DMM GAMESにてサービス中のPCブラウザゲーム『文豪とアルケミスト』のキーマンにインタビュー! 全3回でその魅力に迫る、中編をお届け。

●プレイヤー必読の制作秘話も続々!

 DMM GAMESよりサービス中のPCブラウザゲーム『文豪とアルケミスト』に注目している記者が、そのおもしろさの理由を探るべくキーマンに直撃! 3日連続で掲載している『文豪とアルケミスト』プロデューサー・谷口晃平氏(DMM.comラボ)&世界観監修・イシイジロウ氏のロングインタビュー、中編をお届けする。

▲DMM.comラボ『文豪とアルケミスト』プロデューサー 谷口晃平氏(文中は谷口)
▲『文豪とアルケミスト』世界観監修 イシイジロウ氏(文中はイシイ)

 昨日公開した前編に続き、中編では文豪たちの“関係性を見せる”という徹底したコンセプトや、その関係性が垣間見えるシステムの制作秘話を訊いている。後編は明日2月24日(金)16時に掲載予定。こちらもお見逃しなく!

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●“文豪の関係性を見せる”という徹底したコンセプト

――前編では制作のきっかけなどを語っていただきましたが、具体的なゲームのお話もうかがっていきたいと思います。まず“文豪が本に潜って侵蝕者を討伐する”というアイデアはどのようにして生まれたのでしょうか?
イシイ キャラクターが文豪だから、つぎは本ですよね、と。たとえば芥川とか太宰が組んで『人間失格』や『羅生門』に潜るというのはすごくおもしろいという話をしていました。
谷口 最初に悩んだのが、“文豪が戦うことに違和感があるよね”というところでした。文豪はインテリなのに、武器を持って戦うのはおかしいよね、と(笑)。だったらファンタジーの世界で戦わせるしかないので、そこで“本に潜る”というところに落ち着きました。

――文豪を転生させるというアイデアもそこから派生していったのでしょうか。
イシイ 文豪は時代がバラバラですからね。潜書も2種類(穢れた書物を浄化する“有碍書”と、文豪の魂が宿った書物に潜る“有魂書”)がありますが、あれも図書館というイメージから生まれています。大きな本屋と図書館って、文学好きの好きなものとして鉄板じゃないですか(笑)。「図書館でしょ!」というところから「じゃあ本から文豪を引っ張り出して、本に潜りましょう」と。すべて本ですね。司書(プレイヤー)というのもそうなんですよ。話をしていくと、だいたいウチの嫁さんの趣味になるんですが……(笑)。“司書になりたかった”とか、太宰好きで武蔵野に住んでいるとか。

――『文アル』はアドベンチャーゲームやノベルゲームのように、確固としたメインシナリオはないですが、そのなかでもディテールが作り込まれていますよね。たとえば、“炎上する嫉妬心”や“纏まらぬ洋墨”といった敵の名前にはニヤリとさせられました。文豪がほかの文豪と戦うのではなく、あくまで精神的な敵と戦う、という。
イシイ 敵のネーミングはすごくよかったですね。一気に提案が出てきて、ほぼ一発オーケーだったんですよ。
谷口 あれは敵のイラストを描いたデザイナーがバババーッと出してきました。

――イシイさんや谷口さんが考えられたのかと思っていました!
イシイ ゲームのなかで、言葉を直したり、その場でガンガン変えていくものもあったのですが、敵の名前は「すごくおもしろいから全然大丈夫です!」と、ほぼ一発オーケーを出しました。

――文学ではないにしろ原稿を書いている身として、あれらと戦わなければいけない文豪の気持ちがよくわかります(笑)。
谷口 あくまで精神の戦いですね。

――個人的には、館長も素敵だと思いました。
イシイ 館長はオリジナルですよね。女性スタッフが提案してきたんでしたっけ? 「これいいんですか?」と訊いたら、自信満々に「イシイさん何言ってるんですか? そこはわかってないですね」みたいなことを言われました(笑)。

――文豪たちも素敵ですが、彼らを温かく見守る館長も素敵ですよ! そして傍らには猫がいて。
イシイ 猫は絶対要りますよね(笑)。
谷口 マストでしたね。

――それから、お腹が減ると戦えないというディテールも独特ですね。ゲーム的にはコストにあたりますが、“そういう風に振りきるんだ”というおもしろさを感じました。
谷口 ゲームとして、スムーズに遊べることを追求することもできたんですけど、そこはリアリティーを追求しようということになりました(笑)。
イシイ 食堂にいろいろなメニューがあるおもしろさが出せますしね。司書として、食事をさせて面倒を見なきゃいけないわけですよ。本なのに面倒を見なきゃいけない。それは司書のイメージで、本ってちゃんとメンテナンスをしなければいけないんです。古い本は虫食いに紙を貼って直していったり。その本を面倒見るイメージと、文豪の面倒を見るイメージが僕のなかで重なっていました。文豪が転生したらただの男子になっちゃうわけですから、メシも食わせないといけません(笑)。しかも、みんなメシを食いそうにないじゃないですか(笑)。そんな彼らにメシを食わせるのは、女子として絶対うれしいだろうなと。

――献立のグラフィックが“飯テロ”レベルで美味しそうなところもおもしろいです(笑)。
谷口 あれは、デザイナーが“飯テロしたい”という想いで作りました(笑)。

――さて、つぎに『文アル』の主役である文豪たちのお話もうかがいたいと思います。新たに登場する坂口安吾を含め、37名の文豪が登場しますが、実装する文豪は何を基準に選んでいるのですか?
谷口 有名な文豪は有名だからという理由ですが、とにかく関係性を重視するゲームというテーマで作っていますので、有名な文豪と関係の深い文豪であったり、僕が個人的に知ってほしい文豪を実装しています(笑)。

――個人的に知ってほしい文豪ですか。
谷口 金沢で開発しているので、徳田秋声が主人公的な立ち位置になっていますね(笑)。
イシイ なんで徳田秋声をあんなに推しているんだと(笑)。
谷口 金沢三文豪(徳田秋声、泉鏡花、室生犀星)を必ず出そうというのは、早い段階で決まりました。

▲徳田秋声(声:渡辺拓海)
▲泉鏡花(声:神谷浩史)
▲室生犀星(声:逢坂良太)

――関係性を重視されるというコンセプトも、谷口さんご自身がもともと文豪の関係性に魅力を感じられていたからなのでしょうか?
谷口 そうですね。有名な文豪たちが、ご近所さんで案外面識があったり……というところに、絶対におもしろさがあると思っていました。たとえば志賀直哉と小林多喜二ですが、教科書で習った範囲では交わることのなさそうなふたりが、じつは師弟関係にあったり。

――もともとそういった文豪どうしの関係性をご存知だったのですか?
谷口 『文豪とアルケミスト』を作るにあたって調べたところもかなりあります。もともと小説が好きで作品は読んでいましたが、人に関しては、有名な人以外はそこまで知らなかったので。
イシイ “絶対に関係性があるはずだ”と、最初に相関図を作りましたもんね。ゲームでは必ずペア以上、チームの組み合わせで戦うじゃないですか。そのときに「こいつとこいつは絶対いっしょにいたら喧嘩する!」みたいな関係性があるんですよね、文豪には(笑)。それは擬人化コンテンツにはないですし、戦国武将とか幕末の志士たちにはあるかもしれないけど、文豪は「絶対こいつとこいつは“混ぜるな危険”だよ」みたいな関係性がある反面、逆にムチャクチャ仲よしな関係性もありますし。

――なるほど、フィクションではなく、リアルな関係性がもともとあるのですね。
イシイ そこを表現するにあたり、「会話を入れてほしい」と強く言っていましたね。そこで関係性を調べたら、もう山ほど出てくるということで、谷口さんと盛り上がりました。
谷口 もともと“芥川と島崎藤村が顔を合わせたらどんな会話をするんだろう”というところがいちばん最初でしたね。芥川は遺書のなかで島崎藤村の作品を批判して死んじゃったんですよ。島崎藤村は不意をつかれて「え、そんなこと思ってたんだ……」と。でも言い返せない(笑)。
イシイ 遺書で批判するって最終兵器ですよ(笑)。

――確かに戦国武将などにも関係性はありますが、ストレートに好きだ嫌いだという人間くさい関係性が文豪たちにはありますね。
イシイ 武将たちは殺し合わなきゃ仕方がないですからね。文豪は仲よくすればいいのに、「なんでそんな嫌いやねんおまえ!」みたいな(笑)。
谷口 近所に住んでいていっしょに文学界を盛り上げようとしているにも関わらず、誌面上で喧嘩をして(笑)。公開喧嘩なんですよね。
イシイ いまのTwitterの喧嘩と変わらないですね(笑)。いっしょのことをやっていましたから。