CESAがゲーム開発インターンシップを開催!

 一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(以下CESA)が、ゲーム業界に興味を持つ学生を対象にしたゲーム開発インターンシップを、2016年8月にパシフィコ横浜で開催することが発表された。このイベントは、CESAがこれまで取り組んできた、日本ゲーム大賞・アマチュア部門賞を始めとする人材発掘・育成への取り組みの一環。CESAは、学生やアマチュアゲーム開発者に向けた活動をさらに強化するべく、新たに人材育成部会を設置したという。そこで今回は、人材育成部会設置のねらいとインターンシップ開催の意義について、同部会を代表するおふたりに話を聞いた。(聞き手:週刊ファミ通編集長 林克彦)
※この記事は、週刊ファミ通2016年6月30日号(2016年6月16日発売)に掲載されたものと同内容です。

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未来を担う人材育成のため、CESAがゲーム開発インターンシップを開催! その真意をふたりのキーパーソンに聞く_02
▲新設されたCESA・人材育成部会の部会長を務める松原健二氏(写真左)と副部会長の馬場保仁氏(右)。

ゲーム業界に興味を持ってもらう さまざまな施策を検討

未来を担う人材育成のため、CESAがゲーム開発インターンシップを開催! その真意をふたりのキーパーソンに聞く_03
セガゲームス
常務取締役
松原健二氏

――はじめに、今回新設された人材育成部会の位置付けや活動内容から教えてください。
松原健二氏(以下、松原) CESAの委員会組織に、CEDEC(コンピュータエンターテインメントデベロッパーズカンファレンス)を運営している技術委員会があるのですが、その下部組織として人材育成部会を作りました。CESAは以前から人材育成に取り組んでいますが、今後さらにアマチュアのゲーム業界への興味や関心を上げるため、人材育成活動をしっかりやろうと考え、部会を立ち上げたのです。私が部会長、馬場さんとバンダイナムコスタジオの斎藤直宏さんにも副部会長として入ってもらいました。もともと馬場さんは、日本ゲーム大賞のアマチュア部門賞の審査にも関わっていました。
馬場保仁氏(以下、馬場) 我々3人以外にも、現在は東京工芸大学芸術学部ゲーム学科教授である遠藤雅伸さん、スクウェア・エニックスの時田貴司さんや土田善紀さん、セガゲームスの細山田水紀さんにも部会委員として参加してもらっています。
松原 アマチュア部門賞の活動と、今回発表したインターンシップとゲーム開発者アンケートの3つを人材育成部会の活動の柱に考えています。ゲーム業界にもっと注目してもらい、どんどんいい人材に集まってほしいので、毎月一回会議をして、そういった活動内容について話し合っています。

――もっと幅広い人材に、ゲーム業界に興味を持ってもらおうというわけですね。
松原 アマチュアのゲーム開発者にとって、日本ゲーム大賞のアマチュア部門というのは大きな目標です。しかし、それ以外のアプローチや興味を持ってもらえる場の提供ができるのではないかと思っています。
馬場 ゲーム大賞は、9月の東京ゲームショウで最終結果を発表しますが、それだと就職活動につなげるには、スケジュール的にややきびしいのです。卒業年度の学生が参加した場合、発表が9月というのはやや遅いですし、ひとつ下の学年だと、2年制コースであれば入学前にエントリーがすでに開始されていて参加が難しい。最近は4年制の専門学校も増えてきているので、いずれは解決していくと思っていますが、やはりスケジュールがフィットしているとは言いがたいわけです。
松原 日本ゲーム大賞と同じ東京ゲームショウという場で表彰されるのは、参加する方のモチベーションになっていますし、賞のステータスでもあります。今年はそれに加えてインターンシップを開催して、それぞれの人材育成活動を“線”でつないで行きたいと考えています。アマチュア部門、今回のインターンシップ、どれに参加してもゲーム業界への就職を考える知見が得られる……もちろん、それに続くものも議論している最中です。

――活動のシンボルとしてアマチュア部門があり、その先へ広がっていくイメージですね。
松原 ゲーム系の専門学校はたくさんありますが、専門学校を卒業しなければゲーム業界に入れないわけではありません。「どういった勉強をすればいいのか?」とよく聞かれますが、ふつうに勉強していればいいんです(笑)。ゲームは身近なものですが、いざ作る側となると確かにぜんぜんわからないですよね。それは当然ですから、いろいろな方にゲーム開発を理解してもらう機会を増やしていきたいです。
馬場 以前は、ゲームクリエイターと言えば子どもたちの憧れの職業でした。しかし、去年久々に人気が復活しましたが、昔に比べればまだ低調です。彼らが就職を意識する年齢になったときに、ゲーム業界に入りたいと考えてくれるのか? が課題だと思っています。私はいま、全国の大学を回っているのですが、学生たちに話を聞くと、職業としてゲーム業界を意識している人が思ったよりも少ないな、と感じます。それはもったいないですよね。現在ではUnityなどのゲームエンジンを使って、アマチュアでもゲームを作っている人口は間違いなく増えてきているのに……です。ただ楽しいからやっているというのもおおいにけっこうですが、できることならプロを目指してほしいなと思っていたのです。

――メーカーが求めている人材が、学生側に知られていないのかもしれません。
松原 採用する側からすると、ゲーム業界だからといって特別なものを求めているわけではありません。とくに新卒については。ゲームに限らず、エンターテインメント業界というものに、ハードルの高さを必要以上に感じている方が多いのかもしれません。たとえばゲーム大賞のアマチュア部門にエントリーできるレベルにないと、応募資格すらないのではとか。そのハードルを下げつつ、ゲーム業界に惹きつけられる何かを感じてもらえるように取り組みたいと考えています。