複数の視点から壮大なストーリーを描く、スマホ向け完全新作として登場

 毎年8月に行われるヨーロッパ最大級のゲームイベント、gamescom。その開幕を告げる“gamescom Opening Night Live”が、2021年8月26日未明(日本時間)に配信され、その中で『テイルズ オブ』シリーズのスマートフォン向け最新作『テイルズ オブ ルミナリア』(以下、『ルミナリア』)が発表された。

 現在、タイトル名とティザー映像が公開されているのみだが、この『ルミナリア』はいったいどういう作品なのか? 『テイルズ オブ』シリーズ全体のIP総合プロデューサーであるバンダイナムコエンターテインメント富澤祐介氏と、アプリ統括プロデューサーのバンダイナムコエンターテインメント池野泰広氏に話をうかがった。

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富澤祐介氏(とみざわ ゆうすけ)

『テイルズ オブ』シリーズ全体のIP総合プロデューサー。家庭用ゲーム機最新作『テイルズ オブ アライズ』のプロデューサーも務める。

池野泰広氏(いけの やすひろ)

『テイルズ オブ リンク』などを経て、『テイルズ オブ ザ レイズ』のプロデューサーを担当。現在は、スマートフォン向けの『テイルズ オブ』タイトルすべてを統括している。

富澤まず『テイルズ オブ』ブランド全体の視点で話しますと、継続的な新作の登場、新たなキャラクターをもっとコンスタントにお届けしたいという思いがかねてよりありました。25年の歴史を通して、新たなキャラクターたちの出会いと成長に共感していただける体験が、ファンの皆様にとってもっとも重要な価値であると考えていますし、オリジナルの新作の存在はより多くの新たなファンを呼び込む契機にもなりえます。

 『テイルズ オブ アライズ』では久しぶりに家庭用でもオリジナル作品をお届けできる形になりましたが、同時に近年表現力の上がったスマートフォンをプラットフォームとしたハイクオリティーなRPGが多く発表される中で、そうした市場においても『テイルズ オブ』が完全オリジナルで新たなチャレンジを行い、ブランドの裾野をさらに拡げることを目標として、本作は企画されています。ですので、スマホアプリとして先行して展開している『アスタリア』等のクロスオーバータイトル群とは企画意図やコンセプトが大きく異なる1作となっています。

――今回発表された映像だけでも、相当な数のキャラクターが確認できますが、本作に登場するのはオリジナルキャラクターのみでしょうか? それとも、歴代の『テイルズ オブ』キャラクターも登場するのでしょうか?

富澤『ルミナリア』の詳細については、アプリ統括の池野さんから答えてもらいましょう。

池野はい。先ほど富澤さんからもあったように、本作は完全オリジナルタイトルです。そのため登場するのはオリジナルキャラクターのみで、歴代キャラクターは登場しません。これまでのシリーズのアプリゲームは、歴代キャラクターが登場するクロスオーバーを中心に展開していました。直近の『クレストリア』はそこにオリジナルの要素も加えたハイブリッドな作品ですが、本作は初めての完全オリジナルタイトルになります。

 ただしオリジナルタイトルといっても、家庭用とアプリでは求められるゲーム性やプレイスタイルが大きく違うため、本作はアプリならではの数々のアプローチを取っています。

――キャラクターがとても多く出てきますが、主人公とヒロインはどのキャラクターになるのでしょうか?

池野まずはキャラクター数ですが、発表映像には12人登場しています。実際はもう少し多く、従来オリジナル作品よりも多いです。そして、主人公とヒロインについてですが、本作は特定のキャラクターひとりを主人公としてはいません。『エクシリア』はW主人公とすることで主人公・ヒロインとは別の形を提供していましたが、今回もまた違った形で、なるべく多くのキャラクターの個々の生き様や成長だったり、仲間との絆だったりを描きたいと考えています。

 ここですべてをお伝えするのは難しいので、全メインキャラクターの紹介に合わせて、彼らが描く壮大な、初めての体験となるであろう『ルミナリア』の物語を紹介するときまでお待ちいただけたらと思います。公式Twitterで告知していますが、9月下旬に単独番組配信を予定しているので、そちらで続報をお知らせできると思いますのでご期待ください。

富澤これだけ多くのキャラクターを、複数の視点で長期で描くというチャレンジは、家庭用ではできなかったアプローチとして『テイルズ オブ』の物語の可能性をさらに広げてくれるのではないかと期待しています。

――“ルミナリア”という言葉は、 ラテン語などで光”を意味するluminaに由来すると思われますが、このタイトルにはどのような意味を込めているのですか?

池野馴染み深い響きではあるのですが、これはじつは造語ではなく実存する言葉になります。この言葉には“周囲に光を照らし影響を与える人物”という意味があり、主人公がひとりではないという点にもつながっているのですが、そのような人物と多く出会える作品・物語であるという理由から『テイルズ オブ ルミナリア』と名付けました。ほかにも世界観にも沿った意味合いもあるのですが、いつの日かお伝えできたら良いなと思います。

――髪の毛がピンク色の女の子は科学者風の装いをしていますが(武器は銃?)、この世界は剣と魔法のほか、科学も発展している世界なのでしょうか。映像冒頭の街並みを見ると、近代的なビルもあるようですが……。街の近くにある大きな石のようなものと、その光も気になります。

池野地域によってですが、科学が発展している国家が存在します。一方で自然との共存を生業とする国もあり、大きな石のように見える何かを巡っての争いごとが本作のバックボーンになっています。…と、いろいろと言いたくなるのですが、いまは堪えて、追って詳細をお伝えしていけたらと思います。

 ただ、少しですがお伝えしますと、この世界はシリーズでも馴染み深いマナで構成されており、石のようなものが発しているのがマナの光になります。よく見ると、ふたつのイラストでマナの色が違っていますよね。これが何を意味するのか、マナと人々にはどのような関係があるのか、続報にご期待ください。ちなみに女の子が扱っている銃は、マナの弾を射出する武器で彼女の自作になります。

――キャラクターデザインを手掛けているのはどなたですか?

池野発表映像でお気づきの方もいらっしゃると思いますが、キャラクターデザインはシリーズ初参加となる方にお願いしています。そのデザインは、ファンタジーではあるが、どこか実在感や温かみを感じるシリーズらしさもありつつ、かつ新しさもともなったものになっていると思います。シリーズ特有のアニメチックなデザインでもキャラクター観が変わらず、ゲームとアニメ、デザインすべてで一体感の保てるデザイナーの方にお願いすることができました。詳細については、続報をお待ちください。

[2021年8月26日14時25分修正]
池野氏の回答の中に一部誤りがあったため、該当部分を修正いたしました。

 従来作品よりもキャラクター数は多いのですが、作中でのデザインの統一性を図るため、ひとりの方にデザインしていただきたかったですし、実際デザインいただけたことは幸運で、後日公開予定のパブイラストも1枚1枚に強い息吹が宿っていますので、発表を心待ちにしてください。

――スマートフォン縦持ちの3Dアクションバトルになるようですが、プレイ感覚はどのようなものになりますか?

池野前述の通り家庭用とアプリでは求められるものが大きく違っているため、アクションバトルもそうですが、フィールドやダンジョン散策、ストーリーや会話劇といったシリーズのよさを新たなアプローチで、アプリ特有の短いプレイ時間でも味わっていただけるように工夫しています。

 バトルは、家庭用のような“エンカウント式で1戦1戦に集中!”といったプレイ感覚よりも気軽に遊べるものにしています。タップやフリックといったタッチパネルの基本操作で統一しつつ、カジュアルながらも、刀による素早い立ち回りで戦ったり、距離を保ちつつ弓矢で遠隔からスナイパー攻撃をしたりと、キャラクターによって違った操作体験を味わえるようにしています。

――バトルに参加できるキャラクターは最大何人でしょうか。

池野ゲームモードによって異なるのですが、メインシナリオが展開されるモードでは最大3人となります。ひとりを操作キャラとして使い、仲間の人数はシナリオに応じて変わります。このあたりはシナリオの仕組みと密接に関わるため、続報にご期待ください。

――“coming soon”とのことですが、配信時期はいつごろでしょうか!? gamescomで発表したということは、全世界同時配信を予定しているのでしょうか。

池野配信時期は現時点では未だお伝えできませんが、ゴールがまったく見えない開発状況でもないので、遠くない内に続報をお伝えできるのではないかと思います。全世界同時配信については、シリーズ全体で目指しており、本作も同様です。アプリ初のオリジナルタイトルとして、海外にしっかり届けていきたいと考えており、加えてですが運営タイトルとしては初めて英語のボイスオーバーにチャレンジしています。

 最後になりますが、『ルミナリア』では、アプリで初めてのオリジナルタイトルを作るにあたり“可能性と発見”というテーマを掲げ制作を進めています。シリーズのテーマ“あの出会いが、世界を変えたんだ。”という魂はぶらさずに、届けかたの部分でさまざまな試みを行っています。その新たな試み(可能性)と、試みの先に見える新たなシリーズ体験(発見)によって、知っている人もそうでない人も楽しめる、かつてない体験として味わえるような作品を目指しています。まだまだ全貌は見えない断片的な情報のみですが、続報にどうかご期待ください。

富澤今回『テイルズ オブ』全体としては『アライズ』に続いての新作発表となりましたが、世界中に『テイルズ オブ』のファンを拡大していくという大きな目標に沿って、池野さんの言う通り、まさにこのブランドの可能性をさらに拡げ、改めて魅力を発見してもらえるようにと願いながら制作してきた挑戦的なタイトルになります。これまでのオリジナルタイトルを超えるほどのボリュームで描かれる壮大なドラマと、気軽な操作で楽しめるスマートフォンRPGとしての魅力に期待していただければと。池野さんたちのがんばりを見ていると、リリースはそう遠い未来ではないはずです(笑)。
 
 一方で『テイルズ オブ』ブランド全体としては、30周年に向けてさらにロングスパンでさまざまな企画準備も始まっています。オリジナル作品の継続展開はもちろんのこと、本作のような未来に向けての新たなチャレンジ、そして過去作の移植のご要望もたくさんいただいていますのでそちらにも向き合っていきます。家庭用チームもスマホアプリチームも一丸となって、より皆さんの期待に応えていけるように進化していきたいと思っています!

続報は9月下旬(予定)の単独番組配信で発表予定!

 まだまだ謎の多い『テイルズ オブ ルミナリア』だが、詳細は9月下旬に配信予定の単独番組で発表されるという。配信日時などは、今後、公式Twitterにて告知されるとのこと。