもありつつ、リアリティーもある。そんなグラフィックの新たな方向性を、このアトモスシェーダーは示せているように思う。

なお、ufotable制作によるアニメパートも存在する。

冒険を進むたびに溢れ出す仲間の魅力

 主人公であるアルフェンは、記憶はないが、困っている人は見過ごせない正義漢の強い青年。どうやら剣術の覚えはあるようで、戦うとなった傍から多彩な剣技が扱える。戦うことが好きなようで、とくに武具には人一倍興味を示しており、武器や防具については熱く語ってくれる。また、記憶がないせいかいろいろなことに好奇心旺盛で、ちょっと天然なところが出てしまうこともある。

 ヒロインのシオンはクールなレナ人。〈茨〉の呪いという、触れる者に電撃のようなものを走らせてしまう体質を持つ。そのため、人を寄せ付けず、孤独を好むタイプ。ただ、アルフェンは痛みを感じないので、シオンに近づいたり触れたりできる。ときには、慣れない異性に接近され、ドキドキしてしまう……といった、シオンのかわいらしさが垣間見えるシーンも。また、オシャレに興味があるほか、じつは大食いという意外な一面もある。

 ほかにもリンウェル、ロウ、キサラ、テュオハリムといった魅力的な仲間たちが存在し、アルフェンやシオンのように、全員意外な一面や個性的な趣味を持っていたりして、それが冒険の中でどんどん明かされていくのがおもしろいところだった。それぞれ目的や利害が一致してアルフェン一行の仲間になるわけだが、そこはぜひご自身の手でその理由を確かめてみてほしい。

リンウェル
ロウ
キサラ
テュオハリム

ついつい探索したくなるフィールド!

 フィールドはエリアごとに分かれていて、ひとつのエリアだけでもなかなかの広さ。ダッシュがあるので移動が面倒ということはさほどない。また、体験版などでは登場していないが、一部ダンジョンなどではジャンプを駆使して岩場を飛び越えるなど、ジャンプアクションもある。

 広大な大地のいたるところに素材アイテムや宝箱などが落ちていて、ついつい全部集めたくなるほどに探索が楽しい。奥まったところに行けば何かしら隠されていたりと、しっかりと探索のご褒美が用意されている。

 マップ機能が充実しており、サブクエストや素材はすべてマップ上に記載されるので、迷うこともほぼないはず。また、ファストトラベルにも対応しているため、1度行ったことのある場所ならばスイスイとワープして移動できる(一部イベント中などは使えない場合がある)。

 なお、本作は敵に触れるとバトルが始まる(いわゆるシンボルエンカウント)システムを採用している。こちらに敵が気づくと、敵は追いかけてくる場合もあるが、基本的にはダッシュして避ければエンカウントしない。狭い通路などでは避けにくいが、誘導してバトルを避けることも可能。一見強制バトルに見えても、誘導を駆使すれば避けられる場合も。

調べたいポイントの前で明らかに待ちかまえているが、誘い出して戦いを避けるなども可能なのだ。

激しさの増したバトルが楽しい!

 アクション要素の強いバトルというのは、『テイルズ オブ』シリーズ共通の魅力のひとつだ。本作のバトルはさらに激しさを増しており、よりアクション性の強い、アグレッシブな戦いが楽しめるようになった。多彩な術技を駆使して怒涛のコンボを決めるハイスピードバトルは、難易度はやや高めなものの、慣れると非常に楽しい。

 キャラクターごとに特性のある“ブーストアタック”も、コンボを決めるうえで重要な要素。また、“突進してくる相手にキサラのブーストアタックを発動する”など、カウンターとして使用するのが重要な場面もあって、使いどころを考えるのが楽しい。

 また、本作には防御というものがなく(キサラのみ例外)、攻撃を食らうとかなり手痛いダメージを受ける。そのため回避、またはジャスト回避が重要になってくる。とくにボス戦ではジャスト回避からのカウンターレイドを決めないと切り抜けづらい場面が多々あるため、難度はかなり骨太。

 とはいえ、オートバトルに対応しているほか、難易度調整もいつでも可能なので、アクションが苦手な人でもゲームを進められるようになっているので、そこはご安心を(ただ、難易度を調整したからといって、ガッツリ簡単になるわけではないので、ある程度の育成は必要)。

 ちょっと気になったのは、システム名。“ブーストアタック”と“ブーストストライク”は、どちらも“ブースト”と付いていて、かつ似たような名前。慣れればわかるようになるが、やはり混同しがちなので、わかりやすさを考慮すると別の名前にすべきなのではと感じた。たとえば“フィニッシュストライク”とかでもよかったのでは……と。

段階を経て解放されていく要素

 ほかにもおなじみの“秘奥義”などもあり、バトルの要素は非常に多い。体験版を遊んだ人の中には、あまりにもシステムが多くて覚えきれない、遊びにくいと思った人も少なくないだろう。

 それもそのはず、体験版はバトルの要素が、ほぼほぼ解放された状態で遊べるようになっている。本編ではストーリーを進行させていくたびに、“ブーストアタック”、“特性”、“オーバーリミッツ”などのシステムが少しずつ解放されていく。徐々にシステムに慣れていけるので、体験版ほどいきなり何でも求められるわけではない。

 逆に言うと、序盤はできることが少なすぎて、かなりシンプルなバトルを求められる。コンボでガンガン戦えるようになるのは、4人パーティーになってから。それまでは一見地味なバトルになりがちだが、フルパーティーでの戦闘は激しく、かつ非常に楽しいものとなっているので、ぜひご期待を。

 なお、体験版でのブーストストライクは、アルフェン&シオン、リンウェル&ロウ、キサラ&テュオハリムの3種類となっていた。もしかしたらこの3種類しか存在しないと思っている人もいるかもしれないが、製品版ではすべての組み合わせにブーストストライクの専用演出が用意されている。たとえばシオン&ロウ、アルフェン&リンウェルなども発動するということだ。

どのスキルから取るかが悩ましい育成要素

 育成についてはシンプルで、基本は経験値を得てレベルを上げていきつつ、武器や防具、アクセサリーを取得・作成して装備していくというもの。

 また、バトルやクエストクリアーなどで得られるスキルポイント(SP)を消費すると、さまざまなスキルをキャラクターごとに獲得できる。スキルが“称号”システムに紐づいているのは、本作ならではの仕組み。

 物語を進行させる、もしくは特定の条件を達成すると称号を得ることができ、称号ごとに、いくつかスキルが用意されているという仕組み。SPはなかなかに入手しづらく、どのスキルから取得していくのか? と頭を悩ませるのは、RPGらしく楽しいところだった。

 また、術技をくり返し使うことで、各キャラクターに3種類ずつ用意された熟練度が上がり、熟練度が上がると新たな術技を閃くことがある。スキル取得のほか、閃きによっても新たな術技を得られるというわけ。

 熟練度は上げれば上げるほどに技を閃いていくのではなく、物語の進行に応じて閃ける術技が増える、といった感じ。たとえばボス戦を攻略した後、それがトリガーになっていたのか、つぎのバトルで多数の技を一気に技を閃くということもあった。

BGMがメチャクチャにイイ!

 『テイルズ オブ』シリーズのBGMといえば、作曲家・桜庭 統氏による楽曲の数々。これまで通りのバンドサウンドはもちろんのこと、本作では新たにフルオーケストラによるBGMも収録されている。

 これが『テイルズ オブ』シリーズにはなかったような曲調のものが多く、とくにフィールドはその環境を感じさせてくれるような、雄大なBGMになっていたりして、冒険しながら聴いていて、非常に世界観への没入感が高まった。とはいえ、すべてがすべてフルオケなBGMというわけではなく、桜庭氏らしいプログレッシブなダンジョン曲などもアリ。

 バトルは『テイルズ オブ』シリーズらしいものもあれば、これまでにないバトルBGMもあったりと、バラエティー豊か。とくに一部ダンジョンのバトル曲は、おそらくダンジョン専用曲になっており、ダンジョンBGMからそのまま自然と流れるようにバトルBGMに移行するなど、BGMの演出としても新たな方向性を採用していたのが印象的だった。

スキット&ショートチャットが楽しい

 キャラクターたちがおもに雑談をくり広げる、『テイルズ オブ』シリーズ伝統の“スキット”。これまでは2Dグラフィックのキャラクターたちが、表情アイコン、または立ち絵で会話をくり広げていたが、本作では3Dで、マンガのようなコマ割りを表示しながら会話をくり広げるものになった。

 「2Dのほうがよかった」というファンも少なくないと思うが、いろいろと体験してみて“これはこれでアリ”というのが筆者の感想。コマ中にときには擬音が入ったり、そのスキットならではの演出が取り入れられたりと、3Dだからこそ自由に表現できるシーンが多かったからだ。

 冒険の中でくり広げるスキットは、単純に攻略に役立つものや、キャラクター性を深堀りしてくれるものが多く、どれも見過ごしたくないもの。画面右下に表示されるスキットアイコンが小さすぎて見逃しやすいのだが、見逃しても、後で見直せるのはうれしいポイントだった。

 ただ、サブ要素として楽しむぶんには問題ないのだが、このスキットによる表現は本編ストーリー中にも採用されている場合がいくつかあり、「そこはデモシーンで見たかったなあ」というところも正直多かった。

 なお新要素として“野営”というものがあり、料理ができるほか、そこではこれまでに見たスキット、または見逃したスキットを閲覧できる。野営では仲間との会話を楽しむことができ、絆が深まる特別なスキットも存在する。

 さらに画面左下で、ゲーム進行やバトル中に、仲間たちが会話をしてくれる“ショートチャット”もおもしろい。物語の進行に応じてマジメな会話も発生するが、たとえば探索時に装備アイテムを取得すると、武具が好きなアルフェンが武具について熱く語り始めたり、食事が好きなシオンが食材に興味を大きく示したりと、クスリと笑えるものもある。これがアルフェンたちの旅を彩っていて、全体通してより冒険感が増していた。

 なおショートチャットは、敵とエンカウントしたり、ダッシュで移動してつぎの目的地にすぐ到達したりすると、会話の途中なのに途切れてしまうことがある。読みたいのに、その続きが読めないことも多々あった。そのため、「ショートチャットも網羅したい!」という人は、ショートチャットが発生した際には立ち止まることを推奨する。

 もう1点。スキットとショートチャットは比較的明るいものが多く、メインストーリーのシリアスさと噛み合ってない場合があるのも少し気になった。たとえば「あんなことがあったのに、明るすぎない……?」というセリフを発したかと思えば、本編デモシーンでは暗くなったり。もちろん明るい、温かみのある要素も『テイルズ オブ』シリーズファンとしては重要な要素だとは思うし、開発スタッフの皆さんも気をつかった部分だと思われるので、まあ仕方のない部分なのかな……と飲み込めはするのだが。より冒険への没入感が高まったからこそ、気になってしまうのだろうか。

ダウンロードコンテンツについて

 今回、ダウンロードコンテンツについても触れることができた。詳細は公式サイトをチェックしてほしいが、体験したダウンロードコンテンツはおもに衣装パックと、BGMパックの2種類。

 BGMパックは歴代の『テイルズ オブ』シリーズのBGMをバトルBGMに設定できるというもの。本作のバトルBGMも素晴らしく、かつ豊富に用意されているので、まあ基本的には使わないとは思う。が、たとえばレベル上げ時など、たまには気分を変えてみたいといったときには、使ってみるといいだろう。

 衣装については、ゲームを結構進行させてから使う、またはクリアー後に使うことをオススメする。一部甲冑などは進行中でも使っていいと思うが、制服姿や水着などと明るい衣装は、正直本作の物語にはあまりそぐわない。本作はデモシーンでもスキットでも衣装が反映されるので、物語の空気感を損なってしまう。

 とくに序盤、アルフェンは鉄仮面をかぶっているが、ダウンロードコンテンツ衣装を装着すると鉄仮面を外すことができてしまうため、物語の展開的に非推奨。

 もちろん衣装を変更するだけなので、興味のない人は購入しなくてもよいのだが、キャラクターのスキルを余すところなく取得したいという人には、“海水浴 3着パック”、“学園生活 3着パック”、“戦国和装 3着パック”の3つは別かもしれない。なぜならば、この3つの衣装パックには称号が付随しており、スキルを取得できるからだ。

 正直、ダウンロードコンテンツの衣装がゲームの育成要素に紐づいているというのは、好まないユーザーもいるだろうと予想する。一応どのスキルも必要SPが非常に多く、すぐには取得できないので、「これがあるから序盤が楽になる」と言えるほどではない。ゲームに必須のものではないため、欲しい人に任意で購入してほしい、というのが開発側の意図だと思われるが、できればスキル取得については本編の範囲内に収めてほしかった、と筆者は思う。

新たな『テイルズ オブ』の道となるか

 ここまで語ってきたように、細かなところは気になったものの、冒険している感が非常に高く、キャラクター性も物語もとてもよい。なによりバトルがメチャクチャに楽しく、仕事の締め切りさえなければ一生バトルしていたかったほど。ほかにも釣りのミニゲームや、農園などサブ要素も豊富。やり込み要素も満載で、プレイに没頭すること間違いナシだ。

 なお、筆者は『テイルズ オブ』シリーズをひと通りはプレイしているが、『テイルズ オブ アライズ』は新たな方向性として十分にアリだと感じた。ただ、自分自身が基本はどんなゲームでも受け入れられるタイプなので、『テイルズ オブ』シリーズファンがそれぞれどう受け取るのかは、ちょっと予想は付かない。また、日本のみならず世界のファンがどう受け止めるのか、というのも気になるところ。

 ただ、“継承と進化”への意志は、きっと感じられるはず。これが『テイルズ オブ』の新たな道となるのか……それはぜひご自身でプレイして、『テイルズ オブ アライズ』という1本を評価してみてほしい。

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