戦略の幅の広さが本作の“自由度”だ

 ゲーム内のあらゆる事象が影響し合い、プレイヤーの行動に反応して変化する。プレイヤーも変化する状況に合わせて、戦略を立て、困難を乗り越える。この読み合いにはたまらない緊張感があり、一時も油断は許されないことにはなる。しかし、状況を打破したときの何とも言えない達成感は『サイコブレイク』ならではのものだ。敵のサイズも、人間サイズからビルよりも巨大なクリーチャーまで登場するのだから、ずっと同じ戦略が通用するわけもない。プレイヤーが自分の好きなように“選択”して、サバイバルに挑戦できる。この戦略の幅の広さこそ、本作における“自由度”と言えるのだ。

 また、サバイバルホラーと言えば“謎解き”と思うプレイヤーも多いだろう。もちろん、本作にも謎解き要素がふんだんに盛り込まれている。いわゆるパズル的なものもあれば、断片的な情報を集めて鍵を探すものもある。複雑に入り組んだステージを探索して発見する喜び、問いに対する答えを導き出したときの爽快感は、サバイバルホラーの魅力のひとつであり、最近のサバイバルホラーゲームが忘れていた部分でもある。そして、あらゆる謎を解いていくことで、現実と非現実のあいだをさまようかのような物語が、あるひとつの“真実”へと集約していく。そのダイナミックな展開と衝撃の結末は、プレイヤー自身の目で確かめてほしい。少なくとも、筆者は本気で驚いた。

怖くて楽しい、それがサバイバルホラーの原点

 三上真司氏自身が語っているとおり、本作のゲームシステムは“クラシックスタイル”である。撃つ、隠れる、探す、調べる、移動する。基本的な要素は、純然なアドベンチャーゲームに近い。しかし、そこにこだわり抜いたライティング(ぜひ新世代機で遊んでほしい!)や、怖がらせることに特化したサウンド、不快感を与えるように描かれたグラフィック、生と死の狭間で揺れ動く感情が伝わるアニメーション、そして異形の敵たち。“究極の恐怖”をプレイヤーにもたらすべく表現された数々の要素が絡み合ったことで、『サイコブレイク』は新鮮な衝撃を与えてくれる作品となった。

 難しいだけではなく、達成感や爽快感を味わえる。とてつもなく恐ろしい瞬間もあれば、思わずにやりとさせられる場面もある(“かゆうま”とかね)。行き詰まったとしても、何度か挑戦するうちに“道”が浮かび上がってきたときの高揚感。隙間なく襲い来る敵の攻撃を凌いだときの安堵感。すべてが、“怖くて楽しい”のだ。これから手に取る方には、「あなたの選択は間違っていない」と断言しよう。きっと、このゲームで味わいたかったであろうことは、確実に実現されているから。まだ手に取っていない方は、機会があれば触ってみてほしい。歯応えのあるゲームではあるし、好き嫌いがはっきり分かれる作品かもしれない。でも、“怖くて楽しい、サバイバルホラーエンターテインメントゲームを実現しよう”とする意思は感じ取れるはずだ。それは、三上真司氏が『バイオハザード』を作り上げたときから変わっていない意思であり、この『サイコブレイク』でその思いは結実したと言える。

 『バイオハザード』でサバイバルホラーの定義を築いたゲームデザイナーが、『バイオハザード4』でアクションゲームとしてのサバイバルホラーを進化させ、『サイコブレイク』で究極の恐怖を描くことで、サバイバルホラーにある意味“決着”を着けた。その意味でも、サバイバルホラーを愛する人はプレイしなければならないゲームである。

text:コンタカオ
週刊ファミ通編集者。『サイコブレイク』でお気に入りのスタイルは、スナイパーライフルでヘッドショット。ボルトはフリーズボルト派。凍らせてから銃撃するのが気持ちよくてたまらない系。ちなみに、まさに発売日となる2014年10月23日の0時より、ファミ通編集長がニコ生で本作をプレイしているのだが、どうなることやら。