本格的な稲作を扱った和風アクションRPG『天穂のサクナヒメ』は、同人サークルの“えーでるわいす”が企画・開発し、マーベラスが販売する話題作(※PC版はXseed Gamesより販売)。2020年11月12日にプレイステーション4、Nintendo Switch、PCでリリースされた本作は、発売から約2週間後の11月25日に、世界累計出荷本数が50万本を突破。稲作文化のあるアジア圏だけではなく、北米や欧州でも受け入れられ、SNSを中心に評判が広まっている。

 日本古来の米づくりの手法を取り入れた稲作パートが話題になりがちだが、個性豊かなキャラクターが織り成すストーリーや、横スクロールの爽快なアクションも本作のウリ。本作の概要と併せて、ストーリー、稲作、アクションの3つの柱の魅力を改めて紹介しよう。

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『天穂のサクナヒメ』って、どんなゲーム?

 鬼と戦う爽快なアクション要素と、米づくりの手法を取り入れたシミュレーション要素を巧みに融合させた本作。鬼が棲むヒノエ島を舞台に、武神と豊穣神を両親に持つ女神サクナヒメ(以下、サクナ)が、人々と交流しながら鬼退治と米づくりに励む姿が描かれる。

 米づくりを行う稲作パートでは、田起こしや田植えなど、11もの工程で本格的な米づくりが体験できるほか、良質の米を収穫するとサクナが強くなる要素も存在。米づくりを続けるほど、アクションパートが攻略しやすくなる。

 また、凶悪な鬼が支配するヒノエ島の探索は、横スクロールのアクションで展開。このパートでは、伸縮自在の羽衣や武器の農具を駆使した多彩な攻撃で、立ちはだかる鬼を退治していく。稲作を通してサクナが成長すると、より強力な“武技”や“羽衣技”も使用可能に。これらの技は4つずつ装備でき、独自の連続攻撃を生み出す楽しみもある。

丁寧に作り込まれたストーリーとキャラクター

 主人公のサクナは、武神タケリビと豊穣神トヨハナのあいだに生まれた格の高い上級神であるにも関わらず、家の財産を食いつぶして自堕落な生活を送っていた。だが、幸せな生活は突如終わりを迎える。大きな失態を犯してしまい、その罰として鬼が支配するヒノエ島の調査を命じられたのだ。

 泣く泣く島に渡ったサクナは、文句を言いながらも生きるために一念発起。怠け者の汚名を返上し、米づくりや鬼退治に励んでいく。また、最初は人間たちのことを最初は見下していたが、ともに島流しされた田右衛門たちと共同生活を送るうちに、サクナの心境にも変化が……。

リアルすぎると各所で話題になった米づくり

 日本古来の米づくりの手法を取り入れた稲作パートは、田植期、育成期、収穫期の3つのパートにわかれているが、いずれのパートもできることが非常に多い。育苗から始まり、籾摺りで終わる全11工程の作業を通して、誰もが自分だけのお米を作ることができる。

 ゲーム内で稲作のアドバイスは受けられるものの、米づくりは初めてというプレイヤーがほとんど。手探りで米づくりを進める中で、本作の発売直後は、農林水産省の公式サイトが攻略に役立つといったツイートや全農(全国農業協同組合連合会)公式Twitterの解説冊子を紹介するツイートが注目を集めた。

 この冊子では稲作の仕組みが丁寧に解説されており、それが本作のリアルな米づくりの参考資料として重宝されたのだ。プレイヤーのあいだでは、冊子が攻略本のような扱いを受けるまでに至り、ニュースで取り上げられるなど大きな話題に。リアルすぎると称えられる米づくりは、本作の名を広めるきっかけにもなった。

ステージを縦横無尽に飛び回れる爽快なアクション

 横スクロールアクションで展開される鬼とのバトルでは、簡単操作でつながる弱と強の通常攻撃に加えて、技力を消費してくり出す武技や羽衣技を使用できる。とくに羽衣は、敵を引き寄せたり、弱体化させたり、一瞬で背後に回り込んだりと、移動・攻撃・回避・弱体など、あらゆる効果を併せ持つアクションの要。羽衣を使いこなせるようになると、敵の後ろを取って連続攻撃を放つなど、爽快なアクションが堪能できる。

 技を使い込んで強化したり、待ち構える強敵と戦うことができる“天返宮”に挑んだり、サクナのステータスを限界まで上げたりと、やり込み要素が満載なのもうれしい。ストーリーをクリアーした後も、米づくりとアクションにどっぷり浸れる内容になっている。

 というわけで、改めて紹介したきた話題作『天穂のサクナヒメ』。ゲームのおもしろさはもちろんのこと、米づくりの過程やたいへんさを体感できる作品となっているので、ぜひプレイしてみてほしい。