『フィリスのアトリエ』参加アーティスト 南壽あさ子さん、PiA吳蓓雅さんインタビュー【試聴動画あり】

『フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~』に楽曲を提供している、アーティストの南壽あさ子さん、PiA吳蓓雅さんのインタビューをお届け。

 コーエーテクモゲームスより2016年9月29日発売予定のプレイステーション Vita/プレイステーション4用ソフト『フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~』。同作は、世界を旅する主人公フィリスの物語を描く、人気RPG『アトリエ』シリーズの最新作だ。

 本記事では、同作に楽曲を提供している、アーティストの南壽あさ子さん、PiA吳蓓雅さんのインタビューをお届け。それぞれの楽曲や、『フィリスのアトリエ』の魅力について語っていただいた。また、各楽曲の試聴動画もファミ通.comにて先行公開! フィリスの旅路に思いを馳せながら、ぜひ聴いてみてほしい。

■南壽あさ子さん

オープニングテーマ「flora」
イベントリスタートテーマ「このごろ、そのひぐらしで」

物心つく前から歌うことに心奪われた彼女は二十歳になり本格的に作曲活動をはじめ、2012年6月に「フランネル」でインディーズデビュー。風景画家の祖父や70年代の音楽に影響を受けながら独自の世界観を生み出すその作風は、だれもが何処か懐かしい情景や心象風景を思い起こし、その透明感あふれる唄声とシンプルなピアノによっておおくの人の心を掴んで離さない。2013年10月には「わたしのノスタルジア」でメジャーデビュー、この曲が全国ラジオパワープレイを40局以上獲得しこの月の邦楽・洋楽OA回数1位となる。ひとつひとつていねいに唄い届けることをモットーにし、「Nostalgia」ツアーでは全47都道府県をまわり、赤坂BLITZにて大成功のうち旅を完結させる。その声の魅力が支持され、積水ハウスシャーメゾンのCM[積水ハウスの歌]、ポッキーのラジオCM[ポッキー/話そうよ篇]の歌唱を担当。2015年はアステラス製薬の企業CMナレーションにも大抜擢されるなど、今後も彼女の活躍から目が離せない。

――南壽さんは、『エスカ&ロジーのアトリエ』、『シャリーのアトリエ』に続いて、3度目の『アトリエ』シリーズ参加となりますが、今回『フィリスのアトリエ』への参加が決まったときのお気持ちを教えてください。
南壽あさ子さん(以下、南壽) 『エスカ&ロジーのアトリエ』では「回遊魚の原風景」、『シャリーのアトリエ』では「みるいろの星」という曲を起用していただいたのですが、実際にゲームをプレイして、自分の曲が大きな世界観を持ったゲームとコラボレーションしたこと、主人公が成長していく中で自分の曲が流れるということに感動しました。そんな中、今回は2曲も起用していただけることになって、とてもうれしく、ありがたく思いました。

――『エスカ&ロジーのアトリエ』、『シャリーのアトリエ』は黄昏の世界を舞台にしたゲームでしたが、『フィリスのアトリエ』は世界が一新されています。この『フィリスのアトリエ』というゲームに、どのような印象を抱きましたか?
南壽 主人公の選択によって、未来が変わっていくというところが、自分にも皆さんにも重なるもので、このゲームの醍醐味だなと感じました。それから、これまでの『アトリエ』シリーズのキャラクターもとてもかわいかったのですが、フィリスちゃんはとくにかわいいです。旅をする中で衣装が変わるとのことなのですが、雪国でコートを着たフィリスちゃんがとてもかわいくて。フィリスちゃんは、綿毛のような存在といいますか、繊細だけど大きな夢を持っている、そんな女の子だと思います。

――フィリスの旅を彩る楽曲として、「flora」、「このごろ、そのひぐらしで」の2曲を提供されていますが、それぞれがどのような曲なのか、教えていただけますでしょうか。
南壽 「flora」は、旅立ちや船出をテーマにした曲で、まさしくオープニングにふさわしい曲だと思っています。もともと、平和を願う気持ちで書いた曲で、それを海や航海にたとえて、“閉ざされた自分の心から踏み出していこう”という意味を込めました。『フィリスのアトリエ』のお話をいただく前に書き始めていた曲なのですが、不思議な巡り合わせで、まるで『フィリスのアトリエ』のストーリーを知っていて書いたんじゃないかと思うくらいピッタリで。じつは、「みるいろの星」のときも、まったく同じ状況だったんです(詳しくはこちらのインタビューにて)。

――素敵な偶然が2回も起こったのですね。
南壽 はい。それから曲を書き進めて、レコーディングでは『フィリスのアトリエ』のことをしっかり意識しながら、オープニングの曲らしいサウンドを作っていきました。これまで、たくさんの音が入る曲を作ったことはあまりなかったのですが、今回は自分の個性を保ちながら、いろいろな音を入れています。私も新しいチャレンジをさせてもらいました。

――続いて、「このごろ、そのひぐらしで」についてお聞かせください。「flora」よりも、アップテンポな曲ですよね。
南壽 「flora」と違って、すごく前に作った曲なのですが、『フィリスのアトリエ』のお話を聞いて、この曲が合うんじゃないかと挙げさせていただきました。退屈な日々を送っている人物が、「知らない街を見たい」と想像して、そこから走り出すという曲です。「flora」で歌っている、大海に飛び出していくような気持ちよりは、日常的な歌詞ではありますが、“前へ走っていく”というイメージは共通していますね。

――それぞれの曲について、聴きどころを教えてください。
南壽 「flora」は、悲しい思いをしている誰かがいたら、その声を聞いて旅に出ようよ……という曲なのですが、サビにかけてのメロディーで、高揚感、浮遊感のある感じが出ていると思います。“あたらしい船をだす”という歌詞があるのですが、本当に船が出ているように感じられるんじゃないかな、と。「このごろ、そのひぐらしで」はイントロが聴きどころです。一気に音が鳴るときに、風が吹いた感じがすると思いますので、ゲームをプレイしている人に、ハッとしたり、風を感じたりしてもらえたらうれしいです。

――また、PiAさんが歌う「青、淡き旅」の曲作りに、南壽さんも携わっていらっしゃるとのことですが、どのようなイメージで曲作りに参加されましたか?
南壽 「青、淡き旅」は、詩人が歌っているようなイメージの曲です。詩的な、と言いますか、印象派(19世紀にフランスで起きた芸術運動、表現の様式。光や空気の変化を捉えて表現しようとする)の絵のようなイメージです。色が見えるような曲だと思います。

――なるほど、タイトルの通り、印象派の淡い色合いをイメージしたような曲なのですね。南壽さんには、風景画家のお爺様がいらっしゃるとのことですが、曲を作るときに絵をイメージすることも多いのですか?
南壽 皆さんに言われるまで自分でも気づいていなかったのですが、確かに小さいころからたくさん絵を見ていて、おじいちゃんが描いたヨーロッパの風景を見て、行ったことのない世界、町を想像することが多かったので、その経験は活きているんじゃないかと思っています。印象派の絵も好きで、多くのものをはっきり描くというよりは、雰囲気で感じとるようなものが好きなので、もしかしたらそれが曲作りに影響しているかもしれません。

――ちなみに、南壽さんには、旅に関してどのような思い出がありますか?
南壽 以前は旅をすることはあまりなかったのですが、音楽の活動を始めてからは、日本を2周したりも……歌をきっかけに、新しい出会いがたくさんありました。フィリスが錬金術をきっかけに旅立とうとしているところと、似ていると思います。私は、歌がなかったらこんなに旅をしたり、出会いがあったりしなかったと思いますが、歌という術を見つけて、新しい世界を知ることができたので。

――4月から6月にかけて、「flora」ツアーを行っていましたよね。
南壽 はい。そのツアーでは、ライブの最後に必ず「flora」を歌っていたのですが、皆さんすぐに覚えて、口ずさんでくれて。「1回聴いただけで好きになりました」と言ってくださる方も多くて、うれしかったです。

――「flora」ツアーで、とくに思い出に残っていることは?
南壽 すべて思い出深いですが、たとえば北海道の札幌市ホールでのライブは、とても不思議な空間でした。だんだんと外が暗くなっていく中、1時間ごとに鐘が鳴って、時が刻まれているということを意識しながら歌うという、ロマンチックな時間になりました。

――では最後に、『フィリスのアトリエ』を楽しみにしている皆さんに、メッセージをお願いします。
南壽 今回はオープニングと、ゲームの重要な場面で流れる楽曲を担当するという、大役をいただきました。ゲームをする皆さんに、ワクワクする気分、高揚感を少しでも味わってもらえたら、そんな気持ちを添えられたらいいな、と思っています。