●制作見学のそのあとは……制作裏話!?
Aグループは、ついで資料コーナーに移動。ここではクリアファイルに収められた資料を眺めたり、各人に渡されたiPad中に収められたデータ化された資料を自由に閲覧できた。
「『BAYONETTA(ベヨネッタ)』ってスローがかかるゲームだと思ってらっしゃるかもしれませんが、じつは違っていて、主人公ベヨネッタのスピードが上がり続けることで、周囲がスローに見えるというのが正しいんですね。ゲームでは彼女だけが速い世界を表現しているんです。電光石火のハイスピードアクションと書かれている最初の企画書では、どんどんクロック数が上がっていくというか、アクションを繋ぎまくれば周囲がスローに見えてくるというという、いちばん最初に神谷がやりたかったことが書かれています。それに加え、全身に武器を装備していて、殴る、蹴る、銃撃も可能という。魔女という設定はありましたが、髪の毛を使って服を作ったり召喚獣を呼んだりというのは、あとからデザイナーといっしょに生まれた設定です」と、Aグループをアテンドしてくださった、ゲームデザイナーの山中雅貴氏は語った。
資料を閲覧している時間のあいだに、ひとりずつ呼ばれてVR体験もできた。先ほどのドラゴンがVRの世界で息づくさまを短いながらも体験できるという趣向だ。このコンテンツは『SCALEBOUND』の素材を使ってこの日のために特別に作られたもの。プラチナゲームズでもVRの研究はしているが、現在開発中ということではないと断っておく。
内容は、ほの暗い洞窟などの奥で、かがり火がゆらめくフロアをドラゴンが闊歩。最後に大きく咆哮するというもの。記者も体験したが、この日一日見続けてきたドラゴンが立体となって目の前に迫るのは、迫力を感じると同時に感慨深いものがあり、他の機会にVRを楽しんだとき以上に、モデルのディティールを眺めてしまった。
そして当日の来場者が楽しみにしていた、開発スタッフとのフリートークの時間に。前述のように、この回は稲葉敦志氏、神谷英樹氏、橋本祐介氏、齋藤健治氏が臨席し、それぞれの自己紹介からスタートした。
参加者からの質問は事前に募っており、開発スタッフ側がそれに答える形を基本としていたが……そこはそれ、大胆かつ高品位のゲームを提供するプラチナゲームズの面々。話は脱線したり、およそ記事にはできないような話が飛び出たりと、参加者たちが心から楽しんだトークがくり広げられた。以下にその一部を紹介しよう。
稲葉敦志氏(以下、稲葉) 「神谷さんはすごくツイッターを使っていますが、社員の皆さんはどう思っているのでしょう」という質問が。
全員 (笑)。
神谷英樹氏(以下、神谷) 誰? そういうこと聞くの?(笑)
稲葉 誰がとか、そういうことではないでしょ。
神谷 思うんだけどさ、ぜったい社員で腹を立てているやつはいるよね。
稲葉 そうですね。3分の1くらいは。
全員 (笑)。
稲葉 いま社員が180人くらいだから、60人くらいは腹を立てている。
神谷 そんなに!?
齋藤健治氏(以下、齋藤) 腹を立てているというか、心配しているんじゃないですか?
神谷 リアルな話、(ツイートによって)ビジネスチャンスを失ってると思わない? 「ああいう狂犬がいるところはやめとこうか」みたいな。
稲葉 そう思っているのにやり続ける心境というか、僕のビジネスプランの邪魔をしている心境をぜひともお聞かせ願いたい。
神谷 止められない止まらない。
参加者 (笑)。
稲葉 さきほどのグループとのトークで、「ツイッターばかりやっていて、本当に仕事をしているんですか?」という、どストレートな質問をいただいて。
齋藤 「社会人として大丈夫ですか」と言われてましたもんね(笑)。
神谷 すごく怒られたよね(笑)。
稲葉 社員代表として、そちらのおふたりに聞いてみましょうか。
齋藤 いつもヤフオクかツイッターをしている姿しか見ません。あと、ときどきシナリオを書いていると安心する(笑)。
神谷 最近はね。やばいなと思って(笑)。
齋藤 仕事仕事!
稲葉 橋やんはどう思ってるの?
橋本裕介氏(以下、橋本) 「大丈夫かな?」って(笑)。
稲葉 だいたい社内でもそう思われているんですよ。厳しく受け止めたほうがいいんじゃないでしょうか(笑)。
齋藤 神谷さんと話すときは、まず画面を見ますからね。「あ、仕事してる」と思ったら声をかけませんもん。
橋本 僕はいま神谷さんと離れたところにいるので、ツイッターを見ているとき、神谷さんの書き込みがないほうが不安になる。
稲葉 ああ、死んでるんちゃうかと。彼(橋本氏)はいま『スターフォックス ゼロ』の開発が終わって2ヵ月半くらいの休暇の2ヵ月目くらいです。社会復帰が困難になって。
橋本 やっとふつうの人間に戻れた気が(笑)。
神谷 そんなに休みがあったらバイトできるじゃん! コンビニとか!
稲葉 ゲーム作りとかね。
橋本 それはちょっと(笑)。
稲葉 任天堂に行って、「宮本さん、手伝いますよ」と。
神谷 コンビニでバイトしたいなあ。丁寧に対応しますよ!(笑)
稲葉 (参加者の)皆さんの好きなタイトルなどあったら教えてほしいなと。
神谷 皆さん、プラチナゲームズが好きかと言われたら好きなんですか?
稲葉 そんな質問、キライって答えられないよ(笑)。
参加者 僕は『BAYONETTA(ベヨネッタ)』が好きですね。
稲葉 (神谷氏と橋本氏を見比べながら)『1』ですか『2』ですか?
参加者 両方好きです、両方!
稲葉 いやいや、それはハッキリしてもらわないと(笑)。
参加者 『SCALEBOUND』はどうでしょう?
稲葉 来た。『SCALEBOUND』。
神谷 これがたいへんでしてね。
稲葉 どうたいへんなのか説明していただけると(笑)。
神谷 だって物量が半端ないんですよね。
稲葉 アクションRPGでいろんな要素をとにかく詰め込んでいるので。作れるのかな? という。
神谷 がんばりますよ!
稲葉 あと、神谷はけっこう自由奔放な(ゲームの)作りかたをするんです。ある程度まで作って、「違うな」とか、「これおもしろくなってきた」とか。『SCALEBOUND』はマイクロソフトさんと組んで作っているんですが、海外って、けっこうきっちり「ここまで完成したからここは触らない。つぎにいこう。ここは完成した」というやりかたなので、ぶつかることも多いですね。
神谷 そんな生々しい話までする!?
一同 (笑)。
神谷 ちょっと、違った開発環境で戸惑っていることはありますよね。
橋本 だいぶ生々しい話なのでテンションが下がってますけど(笑)。
一同 (笑)。
ツアーの最後は
最後に通されたのは、壁面がプラチナゲームズのタイトルのポスターで飾られ、机にはさまざまなめずらしいタイトルが用意された、プラチナ尽くしの部屋だった。
たとえばデバッグコマンドでさまざまな状況がいじれる『ベヨネッタ2』だったり、日本未発売の『トランスフォーマー デバステーション』を3画面プレイできたりと、訪れたファンがどんなゲームをプレイできたら楽しめるかを手間暇掛けて考えた、心づくしのもてなしぶりだ。
最後にスタートの部屋、Purpleに全グループが集合。ホストとなった開発スタッフのひとりひとりから挨拶がなされた。なかでも印象的だったのは、“ふだんプレイヤーの顔が見られない状態で仕事をしているので、実際に会えると新鮮で楽しく、パワーがもらえる”という言葉。パブリッシャーではなく、開発に集中しているプラチナゲームズだからこそ、言葉に実感がひとしお込められていた。それは参加者もまたしかり。なかなか会えない人々から直接話を聞く機会を得、なかなかできない貴重な体験をして、全員笑顔で2時間半があっという間に過ぎていった。
「つぎに(スタジオツアーを)やるのは10年後、というのもおもしろくないので、何かの機会に企画したいと思っています」という稲葉氏の言葉を楽しみに、今回惜しくも機会を逃した方もつぎの機会を待とうではないか。